この保険の弱点はここだ!東京海上日動あんしん生命「5年ごと利差配当付こども保険」

 

提供会社:東京海上日動あんしん生命

商品名:5年ごと利差配当付こども保険

 

この保険の弱点はここだ!!

参考コラム:
学資保険をどうしたらいいか悩んでいる方は
『学資保険はこう考えろ!!』
をご覧いただきたい。

本商品は「育英付年金」というタイプで、正確には学資保険とは違うのだが、一般的には学資保険の一種として扱われている。

学資保険は「お金を貯めること」をメインに据えられているにの対して、育英付年金は「親が死亡した時の保障」を重視している。

そのため、毎月支払う保険料の中から、万が一の時の保障のために充てられる費用が多く、その分、貯蓄(学資)にまわる分が少なくなっている。

対して、学資保険は「保障が少ない分」お金の貯まる率が良い。

商品としては、小学校、中学校、高校、大学のそれぞれ入学時に一時金を受け取れる。

実際の契約例を挙げて説明しよう。

例:契約者 :30歳男性
被保険者:0歳
基準祝金額:100万円 22歳満了(支払いは18歳まで)

小学校入学時(6歳)  :20万円(基準祝金額の20%)
中学校入学時(12歳):30万円(基準祝金額の30%)
高校入学時(15歳) :50万円(基準祝金額の50%)
大学入学時(18歳) :100万円(基準祝金額の100%)

合計:200万円

上記の条件で、保険料は10,856円/月となっており、支払合計は2,344,896円(18年間)となっている。

これだけを見れば、

「234万円払って200万円受け取るのだから、34万円も損をしている」

となる。

学資保険の目的が「お金を貯めること」だとすれば、マイナス、いわゆる「逆ザヤ」になっているので、その目的は達成していない。

では、この34万円を捨てることで、どのような恩恵があるのだろうか?

それが、以下の3つ。

1 お父さんが死亡、高度障害になった場合は、以後の保険料の払込が免除(祝金はそのまま貰える)

2 お父さんが死亡、高度障害になった場合、22歳まで毎年50万円の養育年金(基準祝金の50%)が受け取れる。

3 お子さんが死亡した場合、死亡給付金が受取れる。

要は、お父さんが亡くなってしまった場合、以後の保険料(10,856円/月)の支払いがなくなり、小中高大、それぞれの入学時の祝金を受け取れる上、それとは別に毎年50万円をお子さんが大学卒業の22歳になるまで貰える、ということ。

先ほどの例で、お父さんが加入してから5年後、35歳、子5歳の時に亡くなってしまった場合、

・以後の保険料は免除(10,856円/月を5歳-18歳まで13年間分免除、実質169万円分のメリット)

・小中高大の入学時に祝金 合計200万円

・年間50万円を5歳から22歳まで17年間の育英値金 合計850万円

これら3つを合計すると、1,219万円となる。

学資保険に比べ、貯蓄性では落ちるものの、保障は充実していることが分かるだろう。
注:学資保険の場合、お父さんが死亡した場合、保険料だけが免除されるが、受け取れるのは学資のみ。

以上が商品スペックの概要。

では、弱点の解説に入る。




弱点1 保障はいらない

元も子もない話だが、別にここまで保障が充実している必要があるだろうか?

お子さんがいる家であれば、学資保険以外にもしっかりとした保険に入っているはずで、仮にお父さん(もしくはお母さん)が死亡すれば、そちらで保険金が受け取れる。

もちろん本商品に入っていれば「更に上乗せして」保険金を受け取れることにはなるが、そんなことを言い出したらキリがない。

学資保険の目的には、

「学資を貯めること」

であり、そこに別のミッションをもたせるべきではないだろう。

未曾有の低金利で、学資保険も「冬の時代(あまり増えない)」ではあるが、それでも明治安田、ソニーなどから「払った以上に戻ってくる学資保険」が販売はされている。

それらを選ばずに、あえてこのような保障重視の学資保険を選択する理由はないように思う。

また、先ほどの例で「234万円を払って200万円受け取る、つまり34万円は保険料」と説明した。

この「保障相当分」の34万円は子が18歳になるまでに支払うので、毎月の負担は約1,570円/月ということになる。

更に言い換えれば、この1,570円の保険料で

・小中高大の祝金 合計200万円

・お父さんが死亡した時に、50万円を子が22歳になるまで受け取れる

・お子さんが死亡した時の保険金

のサービスを受けられることになる。

「1,570円くらいで、これだけの保障が付いているなら、悪くはないのでは?」

と思うかもしれないが、実際問題として、子が22歳までに亡くなる可能性は相当低いし、お父さんが30歳から52歳(子が22歳になる歳)までに亡くなる可能性もかなり低い。

可能性が低いということは「保険料も安い」ということで、プロの目から見れば1,570円でも高いと思う。

そもそも、子が死んだ時の保険なんて別に必要ないだろうし、この保険に1,570円を払うのであれば、ちゃんとした死亡保険の方にこの予算をまわして、そちらの死亡保険金を増やした方が良い。

何だか全部がセットになってしまっているので、安いのか、高いのか良く分からなくなってしまっているが、筆者の感覚としては「割高かな」と思うし、話を戻せば、学資を貯めるための保険と一緒にする必要はないだろう。




弱点2 おじいちゃん、おばあちゃんがわりと契約する

本商品を販売しているのは東京海上日動あんしん生命という保険会社だが、会社名にも含まれている通り、親会社は東京海上日動火災保険である。

業界内では「損保系生保」という言い方がするが、損害保険会社の子会社の生命保険会社である。

このような損保系生保の商品は保険ショップなどでも並ぶが、主な販売ルートは損保代理店であることが多い。

長年、東京海上の損害保険(自動車保険や火災保険など)の代理店をやってきた人たちが、「生保もやるか」という感じであんしん生命の商品を扱っている。

本商品も、率直に言って保険ショップなどでは全く売れないと思う。

他に良い学資保険がいくらでもあるので、比較してしまえば、何のメリットもないからだ。

しかし、関係者から話を聞くと、損保系の代理店などでは「わりと売れる」そうだ。

損保系代理店が長年付き合っている高齢者のお客様から、

「孫のためにお金を貯めたい」

というような連絡が入った場合、あんしん生命では純粋な学資保険が「ない」ので、これを出すしかない。

損保系代理店では、「メインは損保で、生保はおまけ」というところが多く、そのため

「東京海上の代理店なので、付き合いであんしん生命も扱っている」

というところが多いのである。

本商品も学資保険としては、「全然ダメ」なのだが、保障が充実しているので、高齢者からすると

「息子の保険にもなるのかぁ」

などと思う。

孫のためにもなるし、息子の万が一の時にためにもなる

そう思えば、34万円のお金を捨てることになっても

「それも悪くないね」

となるようだ。

そういう意味では、なかなか良く出来た商品と言うか、子供と孫、両方ともカバー出来ているので、意外と高齢者に受けが良い。

率直に言って、この保険に入るくらいなら、

「保険料を孫に贈与する」

方が、お金は貯まる(まるまる234万円が貯まる)のだが、まあ、おじいちゃん、おばあちゃんも良かれと思ってやっていることなので、このあたりの気持ちを無視することは出来ない。

騙された、というほど大げさな話ではないのだが、商品としてはダメダメでも、一部の層からはニーズがあるということだろう。

また、万が一、実際に亡くなってしまったような場合には、本商品の保障が手厚ことは事実なので、まるっきりムダというわけでもないので難しいところだ。

比較した方が良い商品

お金を貯めたいなら、純粋な学資保険にするべき

ソニー生命 学資保険 ★★★★☆

明治安田生命 つみたて学資 ★★★★☆

参考コラム:
学資保険をどうしたらいいか悩んでいる方は
『学資保険はこう考えろ!!』
をご覧いただきたい。

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