提供会社:PGF生命
商品名:ささえる終身(変額終身)
変額終身保険PG
この保険の弱点はここだ!!
参考コラム:変額保険の「ファンド」を超解説!!インデックスとは?アクティブとは?
うーん、なんかイマイチだな。という印象の商品。
PGF生命の変額終身保険で、銀行の窓口向けに開発・供給されているもの。
なお、PGF生命は一般的にはほぼ無名だが、正式名称はプルデンシャル・ジブラルタ・ファイナンシャル生命というとてつもなく長い名前の保険会社で、米系のプルデンシャルグループの一社。
主に銀行の窓口で販売する商品を提供している。
本商品も取り扱い銀行によって名前が異なるものの、仕組みは同じ。
ささえる終身 … 埼玉りそな銀行、りそな銀行、関西みらい銀行
変額終身保険PG … 静岡銀行、南都銀行
変額終身保険は、その名の通り将来の返戻金や保険金などが、運用実績に応じて「変わる」保険である。
契約者が負担する保険料は一定で、死亡保障を加入時に決めた金額は最低保障されているが、将来の運用成績が良ければ、その保険金も増える。
解約返戻金も、運用が良ければ増えるし、逆に悪ければ減るのだが、保険金に関しては「最低保証」されている点が変額終身保険の特徴である(本商品だけに限らず、どの変額終身保険も同じ)
つまり、
保険料 ずっと一定
保険金 運用成績が良ければ増える/悪くても「最低保障」あり(加入時の保険金額)
解約返戻金 運用成績が良ければ増える/悪ければ減る
という関係性がある。
筆者自身、保険として考えるなら変額保険は決して悪くない選択肢だと思っている。
通常の終身保険など、今の低金利下では「ほとんど増えない」ので、それよりは変額終身保険の方が良いだろう。
ただ、この変額終身は他社の同種の商品に比べると、だいぶ落ちる。
そのあたりを解説していきたい。
弱点1 運用先が選べない
まず、通常の変額終身保険について解説したい。
普通の変額終身保険では、運用先については契約者が決める。
だいたいは、
・国内株式
・海外株式
・国内債券
・海外債権
・不動産(REIT)
・ミックス型(保険会社にお任せ)
などがあり、契約者は自分が取れるリスクの範囲で、投資割合を決める。
例えば、
・海外株式50%
・不動産30%
・ミックス型20%
というような具合だ。
対して本商品では、このような選択肢がなく、ミックス型(保険会社お任せ)の一択。
変額終身の醍醐味は「運用先を自分で決められる」ということであり、この選択肢があることで、リスクを回避できたり、資産を増やしたりすることができる。
例えば、株価が異常に高い価格をつけている時(わかりやすく言えば今のような状況)に、
「なんか雲行きが怪しいな・・・暴落に備えて安全策を取ろう」
そう思って、ユニット(変額保険における資産の単位)を国債などに変えておく。
国債なら、ほとんど上がりもしないかわりに、下がりもしないので、要は「ほぼ現金化した」ようなものだ。
そして、実際に大暴落が来た時に、手持ちの国債ユニットを、安くなった株式ユニットに交換する。
このようなことで、リスクを回避し、運用成績を上げることも可能なのだ。
が、本商品では全て保険会社任せなので、そのようなことが出来ない。
変額保険の魅力である「自分で決める」ことが出来ないのは、他社の同種商品と比較して大きなマイナス。
弱点2 運用成績がしょぼい
だが、こう考える人もいるのではないだろうか?
「自分で決めろと言われても良く分からない。プロにお任せした方が良い」
これも一つの意見だろう。
そもそも銀行の窓口で保険相談をするような人は、高齢者などが多く、このような方々は金融知識には疎いので、それも仕方がない。
本商品もそのあたりのニーズを受けて、
「お任せ下さい!!」
という仕様になっているのだろう。
が、その結果がしょぼすぎる。
冒頭でも、本商品は名前ごとに、以下の金融機関で取り扱っていることに触れたが、
ささえる終身 … 埼玉りそな銀行、りそな銀行、関西みらい銀行
変額終身保険PG … 静岡銀行、南都銀行
それぞれの運用対象と、運用会社は以下のようになっている。
取扱商品:ささえる終身
ファンド名:グローバル9資産バランスファンド
運用会社:りそなアセットマネジメント株式会社
運用対象資産:株式(日本、先進国、新興国)、債券(日本、先進国、新興国)、リート(日本、先進国)
運用手数料:年0.27%(税込)
その他保険契約関係費:年0.75%
取扱商品:変額終身保険PG
特別勘定名:世界8資産バランスファンド
運用会社:三菱UFJ国際投信株式会社
運用対象資産:株式(日本、先進国、新興国)、債券(日本、先進国、新興国)、リート(日本、先進国)、短期金融資産
運用手数料:年0.27%(税込)
その他保険契約関係費:年0.75%
運用会社が、ささえる終身で「りそなアセットマネジメント」、変額終身保険PGで「三菱UFJ国際投信」となっている。
こうして裏側を見ればなんのことはない。
りそな銀行系(関西みらい銀行もりそな銀が親会社)で販売されている「ささえる終身」の裏側の運用は、りそなの子会社であるりそなアセットマネジメントが請け負っており、三菱UFJと親密な関係の、静岡銀行、南都銀行で販売されている「変額終身保険PG」は、三菱の子会社である三菱UFJ国際投信が請け負うという構図。
りそなの窓口で勧められたPGF生命の商品、しかし、そこで預けた保険料はりそなの運用子会社がやるということで、銀行からすれば2度美味しい。
販売した段階で、PGFから販売手数料を受け取れて、そして子会社もPGFから運用手数料を受け取れる。
こういう仕組みになっている。
参考コラム:変額保険の「ファンド」を超解説!!インデックスとは?アクティブとは?
まあ、それでも運用結果が良ければ誰も文句は言わないが、以下が結果。
ささえる終身のユニットバリュー推移
スタート 2017年6月 100
→ 2020年11月10日 102.5(本原稿執筆時)
変額終身保険PGのユニットバリュー推移
スタート 2016年12月 100
→ 2020年11月10日 112.2(本原稿執筆時)
まあ、どちらも大したことはない。
例えば変額で有名なソニー生命などであれば、株式のユニットでこの4,5年で+30%、40%程度の上昇があるので、それらに比べればこの2つの商品の運用がいかに低レベルか分かる。
三菱系の「変額終身保険PG」の方は100→112.2と、まだ「それなり」だが、「ささえる終身」の方などは100→102.5とほとんど増えていない。
この4,5年は株式も上昇トレンドが続いていたので、そのような市場の中で、この結果は・・・
ショボい
としか言いようがない。
理由は、どちらのファンドも資産のほぼ半分を債権に振り分けて、ほぼ資金を固定しているから。
そのため、株高のメリットをあまり受けられず、減りはしないけど、さほど増えもしない。という冴えない結果になるのだろう。
また、他の保険会社の変額の「お任せプラン」であるミックス型などでは、月に1度程度は資産の組み換えをしているが、本商品はほとんど資産構成をいじっている形跡がない。
任せて下さい、と言うなら、プロらしく、臨機応変に柔軟に資産を組み替えて、しっかりと結果を出して欲しいものだが・・・・
変額保険としてはかなり物足りない。
筆者なら、「お任せ」するにしてもソニー生命やあんしん生命、マニュライフ生命など、「ちゃんと運用」してくれるところにする。
弱点3 銀行から入る必要があるか?
そもそも論だが、何故に銀行の窓口で保険に入るのか?
餅は餅屋。
保険会社からダイレクトに入れば良いではないか?
特に本商品は、銀行が窓口で保険商品を紹介されて、その運用はその銀行の子会社がやる。
もう訳が分からない。
資金がぐるぐるまわって、その都度手数料取られて・・・
穿った見方だが、自分の銀行傘下のファンドをを売りたいがために「保険」を装っているだけのようにも感じる。
また、銀行で保険に入るデメリットの一つに
担当者がコロコロ変わること
が挙げられる。
どうしても銀行員は、2,3年で移動していくので、本商品のように「息の長い商品」とは相性が悪い。
加入する時は一生懸命にフォローしてくれても、暫くすれば別の担当者となって、加入時の話は通じない。
担当者によってはちゃんと引き継ぎしていることもあるだろうが、正直、結構適当な引き継ぎが多い印象である。
特に変額保険は複雑な商品で、都度、運用成績などもちゃんとチェックしないといけないので、担当がコロコロ変わるのは痛い。
その点からはも筆者はしっかりとした保険のプロから入るべきだと思う。
比較した方が良い商品
ソニー生命 バリアブルライフ(変額保険 終身型) ★★★☆☆
プルデンシャル生命 変額保険(終身タイプ/一時払タイプ) ★★☆☆☆