この保険の弱点はここだ!ソニー生命「メディカル・ベネフィットリターン」

提供会社:ソニー生命

商品名:メディカル・ベネフィット リターン

この保険の弱点はここだ!!

参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら

『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。

それでは、この商品の弱点について解説をしていこう。

メディカル・ベネフィットリターンは、ソニー生命が販売する医療保険「メディカル・ベネフィット」の「還付型」である。

還付型とは、

後から保険料の全額が戻ってくる

という意味で、つまりは掛け捨てではない。

基本構成や特約などは、

「メディカル・ベネフィット」

と同じなので、商品自体のスペックはそちらをご覧頂きたい。

本稿では「後から保険料の全額が戻ってくる」というリターン(還付)機能だけにフォーカスして解説したい。

まず結論から言うが、

非常に微妙な商品

と言える。

少なくとも筆者なら入らないし、周りにもお勧めはしない。

詳しく解説していこう。

まず「保険料が戻ってくる」という謳い文句に、やや誤解がある。

確かに戻ってくることは事実だが、それは「ある時点までに支払った保険料」であり、全体の保険料ではない。

このタイプの保険は「還付期」というものを加入時に設定する。

例えば、60歳とか、65歳とか、年齢で決めるのだが、このタイミングで「それまで支払った保険料の全額」が戻ってくる。

しかし、医療保険自体の契約は「終身(一生涯)」なので、その後も支払いが続いていくのである。

図にするとこんな感じだ。

つまり、65歳までの保険料は確かに戻ってくるのだが、65歳以降の保険料は戻ってこない。

また、戻ってくるのは主契約(メイン部分)だけであり、特約(オプション)部分については、加入時から終わりまでずっと掛け捨てである。

この点を理解する必要がある。

それでは具体的な弱点を解説していく。




弱点1 保険料が高い

これがリターンの最大の弱点と言える。

保険料が「戻ってこない」メディカル・ベネフィットと、保険料が「戻ってくる」メディカル・ベネフィット「リターン」を以下の条件で比較してみる。

・35歳 男性
・終身払
・入院日額5,000円
・120日型

メディカル・ベネフィット 2,025円
メディカル・ベネフィットリターン(65歳時還付) 4,610円

この2つを比較してみると、保険料が倍以上違う。

そもそもメディカル・ベネフィット自体の保険料が他社に比べ少々割高であるのに、更に「リターン」になると約2.3倍の保険料となる。

もちろん、

「『後から戻ってくる』のであれば、割高でも良い。」

という方もいるだろう。

しかし、冒頭でもお話したように、この保険は「戻ってきた後」も続いていくし、その保険料は掛け捨てなので、戻ってくることはない。

つまり、この「割高保険料」が一生涯続く。ということ。

リターンは、「ある年齢」になると、それまで支払った保険料が全額戻ってくる仕組みで、その「ある年齢」は加入時に自分で決めるのだが、加入する人の年齢によっても選択肢が異なる。

下記のように設定されており、若いうちに加入すると、最短では「50歳」から選べるが、年齢が上がるにつれ、選択肢は狭まる。

3歳~30歳(3歳~19歳)… 50、55、60、65、70、75、80歳から選択可能
31歳~35歳(20歳~26歳)… 55、60、65、70、75、80歳から選択可能
36歳~40歳(27歳~40歳)… 60、65、70、75、80歳から選択可能
41歳~45歳(41歳~45歳)… 65、70、75、80歳から選択可能
46歳~50歳(46歳~50歳)… 70、75、80歳から選択可能
51歳~53歳(51歳~55歳)… 75、80歳から選択可能
54歳~56歳(56歳~59歳)… 80歳から選択可能




ここでは、ひとまず「30歳で加入、65歳で戻ってくる。」という例で説明したい。

上記の表は、リターンに加入した場合の65歳時点での収支(プラスマイナス)を表したもの。

65歳でそれまで支払った保険料の「全額」が戻ってくるので、165万9,600円支払って、その全てが還付される。

つまり、プラスマイナスゼロということになる。

それに対して、保険料が戻ってこない「通常版」のメディカル・ベネフィットは65歳までに72万9,000円を支払っている。これは完全な掛け捨てなので、戻ってこない。

これだけを見ると、

「リターンはタダでここまで保険に加入出来ている」

「通常版は約73万円を掛け捨てしている」

しかし、前述の通り、割高保険料がその後も続くため、時間の経過に伴い収支は以下のようになる。

仮に75歳で亡くなるとすると、通常タイプは約97万円のマイナス。リターンタイプは55万円のマイナス。

しかし、年齢が上がるにつれ、割高保険料によってジワジワとその差が縮められ、90歳となるとどちらもほぼ同じ(133万~138万円)になる。

早く亡くなればリターンの方が得、長生きすれば変わらない、ということになるが、実際に何歳まで生きるか?そんなことは誰にも分からない。

統計上、90歳まで生きる人は男性の4人に1人、女性の2人に1人で、今後はもっと増えるだろう。

それだけの確率で「リターンでも通常版でも変わらない」という結果になるわけだし、また老後の年金生活で「割高な保険料」を負担するのも気分的に良いものではないだろう。

 

参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら

『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。




弱点2 見直しが出来ない

前項の「保険料が割高」より、こちらの方が深刻であると思う。

この保険の弱点は、

一度入ると解約出来ない

ということである。

もちろん、解約自体は契約者の自由だが、還付金を受取る前に解約をすると返戻金はグッと少なくなる。

そのため、「還付金を受取るまでは続けないと意味がない」と言える。

つまりは長期の契約に縛られるということ。

しかし、医療保険も日進月歩で進化しており、10年も経つと保障内容も変わる。

例えば最近ではどの医療保険にも付いている先進医療特約なども10年前にはほとんどなかったし、1泊からの短期入院に対応する保険も10年前は少なかった。

このように医療保険にも「流行」があるのである。

あくまで国の医療制度(社会保険)を補助するのが民間の医療保険の使命であり、財政難に喘ぐ社会保険制度は医療費削減のために、毎年色々な制度変更を行っている。

そのため、それらを補助する民間の医療保険もどんどん保障内容を変えているのである。

保険適用外の治療に対応する先進医療、入院の短期化に対応する「1泊から給付」などはその良い例である。

つまり、今加入した医療保険が10年後も「良い保険」である保障はないし、むしろほぼ「時代遅れ」になる可能性の方が高い。

20年、30年のスパンで考えれば絶対にそうなる。

しかし、この保険は一度入ったら原則見直せない。還付金まで待たないといけないからだ。

お金うんぬんの話も大事だが、あくまで保障を得るために医療保険に入るわけで、その保障内容が「古い」のでは本末転倒である。




また、還付金を受取るような年齢、例えば60歳、65歳などの高齢になると、

体の調子が悪くて見直しが出来ない

ということにもなる。

年齢的に高血圧や糖尿病など、何かしらの持病を持っている方も多いだろうから、簡単には他社に乗り換えることが出来ない。

かと言って、これから本格的に入院する機会が増える70代、80代を前にして医療保険をやめてしまうわけにもいかないだろう。

そうなると、弱点1でも述べた通り「割高な保険料を支払い続ける」ということから逃れることが出来ないのである。

言い方は悪いが、「保険料が戻ってくる」ということを餌に、

一生逃れられない保険

に加入するようなもので、その選択をあまり若いうちにするのは危険なのでは?と思う。

弱点3 オプションの保険料は「戻ってこない」

これも要注意。

医療保険にはメインとなる「主契約(入院1日あたり〇〇〇〇円受取れる)」と、オプションとなる「特約(がん特約、女性疾病など)」があるが、保険料が戻ってくるのは、あくまで「主契約部分」の保険料のみ。

オプションの「特約」は対象外なので、その点は気をつけること。




弱点4 特定疾病診断給付金特約が薄味

がん、急性心筋梗塞、脳卒中、これらの病気の時に一時金が受け取れる特約。

これを受け取る際の条件が「厳しい」

しかも、受け取れる回数が「1回のみ」

他社では、だいたい以下の条件で給付される。

がん     → 診断のみ
急性心筋梗塞 → 手術 or 入院
脳卒中    → 手術 or 入院

それが、この商品ではこうなる。

がん     → 診断のみ(他社と同じ)
急性心筋梗塞 → 60日以上の労働制限
脳卒中    → 60日以上の後遺障害

がんに関しては診断(がんです。と言われただけで)のみで、他社と同じだが、急性心筋梗塞と脳卒中に関しては、

60日以上働けない

ことが条件となる。

他社では、手術を受けるか、入院しただけで給付されるのに対して、ハードルが高いと言える。

脳卒中であれば、60日くらい働けないことは少なくないが、心筋梗塞ではなかなかないだろう。

また、回数に関しても、他社が「1年に(もしくは2年)1回を上限に何度でも」となっているのに対し、この商品では「1回」のみ。

保障内容としては比較にならない。

このような大きな病気は1回目より、2回目の方が深刻なことが多い。

2回目以降、何もフォローがないのは心配。

「薄味」である分、特約の保険料は安いが、安かろう悪かろう。という印象。




弱点5 先進医療特約が5年更新

保険の効かない先進医療を受けた際、その実費を負担してくれるのが「先進医療特約」

この商品にも、その特約が用意されてはいるが、特約の保険料が「5年更新」となっている。

他社では「終身型(一度入れば保険料が変わらない)」もしくは「10年更新」が多い。

5年更新ということは、

頻繁に保険料が上がる

ということ。

契約者からすれば、ありがたい話ではない。

詳しくは、『先進医療特約は「終身型」を選びなさい!!』を参照のこと




弱点6 保険料控除が複雑

この商品だけに限ったことではないが「還付型」の医療保険は保険料控除の仕分けが面倒だ。

保険料の控除は、

・生命保険料控除
・介護医療保険料控除
・個人年金保険料控除

の3つに分かれていて、それぞれの枠で「年間8万円以上支払えば、4万円控除」というルールになっている。(合計12万円まで)

医療保険は、通常は介護医療保険料控除に分類されるのだが、「還付型」の商品では保険料の一部が

生命保険料控除になる

ことが多い。

本商品でも、

主契約(メイン部分) → 生命保険料控除

特約(オプション) → 介護医療保険料控除

となっている。

主契約の部分は、後からお金が戻ってきて貯蓄性があることと、死亡した時の死亡給付金があるため

単純な医療保険(掛け捨てで、入院時だけの保障を指す)ではない

と判断されたのだろう。

なお、これらの分類は、保険会社が商品の認可を金融庁から受けるときに、保険会社、金融庁、国税庁の3者がの議論をして決まる。

保険会社としては、なるべく「介護医療枠」で通したい。

その理由は2つ。

1つ目は、その方が分かりやすいということ。

2つ目は、生命保険料控除は既に一杯になっているが、逆に介護医療はスカスカの人が多いから。

先にも述べた通り、各控除枠は「年間8万円以上支払えば4万円控除」なので、8万円以上支払っても4万円の控除は変わらない。

生命保険はだいいたいの人が「年間8万円以上」支払っているので、そこにこの商品の保険料が上乗せされても、控除的には何の意味もないのである。

一方、介護医療に関しては「年間8万円以上(月に約7,000円)」も医療保険に払う人は少ないので、枠が空いている。

この商品を始め、還付系の医療保険はどれも保険料が高いので、出来ればそれで介護医療枠を埋められれば、税金的にも還付が増え契約者にとってメリットが大きい。

そのため、保険会社としては介護医療枠に押し込みたいのだが、金融庁と国税庁のスタンスとしては、

「介護医療保険料控除の対象は、単純な医療保険。基本掛け捨てであり、死亡保障がないもの」

と定義しているため、

「うーん、これ(この商品)後で保険料戻ってくるんでしょ?しかも死亡した時の給付金もあるし、医療保険って感じじゃないよね?」

となるわけだ。

こんなやり取りがあって、本商品の場合、

主契約(メイン部分) → 生命保険料控除

特約(オプション) → 介護医療保険料控除

という扱いになっている。

特約部分に関しては、将来戻ってくる保険料に含まず、純粋な掛け捨てなので、これに関しては介護医療枠で良いという判断なのだろう。

よくあるのが、商談時にこのあたりの説明をちゃんと聞かず(営業マンも言わず)に、年末調整の段階になって、

「あれ?介護医療枠じゃないの?生命保険料枠なんてこれ以上要らないよ!!」

となるケース。

しかし後の祭り。

こればかりはルールで決まっているので仕方ない。

この商品に加入するなら、「控除的には弱い」ということは理解しておいた方が良いだろう。

 

参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら

『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。

他社の医療保険の☆評価一覧は、コチラ

商品の構成について

主契約の内容は以下の通り。

入院日額

3,000円から20,000円まで選択可能。

日帰り入院から保障される。

入院限度日数

60日、120日、360日から選択可能。

しかし標準仕様で、三疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)の入院は「無制限」となっている。

手術給付金

手術の種類に応じて、入院日額×10・20・40のいずれかを受け取れる。

放射線治療、骨髄移植術、骨髄幹細胞採取手術の場合 入院日額×10が受け取れる。

公的医療保険制度の対象となる約1,000種類の手術をカバー

以下、特約・特則(オプション)の解説。




健康還付給付金特則

払い込んだ保険料が、ある年齢になったときに戻ってくる特則(オプション)。

あくまで戻ってくるのは主契約部分の保険料のみで特約部分の保険料は戻ってこない。

契約年齢により、健康還付給付金が受けられる年齢は、次の通り選択できる。

3歳~30歳(3歳~19歳)… 50、55、60、65、70、75、80歳
31歳~35歳(20歳~26歳)… 55、60、65、70、75、80歳
36歳~40歳(27歳~40歳)… 60、65、70、75、80歳
41歳~45歳(41歳~45歳)… 65、70、75、80歳
46歳~50歳(46歳~50歳)… 70、75、80歳
51歳~53歳(51歳~55歳)… 75、80歳
54歳~56歳(56歳~59歳)… 80歳

※()内は、女性の場合

特定疾病診断給付金特約

詳細は「メディカル・ベネフィット 特定疾病診断給付金特約」の欄を参照

入院一時給付特約

詳細は「メディカル・ベネフィット 入院一時給付特約」の欄を参照

三疾病入院給付特約

詳細は「メディカル・ベネフィット 三疾病入院給付特約」の欄を参照

先進医療特約

詳細は「メディカル・ベネフィット 先進医療特約」の欄を参照

特定疾病診断給付金特約

詳細は「メディカル・ベネフィット 特定疾病診断給付金特約」の欄を参照

女性特定手術給付特約

詳細は「メディカル・ベネフィット 女性特定手術給付特約」の欄を参照

抗がん剤治療特約

詳細は「メディカル・ベネフィット 抗がん剤治療特約」の欄を参照

比較した方がいい他社商品

還付金がついている商品は・・・

東京海上日動あんしん生命 メディカルkit R ★☆☆☆☆

メディケア生命 新メディフィットリターン ★☆☆☆☆

楽天生命 スーパー医療保険 戻るんです ★☆☆☆☆

☆評価の高い医療保険は・・・

アクサダイレクト生命 アクサダイレクトの終身医療 ★★★★☆

オリックス生命 新CURE ★★★★☆

 

参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら

『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。

他社の医療保険の☆評価一覧は、コチラ