税務調査と酒、女、車、保険

「車と女は新しいのに限る」

世のご婦人方全員を敵にまわしそうな発言だが、別に筆者が言ったことではない。

こういうことを言う社長さんが多い。という話である。

更には、

「車と女は経費に限る」

こんなことをおっしゃる方もいて、今度はご婦人だけでなく税務署を敵にまわしそうな発言である。

筆者自身も税務調査を何度か受けたことがあるし、税理士は山ほど知り合いがいるので、本日は

酒と女と車と保険

このあたりと税務調査についての関係を述べたいと思う。

とは言え、「どこまで信じるか」は当然、自己責任。

一切の責任は負わない。

とはっきり明言しておくので、悪しからず。

この4つを安全順で並べ替えると、

酒、保険、車、女

となる。



まず酒。まあ、社長の飲み食いだが、これは基本的に認められる。

社長たるもの、誰かと会ったり、話したりするのが仕事の大半で、飲み食いに関してはそれらの「潤滑油」となる。

だから、ランチ、喫茶店、夕食、おねーちゃんのお店まで、「お客様と一緒」であれば認められるし、誰と一緒だったか。などは基本的に証明が出来ない。

だから税務署もあまりゴチャゴチャ言ってくることはない。



次に保険。

これも基本的には突っ込まれることは少ない。

と、言うかほとんど見ていない。

税務調査では在庫や給与、他社との金銭のやり取りなどを主に見られるので、保険なんて話題にすらならいことがほとんど。

そのため、

・本来は全額資産計上のはずの商品が全額損金になっている。

・社員全員加入を前提として「1/2損金処理」が許されているものが、社長しか入っていないのに1/2損金で落としている。

など、ムチャクチャな処理をしている会社もある。

「社長、これ税務調査で何も突っ込まれませんでしたか?」

と聞いても、

「何も聞かれなかった」

とスルーされているが、とは言え、これは完全にアウトで、バレれば怒られる(追徴、場合によっては重加算)

税務調査で保険に光が当たるポイントは2つ。

① やり過ぎ

② 調査官が保険好き

保険料が売上の5%以下であれば、まず目を付けられることはない。

保険の契約は相手が生命保険会社だし、国からの免許事業である「保険」を営む保険会社は大それたことは出来ない。という前提がある。

だから「保険の節税」は税務署から見れば、

「ルールに則ったもの」

で、突っついたところで何も出てこずに時間の無駄。ということになる。

そのため先ほどのような「全額資産計上なのに全額損金計上」とか、「全員加入なのに1人しか入ってない」というような、

保険会社の言う通りにしていない

場合には見つかりずらいのである。(だからと言って、やってもOKとは言わない。長期的にはだいたいバレるし、「証券出せ」と言われれば一発で分かる)

話を戻す。

そんな「あまり見ない保険」だが、とは言え、売上の「10%以上が保険」などあまりに多い時には、どうしても目に付くから、

「証券出しなさい」

「何の目的で入っているのか?」

と細かいところを突っ込まれる可能性が高い。

それでも「②調査官が保険好き」でないと、なかなか突っ込んだ話にはならないケースが多い。

何故なら。

良く分からない

からである。

保険の商品は数が多すぎて、その全てを把握している人間なんて保険業界にも少ない。

ましてや税務調査官でそれらの動向を追っている人はほとんどのいないだろうし、そこまで暇でもないだろう。

が、しかし。ごく稀にマニアックなことまで知っている調査官がいる。

ほほ「お前の趣味だろ?」と言いたくなるが、色々と文句をつけてくる。

あくまで感覚だが、20人に1人くらいがこの手のタイプで、税務調査でこのタイプが来て、更には先ほどのケースのように「間違った処理」が発覚するとお灸をすえられることになる。

なお、このような処理を保険会社の販売員が

「大丈夫ですよ。ばれませんから」

と言って勧めてくることがある。

確かに発覚しないことも多いが、そもそもがルール違反なので、バレるかバレないかは運次第だと思っておいた方が良い。

また、その時になって保険会社にクレームを言っても、こんな低レベルな提案をする奴はだいたいが退職している。

保険会社は頑なに責任を認めないし、言った言わないの水掛け論なので、正直なところ埒が明かないだろう。

そして、保険会社が責任を取った例(追徴金を負担するなど)は私の知る限り、ない。

覚悟を決めて、自分の責任でルール違反を犯すのは自由だが、アホな販売員の口車に乗るのだけは避けた方が良いだろう。



かなり前置きが長くなったが、車と女に移る。

車も保険同様、経理処理や償却の期間などが決まっているので特段突っ込まれることはないのだが、実際には

車種による

部分が大きい。

つまり、カローラとかプリウスなどの安い車を「社長が乗っている」と言えば別に文句も言われないが、フェラーリーやランボルギーニなどの

あまりに高額な車

の場合、果たしてそこまで高額な車が必要なのか?本当に仕事で乗っているのか?プライベートで乗っていないと言い切れるのか?などなど、突っ込みポイントが満載になる。

だが、税務署からすると否認もしにくいの事実で、

「社長が良い車に乗っている姿を見せることが社員のモチベーションになる」

「『社長の愛社』と言う雑誌のコーナーで取材を受けたことにより、自身が広告塔になっている」

などと言われれば、「事業にプラス」に働いているので、ダメです。と断定は出来ない。

ある社長などは、自社のロゴマークを印刷したマグネット式のステッカー(初心者マークのようなもの)を作成し、

「乗っている時はこれをドアに貼っているので、あくまで宣伝だ!!」

と言い張っていた。

もちろん本当にそれを貼って高級車を疾走させているかどうかは誰も知る由もない。



最後に女。

昔からある「愛人を社員にして給与を支払う」というスキーム。

はっきり言えば架空給与だが、これがダントツで危ない。

どんな節税手法も基本的には駐車違反のようなもので、前述の酒、保険、車などは、多少やましいことがあっても、

田舎の道に1時間駐車する

程度のことだが、愛人への架空給与は

新宿アルタ前に30分駐車

という感じだろう。

ほぼ違反キップを切られる。つまりはバレる。

税務署は架空給与には一際厳しい。

基本的には愛人は出社もしないし、机もない。つまりは勤務実態がない。

この手の言い訳としては、

「自宅でアウトソーシングで〇〇」

となるが、それらを指示したメールなどもない。成果物もない。となると、

社長。。。この人、愛人でしょ?

となる。(調査官から直接的に言われるわけではないが、かなり懐疑的な視線を向けられる。)

飲食には領収書、保険には保険証書、車は現物があるので、証明が容易いが、勤務実態というのは証明が難しい。

もちろん実際に働いているのであれば、タイムカードもあるし、業務のメールのやり取りもあるので、わざわざ説明しなくても分かるが

「実態がない」場合

それらを偽装することは極めて難しく、嘘がバレやすい。

また、税務署からしても、架空給与の疑いは、「徹底的にやりましょう。」という気運があるので、車や保険などと違い簡単には諦めない。

調査官も経験があるので、どこを見れば架空給与なのかポイントを掴んでいるので、99%は真実が明らかになる。

また、これもよくあるのが愛人には「現金でお手当て」を支給し、架空給与は社長がポッケに入れている。というケース。

愛人に銀行口座を作らせて社長がその口座を自由に使っているのだが、これも税務署はATMの動画までチェックするので、一発でバレる。

履歴では社員(愛人)がATMからお金を下ろしているはずが、動画を見ると鼻の下を伸ばした社長がニヤけながら暗証番号を入れている姿を調査官に見られる。

こんな恥ずかしい話はない。

なお、架空給与は重罪なので、追徴+重加算がほぼ確定する。

ということで、税務調査で危ない順で言えば、

女がチャンピオン

ということになる。

皆さんもお気をつけ頂きたい。