この保険の弱点はここだ!プルデンシャル生命「変額保険」

提供会社:プルデンシャル生命

商品名:変額保険

この保険の弱点はここだ!!

参考コラム:変額保険の「ファンド」を超解説!!インデックスとは?アクティブとは?

変額と言えばソニー生命という感じで、プルデンシャル生命にあまり変額保険のイメージはないが、こちらも老舗と言えなくもない。

実は随分前から販売していて、結構歴史も古い。

投資先のファンドのパフォーマンスも悪くないが、商品スペック、運用成績などでは残念ながらソニーの後塵を拝している印象。

なお、同社のセールス(ライフプランナー)はドル一辺倒の人が多いが、古い人ではこの変額をこよなく愛する人も結構いる。

以前、MDRTかなにかの研修で、プルデンシャルの方が講演していて、

「60歳くらいになるまで支払った金額を解約返戻金が上回らないほとんど増えない『円建の終身保険』なんか売ってる奴はバカだ。売るなら変額。変額ならインフレリスクを軽減出来るし、保険金も解約返戻金も増える。」

というようなことを言っていたが、まあ確かにその通りだな。とは思った。

投資先(ファンド)は以下の6種類が設定されている。選択肢はわりと古典的。

・総合型
・債券型
・株式型
・米国債券型
・米国株式型
・REIT型

これらのファンドに関わるコスト(運用関係費)は以下の通り。

・総合型   :年率0.2%
・債券型   :年率0.2%
・株式型   :年率0.2%
・米国債券型 :年率最大1.0%
・米国株式型 :年率最大1.0%
・REIT型    :年率最大1.0%

なお、上記のコスト以外にも、そのファンドが投資信託にも投資をしている場合、それらの信託報酬もかかる。

参考:
「総合型」の中之外国株式は投資信託を利用しており、その部分に関しては年率0.235%(あくまでファンドの「一部」にかかるので、全体に0.235%かかるわけではない)
同じく「米国株式型」年率0.0945%(税抜)

弱点1 あくまで保険が目的、投資が目的ではない

わざわざ強調するほどのことでもないが、変額保険はあくまでも「保険」

毎月支払う保険料の中には、しっかりと「保険料」が含まれており、その分は投資には回らない。

例えば1万円を支払った場合、実際にファンドに投資されるのは7000円~8000円程度で、2000~3000円は「保険料」として徴収されている。

知っている人からすれば、

何を当たり前のことを

という話なのだが、変額保険をセールスする場合、このことをしっかりと話さない営業も意外といる。

このあたりの話をぼやかして、まるで全額がファンドに投資されているような幻想を抱かせるのである。

保険の見直し相談などでも、変額に関して

「保険料の全てが投資されている」

などと勘違いしている人も結構いる。




「そうではない」と説明しても「あれ?営業は『投資信託を買っているようなものだ』って言ってたけど」と言う。

実際に営業がそのような誤った説明をしたのか、時間の経過によって契約者が自分の都合の良いように解釈しているのかは分からないが(後者も結構多い)、完全な誤解である。

投資をしたいのであれば、現物の株や投資信託を買うべきで、変額保険を買うべきではない。

変額保険は死亡時の保障がある代わりに、その分のコストはしっかり取られている。

毎月1万円の保険料を支払っても、7,8割しか投資はされていないので、そもそも元本(支払った保険料の総額)を回復するまでに結構な時間がかかる。

そのことはちゃんと認識した方が良い。

投資をした上で「オマケ」で死亡保障が付いていると認識している人が多いが、意外とその「オマケ」のコストをかかっているのである。

その上で言うと、筆者は変額にはやや否定的。

基本的には、若いうちはなるべく安い掛け捨ての保険で「保障」を賄っておいて、投資は投資で自分でやるべき。

つまり、保険と投資は分けた方が良い、と思っている。

その理由は時間。

貯蓄系の保険は一度始めてしまうと、長い。

少なくとも10年程度は解約すると損をしてしまうので、長時間、資金を寝かすことになってしまう。

「自分は無精で投資なんてやりたくない。放っておいて、多少は増えるならその方が良い」

というような方なら、変額保険などでも良いかもしれないが、今の超低金利下で、ちゃんと自分の資産を築こうと思ったら、投資は避けて通れない。

勉強をする意味でも、自分で株や投資信託を購入し、多少痛い目を見てでも学ばないといけないだろう。

変額保険そのものが悪いわけではないが、前述の通り、コストも結構取られているので、その点からは勿体ない、というのが筆者の考え。

あくまでも個人的な考えだが参考までに

参考コラム:変額保険の「ファンド」を超解説!!インデックスとは?アクティブとは?

弱点2 終身タイプは高コスト

プルデンシャルの変額には、終身タイプと一時払タイプの2つがあるが、特に終身タイプに関しては、先に述べた保障のためのコストが「高い」

これは他社の変額、マニュライフ、あんしん生命、ソニー生命などと比べても明確。

なお、支払った保険料のうち、実際に純粋な意味での「保険料」が取られ、その上でどの程度が投資にまわっているかは、設計書の中にある

運用成績 0%

という表を見れば、だいたい分かる。

どこの会社の変額保険も、運用成績が「7%で推移した場合」、「3%で推移した場合」、「0%で推移した場合」、「-3%で推移した場合」などのシミレーションが載っている。

この中で「0%」のものは、要は運用しても「一切増えても減ってもいない」ということなので、純粋にどの程度がファンドに投資されているかが一目で分かる。




この「0%シミレーション」の10年後の解約返戻金を見て、それまでに支払った総額(支払総額)と比較すれば、おおよそ何%程度がファンドにまわっているか分かるのである。

筆者の感想では、プルデンシャルはこの割合が他社に比べてちょっと低い。

つまり保険の費用が高く、ファンドにまわっている分が少ないということ。

専門的に言うと、他社の変額は有期型(65歳まで、70歳まで、など)で、終わりが決まっているの対して、プルデンシャルの変額は終身型なので、「コストが高い」のは仕方がない部分もある。

例えば30歳の男性が、他社の65歳までの有期型変額に入ったとする。

この場合、保険会社は30歳から65歳までの「保障」を提供すれば良い。

対して、プルデンシャルの変額は「終身」なので、30歳の男性が死亡するまで一生涯の保障を提供しなくてはいけない。

30歳から65歳まで、と一生涯。

30歳から65歳までに死亡する確率など、せいぜい2,3%程度だが、一生涯となれば死亡確率は100%である。

当然一生涯の保障の方が保険料は「高くつく」

そのため同じ保険料を支払っても、有期型は徴収される保険料が少なめで、終身型は多めになるのである。

あくまでイメージだが、

有期型 保険料1万円 → 8,500円程度がファンドに投資される
終身型 保険料1万円 → 7,000円程度がファンドに投資される

こんな感じだろう。

プルデンシャルの変額は終身であるため、仕組み上、保険料のうち死亡保障に関するコストが多めに徴収されてしまうのである。

なお、有期型の変額でも、満期を迎えた時に「その時点での返戻金」を元手にして、終身保険に変えることが出来るオプションがある。

結局は有期型でも終身保険に「形を変える」ことが出来るので、やろうと思えば一生涯の保障を得ることが出来る。

であるなら、若いうちに多めに投資出来る有期型の方が効率的かもしれない。

この点は変額「終身」保険となっているが故の構造的な弱点となっている。

また各ファンドの手数料も他社比較で「やや高めかな」という感じ。

だが、プルデンシャルの変額のファンドは総じて成績も好調で、特に総合型はなかなか良いパフォーマンスを出している。

ファンドは手数料も大事だが、やはりパフォーマンスの方が重要。

その点からすれば、多少手数料が高くても元が取れるなら良い、という考え方も出来る。




弱点3 一時払に告知がある(保険金の非課税枠利用)

最後に、あまり検討する人は多くはないだろうが、参考までに一時払についても解説する。

本商品では一時払の取り扱いもあり、まとまった保険料を一度に支払うことが可能となっている。

しかし、これも初期に保険関係の手数料が取られるので、例えば1,000万円を預けても、そのまま丸々1,00万円が運用に回るわけではない。(保険関係でどの程度の手数料が取られるかは、年齢、性別などによって異なる)

その代わり、1,000万円支払った段階で、1,200万円程度(あくまで例、この保険金も年齢性別によって変わる)の保険金が用意される。

この「保険金(支払った金額以上の保険金)」があることで、保険料が発生してしまうので、1,000万円支払っても、そこから保険関係費用が引かれマイナスから運用がスタートすることになる。

つまり、こちらも「運用」として考えるとイマイチ。

一方、保険として考えた場合、相続対策、つまり保険金の非課税枠を使うためなら、有効と言える。

保険金の非課税枠とは何か?

保険金には「法定相続人×500万円まで」は非課税というルールがある。

例えばお父さんが亡くなって、遺された家族が妻、長男、長女の3人だとする。

この場合、500万円×3人 = 1,500万円までは保険金が非課税となる。

資産家の場合、現金で1,500万円持っていれば、相続税の対象となってしまうのに、それを

「保険に形を変える」

だけで非課税になるので、初めの一歩としてこの対策をすることが多い。

本商品を使えば、例えば1,200万円を一時払しておけば、死亡時には1,500万円が保障され、更には運用が上手く行けば保険金がそれ以上になることもある。

この利用方法は悪くない。

しかし、ここでネックになるのが「告知」があること。

だいたいが、このような対策を取る方は高齢者だ。

率直に言って50代、60代でこれをやっている人は少なく、70代になってから考える人が多い。

そうなると健康上に問題があるケースが少なくないので、告知(健康状態の報告)があると、入れない可能性もある。

参考コラム:変額保険の「ファンド」を超解説!!インデックスとは?アクティブとは?




そのため他社では似たような商品で「無告知型」というものが主流。

つまり健康状態については問わず、誰でも入れるのだが、死亡保険金は「支払った金額」

先程の例で言えば、1,500万円を払わないといけない。

1,500万円支払って、1,500万円を受け取る。

金銭的には何の意味もないが、保険金の非課税枠を考慮すれば、十分メリットがあるわけだ。

話をまとめると、以下のようになる。

健康状態に問題なし → 本商品の一時払は支払った以上の保険金があるのでメリットあり
健康状態に問題あり → 本商品には加入出来ない可能性が高く、他社の無告知型を選ぶ方が良い

保険金の非課税枠対策とし、本商品は悪くはないのだが「告知」があるのが弱点となる。

1,500万円預けて、そのまま1,500万円をまるまる運用してくれて、死亡保険金も1,500万円のまま。

こちらの方が保険金の非課税枠利用の希望者には良かったのだが、この点は残念。

弱点4 勉強不足のライフプランナーが多い

大きなお世話だが、プルデンシャルのライフプランナーは変額保険に関して疎い人が多いというのが筆者の印象。

もちろん冒頭で述べたように「変額を愛している人」も結構いるが、全体的にはドルに傾倒している傾向が強く、変額のことを聞いても「良く分からない」という回答が多い。

対して、ソニー生命のライフプランナーや代理店は、変額について良く勉強している。

売れ筋商品でもあるのと、ソニーの変額の金看板でもある「世界株式」のパフォーマンスが驚異的なので、それを誇りにしている人も多い。

ソニー生命 変額個人年金保険 (無配当) ★★★☆☆
注:こちらの商品は年金なので終身保険ではないが、参考までに

そのため、変額のことを聞くと非常に流暢で、それなりに説得力もある。

あまりに自信をもち過ぎていて、「今後も上がる」というニュアンスの話し方をすることもあり、その点は気になるものの、何を聞いても一通り答えてくれる。

このあたりは社風としか言いようがないが、本商品に入るならプルデンシャルの中でも変額についてしっかりと勉強している人から説明を受けた方が良い。

参考:積立・貯蓄・資産運用にかかわる商品について
他社の終身保険の☆評価一覧は、コチラ
他社の外貨建終身保険の☆評価一覧は、コチラ
他社の積立・年金保険の☆評価一覧は、コチラ
他社の変額保険の☆評価一覧は、コチラ

初稿:2020年10月10日