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女性疾病の種類
医療保険の特約(オプション)に女性疾病特約というものがあります。
保障の種類としては、大きく分けて3つに分類することが出来ます。
1 入院期間中、日額に「上乗せ」されるもの
例:入院日額が5,000円 → 女性特有の病気で入院した時には10,000円など
2 一時金を受け取れるもの
例:手術を行った場合 20万円など
3 ちぶさ再建術に関するもの
例:ちぶさ再建術を行った場合 50万円など
上記のうち、1と2をセットにして提供していることもあれば、2と3をセットにしたものもあり、各社商品名は違いますが、
・女性疾病特約 →1と2がセット
・女性特定手術給付金特約 → 2と3がセット
(女性手術特約、ちぶさ再建術特約など)
というような形で目にすることが多いかもしれません。
女性疾病特約は付けた方が良い?
では、これらの特約は付けた方が良いのでしょうか?
筆者の考えでは「必須ではないが、心配なら付けておいては?」というところです。
まず、金銭的な面から言えば、女性特有の病気だからと言って、その他の病気より「お金がかかる」ということはありません。
そのため、女性疾病系の特約が「なかった」としても、通常の医療保険の基本の保障(日額5,000円など)があれば、入院生活が赤字になるようなことはないかと思います。
そういう意味では、「なかったらなかったで何とかなる」という保障なので、「必須ではない」という言い方が妥当です。
反面、女性疾病は「かなり発生頻度が高い病気」でもあります。
筆者は20年以上、保険業界にいますが、恐らく女性疾病での支払いが一番多いです。
特に30代、40代での内膜症、子宮筋腫や、50代以降では子宮がんなどで、多くの請求をお受けしました。
そのような時、このような特約に入っておけば、通常の給付に「上乗せ」されるので、お客様からは喜ばれます。
そのような経験則からすれば、「付けておいても良いかも」とは思いますが、当然ながら全員が全員、そのような病気をされるわけではないので、これは「賭け」でもあります。
病気の中の更に「女性特有の病気」という狭い分野にベット(賭け)するのが女性疾病特約ということでしょう。
なお、前述の通り「発生頻度」が高いので、これは保険会社からすれば「支払う可能性が高い」ということになり、そのため保険料(特約の保険料)は結構高いです。
保障内容にもよりますが、だいたい400円前後のことが多く、毎月の出費と考えればそれほどではありませんが、「塵も積もれば山となる」で、年間では約5,000円、20年では10万円、30年では15万円の出費となります。
これらの出費は、「女性疾病になれば得」ですが、「ならなければ損」ということで、冒頭で説明した通り「必須というわけでもない」ので、なかなか判断が難しいところです。
そのため、「予算に余裕があるなら付けても良いのでは?」という感じですね。
なお、一般的に閉経をすると、女性疾病のリスクは減るので、
「それ(閉経)まで付けておく」
というのも一つの手かと思います。
ちぶさ再建術費用特約は必要か?
にゅうがんの生涯罹患率(一生涯で経験する確率)は9%。
女性100人のうち9人と「かなり高い」のですが、その中でちぶさの全摘を行うのは、おおよそ40~50%です。
つまり、100人中、4人前後が全摘の経験をすることになりますが、その後の再建術には多くの場合、「シリコンバック再建術」というものが使われます。
そしてこれが2013年より保険適用されています。
そのため、通常の医療保険や、女性疾病(ちぶさ再建術を含まないもの)に入っていれば、手術給付金を受け取れるので、その費用で十分まかなえます。
もちろん、再建術の特約を付けておけば「更に上乗せ」されるのですが、にゅうがん以外にも、他の病気もありますし、それ以外にも交通事故やスポーツ中のケガなど、人生には様々なリスクがあります。
その点からも「ちぶさ全摘」という細かいリスクだけにフォーカスする必要は少ないように感じます。
なお、近年の研究では「全摘でも温存でもその後の死亡率にはほとんど変わりがない」ということが判明しており、そのような背景から「なるべく温存する」という病院が増えているようです。
反面、「下手に温存するより全摘してシリコンバックで再建した方が見た目は綺麗」という意見もあり、担当する医師によって意見が割れます。
このお話は参考まで。
女性疾病の優先度は「中」
以上のような事情から、女性特約は「あくまで予算があれば」という考え方が良いかと思います。
医療保険に入る場合、まずは下記のような「大きなリスク(致命的なリスク)」をカバーすることが重要です。
・がん、脳などによる長期入院のリスク
対応する特約
三大疾病無制限特約
がん、脳、心臓の病気で入院した時には、期間無制限で給付してくれる
三大疾病一時金特約
がん、脳、心臓の病気で入院や手術をした時に100万円などの一時金
・保険適用外の先進医療を受けるリスク
対応する特約
先進医療特約
先進医療を受けた際の実費を2,000万円まで保障
その上で、毎月負担が苦にならないのであれば、女性特約を付けておけばより安心かと思います。
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