この保険の弱点はここだ!大同生命「個人年金保険」

提供会社:大同生命

商品名:個人年金保険

 

この保険の弱点はここだ!!

大同生命の個人年金商品。

星1つと厳しい評価だが、それは今の時代の「円建の年金保険」全般に言えることで、別に大同生命の商品がダメだと言っているわけではない。

むしろ、他社は早々に売り止めしているのに、このご時世によく続けているなぁ、と感心している。

筆者の勝手な大同生命へのイメージでは、

「年金保険なんて儲からないから止めようぜ」

とか言いそうな気がするのだが・・・(あくまで勝手なイメージ)

「儲からない」

その理由はマイナス金利。




年金保険のように契約者から日本円で預かって、日本円で返す商品は原則的に日本国債で運用するのだが、その国債の利回りがマイナス金利の影響でズタボロ。

そのため、預かったお金を100%+αにするのが相当大変で、そこで「利ざや」を稼ぐなんて至難の業だ。

要は手間ばかりかかるのに、ほとんど儲からないということ。

だが大同生命は歴史的に会計事務所チャネルが強く、税理士が保険を売ってくることが多い。

そのため、年金保険の魅力の一つである「年金保険料控除」が使える年金保険には、今でも一定のニーズがある。

また、税理士だからこそ

「あれ?年金控除枠使ってないんですか?4万円控除されるますから、年金保険入った方が良いですよ」

と簡単にセールス出来る。

そのためにも商品のラインナップとして「入れておかないといけない」ということなのかもしれない。(筆者の勝手な想像)

年金の受取方法は、

確定年金
10年保証期間付終身年金

の2つ。

確定年金とは、

「65歳から毎年20万円を10年間」

など、将来受け取れる金額が「確定」している年金のこと。

10年保証期間付終身年金は「10年間は必ず払う」という約束があり、更にその後、10年を経過しても生きてる限りは(終身)年金が受け取れるというもの。

例えば65歳から年金が開始されて、仮に67歳で亡くなってしまっても「10年間(75歳)」までは、遺族(妻など)が年金を受け取れる。

だか75歳以降も生きていれば、その後も生きている限り、年金が受け取れるというもの。

では弱点の解説をしていこう。

弱点1 まずiDeCo

契約例を見ながら説明した方が早い。

下記はパンフレットに掲載されていた契約例(2020年7月時点)

40歳男性
保険料:16,512円/月
年金開始年齢:70歳
受取方法:10年確定年金

年金額:70歳から毎年60万円を10回

支払総額:約594万円
受給総額:600万円(60万円×10回)

40歳から70歳まで、トータルで594万円支払って、70歳から年金が始まり、そこから10年間。

80歳までに受け取れる金額が600万円

返戻率 100.9%

はあ?

これ何の意味があるの?





40歳から30年間、毎月お金を積立て、しかもそこから10年間の分割払い(年金方式)なのに、増えるのは

わずか0.9%

運用商品として考えるなら、絶対にやめておいた方が良い。

しかし、本商品は個人の所得税・住民税の控除対象である「年金保険料控除」が利用できる。

そのため、年間8万円以上を支払えば、所得税から4万円、住民税から2.8万円が控除されるので、その分の税金が還付される。

どれくらい戻ってくるかは、その人の年収次第だが、500万円くらいの人で1万円程度だろう。

年収が高くなればなるほど、多く戻ってくる。

この例で言えば、毎月16,512円の保険料を支払っているので、年間の負担は約20万円。

20万円払って1万円戻ってくるのであれば、リターンは5%ということになる。

低金利の現代で、何のリスクもなく5%のリターンを得ることは難しいので、手堅い運用の一種とも言えなくもない。

つまり「商品そのものは何の価値もない」が、控除枠を利用することにより「毎年のリターン」を得れるので、それがメリットということ。

だが、今はiDeCoもあり、こちらであれば支払った掛け金を全額控除できる。

また投資先も「ほとんど増えない国債(年金保険と同じ)」から、日本株、海外株など多彩。

老後の資金形成、そして目先の控除を考えるなら、圧倒的にiDeCoの方が有利。

まずはこちらを優先してやった方が良いだろう。

その上で、「まだまだお金が余っている」というなら、このような年金保険も検討すると良い。

なお、その際には「出来るだけ保険料を年間8万円程度」にすること。

年金控除枠は「年8万円以上払えば、4万円控除」というルールなので、8万円以上払っても意味がない。

いくら払っても4万円までしか控除されないのだから。




実際には、加入する時の年齢や性別によって「ミニマムの保険料」が決まってしまうため、30代になるとなかなか8万円程度で済ますことは出来なくなるのだが、先の例のように

20万円支払って 1万円還付(5%)

よりは、

8万円支払って、1万円還付(12.5%)

の方が割が良い。

控除枠くらいしかメリットがないのだから、出来るだけ出費は低い方が良いだろう。

弱点2 終身年金にメリットなし

この稿を執筆するにあたり、スタッフが用意してくれたパンフレットを見て

へー、いまだに終身年金プランがあるんだ、凄いね。

率直にそう思った。

冒頭でも述べた通り、今の低金利は保険会社にとって「冬の時代」で、どんな運用をしてもお金が増えないので辛い。

そんな中で、終身年金の契約を「受ける」ということは、契約者が何歳まで生きるのか分からないのに、つまりは「いつまで払うか決まっていない年金債務」を背負うことになり、リスクが大きい。

お客さんからお金は預かる。

しかし運用で将来増やせる見込みはない。

それなのに年金は「終身」で払わないといけない。

どれほど出血するか分からないので、保険会社として怖いのである。

が、契約例を見て分かった。




かなりリスクを低減している形で契約を引き受けているので、まあ、この条件なら保険会社も損はしないだろう。

下記が契約例。

40歳 男性
保険料:31,764円
受取方法:10年保証期間付終身年金
年金額:70歳から毎年60万円を「最低でも(死亡しても)」10回、そこからは終身

支払総額:約1143万円
受取総額
75歳までに:600万円  52.5%
85歳までに:900万円  78.7%
90歳までに:1,200万円 104.9%
95歳までに:1,500万円 131.2%

40歳から70歳までに総額で1143万円を負担し、70歳から毎年60万円を受け取れるが、最低保証の10年間では600万円しか受け取れない。

これは支払った金額1143万円の52.5%と「半分程度」

つまり、70歳から80歳の間に死亡してしまえば、受け取れる年金は、払った金額の半分程度で「大損」ということになる。

ほほトントンになるのは89歳(受取総額:1140万円)で、それ以上長生きすれば「得をする」

男性で89歳は、かなり長命だろう。

いないわけではないが、かなりの大部分は89歳までに死ぬ。

つまり損をするということで、こんなプランに入る人がいるのだろうか?・・・

本商品に入るにしても、終身年金は絶対に選ばない方が良い。

弱点3 インフレリスク

これも本商品だけに限った話ではないが、結局、返戻率が100%を「わずかに」超えるだけなので、運用になっていない。

日本は今のところデフレに苦しんでいるが、いつインフレが来るとも分からない。

そうなれば、この商品で「塩漬け」されていたお金は実質的には価値が目減りしてしまう。

そういう意味でも、筆者はiDeCoなどで、インフレリスクも考慮しながら株や債券などを使って運用していく方が良いと思う。




特約 Good & Bad!!

特になし。

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