提供会社:アフラック
商品名:ちゃんと応える医療保険EVER
この保険の弱点はここだ!!
参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら
『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。
それでは、この商品の弱点について解説をしていこう。
アフラックの商品について、最近、何とも分かりづらい。
従来からの
「ちゃんと応える医療保険EVER」
も2019年1月に新たな特約が追加され、マイナーチェンジされたが、それとは別に
というものもCMしている。
まずは、EVERとEVERプラスの関係性を整理したい。(プラスの話はどうでも良い、という方は、「弱点」からお読み頂きたい)
ざっくり言えば、「EVER」は医療保険単体の商品名。
「EVERプラス」は、「特約(オプション)の集合体」である。
この話は相当ややこしい。
まずは、医療保険の特約について説明する。
例えば、医療保険Aという商品があり、そこにB、C、D、E、Fという特約がある。
特約はあくまで「オプション」なので、医療保険Aにしか付けることが出来ない。
医療保険Aの販売数が落ち込むと、保険会社はマーケティングの一環として、商品名を変える。
医療保険スーパーAのように、さして意味もなく看板を変えて、新しさを出そうとするのである。
ここで、過去の特約で売れ行きの悪かったものが整理される。
B、D、Fが残り、そして新たにG、Hという特約が追加されたとしよう。
しかし、ここで問題が発生する。
例えば、以前の商品、医療保険Aに加入していた人が、新商品の特約であるGに魅力を感じて、それを「付けたい。」と希望しても、それは無理なのである。
あくまで、Gは新商品 医療保険スーパーAの特約なので、
「それを付けたいなら、医療保険もスーパーAに切り替えてください。」
となる。
年齢が上がっている以上、当然、ベースの医療保険の保険料も高くなる。
逆にスーパーAの契約者は、以前のAにあった特約を付けることが出来ない。
同じ保険会社なのに、何とも融通が利かないが、そういうもの、としてまかり通ってきた。
中には2,3年おきに「新商品」を販売している会社もある。
業界の悪しき習慣とも言えるのだが、それを是正したのが「EVERプラス」
実際には「EVERプラス」という商品があるわけではなく、過去から現在までの「特約の集団」を作り、今までにアフラックの医療保険に加入したお客様すべてに
アフラックで用意している特約の中から自由に選べる
という形に変えたのである。
アフラックにお入り頂ければ、今後も常に最新の特約をご用意していきます!!
という決意表明のようなものだと思えば良い。
これで、新商品が出る度に、過去の商品の契約者が置いてけぼりになることがない。
昔入った安い医療保険をベースにして、「追加したり」、「削減したり」することが出来る。
なかなか素晴らしい取り組みで、是非、他社にも広がって欲しいと思う。
流石は医療保険の雄と言ったところだろう。
とは言え、その特約自体が弱い、という弱点がないわけではないのだが・・・
詳細については以下の解説ページを読んで頂きたい。
『この保険の弱点はここだ!アフラック「医療保険EVERプラス」』
さて、前置きが長くなった。
本題の「ちゃんと応える医療保険EVER」2019年1月21日以降版を解説していこう。
その商品構成は、新しい特約が4つ増えただけで、それ以外は以前と何ら変わっていない。
全体的に「そつなく出来ている。」という印象で、保険料もリーズナブルに抑えている。
しかし「一番安いか?」と言われると、そこまでではない。
男女、どの年代でも「5本の指に入る」ことを目指して商品を設計しているようで、他社より数十円、数百円高くても
「圧倒的な知名度」
で選ばれると思っているのだろう。
なお、新たに加わった4つの特約だが、筆者の評価は少々手厳しい。弱点3で述べる。
本商品について、筆者が思う弱点は以下の3つ。
1 先進医療特約の保険料が「終身」ではなく、「10年更新」
2 三大疾病一時金の支払いが「2年に一度」
3 新しい特約はどれも薄味なわりに保険料割高。特に就労所得保障一時金特約は高すぎる。
1,2については従来から変わらない「弱点」で、引き続き改正されていない。
それぞれ詳しく解説していこう。
参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら
『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。
弱点1 先進医療特約の保険料が「終身」ではなく、「10年更新」
まずは先進医療特約だが、この特約は
「保険が適用されない先進医療」
を受けた際に、その実費を負担してくれるというもの。
その特約料は「30歳 男性 終身払」の場合で100円前後で、おおよそ他社も同程度。
どこの会社でもだいたい100円程度の特約なのだが、同じ100円でも、
・10年更新タイプ
・終身タイプ
の2つがある。
前者は10年毎に保険料が見直され、基本的には将来「上がる」
後者は一度加入してしまえば、その後もずっと変わらない。
アフラックは10年更新タイプということになる。
で、筆者の考えでは、絶対に「終身タイプ」が良い。
何故ならば、
今後、先進医療特約は値上がりする可能性が高いからである。
現時点の話で言えば、実際に先進医療を受けている方はごく少数で、そのため保険会社にもほとんど支払い実績がない。
そのため、我々の業界では、この特約の保険料について、
「100円でも高い」
と言われているのだが、これから10年先、20年先を考えると逆にこの保険料では提供できなくなる。という意見が多い。
そうなると先進医療特約の保険料が500円とか800円になる時代が来るかもしれないので、今からずっと100円で入れるなら、その方が良いだろう。
このあたりの細かい事情は以下の記事にまとめてあるので、宜しければご参照いただきたい。
何故にアフラックがこんな分かりやすい「弱点」を放置しているのか分からないが、恐らくは契約件数がとても多いので、もし先進医療の請求が本格的に増えればそのインパクトは大きい。
他社にならって「終身タイプ」にしたいが、怖くて出来ない。というのが本音かもしれない。
参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら
『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。
弱点2 三大疾病一時金の支払いが「2年に一度」
次に2の三大疾病一時金の支払いが「2年に一度」であること。
アフラックの三大疾病一時金は、がん、急性心筋梗塞、脳卒中が対象で、
がん 「診断(がんです。と言われただけで)」
急性心筋梗塞と脳卒中 「手術」 or 「20日以上の入院」
をした時に受取れる。
この支払条件はおおよそ他社なみと言える。
これらが発生した時に「2年に1回」まで受取れるのだが、これは他社では「1年に1回」というところが増えている。
心筋梗塞と脳卒中に関しては、そう頻発することはないが、がんは転移や再発が1年以内に発生する可能性もあるため「2年に1回」よりは「1年に1回」の方が安心である。
それと、この三大疾病一時金の特約保険料がアフラックはやや高いような印象を受ける。
性別、年齢によっては条件が良い「1年に1回」の他社の方が安い場合もあるので、やはり「弱点」と言えるだろう。
弱点3 新しい特約はどれも薄味なわりに保険料割高。
特に就労所得保障一時金特約は高すぎる。
今回、新たに加わった4つの特約。
1 介護一時金特約(詳細の説明はコチラ)
2 認知症介護一時金特約(詳細の説明はコチラ)
3 就労所得保障一時金特約(詳細の説明はコチラ)
4 精神疾患保障一時金特約(詳細の説明はコチラ)
どの特約も「一時金」系のもので、一回こっきりの給付となっている。
新しい特約全てに共通することだが、イマイチ狙っているところが分からない。
がん診断などであれば「一時金」がはまりやすいが、介護、認知症、就労不能、精神疾患はどれも長丁場になりやすく、継続した給付が求められる。
それらを「一時金」でカバーするという発想なのだろうが、筆者はちょっと無理があるような気がする。
給付の条件については、各項目の詳細の部分をお読み頂きたいが、ほぼ「他社なみ」という感じ。
また、1回だけの給付にしては保険料はやや高く感じる。
精神疾患だけは、アフラックのオリジナル色が強いが、介護、認知症、就労不能などの特約は他社で先行しているものがある。
後発にしては内容、保険料ともにひねりがないような気が。
特に「就労所得保障一時金特約」は、給付が1回のわりに保険料が
相当高い
例を挙げて見てみよう。
例 特約給付金額:100万円
60歳満期の場合の保険料
30歳 男性 1,330円
30歳 女性 1,950円
単純計算で、30歳から60歳までに、トータルで
男性 47万8,800円
女性 70万2,000円
を支払うことになる。
就労不能状態になった時に100万円を受け取れるのだが、その条件は以下の通りで、かなり重い状態だ。
下記の就労困難状態が60日継続したと医師に診断されたとき。
病気やケガなどにより「入院」または「在宅療養(a,b,cのいずれか)」
a:医師による治療が継続しており、かつ日本国内にある自宅など(障害者支援施設などを含みます)で、医師の医学管理下において計画的な治療に専念し、自宅などからの外出が困難な状態
b:所定の特定障害状態に該当した状態
※特定障害状態とは、国民年金法で定める障害等級1級または2級に相当する状態としてアフラックが定めた状態を言う。
c:国民年金法で定める障害等級1級または2級に認定された状態
これだけ重い状態で、更に100万円を一回だけ。
それなのにトータルで男性、48万円、女性 70万円も支払わないといけないとなると、何ともバランスの悪い特約に感じる。
正直、「保険料が間違っているのではないか?」と思い、何度も見直してしまった。
これだったら自分で貯めておいた方が良いだろう。
ちなみにライフネット生命の就業不能保険「働く人の保険2」であれば、就業不能時、毎月10万円受け取れるプランで
30歳 男性 1,451円(注1)
30歳 女性 1,491円(注1)
と、本特約の保険料と変わらないか、女性であれば安いくらい。
注1、2:支払対象外期間 180日、ハーフタイプB型、60歳まで支給を選択した場合。
同じコストをかけるなら、ちゃんとした就労不能保険に入った方が良い。
医療技術の発展で、昔なら死んでいるが「治療を続ければ生きていられる」という状態、つまり就労不能が増えている。
100万円程度の一時金でどうにかなるものでもないので、小手先でごまかさない方が良い。
弱点4 退院後180日以内に開始した入院は、「一回の入院」とみなす
例えば、こんな例。
肺炎で30日入院し、退院後、今度は胃潰瘍で40日入院。
他社の通常の医療保険であれば、この2つはそれぞれ別の入院としてカウントするのだが、本商品では「1回の入院」として扱う。
注:病気と病気の場合に同一とする。病気とケガであれば別カウントとなる。
つまり、30+40で70日の入院ということ。
ここでネックとなるのが、支払限度日数の存在。
医療保険には支払限度日数というものがあり、1回の入院で支払われる日数に上限が設けられている。
本商品の場合は60日か120日かを選ぶのだが、例えば60日としていた場合、肺炎で30日を使ってしまっているので、残りは30日しかない(60日-30日)
そのため、胃潰瘍の40日分は入院開始から30日分しか給付されず、オーバーした10日分は対象外となる。
実際には、これに当てはまるケースは少ないが、「他社では支払う」のにアフラックでは支払わない。という点については明確な弱点(デメリット)と言える。
注:通常の医療保険でも「同じ病気(例えば、肺炎のあと再び肺炎など)」での180日以内の再入院、などでは前回の入院から「継続」したものとして見なす。
上記は「違う病気なのに」同一の入院期間に含まれてしまうため、弱点としている。
参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら
『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。
他社の医療保険の☆評価一覧は、コチラ
商品の構成について
選択肢は以下の
入院日額
ネットでは5,000円か10,000円を選択する形になっているが、代理店に行けばより詳細(7,000円など)の設定が可能。
「入院した時は絶対に個室が良い」
などの要望がなければ、筆者は5,000円で十分だと思うが、月々の負担が苦でなれば1万円の方が安心。
特に個人事業主などの「休業が収入に直結する」方は、多い方が良いだろう。
また、日帰り入院から入院5日目まで一律5日分が受け取れる。
保険料は、「30歳男性 日額5,000円 60日型 終身払」で、1,425円
一律5日分まとめて受け取れるタイプの商品の中では、保険料水準は安いといえるだろう。
入院給付金支払限度
一回の入院あたりの限度を「60日」とするか、「120日」とするかを選ぶ。
参考として「30歳 男性 入院日額 5,000円 終身払」で計算をすると、60日から120日にすることで、+165円程度違う。
どちらが良いかは難しい。
正直なところ、筆者の長い保険屋人生でも60日を超えた入院を経験したお客様はたった1人。
その方は結核だったが、3ヶ月ほど隔離病棟に入院されていた。
その他で「入院が長い」と言えば、手術が出来ないがん(白血病や転移など、注:物理的に「切れる(手術)」のがんの場合、入院はそれほど長くはならない)、脳の病気、あとは事故などによる複雑骨折や頚椎損傷などだろうか。
このような長期入院は「ない話でもない」ので、「+165円が惜しくない。」ということなら、付けておいても良いと思う。
なお、詳しくは後述するが、「三大疾病無制限長期入院特約」というものもある。
これは「がん」、「急性心筋梗塞」、「脳卒中」で入院した時は入院日数が無制限になる。更には怪我、病気で入院した時も1入院の限度額が365日まで伸びるという特約で、先ほどと同じく「30歳 男性 終身払 60日型」の場合+80円と激安。
がん、急性心筋梗塞、脳卒中が「無制限」で、その他の病気や怪我も365日まで保障してくれるなら、圧倒的にこちらの方が内容も良いし、しかも保険料も80円と120日型の165円に比べ随分と安い。
しかし、こちらは「10年更新」である。
つまり、10年後には値段が上がる。
参考までに今現在の値段を調べると
30歳 +80円
40歳 +150円
50歳 +310円
60歳 +680円
70歳 +1590円
となっている。(あくまで現在の保険料。将来はもっと上がるかもしれない)
つまり年齢が上がれば上がるほど高くなるので、歳をとると120日型の165円より随分と負担は重くなる。
一瞬「安い!!」と思わせておきながら、後から更新でジワジワと保険料を上げていくスタイルで、なかなか上手く出来ている。
とは言え内容は「三大疾病無制限」の方が良いので、筆者であれば中途半端な120日型よりは、三大疾病無制限の方が良いかな。という気がする。
手術給付金
手術の種類に応じて、下記の給付金が受け取れる。
重大手術(開頭・開胸・開腹手術等) 日額の40倍
入院手術 日額の10倍
外来手術 日額の5倍
放射線治療 日額の10倍
アフラックの場合、重大手術の場合、日額の40倍となっており、他社でも同等の範囲である。しかし、それ以外に関しては、入院中の手術は、すべて日額の10倍となっており、他社では、40倍と10倍の間に、20倍に該当する手術の範囲を設けている。
高額療養費制度により、手術の種類の違いから、余計にお金がかかってくるわけではないが、該当する場合多く貰えるのであれば、他社のほうがいいとも言える。
通院特約
「30歳 男性 入院日額 5,000円 終身払」のケースで言えば、通院をつけると月々+450円となる。
結論から言ってしまうが、筆者はこれは「いらない」と思う。
ホームページやパンフレットを見ると少々分かりづらいが、この通院は「何でもかんでもOK」ではない。
あくまで「入院」が前提で、その入院の前後の通院が支払い対象となる。
だから「風邪をひいたので病院に行った」とか「花粉症で耳鼻科に」というような場合はお金はもらえない。
なお、受取れる金額は入院日額(入院した場合、1日に受取れる金額)と同額なので、5,000円プランであれば、通院1回につき5,000円ということになる。
毎月450円ということは年間5,400円、10年で5.4万円、30年で16.2万円である。
つまり、30年間で33回「以上」通院しないと元が取れない計算となる。
うーん、どうだろうか?
もちろん前述の風邪や花粉症など「入院が関係ない通院」なら、30年で33回どころではなくもっと病院に行くだろうが、あくまで「入院の前後」だけに限ると、33回という数字は現実感がない。
また、しょせんは1回あたり5,000円程度なので、貰えれば嬉しいかもしれないが別になくても大きな影響はない。
「450円くらいなら」
と思っても、チリも積もれば山になるので、べつに付けなくても良いのでは?と感じる。
参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら
『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。
保険料払方タイプ 定額(終身払) or 60歳半額 or 60歳払済
「定額」は一般的に「終身払」と言われるもので、保険料が一生涯続く。
保険料は変わらないが80歳でも、90歳でも生きてる限り保険料を払わなくてはいけない。
「60歳半額」はアフラック独自のもので、他社ではあまり見かけないが、60歳以降はそれまでの「半額」の保険料が一生涯続くというもの。
「60歳払済」は、その名の通り60歳までに払い終わるプランで、つまり以後の保険料は発生しない。月々支払いをしなくても、保障は続くので、70歳、80歳で入院すれば、しっかりお金を受取れる。
なお、これらは代理店でより細かいカスタマイズが可能で、65歳払済や、65歳半額などを選択することも可能である。
ここでは「30歳 男性 入院日額 5,000円」で比較してみよう。
あくまで保険料の比較が目的なので、余計な特約(オプション)は一切つけていない。(入院日額 5,000円、60日型、通院なし、払込免除なし)
各々の保険料は、
定額 1,425円
60歳半額 1,630円
60歳払済 2,465円
こうなっている。
一生涯保険料を支払い続ける定額が最も安く、60歳で払い切ってしまう払済が一番高い。
これらの詳細を分析する前に、そもそも「終身払」と「払済」はどちらが良いのか?という点を解説したい。
筆者の考えととしても、定額の方が良いと思っている。
その理由は、
医療保険はあくまで国の医療制度を補完するもので、国の制度が変われれば民間の医療保険も変わる
ということ。
実際、今から15年前の医療保険は「短期入院」なんてほとんど眼中になく、なかには「入院5日目以降」でないと支払い対象でない。なんていう商品がゴロゴロあった。
更には先進医療特約なんてその考え方自体もなかったが、今は短期入院ばかりなので「初日から」が当たり前だし、先進医療も基本的に含まれている。
つまり、今加入してもその保険が将来に渡って「良い保障」である可能性は低く、どこかで見直しをする必要がある。
見直すことを前提にするのであれば安い方が良い。
高い保険料を負担して「払済」にしても、そこまでは続けないのだから。
そのため保険会社の契約件数の内訳を見ると、どこの会社でも終身払が7割を占めている。
ただ、それでも「払済」を選ぶ人がいる。
やはり老後にまで月々の支払いが続くことに不安を覚え、現役中に払いきってしまった方が良い。と考えるのだろう。
但し、これもあながち間違いでもない。
それは「見直しできない可能性もある」からである。
例えば、がんや脳卒中などの大きい病気を一度やってしまうと、基本的には他社の医療保険に入ることは難しくなる。
そうなると、入っている医療保険を続けざるを得ない。
仮にこのような状況になるのであれば、「老後に支払いがなくなる」払済タイプも良い選択肢になる。
さて、本題に戻る。
アフラックの場合、3つの支払い方法があるが、これを
「60歳まで払う」
「70歳まで払う」
「85歳(平均寿命)まで払う」
という3つのケースで「トータルで支払う保険料」を比較してみた。

このように比較すると60歳までのトータルの保険料は当然ながら「定額(終身払)」が安い。
70歳まで、では定額と「60歳半額」がほぼ同じ。
おおよその平均寿命である85歳までとなると「60歳半額プラン」が一番安い計算になる。
こう見ると、「60歳半額」も非常に良い気がする。
定額との保険料の差もあまりないし、仮に将来大きい病気にかかり、「この保険を一生続ける。」という状態になっても、トータルの支払いは「60歳払済」より少ない可能性が高い。
どっちに転んでも大丈夫なので、筆者としては基本的に安い「定額」で良いと思っているが、アフラックの場合に限っては「60歳半額」を良いかもしれない。
三大疾病保険料払込免除特約
がん 診断(「がんです」と言われた)
急性心筋梗塞、脳卒中 手術 or 20日以上の入院
の時に、以後の保険料が免除される。
アフラックの場合は上記のような条件だが、他社では急性心筋梗塞や脳卒中に関して「30日以上」とか「60日以上」の労働制限を条件に挙げるところもある。
つまり、30日間(もしくは60日間)働けない。ということ。
これは結構重い状態なので、なかなか当てはまらない。
その点、アフラックの場合は「手術」か「入院20日」なので、条件は緩い。つまり免除されやすい。
そして次に特約保険料だが、これは保険料全体に12~16%程度が「上乗せされる」。
例えば、この特約を除いた保険料が2000円であれば、この特約を付けることでおおよそ+300円程度の特約保険料がかかり、2,300円となる。
これは内容と比較して安い印象を受ける。「手術」だけで免除される場合、他社であれば+20%くらい割増されてもおかしくない。
つまり内容も保険料も良いのだが、それでも、
「いらない」
と思う。
詳しくは、
という記事にまとめたが、毎月数千円の保険料が免除になったところで、別段インパクトはない。
たかだ数百円の話ではあるが、「保険は本当に困った時のため」と思うなら、別にいらないものをつける必要もないだろう。
総合先進医療特約
「弱点」でも述べた通り、アフラックの先進医療特約は「10年更新」なので、他の会社で保険料が変わらない「終身タイプ」を選択した方が良い。
女性疾病入院特約
女性特有の病気で入院した場合に、主契約に上乗せして、1日につき5,000円が受け取れる。
30歳女性 日額5,000円で+275円
他社の場合、女性特有の病気の他、すべてのがんも保障される場合が多い。
そのため保険料は他社と比較すると保険料は安い。
保障をとるか。保険料をとるか選択が必要。
ただし、必要性の意味で言えば、女性特有の病気だからと言って、余計にお金がかかるわけではないので、いらないと言えばいらない。
しかし、筆者の経験上、女性疾病の支払いは非常に多く、実際にお支払いした例では30代、40代での子宮筋腫や内膜症での入院や手術が一番多い。
だからと言うわけではないが、「あっても良いかも」とは思う。
「保険は本当に困った時のため」
という原則からは外れるが、心配な方はリスクの高い40歳後半くらいまでこの特約を付けておいても良いかもしれない。
女性特定手術特約
女性特定のにゅうぼうや子宮、卵巣の手術を受けた場合、手術給付金が受け取れる特約
受け取れる給付金額は、
にゅうぼう観血切除術(にゅうせん腫瘍摘出術を含む)、子宮全摘出術、卵巣全摘出術 1回につき20万円
にゅうぼう再建給付金 1回につき50万円
となっている。
30歳女性で、保険料は、+235円
ただし、この特約は、「10年更新」のため、更新後の保険料は上がる。
更新の年齢にもよるが、上記の手術を受ける可能性が高い40代の平均保険料は、515円となっている。
女性入院特約と同様、必要性の意味で言えば、女性特有の病気だからと言って、余計にお金がかかるわけではないので、いらないと言えばいらない。
三大疾病一時金特約
これも「弱点2」で述べたが、2年に1回という支払い条件は他社に比べて厳しい。
同じような特約を望むのであれば、「1年に1回」の会社を探してはいかがか?
三大疾病無制限型長期入院特約
1入院あたりの上限「60日」 or 「120日」のパートでも詳しく述べたが、この特約を付けると、一回の入院の上限が以下のように延長される。
がん、脳卒中、急性心筋梗塞 入院日数無制限
それ以外の病気、怪我 365日まで
入院が長期になればなるほど、仕事への影響も出てくるので医療保険の給付金はありがたい。
その意味ではあると安心の特約だし、この特約保険料も「30歳 男性 終身払」で+35円と相当安い。
内容も良いし、保険料も安いので是非付けておいた方が良いが、注意点は「10年更新」であること。
あくまで今現在の保険料だが、以下のように10年ごとに「倍以上」になっていく。
30歳 +35円
40歳 +75円
50歳 +180円
60歳 +430円
70歳 +1045円
この点には注意すること。
将来的に高くはなるが、その内容自体は筆者は非常に評価している。
アフラックの保険に入るのであれば、つけておいた方が良い。
参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら
『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。
ケガの特約
ケガで入院した時に一時金5万円。ケガで通院した時に1回3000円の給付金が受け取れる。
とあるが、よくよく読むとケガの一時金に関しては、
・骨折
・関節脱臼
・腱の断裂の治療を受けたとき
だけに限定されている。
特約保険料は「30歳 男性 終身払」で+530円。
この特約は絶対いらない。
こんな特約を勧める保険屋がいたら、信用してはいけない。
月々530円、年間6,360円、10年で6.3万円、20年で12.6万円、30年で19万円。
単純計算で、4回ケガで入院するか、64回通院しないと元が取れない。
もしくは2回入院で32回通院でも良いのだが・・・・
だいたいケガをして「5万円が必要」という必然性が分からないし、通院ごとに3,000円貰っても仕方ないだろう。
むしろ、骨折、関節脱臼、腱の断裂を人生で何回もやる人なんてそうはいないし、仮にこれで4回も入院する人がいるなら、保険よりも
「お祓いにいけ!!」
と言いたい。
530円の価値はない。と酷評する。
終身特約
医療保険のオプションとして死亡保障が用意できる特約。
「30歳 男性 終身払」で100万円の保障が+1,437円。
結論から言えば、これもいらない。
「セットにするとお得かも?」
と思うかもしれないが、あくまで、医療保険と一緒に終身保険が契約できる。というだけで、終身保険として他社と比較しても別に良くも悪くもない。
そもそも、医療保険にこの終身保険を「特約」として付けてしまうと、将来医療保険を見直す時に、この終身保険も一緒に解約しなくてはいけない。
一般的に終身保険は「一度入ったら解約してはいけない(損をする)」ので、だったらわざわざ医療保険とセットにして身動きがとりづらくする必要もなかろう。
終身保険に入るなら、それはそれで比較検討するべきで、安易に契約してはいけない。
介護一時金特約
所定の要介護状態になったときに一時金(1回限り)が受け取れる特約。
所定の要介護状態は、つぎのいずれかに該当した場合
・要介護2以上に該当
・日常生活動作における要介護状態が180日以上継続
・認知症による要介護状態が90日以上継続
支払条件については、他社と同等程度。
一時金は、30万円~500万円まで、10万円単位で設定可能。
特約給付金額:100万円の場合の保険料は、
30歳 男性 640円
30歳 女性 790円
となっている。
支払い条件は「要介護2以上」なので他社なみ。
が、これも100万円を一回だけ貰ったところでどうなのか?という話。
介護は長丁場。
本当に心配ならちゃんとした介護保険に入るべきだろう。
認知症介護一時金特約
認知症で所定の要介護状態になったときに一時金(1回限り)が受け取れる特約。
上記の「介護一時金特約」から「認知症」のみに限定した特約となっている。
一時金は、30万円~500万円まで、10万円単位で設定可能。
特約給付金額:100万円の場合の保険料は、
30歳 男性 410円
30歳 女性 560円
となっている。
これも介護一時金特約同様「100万円だけじゃねぇ」という感じ。
上の介護のことも含め、ちゃんと対策するなら専門の介護保険を勧める。
就労所得保障一時金特約
働けなくなったときに一時金(1回限り)が受け取れる特約。
かなり重い状態にならないと貰えない上、保険料があまりに高い。
詳細は弱点3参照。
支払条件は、次の下記の就労困難状態が60日継続したと医師に診断されたときとなっている。
病気やケガなどにより「入院」または「在宅療養(a,b,cのいずれか)」
a:医師による治療が継続しており、かつ日本国内にある自宅など(障害者支援施設などを含みます)で、医師の医学管理下において計画的な治療に専念し、自宅などからの外出が困難な状態
b:所定の特定障害状態に該当した状態
※特定障害状態とは、国民年金法で定める障害等級1級または2級に相当する状態としてアフラックが定めた状態をいいます。
c:国民年金法で定める障害等級1級または2級に認定された状態
一時金は、30万円~200万円まで、10万円単位で設定可能。
保険期間は、60歳・65歳・70歳で設定可能。
特約給付金額:100万円、60歳満期の場合の保険料は、
30歳 男性 1,330円
30歳 女性 1,950円
となっている。
精神疾患保障一時金特約
精神疾患で働けなくなったときに一時金(1回限り)が受け取れる特約。
支払条件は、次の精神疾患により下記の就労困難状態が60日継続したと医師に診断されたときとなっている。
就労困難状態とは、精神疾患による下記のいずれかに該当する状態をいう。
・入院
・国民年金法で定める障害等級1級または2級に認定された状態
・精神保健及び精神障害者福祉に関する法律にもとづき、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令第6条に定める障害等級1級または2級に認定された状態
一時金は、30万円~100万円まで、10万円単位で設定可能。
保険期間は、60歳・65歳・70歳で設定可能。
なお、この特約は、[就労所得保障一時金特約]と同時申込の場合に限り付加することができる。
特約給付金額:100万円、60歳満期の場合の保険料は、
30歳 男性 380円
30歳 女性 380円
となっている。
これだけは割とアフラックのオリジナル色が強く、他社には似たような特約がない。
しかし、うーん、あまり必要性を感じない。
これも就労不能と同じく、100万円を貰ったところで「働けない」ほどの重度の精神疾患であれば全然足りないし、逆に数カ月程度で復職できる軽度のものであれば、100万円など貰わなくても何とかなるだろう。
帯に短し、タスキに長し。
という印象。
特別保険料率に関する特則
従来、アフラックでは健康な方向けとして、
「ちゃんと応える医療保険EVER」
を、健康に不安のある方向けの緩和型医療保険(告知項目が少ない)
「ちゃんと応える医療保険やさしいEVER」
の2つの商品を提供していたが、2019年6月24日より、この2つが一本化された。
健康に不安のある方でも「ちゃんと応える医療保険EVER」に加入出来るようになったが、但し、健康状態によって「割増保険料」が上乗せされる。
本特則はそのルールを定めたもの。
とは言え、元々の緩和型医療保険である「ちゃんと応える医療保険やさしいEVER」も通常の医療保険より保険料が高く設定されており、つまりは、入院する可能性が高い分、保険会社としても多めに保険料を徴収していた。
これは全保険会社が販売している緩和型医療保険に共通したことで、以下のような法則がある。
普通の保険 → 健康でないと入れないが保険料は安い
緩和型医療保険 → 告知項目が少なく、「入りやすい」が保険料は高い(割増されている)
多くの保険会社は、これらを2つの商品に分けていて、以前はアフラックもそうだったのだが、今回の改定で商品を一本化し、
健康な方 → 通常の保険料
健康に不安がある方 → 通常の保険料+割増保険料(実質的には緩和型医療保険と変わらない)
という形になった。
検討した方がいい他社商品
☆評価の高い医療保険は・・・
アクサダイレクト生命 アクサダイレクトの終身医療 ★★★★☆
改定履歴
・2019年1月21日 「介護一時金特約」「認知症介護一時金特約」「就労所得保障一時金特約」「精神疾患保障一時金特約」の新設
・2019年6月24日 「特別保険料率に関する特則」の新設
参考コラム:
医療保険の検討ってどうすれば良いの?と迷ったら
『医療保険。こう考えれば、スッキリ決められる!』
をご覧いただきたい。
他社の医療保険の☆評価一覧は、コチラ