この保険の弱点はここだ!マニュライフ生命「こだわり変額保険」

提供会社:マニュライフ生命

商品名:こだわり変額保険

この保険の弱点はここだ!!

参考コラム:変額保険の「ファンド」を超解説!!インデックスとは?アクティブとは?

注!! 行政処分により、保険業界での信頼が回復するまで一時的に星1つ評価としています。
    くわしくは保険会社総括を参照のこと!!(本来は2つ星評価)

筆者は変額保険にはややネガティブ。

運用など自分でやれば良い、という考えなので、色々と手数料が高い変額には否定的ではある。

だが変額保険の中だけで比較するなら、本商品は悪くない。と言うか、なかなか面白い。という感じ。

この商品は「ある期間まで積み立てる保険」で、一応は養老保険に分類される。

「65歳まで」もしくは「10年間」など、自分で期間を決めて、その期間「月〇万円」を貯めていく。

マニュライフ生命はそのお金を、契約者が指定したファンドで運用をしていくので、結果がどうなるのかは最後にならないと分からない。

洗濯が可能なファンドは以下の7種類

・世界株式アクティブⅠ型
・外国株式インデックスⅠ型
・世界バランスⅡ型
・グローバル・バランス75
・グローバル・バランス50
・米国債券型
・日本債券型

最終的な投資結果は、これらの中から自分で選んだファンドの運用成績次第ということ。

月1万円を20年間貯めるとすると、支払い総額は240万円(1万円×12ヶ月×20年)になるが、これが満期((20年後)に増えるか、減るかは、どのようなファンドを選ぶか、更にはそのファンドの運用成績がどうか、という点で決まる。

つまり、自己責任。

筆者の知人で、この商品が好きで「売りまくっている」という保険のセールスがいるが、彼女に話を聞くと

世界株式アクティブI型が良い

とのことで、実際のセールスの現場でも、これを推す声が多い。

ファンドの詳細を見てみると、まあ確かに面白いと言うか、なかなか玄人受けする内容だ。

実際に運用をしているのはフランス系の投資銀行である「BNPパリバ」

投資の世界では、米系のゴールドマンサックスと双璧をなす「何でもあり」の金融機関で、今となっては覚えている方も少ないだろうが、サブプライムローンに端を発したリーマンショックも、この会社の提供するファンドで「解約凍結((パリバが「サブプラムの価値が低下する」と予測し、自社のファンドを解約できないようにした)」を実施したことが、引き金となって発生した。

まあ、良くも悪くも「剛腕な会社」である。

で、このパリバがマニュライフ生命の顧客用に作って、運用を行っているファンドが「世界バランスⅡ型」

投資判断はAIが行い、その日、その日の諸々の指標に応じて、株式、債券に売り買いをかけていく。

その成績自体は別に目を見張るものでもなく、成績だけで言えばソニーの変額の方がよっぽど良い。

が、このファンドの特徴は「緊急ブレーキ」があること。

例えば先のコロナ禍による大暴落が記憶に新しいが、相場では5~10年に一回、大きく下落することがある。

リーマンショック、ITバブル崩壊、チャイナショックなどなど。

このような時に、株式一辺倒のファンドは弱い。

ファンドの価値も市場の下落と連携して下がってしまう。




しかし、この世界バランスⅡ型は、そのような時に、資産を安全な債権に「緊急避難」させ、市場の暴落を避けるような仕様になっている。

なお、これだけを聞くと「素晴らしい!!」と思うかもしれないが、株式→債権に資産移転を行えるのは、最大で1日10%まで。

つまり、全ての資産を「債権化」するまでには最短でも10日程度要するので、その間に大暴落が発生すれば、当然価値は下がる。

しかし、それでも100%株式で運用しているファンドよりは「マシだろう」ということで、要はファンド自体に保険がかかっているような感じだ。

これらの作業を、人が判断することなく、AIが自動的に行うことが売りだ。

だが、その分、手数料(運用関係費)は高い。

・世界株式アクティブⅠ型  年率0.61%
・外国株式インデックスⅠ型 年率0.25%
・世界バランスⅡ型     年率0.85%
・グローバル・バランス75   年率0.36%
・グローバル・バランス50   年率0.28%
・米国債券型        年率0.53%
・日本債券型        年率0.25%

最も手数料が低い日本債券の0.25%と比較すると、三倍強である。

が、ここまでのセールストークを聞いていると「フムフム、なんか良い気がする」と思うかもしれないが、実際の運用成績は現時点では世界バランスⅡ型が一番悪いという笑えない結果に。

2020年10月時点でユニットの単価は84前後。

ユニット単価は開始時に100から始まるので、ファンド全体では「損している」ということになる。

恐らく、仕様が複雑であるため、今の乱高下をする市場にAIがアジャスト出来ていないのではないだろうか?
(単に予測に過ぎないが、コロナショックでAIが資産を債権化してしまい、その後の株価上昇にうまく乗れなかったのでは?と)

逆に、今の時点で最もパフォーマンスが良いのは「株に75%、債権に25%」を投資するグローバル・バランス75。

コロナショックで一時期は大幅に低下したものの、その後の株価の急回復を受けて今は元に戻っている。

では、グローバル・バランス75に投資をすれば良いのか?となると、そうとも言い切れない。

人によっても見方は様々だが、今の株高、筆者自身はバブルだと思っている。

これだけ実態経済が落ち込んでいるのに、株だけが高値で、正直不気味ですらある。

このような中で「高値」を付けているグローバルバランスが、今後も買いなのか?それとも、今は値を下げている世界バランスⅡ型の方が良いのか?

何とも言えない。

筆者なら、今のところは比較的安全な米国債券にでもしておいて、ドカッと下がった時にグローバルバランス75か、世界バランスⅡ型に切り替える戦略で行くが、それとてはっきり言って自信はない。

今の相場で「将来はこうなる」と言い切れる人などいないだろう。

やはり自己責任である。ということは肝に銘じないといけない。

以上、ここまでが変額の中心であるファンドの説明。




次に本商品の特徴である「利益確定機能」の話にうつる。

これは、支払った金額の総額を返戻金が115%~150%(自分で設定する)を超えた時、全てのファンドを売却し、自動的に利益を確定してくれる、という機能。

例えば、毎月2万円を支払っている人が、

「私は3割も増えれば御の字。もし130%を超えたら、それ以上は望まないので、利益を確定して欲しい」

と思ったとする。

そして15年後、支払い総額は360万円(2万円×12ヶ月×15年)、仮に今ファンド(ユニット)を全て売却すれば、日本円で470万円(約130%)になっている時にはコンピュータが自動で全てを清算し、470万円の一時払終身保険に換えてくれる。

一時払終身保険とは、簡単に言えば470万円を預けて、死亡した時には500万円の保険金がおりる保険で、ちょっとした保険がついた預金だと思えば良い。

つまり、本人が望む130%に達した段階で、一切の運用をやめ、現金にしてくれるということだ。

少しの利益で良ければ115%を、大きな利益を望むなら150%を指定すれば良いし、更にそれ以上なら「指定しない」ということも可能になっている。

これらの機能は銀行の窓口で販売されている一時払系の商品に用意されていることが多いが、毎月払いの商品では珍しい。

なお、この機能は10年経過後から「発動」されるので、スタートしてから10年間はいくら運用成績が良くても、自動的に現金化してくれることはない。

以上、商品の特徴を説明した。

では弱点の話。

弱点1 保険が必要か?

本商品は投資的な意味合いが強いが、それでも「保険」である。

保険金は、イコール支払った総額。

毎月1万円を20年間支払う契約であれば、支払総額の240万円がそのまま死亡保険金となる。

つまり、スタートして1ヵ月以内に死亡した場合、1回目の保険料1万円しか支払っていないが、240万円の保険金が受け取れる。(本人は死んでいるので、「遺族が」だが)

この「保険」がついていることで、その部分のコストが毎月の保険料から引かれる。

例えば1万円を支払っても、20~30%程度は保険のコストとして徴収され、その「残り」が運用にまわるわけだ。
注:これらのコストを保険関係費と言う。どの程度取れるかは、年齢、性別、保険期間などによっても異なる。

ここは重要なポイント。

変額保険に入っている方で、自分が投資した金額がまるまる投資されていると思っている方がいるが、それは違う。





いくら運用成績が良くても、そもそもが自分が支払った金額の7,8割しか投資されていないのだから、元本を回復するまでにはそれなりの時間を要する。

つまり、純粋に投資をしたいのであれば、変額保険ではなく株の現物やETF、投資信託を買うべき。こちらであれば支払った金額のほぼ100%が投資に充てられるのだから(投資信託などでは手数料を取らられることもあるが、0.*%程度の話)

本当に保険部分が必要なのか?

という点については、しっかりと考えた方が良い。

筆者の個人的なスタントしては、投資と保険は分けるべきと考えている。

保険はなるべく安い掛け捨てで賄い、投資は投資で自分に合ったものをやった方が良い。

何故か?その理由が弱点2となる。

参考コラム:変額保険の「ファンド」を超解説!!インデックスとは?アクティブとは?

弱点2 途中でやめられない(自由度が低い)

本商品は保険なので、解約返戻金が立ち上がるまでに結構な時間がかかる。

これは保険会社の事業モデルによるもの。

保険は保険会社からすると販売した段階では、「赤字」で始まる。

その契約をしてもらうために、その前に様々なコストが発生しているからだ。

まず、契約締結のための事務費、そして募集をした代理店などに支払う販売手数料など。

これらがスタート時点で「出ていく」ので、保険会社としてはそれを当初数年間で回収しないといけない。

そのため、多くの保険商品ではスタートしてから数年(だいたい10年くらい)は、支払った総額より解約返戻金の方が少ない。

そのため、当初10年くらいは解約できないのである。

無論、別に解約することは自由だが、大抵の場合、損をしてしまうので、特に変額の場合、貯蓄が目的でもあるのでそんな馬鹿なことをする人は少ない。

10年程度の期間、手足を縛られてしまう。

これは投資においては痛い。

そのため、前項で説明したように「半分は保険で入っている」という感覚であれば良いが、投資がメインなのであれば、自由度が低い変額はやめたほうが良いだろう。




弱点3 加入時期、他の選択肢を考えてみては?

今、変額保険が良いか?と言われると、正直、微妙だと思う。

やはり全体的に株式がバブルの様相を呈しているので、高値掴みになりかねない。

もちろんここから一段と上がる可能性もなくはないが、実態経済がここまで落ち込んでいる状況からすると、筆者はややネガティブに見ている。

今、急いでやる必要もないし、仮にやるなら、今の段階では「様子見」で、日本債券や海外債券などの安定したものに入れておいた方が良いかもしれない。

そして、株が下がったタイミングで、全ての資産を株式型(世界バランスⅡ型グローバル・バランス75など)に振り分けても良い(スイッチングと言う)

また、投資をしたいなら、idecoやNISAなども良い。

特にidceは支払った金額が全額控除されるので、節税的なメリットも大きい。

法人利用の場合の注意点

本商品、最近、法人の福利厚生プランにて採用されるケースが多い。

商品自体の評価は☆2つだが、法人での福利厚生の利用なら、筆者はかなり高い評価をしている。

保険料の1/2が損金で処理出来るため、半分経費で投資信託を買っているようなもので、メリットはかなり大きい。

投資の方針としては、

1 長い目で見て株式市場の上昇を見込み、初めからバランス75、バランス50、もしくはアクティブⅠ型などの投資していく

2 とりあえず資金は国内債権や海外債権に入れておき、◯◯ショック(リーマンやコロナ)などで、株価が急落した時に、それまで貯めておいた資金をバランス75、アクティブⅠ型などに全額スイッチ(買い替え)する

のどちらかだろう。

筆者としては2の方を勧めているが、相場観のない経営者や、途中でスイッチするのが面倒というような人は1の方が無難。

毎年保険料の1/2を損金で落とせて、更には10年、20年というスパンで考えればそれなりには増えるだろうから、「全く増えない」円建ての養老保険などで福利厚生プランを組むよりはよっぽど良いと思う。

以上の話は、会社で加入する場合であり、個人の契約者には無関係。

法人での保険加入の相談をしたい場合は「info@hokenmatome.net」まで。

口コミ

30代男性さんからの口コミ

知り合いの保険屋さんに勧めれ、2020年に加入しました。現在独身で、保険としては自分が死んだ後に迷惑がかからない程度あれば良いと思っています。そのため500万円のプランに入りました。

円建やドル建などのプランも比較しましたが、将来性という意味ではグンを抜いてこの商品に魅力を感じております。

こちらの記事で書かれている通り、運用として考えるのであれば投資信託を買えば良いのですが、私の場合、多少なりとも保険も欲しいので、そのような人には良いのではと思っておりますが、いかがでしょうか?

ちなみに入った時には急落していたアクティブⅠ型というものに全額投資をし、今はほぼ倍になっています。

ただ、自分が買ったユニットが倍になったからといって、すぐに解約返戻金が倍になるわけではなく、保険屋さんの話では「当初は純粋な保険の部分のコストが高いから、それを払い終わるまでは返戻金はなかかな上がらない」との説明を受け、分かったような、分からないような、という感じです。

長い目で見れば下がる時も上がる時もあると思いますが、少なくとも仕事を辞めるまでは放っておく予定です。

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比較検討した方が良い商品

ソニー生命 変額個人年金保険 (無配当) ★★★☆☆

参考:積立・貯蓄・資産運用にかかわる商品について
他社の終身保険の☆評価一覧は、コチラ
他社の外貨建終身保険の☆評価一覧は、コチラ
他社の積立・年金保険の☆評価一覧は、コチラ
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編集後記:約款