がん保険には、大きく分けて3つの「タイプ」があります。
がん保険の比較をする際には、この3タイプを理解し、「自分にとって、どのようながん保険が良いのか?」ということを考えると良いでしょう。
何故、3つのタイプが存在するのかと言うと、がん保険を販売する保険会社が、各社
「何を重視するか?」
というポイントが異なるからです。
ここでは便宜上、以下のように分類します。
なお、これらの「タイプ」は保険業界の正式な言葉ではなく、あくまでこの稿だけで使っているフレーズですから、保険ショップなどに言って「○○タイプ」と言っても通じませんので、お気をつけ下さい。
1 日額タイプ → 長期入院を重視
3 一時金タイプ → 自由につかえるお金を重視
2 抗がん剤タイプ → 重症化したがんの生活費・治療費を重視
これらは、各がん保険の「主契約(メイン)が何か?」ということで分類が可能です。
とは言っても、実際には日額タイプにも、一時金や抗がん剤のオプションが用意されていたり、一時金タイプのオプションに日額の「入院したら1日いくら」というものが用意されていることもあるので、それらを組み合わせたことで、同じような構成になることも多いです。
しかし、「何をメインにしているか」という点から、そのがん保険が、がん治療における、どのようなシチュエーションに力を入れているかということが分かるのです。
では、各タイプを解説していきます。
1 日額タイプの特徴
1は昔からある伝統的ながん保険で、「がんで入院したら1日あたりいくら」というものです。
例えば、給付金1万円であれば、がんで入院した場合、1日1万円を受け取れます。
そのため、入院が長くなればなるほど、給付金が増えるのが、このタイプの特徴となります。
一方、入院が短いと、給付金額が少額となってしまいます。
特に昨今では、がんでも早ければ1週間程度、長くても20日以内に退院することが多いので、このタイプは「時代にそぐわない」という声もあります。
とは言え、水泳の池江璃花子さんのように白血病などの場合(もしくはリンパ腫など)、入院が半年を超えるようなこともありますので、一概に「悪い」とも言えないのが難しいところです。
そこで、出てきたのが2の一時金タイプです。
2 一時金タイプの特徴
こちらは「がんです」と診断が下れば、一時金を受け取れることが出来るので、入院が短期でも50万円なり、100万円なりのまとまったお金を受け取ることが出来ます。
しかし、先程の池江選手のような「長期の入院」であっても、それによって給付金額が大きくなることはありません。
そういう意味では、軽度が中度で済んだ場合にはメリットがありますが、本当に重症のがんでは力不足の印象を受けます。
逆に「重症の場合だけ」にフォーカスしたのが、抗がん剤タイプです。
3 抗がん剤タイプの特徴
このタイプは、
「抗がん剤やホルモン治療を受けた月に、10万円(例)を給付する」
という条件のがん保険です。
抗がん剤やホルモン治療は、外科的な手術でがんを切除出来る場合にはあまり使用する治療ではありません(手術後に「予防的」に1,2度実施することはある)
むしろ「切れない」ような時に利用されることが多いです。
例えば、がんが再発、転移してしまい、これ以上の手術には体が耐えれない、というような場合や、脳や肺の奥に発生し、外科的なアプローチが出来ない、そして血液のがんである白血病などでも用いられます。
特徴としては、治療が長期になるということです。
このタイプの保険は、そのような時に、毎月一定金額の給付を受けることが出来ます。
治療を続ける限り、入院の有無に関わらず、お金を受け取れるので、治療費だけでなく、収入面のサポートにもなります。
特に治療が半年を超えると、一般的には収入が下がる方が多いので、そのようなケースでは非常に有効な保障となります。
しかし、抗がん剤やホルモン治療を「受けていない」場合には、そもそも給付対象ではないので、スパッと切れて、1,2週間で退院出来るようながんの場合、ほとんど給付金が発生しないことになります。
どのタイプが良いのか?
以上、3つのタイプのがん保険を解説致しましたが、一体、どのタイプの商品を選べば良いのでしょうか?
ここからは、あくまで筆者の考えですが、今なら「一時金タイプ」が良いと思います。
一時金タイプのがん保険でも良いですし、医療保険の特約(オプション)として用意されている「がん診断一時金」のようなものでも良いでしょう。
がん保険にこだわらず、「がんになったら一時金を受け取れればOK」という程度で考えて良いかと思います。
一時金があれば軽度、中度までをカバー出来ますし、重度の場合には少々物足りないですが、それでも「給付金がない」わけではありません。
がんに関するリスクは、ある程度これでカバーしておき、本当に重度のがんに関しては、就業不能保険でリスクヘッジするのがお勧めです。
就業不能保険は、「働けない時の保険」で、がん治療で仕事が出来ないような場合や、脳梗塞などで麻痺が残ってしまったような場合にも有効です。
「毎月○万円」という形で契約をしておけば、これらの「働けない時」に給付を受けることが出来ます。
抗がん剤タイプのがん保険も、「がんだけに限れば」悪い保障ではないのですが、働けなくなるリスクはがん以外にもあるので、どうせ保険に入るなら、「より広範囲」にカバーしてくれる方が良いのではないでしょうか?
なお、日額タイプは、筆者も「時代遅れかな」という印象を持っています。
確かにがんで長期入院になるリスクはあるのですが、それも先に説明した就業不能保険に入っていれば、給付の対象となります。
流石に日額タイプのように「1日1万円」ほどの給付が受けられるわけではないのですが、(月30万円受け取れるプランに入っておけば、同程度の給付が受けられますが、就業不能保険で30万円受け取れるプランは保険料が高い)、それでもある程度の金額が入ってくるのであれば、それで良しと考えています。
全てのリスクに対策するために、日額、一時金、抗がん剤など、内容てんこ盛りのがん保険に入る方もいらっしゃいますが、保険料はかなり高額になります。
確かにがんは怖い病気で、日本人の1/2が罹患すると言われていますが、逆に言えば、1/2は「がんとは無縁」なわけです。
また、がんになっても8割、9割の方は「切って終わり」でもあるので、筆者としては「そこまで心配し過ぎないでも良いのでは?」というスタンスです。
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