この保険の弱点はここだ!JA共済「こども共済」

提供会社:JA共済

商品名:こども共済

この保険の弱点はここだ!!

参考コラム:
学資保険をどうしたらいいか悩んでいる方は
『学資保険はこう考えろ!!』
をご覧いただきたい。

 

JA共済のこども共済。

共済組合は保険会社ではないので、本商品も正確には「学資保険」ではないが、基本的には同じようなものだと思って良い。

本商品の特徴として挙げられるのは、月払に比べ、年払を選択した時の返戻率が

異様に良い

ということ。

だいたい4.5%くらい返戻率が上がる。

そのため、本商品に加入するなら年払が大前提となる。

保険会社(この商品の場合、共済組合)からすると、月払は面倒臭い。

引き落し業務、それらの確認業務、更には引き落としが出来ていない場合、契約者に連絡などをする。

年払であれば、それらが「年1回」で済むので、手間がないのである。

その分、返戻率が上がる仕組み。

それにしても、他社では通常、「月払 → 年払」の変更で+1%~2%程度上がる程度。

+4.5%は凄い。

では、具体的に弱点を見ていこう。

弱点1 「学資」だけにフォーカスすると弱い

冒頭でも述べた通り、本商品は年払が良い。

逆に月払いでは、返戻率で他社に大きく見劣りする。

しかし、年払にした場合でも、ソニー、日本生命、明治安田などに負けてしまう。

余談だが、明治安田も年払にすると、大きく返戻率が上がる仕組みを採用しており、それも明治安田に勝てない要因だろう。

学資を貯めるだけなら、本商品を選ぶ理由はないのではないか?




弱点2 オプションは豊富。しかし、加入するべきものは見当たらない

本商品は学資保険にしては珍しく、色々なオプション(特約や特則と言う)があるが、特に「これは良い」というものはない。

ざっと解説する。

養育年金特則

親が満期前(学資を全部受け取る年齢:だいたい子が22歳の時)までに死亡した場合、「学資」とは別に、年金形式で保険金が受け取れる。

学資とは直接関係のない、「親の死亡保障」のようなイメージ。

災害給付特則

災害(交通事故、スポーツ中の事故など)で亡くなった時に共済金が割増される。

特定損傷特約

骨折や関節脱臼など特定の損傷に対して「学資」とは別に共済金が受け取れる。

これらは、基本的には学資保険とは直接関係ないもので、言ってみれば

「別の保険」

をセットにしているだけ。

また、これらのオプションを付けると返戻率が下がるので、実質的には「下がった分の返戻率相当のお金」で、それらの保障を買っていることになる。

例えば、30歳男性 子0歳で、

「11歳までに支払う」
「年払」
「満期共済金300万円」

という条件だと、

総支払    284万円
受取総額 300万円
返戻率    105.5%

となる。

しかし、これに「養育年金特則(親が亡くなった場合、年金形式で共済金を受け取れる)」を付けると、以下のように変わる。

総支払    324万円
受取総額 300万円
返戻率     92.5%

つまり、養育年金特則を付けることで、返戻率は13%も下がる。

同じ300万円を受け取るにの、総支払は284万円(105.5%) → 324万円(92.5%)と、約40万円を余計に支払う計算となり、要はこの40万円で「養育年金特則」という保障を買っていることになる。

22歳までに40万円。年間約1.8万円。毎月1,500円と言ったところか。

養育年金特則の死亡時に受け取れる年金は仕組みが複雑で、子の年齢によっても変わる(大きくなればなるほど増える仕組み。ここではその詳細は省く)

筆者の感覚では、保障内容にしては、毎月1,500円は安く感じる。

そうは思うのだが、だいたいの家庭でこの学資保険以外にも保険に入っているだろう。

それらの保険で父親、もしくは母親の死亡保障をしっかり用意しているなら、この特約を付ける必要はない。

と言うより、貯金が目的の学資に、また別の「目的」を持たせると話がややこしくなる。

何事もシンプルにした方が良い。

筆者であれば、どの特約も付けない。

 

参考コラム:
学資保険をどうしたらいいか悩んでいる方は
『学資保険はこう考えろ!!』
をご覧いただきたい。

他社の学資保険の☆評価一覧は、コチラ




弱点3 他の保険会社と同じく「客寄せパンダ」

率直に言って、学資保険は儲からない。

今の運用環境。マイナス金利では、いくらお金を集めてもそれを増やすことは容易ではない。

特に共済制度の場合、その性質から高いリスクの運用は出来ないだろうから、実質的には国債や地方債で運用するしかない。

その点は、まだ民間の保険会社の方がマシで、自社の判断で海外株式の比率なども高められる。

こんな状況だからこそ、101~105%とは言え、その返戻率を実現するのは並大抵ではない。

また、たかだか月1万円とか2万円の保険料のために、営業職員が何度も足を運んで、色々な面倒な手続きをする。

そして20年やそこらで「預かったお金以上」を返すのである。

儲かるわけがない。

では、何故、民間の保険会社を含め各社はこんな商品を出すのか?

それが学資保険が「客寄せパンダ」だから。

子供が生まれ、これから保険のニーズが高まる若い世代と保険会社がコンタクトをしたいがために出しているのである。

そのために多少の無理をしてやっている会社が多い。と言うかほとんどだろう。

JA共済も同じ。

他の共済商品(死亡保障や火災保険など)を売り込みたいという意図がある。

そのため、本商品に加入するには、JA共済のアドバイザー(営業マン)との面談が必要。

ただ、民間の保険会社に比べれば「お役所体質」であるため、あっさりしたアドバイザーが多い。

余計な売り込みはなく、あっさり学資共済だけ入って終わる場合が多いだろう。

その点は、「やや、しつこめ」の民間の保険会社よりは楽なので、メリットと言えばメリットかもしれない。




弱点4 共済である必要性がない

弱点1で述べた通り、返戻率は他社に劣る。

そして弱点2で解説したが、「この商品ならでは」という保障があるわけではない。(特約は色々あるが、特にこれと言ったものもない)

その上で思うのが、

学資保険を共済が提供する必要があるのか?

ということ。

JA共済は元々農家の人々のご互助会的な役割を使命として設立された。

そのため、原則的に「利益」という考え方はなく、毎年、保険料を集めて、不幸や事故があった人にはその中から保険金を支払う。

そして残ったお金は還付金として返す。それが共済という仕組みなのだ。

例えば都民共済などは、毎年、支払った保険料の1/3程度は還付金として戻ってくる。

要は極力無駄な支出を抑えて、なるべく安く組合員に良い保障を提供する。余ったら皆に返す。という

助け合いの精神

で運営されている。

しかし、昨今のJA共済は有村架純さんを使ってテレビCMをバンバン流したり、学資保険でも仲間由紀恵さんを起用した広告を出している。

率直なところ、

余計な金使いすぎ

だ。

そんな金があるなら、本来の組合員(農家)の人たちにフォーカスした方が良いだろう。

また、今、学資保険に入ると「アンパンマン腹巻き」が貰えるらしい。
(2019年4月1日~2020年3月27日 先着60,000名まで)

アニメの中のアンパンマンは子供たちのヒーローだが、現実社会での彼の版権は驚くほど高い。

あるグッズ製造会社の社長に聞いたことがあるが、

「どんな下らない物もアンパンマン1人プリントしただけで値段は5倍」 

だそうだ。

これも「共済制度」という観点で見れば無駄。

そもそも学資保険などは民間企業が多くの商品を出している。

そんなところにわざわざ入ってきて、多大な広告費を使う。

もちろん、昭和の頃に比べ、農家が衰退し、それに伴いJA共済も農家だけを相手にしては組織を維持できない。

だからこそ、有名女優を起用し、テレビCMまで流してまで「学資保険」を売り込み、この商品をきっかけに

「組合員(保険会社で言うところの契約者)」

を増やし、一定のシェアが欲しいのだろう。

そのための一つの武器が、「アンパンマン学資」である。(多分な嫌味を込めて)

しかし、JA共済はあくまで農家の互助会。

そこで長年貯めてきたお金を「農家と関係のない人の学資」に使って良いものなのだろうか?

何となく気持ちの悪いものを感じる。

これは弱点というより、筆者の個人的な感想。

 

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