入院一時金って必要?それとも不要?

最近、流行っているものに「入院一時金」というものがある。

日帰り入院でも、1日入院でも、とにかく入院さえすれば「一時金(10~50万円など)を支払う」というもので、分かりやすいことから人気があるようだ。

商品としては、

・医療保険の特約(オプション)として付けるパターン

・それ単体が商品になっているパターン(一時金だけ)

があるが、内容はどちらも同じ。

まず結論から言えば、一時金系について、当サイトでは「ネガティブ」な評価をしている。

正直、あまり意味があるものだとは思っていない。

具体的な商品を挙げ、このあたりを解説していきたい。

第一生命グループであるネオファースト生命の「ネオdeいちじきん」

一時金系商品のはしりとも言えるものだが、この商品に30歳 男性が加入した場合、以下のようになる。

30歳 男性
入院一時金 10万円
保険料:1,324円/月

これは「全ての入院」が対象で、病気やケガで入院した時に、10万円を受け取れる。

あくまで入院したら10万円というシンプルな内容。

この一時金、現場でのセールストークは、こんなところだ。

・最近は入院期間が短くなってきてます。

・そのため、従来のような『1日いくら(例:5,000円など)』という形の医療保険だと、2,3日の入院ではほとんどお金が受け取れません。

・しかし、一時金タイプの医療保険であれば、日帰り入院から10万円を受け取れるんです!!どうですか?いいでしょ?

確かに、この話をだけを聞けば、一瞬良いような気もする。

が、ここで敢えて問いたい。

「何のために保険に入るのか?」

それに対しての答えは以下のようなものが多い。

・入院した時にはお金がかかる。その時に困りたくない。

・入院によって、家計のバランスを崩したくない。貯金を取り崩したくない。

・短期の入院であれば、まだ良いが(自分の貯金で対応出来る)、がんや脳の病気、難病などによって長期で入院しなくてはいけない時が心配。

これらの答えの共通点は「入院の時に多少はお金が受け取れた方が良いよね」ということだ。

で、もう一つ聞きたい。

「結局、いくら必要か?」

この答えは千差万別だろう。

5万円くらい、と答える人もいれば、100万円くらいと言う人もいる。

ただ、ほとんど根拠はない。ただの感覚だ。

一時金系の医療保険は、この「感覚」を上手く突いている。

「えっ!!日帰りでも10万円(商品によっては20万円、50万円というものもある)も貰えるの!!」

相手が「それは凄い」と思う分かりやすい金額を提示することで、「本当のリスク」を隠してしまっている。

本来、先に挙げた「保険に入る理由」を満たすのであれば、

短期入院(10日以内)   → ちょっとのお金

中期入院(10日~3ヶ月)  → それなりにまとまったお金

長期入院(3ヶ月以上)   → 収入減などを補う、本格的な給付  

という形で、リスクのレベルに応じて、段階的に受け取れる金額が上昇するべきだろう。

だが、一時金系は、期間がどれでも「金額は同じ」であり、この点、リスク(支出)が低い短期入院には「過剰」だし、リスク(支出)が多い中期、長期入院には「過小」である。

筆者が、一時金を低く評価する最大の原因がこれ。

帯に短し襷に長し、ということで、長短どちらにも実効性がない。

まだ1日いくらの日額タイプの医療保険の方が、理にかなっている。

仮に1日5,000円だとしても、30日入院すれば15万円が給付される。60日で30万円。毎月15万円の現金収入は、医療費の備え、収入減を補う、という目的をある程度満たしてくれる(それでも足りないなら、1日1万円とかにしておけば良い)

もしくは、短期、中期くらいの入院であれば「貯金で賄う」というのも現実的な選択だ。

ただ、長期に関しては、ちょっと話が異なり、医療保険(日額タイプや一時金タイプ)などでは原則的にサポート出来ない。

多くの医療保険には、1入院あたりの最大支払日数というものがあり、短いものでは30日、長いものでも120日となっていることが多い。

この上限に達すると、医療保険からの給付は無くなってしまう。

但し、3大疾病無制限特約などを付けておけば、がん、心臓、脳で入院した時は、日数制限の上限が撤廃され、無制限となるのだが、これも対象は3つの病気だけであり、世の中には、長期の入院を要する病気やケガが他にもわんさかある。

このようなリスクを全て消すには、就業不能保険しかない。

そのため、筆者自身は、医療保険(短期・中期の入院用)+就業不能保険(長期の入院・療養用)の組み合わせが良いと思っている。
注:前述したが、短期、中期は貯金で、という考え方でもOK

以上のことから、一時金系は「別に必要ないだろう」というのが筆者の考え方。

なお、このような話をすると、

「じゃあ、一時金の金額をもっと上げて30万円とかにすれば、短期、中期のリスクをカバー出来るのでは?」

と言って来る方がいる。

まあ、それはそうだ。保障だけで見ればその通り。

だが、一時金30万円の保険は「相当高い」

先に上げたネオファーストの場合、10万円で1,324円なのだから、30万円にすれば保険料は4,000円近くになる。
注:ネオファーストでは一時金は10万円までしか選択出来ない。保険料4,000円は一時金を30万円にすれば、という仮の話。

これは、保険会社からすれば当然の話で、契約者が日帰り入院でも30万円を支払わないといけないわけで、その分、多めの保険料を頂かなくていけない。

そして、契約者からしても、30万円は「ラッキーお小遣い」かもしれないが、現実的には、日帰りとか、2,3日の入院であれば、30万円は「そこまでは必要のないお金(過剰)」とも言える。

また、実際には「ラッキーお小遣い」でもない。

毎月4,000円を支払えば、年間、約5万円。10年で50万円、20年で100万円を「積立ている」ことになる。

入院した時に、保険会社が「その中から」30万円を支払ってくれだけに過ぎず、要は自分の金、ということ。

ちなみに「要は自分の金」という論理は、日額タイプでも同様のことが言えるのだが、こちらは、まだ保険料が安い。

2,3日の入院の時には、保険会社も少ししか払わないので、その分、保険料が低く抑えられているからだ。

それでも長期入院をすれば、安い保険料で多くの給付金を受け取れる「可能性」がある。

高い保険料を積み立て、高い一時金を貰う「一時金タイプ」

安い保険料を積み立て、いざ長期入院の時には多くの給付金が受け取れる「日額タイプ」

筆者としては、「保険は本当に困った時のため」のものなのだから、だったら日々の負担はなるべく安い方が良いんじゃない?と思っている。

と言うことで、当サイトでは一時金系には、原則厳しい評価をしており、各医療保険の分析ページでも「要らない」という書き方をしている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。