この保険の弱点はここだ!マニュライフ生命「パワーカレンシーシリーズ」

提供会社:マニュライフ生命

商品名:パワーカレンシー
目標設定プラン/介護保障タイプ/据置プラン/確定・終身年金タイプ/

この保険の弱点はここだ!!

本稿を始める前に、今回、一時払系の保険を初めて検討するという方は、以下の総論をご参照頂きたい。

ドル?株?介護を付けた方が良い? 一時払保険の賢い選び方総論

さて、本商品。

マニュライフの商品群の中では息が長い商品。

内容はシンプルで、一時金を支払い、それを外貨(米ドル or 豪ドル)で運用するというもの。

運用の裏側の仕組みとしては、米国債やオーストラリア国債を買っているようなもので、そこにマニュライフが「保険チックなサービス」を付けて販売している。

加入時の利率が固定されるため、昨今のコロナ禍では米国もオーストラリアも、それぞれの国債の利回りが低下しており(一時的に金利を下げていた)、そのため、それらの国債を使う本商品も0.5%とか、「酷い」利回りとなっていた。

為替リスクもあるのに、0.5%程度で大きな現金を預ける人も少なく、マニュライフの関係者によると「ほとんど売れていない」らしいが、それでも最近は米国での利上げが響き、ようやく1.5%程度まで利率が戻ってきている。

それもあってか「ボチボチ売れ始めてきた」とのこと。

目標設定プラン、終身年金プラン、介護保障(据置)プラン色、介護保障(即時支払)プランなど色々な「プラン」があるが、預けたお金の「受け取り方の違い」だと思えば良い。

・目標設定プラン(確定年金)
加入時に預けたお金が「何%増えたら終了するか(目標設定:ターゲットとも言う)」を決め、その目標をクリアするまで運用を継続。
目標をクリアした場合、その瞬間にドルは円に戻され、そのまま積立金として据置(マニュライフ側が持つ)、年金開始日から5年確定の年金として受け取れる。
目標をクリアしなかった場合には、年金開始日時点での原資を、同じく5年確定年金。

ターゲット機能については、以下コラム参照。

参考コラム:ターゲット?保険金保障?外貨建一時払商品に「よくある」特約を解説!!

・終身年金プラン
 預けたお金を2か月後から年金形式で受け取れる。年金は一生涯(生きてる限りずっと)続く。
マニュライフが年金を支払いながら、その残金を運用している。

・介護保障タイプ(据置プラン)
要介護2以上で、年金開始。
介護にならない場合、一定の期間(10年間)を経たのち、一生涯受け取れる終身年金が開始される。

・介護保障タイプ(即時支払プラン)
既に要介護2、もしくは3に認定されている方が加入。契約2か月後から一生涯受け取れる終身年金が開始される。
マニュライフが年金を支払いながら、その残金を運用している。

以上が商品概要。

では、弱点(デメリット)の解説に移ろう。

弱点1 加入時の利率が固定されるため「入り時」が難しい

冒頭でも述べたが、本商品は加入時に利率が決まる。

これ、判断が難しい。

当然高い方が良いのだが、マーケットの金利(具体的にはアメリカ国債の利回り)がすぐに商品の利率に反映されるわけでもなく、多少のタイムラグがあったり、もしくは実際の金利が上がる前に、マニュライフが戦略的に「先に上げてくる」可能性もある。

また、利率が上がるのを待っている間に、為替が変動し、1ドル120円、125円などに上がってしまえば「そもそも高いドルを買う」羽目になる。

一応、「経済の原則」を解説しておくと、金利が上がればドルが上がる。(1ドル110円から120円など)

マイナス金利の日本円より、それをドルに換えて高金利のドルで運用した方が良い、と考える投資家が「ドルを買う」ためで、競りと同じで、欲しい人が増えれば、その対象は高くなり、そのため1ドルの価格も上昇するということ。

なお、これはあくまで「原則」であり、為替はその他の様々な原因で動くので、必ずしもこの通りに動くわけではないものの「原則」は一応は抑えておきたい。

と言うことで、金利が上がるのを待つか?為替が安い時にぶっこむか?このあたりは判断が難しい。

ちなみに筆者自身の個人的な考えでは「やるならもうちょい待てば」という感じ。本稿を書いている2022年2月17日時点の利率は以下の通り。

・目標設定プラン(確定年金) 米ドル1.2% 豪ドル1.25%

・終身年金プラン 米ドル1.5%、豪ドル1.65%

・介護保障タイプ(据置プラン) 米ドル1.5%、豪ドル1.65%

・介護保障タイプ(即時支払プラン)米ドル1.5%、豪ドル1.65%

1年前からすれば随分上がったが、それでも1.5%前後をウロウロしている程度で、正直、物足りない。

為替リスクもあるので、本音で言えば3%は欲しいし、最悪でも2%以上は、というところだ。

なお、本商品、似たようなものは他社でも結構ある。

明治安田、ソニー生命、メットライフ、PGF、ニッセイ・ウェルスなどが著名なプレイヤーなどで、どこもこの商品と似たようなものを出しているので、是非、比較して欲しい。

ちなみに比較する場合、とりあえずは利率だけを比較しても良いが、利率と利回りは違う。

同じ3%でも何故違う?「超」わかりやすい!!予定利率と利回りの違い!!

上記コラムでも解説しているが、利率というのは保険会社側の諸々の手数料が「上乗せ」されて計算されたものなので、原則的には

利率 > 利回り

となり、利率が1.5%の場合、利回りは1.2%とか1.1%程度に低下する。

また、同じ1.5%でも保険会社によって利回りも変わってくるので、ちゃんと比較するのであれば、詳細の設計書を入手して、比べてみた方が良い。

だが、この手の商品は銀行の窓口で紹介されることが多く、先に挙げた保険会社の商品を「全て」扱っているような銀行は稀。

だいたい、多くても2,3社くらいで、地方の地銀などだと1社だけなどいいうところもある。

そうなると比較も出来ず、「これが一番良いです」などと嘘をつかれる。

お付き合いで入るなら、それも良いが、本当に良い商品に入りたいなら、手間暇を惜しまず、ちゃんと調べた方が良い。

また「どこの商品が一番良いですか?」と聞かれることも多いのだが、この手の商品はどこの保険会社も毎月1日と16日に、新規契約者向けの利率を変動させているので、その時々によって、A社が良い、B社がA社を抜いた、などランキングが変わる。

こちらも、その時々で自分で調べるしかないだろう。

弱点2 市場調整価格がある

まあ、これはだいたいどの商品でもあるので、弱点と言うよりは注意喚起。

一定期間以内に解約をする場合、市場調整価格という仕組みで、損をすることがある(逆に得をすることもある)

今の金利は、長い目で見れば「低い水準」であり、今後、金利は上がる可能性が高い。

少なくとも、ここ2,3年はほぼ確実に上がる。(アメリカが数度の利上げをするため)

そうなると、低い金利で契約をしている人は、解約をすると損をする。

このあたりの仕組みは、以下のコラムにまとめてあるので、ちゃんと読んで頂きたい。

市場価格調整とは?

弱点3 保険会社としての先行き不透明感

本件、書くか、書かないか迷ったが、もしマニュライフと契約をするなら知っておいた方が良かろう。そう思って加筆した。

最近、保険業界は「マニュライフは大丈夫か?」という噂でもちきりである。

別段、財務状況は悪いわけでもなく、S&Pの格付けも「A+」

ただ、「ちょっとやり過ぎたかな」というのが保険業界の評価。

同社は中小企業向けの法人保険、特に節税関係の商品が強いのだが、そこでちょっと大暴れしすぎた感がある。

ちょっと前に名義変更プランという節税商品を大量に販売しており、それが国税庁、金融庁に目を付けられ、税制改正をされた上に、結構こっぴどく怒られていたのだが、また最近でも金融庁が立ち入り検査に入った。

今度は何が出てくるか(筆者はうすうす聞いているが、ここでは断定できないので、その内容は伏せる)

単純に言えば、金融庁、国税庁に「目を付けられている」ということで、まあ、お国からの免許事業である保険会社としては、あまり好ましい状況ではないだろう。

だからと言って商品に何か影響があるわけではない。

また、仮にマニュライフが日本撤退となったところで、確実に他の保険会社に事業譲渡されるので、商品自体の保障内容が変わったり、利率が下がったりすることはない。

むしろ、このように多少落ち目(失礼な言い方だが、実感として)の保険会社の方が、目先の契約欲しさに強気の利率などを提示してくることもあるので、そうなると契約者にとってはメリットが大きい。

不祥事企業の株価が下がったところで「安値買い」をし、信用と株価が回復するのを待つ。というような戦略は株式投資でもあるので、同じような感覚で「あえてマニュライフ」というのもアリだとは思う。(現時点では、そこまで強気な利率は出していないが・・・)

ただ、契約後に「マニュライフ生命、金融庁から〇〇」みたいなニュースを見るのは、正直、あまり心臓に良いものでもなく、そういうのが嫌だ、という人は他社の商品の方が良いだろう。

とは言え、筆者自身はマニュライフを応援している。

最近の国税も金融庁も、後付けルールのようなものが多過ぎて、保険業界の現場は辟易としている者が多い。筆者もその1人。

後から言い出したルールは守りようがなく、かつ、かなり恣意的それをやるので、これでは韓国、中国と変わらないではないか?そうも思う。

結果、外資をイジメて追い出すようなことをすれば、長い目でみて日本市場の信認を傷付ける。

そのような観点からみれば、マニュライフ叩きは単に「いじめ」にしか見えない。

判官びいきではないが、是非、マニュライフには踏ん張って欲しいと思っている。

口コミ・評判(契約者から)

・なし

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保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。

比較した方が良い商品

一時金系の商品は頻繁に新規販売されたり、売り止めになったり、更にはその都度商品名が変わるので(おそらくわざと商品名を変えて、前とは違うような印象操作をしているが、だいたい中身は同じ)、当サイトではあまり分析をしていない。(キリがないので)

ただ、割とよく聞く会社は、先にも挙げた通り、

明治安田、ソニー生命、メットライフ、PGF、ニッセイ・ウェルス

あたりだろうか。

それぞれに「社名」、「ドル」、「一時払」などと検索すると、すぐに商品サイトが出てくると思うので、比較してみて欲しい。

なお、同じくマニュライフの商品で、「未来を楽しむ終身保険」というものもある。

本商品のように固定利率で運用するドル建貯蓄と、株と連動する変額をミックスさせたような商品で、多少リスクを取れるのであれば、そちらを検討してみても良いかもしれない。同社ではパワーカレンシーシリーズよりは、こちらの方が売れ筋とのこと。

マニュライフ生命 未来を楽しむ終身保険 ★★☆☆☆

編集後記

約款