提供会社:SOMPOひまわり生命
商品名:ナインガード/ナインガードプラス
ページコンテンツ
この商品の弱点はここだ!!
本商品は法人の経営者向けの商品。
そのため法人契約に限定されており、個人は加入出来ない。
保障内容としては、
・七大疾病
・就労不能
・要介護
・高度障害
をカバーしている保険。
しかし「死亡時の保障が責任準備金相当額」という点が変わっている。
責任準備金とは、保険会社が将来の保険金の支払いのために積立ているお金のこと。
本商品は、解約返戻金がない「ナインガード」と、解約返戻金がある「ナインガードプラス」の2つに分かれているのだが、前者の場合、責任準備金はほとんどない。
後者は多少はあるのだが、それでも保険金に比べると1/3程度と言ったところだろうか。
なお、他社では死亡+7大疾病など、あくまで死亡保障がベースとなっているものが多く、死亡保険金がその他の七大疾病一時金と同額となっている。
以上、商品概要。
では、弱点の話に入る。
弱点1 死亡保障がない。死亡は大損
ひまわり生命という会社は、個人向けの医療保険やがん保険、収入保障保険などで、スタンダードなものはわりと競争力がある商品が多いのだが、ドル建や変額商品など「変化球」的な商品はラインナップになく、そして法人向けにもロクなものがない。
スーパーで例えれば、大根とかニンジンとか、豚コマとか「ド定番商品」は安いのだが、高級な肉や魚は「ほとんどない」という感じ。
そういう意味では「面白みのない保険会社」である。
その中でも本商品は唯一法人向けで「勝負出来る」ものであるため、ひまわりの関係者から、頻繁に
「ナインガードは売れている」
という話を聞く。
しかし、星2つ評価からも分かる通り、筆者はさほどには評価していない。
その最大の理由が「死亡保障がない」ことだ。(正確には責任準備金相当)
率直に言って「多少保険料が上がっても良いので『死亡』も付けちゃえば良いのに」というのが本音。
死亡保障がないことが、色々なデメリットを生む。
最大のものが、「死亡したら大損」ということ。
実際の例を見てみよう。
契約例:50歳 男性
保証期間:90歳
保険金:1億円
このケースの場合、解約返戻金型が「ない」ナインガードで毎月265,500円。
年間318万6,000円を支払うことになる。
仮に15年後の65歳で死亡したとする。そこまでに支払っている保険料は4,779万円。
死亡した場合の保険金はゼロではないが、「責任準備金額相当」なので、保険金1億円に比べるとかなり少ない。
そうなると支払った保険料4,779万円はほとんど捨てることになってしまう。
「そういう商品なんだからしょうがないじゃない・・・」
ひまわり生命の関係者はそう言うであろうが、本人(と言うか本人は死んでしまっているので、その周辺の家族や法人の幹部)からすれば納得感がない。
特に最も懸念されるのが、急性心筋梗塞や、脳卒中で死亡してしまった場合だ。
本商品では急性心筋梗塞と脳卒中の支払条件は以下のように定義されている。
・所定の手術を受けた時
・60日以上の労働制限(急性心筋梗塞の場合) or 60日以上の言語障害などの後遺障害(脳卒中の場合)
そのため、例えば「心筋梗塞を起こして倒れ、発見された時には冷たくなっていた。」というような場合、死因が急性心筋梗塞なのに保険金は支払われない。
んな馬鹿な!!
関係者は、そう憤慨するだろうし、さらに数千万円単位でお金を捨ててしまったとなると、より一層怒りが増す。
「死亡保障がない」ということで、このようなトラブルを容易に想定出来てしまう。
筆者のように保険屋稼業が長い者からすると、
「保険はどんなケースでも死んじゃったら得をする(せめて損はしない)」
というものであって欲しい。
また、本商品は法人の経営者向けのものなのだから、やっぱり急死こそ一番のリスクだろう。
がんになったって、心筋梗塞だって脳卒中だって、別に元気に復活出来ればそれで良いではないか?
特にがんについては、異常に怖がっている人も多いが、実際には8割の患者は2,3週間程度で日常生活に戻れる。
また、仮に多少の不自由があったとしても、経営者は経営判断が出来れば良いのだから、仕事が出来ないわけではない。
その点、本商品は「なんかピントがずれているな」というのが筆者の感想でもある。
冒頭でも述べたが「保険料上げても死亡保障付ければ良いのに」というのが本音。
なお、貯蓄性があるナインガードプラスプラスの方でも死亡時に受け取れる給付金(責任準備金相当額)はそれまで支払っていた保険料総額を、かなり下回る。
損をする額は解約返戻金型が「ない」ナインガードより少なくなることが多いが、それでも損をするという点では同じ。
弱点2 3大疾病以外はハードル高め
本商品。七大疾病、就業不能、介護、高度障害で保険金が受け取れることは既に述べた。
だが、七大疾病に含まれる、がん、急性心筋梗塞、脳卒中の3大疾病「以外」はかなりハードルが高い。
実際の支払条件を見てみよう。
・七大疾病
1 がん 診断のみ(がんです。と言われればOK)
2 急性心筋梗塞 手術 or 60日以上の労働制限
3 脳卒中 手術 or 60日以上の後遺障害
4 慢性腎不全 人工透析 or 腎臓移植
5 肝硬変 縮瞳静脈瘤また胃静脈瘤の破裂、もしくは手術、肝臓移植
6 糖尿病 糖尿病性網膜症で手術、糖尿病を原因とする壊死で指1本以上を切断
7 高血圧性疾患 大動脈瘤 or 大動脈解離の破裂による手術など
医療の知識がない方すると良く分からないかもしれないが、3大疾病以外、つまり4から下の条件はなかなか凄まじい。
簡単に言えば、どの病気も「末期」にならないと支払対象とはならないのである。
そのため
「先生から高血圧って言われちゃったよー」
「糖尿病みたいだよ、参ったな」
こんなレベルでは到底保険金は支払われない。
また、経営者、特にこんな保険料が高い保険に入るような方は「金を持っている」のだから、病気になれば金をかけてそれを未然に防ぐだろう。
そのような方が、「糖尿病で失明したり」、「臓器移植をしないといけない」ような状態まで病気を悪化させることはないのではないか?(もちろんゼロではないが)
つまりは、3大疾病以外は「払われないことはないが、実際にはかなりレアケース」だと言える。
なお、就業不能(働けない)については、障害等級1,2級、介護については要介護3以上となっており、まあ、これもなかなかハードルは高い。
そういう意味で言えば、本商品の本質は「3大疾病時の大きな保険金が受け取れる」ということであり、その他の病気や就業不能、介護などは「オマケ」程度だと思っておいた方が良いだろう。
弱点3 保険金を超えるケースあり
貯蓄性のあるナインガードプラスの場合、支払った保険料が保険金を超えてしまうことがある。
例えば50歳の社長が、保障期間100歳まででナインガードプラスに入った場合、毎月の保険料は374,400円。年間449万円。23年(73歳)で1億333万円を支払うことになり、保険金を超えてしまう。
「だったら会社でその分で貯めておいて退職金で貰えば良かったな」
そんなオチになるかもしれない。
弱点4 節税にはならない
設計の仕方にもよるが、本商品は保険料の全額を損金処理出来ることが多い。
そのため、一部では「節税になります!」というようなセールストークがなされているようだが、前述の通り、本商品の貯蓄性は低く、また「大きく得をする」のは7大疾病に該当した時だけだ(実際には3大疾病だけだが)
そのため、目先の節税にはなるかもしれないが、長期的には損をすることが多い。
節税うんぬんより、保障内容としてどうか?という点だけで検討した方が良いだろう。
参考コラム:法人保険の「節税」今、昔。原則的に保険で節税は出来ないよ、という話
この弱点、こう考えろ(解決策)
文中でも述べた通り、
・死亡したら損をする
・3大疾病以外の7大疾病で保険金を受け取れることはほとんどない
・貯蓄性を持たせる(ナインガードプラス)と、逆ザヤ(支払保険料が保険金を超える)こともある
という点を理解し、基本的には「3大疾病の保険」と考えた方が良い。
そういう意味では、医療保険のオプションにもある「3大疾病一時金(3大疾病の際に一時金100万円など)」の法人向け豪華版という感じ。
確率論で言えば、がん、急性心筋梗塞、脳卒中を合わせれば7割の人は人生のどこかで、これを経験するので、つまりはこの商品に入っている人も7割は保険金をゲットできることになる。
だが、「それがいつか?」という点がポイント。
入ってすぐ、50代などでゲット出来れば、それはラッキーだが、実際には3大疾病は70歳以降に急増する。
つまりは、それまで保険料を支払わねばならず、結果的にはかなり高額な保険料を積立てることになる。
場合によっては逆ザヤになる可能性もあるので、そのあたりの判断が難しい。
筆者の個人的な考えでは、経営者のリスクは多岐に渡り(健康上の問題や、取引先の倒産リスク、従業員の退職リスク、後継者問題など)、それに比べれば3大疾病くらい些細なものではないかとも思う。
お金が余っているなら入っても良いが、そうでないなら無理して入るようなものでもない気がする。
むしろ、より高い貯蓄性があり、通常の死亡保障に備えられる長期定期などに予算を割いた方が良いかもしれない。
口コミ・評判(販売側から)
・なし
謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。
口コミ・評判(契約者から)
・なし
比較した方が良い他社商品は?
少々特殊な商品なので、完全に同じようなものは他社にはない。
しかし死亡+3大疾病を保障する「特定疾病保障型定期」が本商品にやや似ている。
こちらの方が死亡保障もあるので良いかもしれない。
オリックス生命 特定疾病保障保険With(ウィズ) ★★★☆☆
ソニー生命 リビング・ベネフィット20( 特定疾病保障型定期)★☆☆☆☆
編集後記