提供会社:楽天生命
商品名:医療保険1095α
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この保険の弱点はここだ!!
参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら
『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。
それでは、この商品の弱点について解説をしていこう。
楽天生命が2019年4月より販売を開始した「医療保険1095α(アルファ)」
その名の通り、1095日までの長期保障が特徴。
通常の医療保険では「1入院あたりの上限」は60日、90日、120日などが多いが、それが1095日まで保障されるのが本商品。
その分、保険料は割高だが、保障内容が良いので仕方ない。
率直に良い商品だと思う。
この商品はある意味では「医療保険の完成形」だろう。
従来の「60日型」などでは、
「入院が60日以上になったらどうするの?(60日までしか払われないため)」
という構造的な欠陥があった。
そのため、
「短期入院であれば入っていなくても貯金で賄える。むしろ60日を超える長期入院をした時こそ保険が重要。」
という意見は昔から根強くあり、これらの課題に対して、現在では「就労不能保険」が有効とされる。
就労不能保険であれば、入院の有無に関わらず「働けない状態」であれば給付が受けられるのだが、医療保険とは「別に」加入しなくてはならず、保険料の負担がハードルとなる。
「医療保険1095α(アルファ)」であれば、「入院している」という条件付きだが、就労不能保険の機能があると言って良いだろう。
また、この商品に入っておけば、老後、
認知症などで、何年も病院に入院している
などという状況でも、1095日、つまり「3年間」も給付金を受取れるため、周りの家族にとってはありがたい。
「医療保障の本質」を突いている商品だと思う。
しかし、弱点がないわけではない。
弱点1 先進医療特約が10年更新
先進医療特約は、「保険適用外」の「先進医療」を受けた場合、その実費を負担してくれる特約で、今はどの医療保険にも標準的に含まれていることが多い。
大別すると、保険料が10年ごとに上がっていく「更新型」と、ずっと変わらない「終身型」があるが、この商品は10年更新となっている。
これはマイナス。
先進医療は現時点では請求する人が少ないが、今後は増えていくだろう。
逼迫した日本の財政では、昔のように「なんでもかんでも保険適用」にすることは許されず、必然的に「自費診療」の割合が多くなる。
その中には先進医療を含まれるので、これからはそれらの請求が増え、保険会社の負担も重くなる。
保険会社の立場としては、今後に備えて「柔軟に保険料を見直せる」、要は値上げ出来るよう「更新型」の方がリスクがないが、反面、契約者としては「保険料が変わらない」終身型の方が良い。
なお、余談だが、既にオリックス生命などは「先進医療特約の保険料改革」に手を付けており、以前より倍以上高くなっている。
とは言え現時点では、どこの保険会社も先進医療特約を毎月100円前後で提供しているが、今後数年でオリックス生命同様「値上がり」するだろう。
「更新型」、「終身型」どちらで先進医療特約を提供するかはそれぞれの保険会社のポリシー。
あくまで一例だが、オリックス生命、あいおい生命、ひまわり生命、などは終身型である。
この点、本商品は劣っている。
先進医療特約についての詳細は以下の記事をご参照いただきたい。
『先進医療特約は「終身型」を選びなさい!!』
弱点2 入院しないと貰えない
当たり前の話だが、この商品は「入院しないと」給付金を受け取れない。
自宅療養などには対応していないので、「入院するほどではないが、働けない」という状態では役に立たない。
この点、「働けない」専用の就労不能保険であれば、入院の有無に関係なく給付されるので、保障内容としては就労不能保険に軍配が上がる。
弱点3 上皮内新生物の支給回数が1回限り
これは些細な弱点だが、上皮内新生物(がんとは区別される)の診断給付金が1回限りとなっている。
他社では「複数回OK、もしくは無制限」というところが多い。
とは言え、上皮内新生物は、あくまで軽度なもので基本的には「切れば治る」
入院日数もおおむね短いし、そのため治療費はそれほどかからない。
何度もなる人も少ないので、「1回だけ」でも十分だと思うが、他社が「何度も払う」と言っているので弱点とさせて頂いた。
弱点4 退院・通院特約を「必ず」付けないといけない
読者の保険素人さんからのご指摘(ありがとうございます!!)
筆者が約款を読んでも気づかなったが、本商品、主契約には「必ず」退院・通院特約を付けないといけない。
最低日額は1,500円以上。
保険料にすれば200円前後(年齢、性別にもよるが)かと思われるが、それでも「必須」というのは少々解せない。
通院の保障なんて必要ない、と思っている人にとっては余計な保険料を負担することになり、そもそも本商品はベース部分の保険料が高いのだから、更にその負担が増すことになる。
1095日保障という他社ではなかなか見かけない骨太な保障なのだから、こんな余計なところで小銭を取らなくても良いのに・・・とは思ってしまう。
参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら
『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。
他社の医療保険の☆評価一覧は、コチラ
商品の構成について
保険期間
終身と10年(95歳まで自動更新)の2種類
入院日額
3,000円~20,000円の範囲で選択可能
入院限度日数
1入院あたりの限度日数は1095日までOK。通算(合計)も1,095日まで保障される。
手術給付金
手術給付金のタイプは2つより選択可能
Ⅰ型
①約款所定の手術を受けたとき
入院日額の10・20・40倍(手術の種類に応じて)
②公的医療保険制度の対象の手術(①の手術をのぞく)を受けたとき
入院中の手術 … 入院日額の5倍
①の「約款所定」というのは、楽天生命が定義したもの。②は公的医療なので、基本的に3割負担の保険が使える手術は対象ということ。
Ⅱ型
①約款所定の手術を受けたとき
入院日額の10・20・40倍(手術の種類に応じて)
②公的医療保険制度の対象の手術(①の手術をのぞく)を受けたとき
入院中・外来中の手術 … 入院日額の10倍
少々マニアックな話になるが、手術Ⅱ型では、他社では手術給付金の対象外とならない以下の手術も給付の対象となっている。
傷の処理(創傷処理、デブリードマン)
切開術(皮膚、鼓膜)
骨または関節の非観血的整復術・非観血的整復固定術・非観血的授動術
抜歯、異物除去(外耳、鼻腔内)
鼻焼灼術(鼻粘膜、下甲介粘膜)
魚の目・タコ切除術(鶏眼、胼胝切除術)
以上の手術が日額の10倍。(日額5,000円であれば5万円)
しかし、これらは「入院中」もしくは「入院の原因に関係する手術」でないとダメ。
手術と言うより「処置」のようなもので、これを原因として入院する可能性は低い。
そのため、「給付金を受取れない」というケースも多いだろうが、保険のプロである筆者としては他社が「払わない。」と言っているものを、条件付きでも払おうとする態度は立派だと感じる。
とは言え、これを決め手として保険加入をする人もいないだろうから、些細な話ではあるが・・・・
以下、特約について説明する。種類は、5つ
付けるべき特約!!(先進医療)
先進医療特約2018
保険適用外の先進医療を受けた際、その実費を2,000万円まで保障。
楽天生命の場合、申込時点では、この先進医療特約2018を「必ず」加入しなくてはいけない。
しかし、契約開始後になると特約のみ外すことも可能。
現時点では、年齢を問わず特約保険料は、50円とのこと。
しかし、この特約は「10年更新」である。弱点1で述べた通り、更新型よりは終身型がお勧め。
先進医療特約についての詳細は以下の記事をご参照いただきたい。
先進医療特約「単独」として見ると、さほど良い内容ではないが、本商品に入るのであれば付けておいた方が良いだろう。
付けても良いかも?な特約(がん、7大疾病、払込免除)
がん特約Ⅱ
がん(悪性新生物・上皮内心生物)と「診断」されたときに一時金が受け取れる。
給付金額は、50万円~200万円(10万円単位)から選択可能。
ただし、悪性新生物と上皮内新生物で、支払回数が異なる。
悪性新生物は、「1年に1回」を限度に「通算6回」まで。
上皮内新生物は、初回のみの「1回限り」となっている。
なお、同じ楽天生命から販売されている「スーパー医療保険」の「がん特約」では、上皮内新生物について「がん一時金の50%」となっていた。
がん診断一時金が100万円であれば、上皮内新生物の場合、50%の50万円しか受け取れないということ。
しかし、本商品ではそれが「同額」になっており、以前より良くなっている。それががん特約「Ⅱ」の由来だろう。
上皮内新生物については「支払いは1回限り」となっている。詳細は弱点3参照。
がん特約(一時金)についての考察は以下、コラム参照のこと。
7大疾病特約
急性心筋梗塞、脳卒中、心疾患、脳血管疾患、糖尿病、高血圧性疾患、肝疾患、腎疾患、すい疾患で入院したときに一時金が受け取れる。
しかし病気によって受け取れる金額が違う。
急性心筋梗塞、脳卒中であれば給付金額の100%。
つまり一時金を100万円に設定していれば「100万円」ということになる。
この2つ以外の病気の場合、「給付金額の20%」となる。
先の例で言えば20万円。
支払限度は「1年に1回」「通算6回まで」となっている。
給付金額は、50万円~200万円(10万円単位)から選択可能
3大疾病保険料払込免除
以下の条件に当てはまった場合、以後の保険料の支払いが免除される。
・がん(悪性新生物):診断
・急性心筋梗塞・脳卒中:入院
他社に比べて、可もなく不可もなく。と言うところ。
特約の保険料もほぼ他社なみ。
筆者の個人的な見解では医療保険の保険料そのものがそれほど高額ではないので、わざわざ別途保険料を支払ってまで「払込免除」をつける必要はないと思っているが、このあたりは個人の感覚だろう。
詳細は、「医療保険の払込免除は必要か?」をご参照頂きたい。
付ける必要なし!!な特約(退院・通院)
退院・通院特約
受け取れる給付金は、2種類
通院給付金
退院日の翌日から120日以内の期間に通院(入院の原因となった病気・ケガの治療を目的として)したときに、通院給付金が受け取れる。
通院給付金日額は、1,500円~10,000円から選択可能だが、契約している「入院金日額の60%」まで、というルール。
入院日額が5,000円であれば、3,000円まで、ということになる。
退院給付金
5日以上入院し、退院したときに退院給付金が受け取れる。
退院給付金は、1回の入院の退院につき、通院給付金日額の10倍または20倍を選択可能
通院給付金日額3,000円であれば、10倍で3万円、20倍で6万円が受け取れる。
次の入院は1回の入院とみなす。
・同一の不慮の事故による2回以上の入院
・同一の病気による2回以上の入院(退院日の翌日から180日経過している場合、新たな入院とみなす。)
特約の保険料(オプション料)も結構高いので、このオプションを付ける経済的な合理性はない。
詳細は以下のコラムを参照して頂きたい。
参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら
『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。
他社の医療保険の☆評価一覧は、コチラ
編集履歴
2021/5/24
弱点4 180日ルール、弱点5「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術 2年間対象外」を削除。弱点4については約款読み違え。弱点5は多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術が先進医療から除外されたことにより、そもそも先進医療特約の対象とならなくなったことで、「2年間対象外」も意味がなくなった。