提供会社:ソニー生命
商品名:三大疾病収入保障保険
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この保険の弱点はここだ!!
変わった商品だなとは思うが、筆者は本商品、嫌いではない。
本商品は、以下の4つの場面で役に立つ保険。
1 がん がんと診断されただけでOK
2 急性心筋梗塞 手術 or 60日以上の労働制限
3 脳卒中 手術 or 60日以上の後遺障害継続
4 死亡 但し、保険金は年金1年分のみ
上記に該当した際に、年金を受け取れるのだが、年金の支払い期間には60歳や65歳など長期間支払うⅠ型と、5年で終了するⅡ型がある。
実際の契約例をパンフレットから転記してみよう。
Ⅰ型 加入 35歳 男性 年金額120万円 保険期間 25年(60歳まで)
この場合、例えば40歳で脳卒中になり手術をすれば、その後60歳になるまで毎年120万円を受け取れることになる。
その総額は120万円×20年(40歳から60歳まで)で2,400万円となる。
対してⅡ型の場合は、5年で給付が終わるので、120万円×5年=600万円。
Ⅰ型の方が保険金が多いので、Ⅰ型の保険料は5,076円なのに対して、Ⅱ型は3,614円と割安に設定されている。
なお、Ⅰ型、Ⅱ型ともに死亡時には年金Ⅰ年分、つまり120万円が保険金として支払われる。
医療保険のオプションで3大疾病一時金というようなものがあるが、それの「年金方式&豪華版」だと思えば分かりやすい。
また、がんや脳卒中で「働けなくなった時」の備えにもなるので、就業不能保険の機能も持っていると言える。
他社で同様のものは見たことがないので、ソニー生命のオリジナル商品と言って良いだろう。
但し、類似商品では特定疾病保障型終身保険(もしくは特定疾病保障型定期保険)というものがある。
特定疾病保障型終身保険は、ベースとしては死亡時に保険金を支払う終身保険なのだが、そこに三大疾病の保障を上乗せしたもので、がん、急性心筋梗塞、脳卒中のときにも保険金が支払われる。
支払い条件も、本商品と同じ。
そのため、本商品は特定疾病保障型終身保険から死亡保障だけをスケールダウンして(本商品では死亡時には年金1年分しか払われない)、かつ、支払い方式を年金方式にしたようなイメージだろう。
使い方としては、筆者が思うのは以下の3つ。
・医療保険の上乗せ
但し、保険料もそれなりに高いので、高収入者向け
・医療保険の代わり
短期の入院などは自分で何とかするが、重い病気の時だけカバーしたいというような方向け。それでも医療保険よりは保険料が高くつくので、やはり高収入者向けか?
・就業不能保険の代わり
3つの病気だけに限定はされてしまうが、がん、脳卒中などで「働けない状態」になった時には有効
以上、商品概要。
では弱点の解説に移りたい。
弱点1 ちょっと豪華すぎ
保障としては悪いものではないのだが、ちょっと豪華すぎというか、過剰と言うか。
例えば、本商品ではがん、急性心筋梗塞、脳卒中で年金が払われるが、一度対象になるとずっと年金が続く(Ⅰ型は長期、Ⅱ型は5年だが)
がんで入退院を繰り返したり、脳卒中で麻痺が残るような「重症」であれば、本商品から受け取れる年金はかなりありがたいのだが、がんであれば1ヶ月程度で退院して、すぐに社会復帰する人が多数だし、急性心筋梗塞、脳卒中でも処置が早ければ、10日程度で退院して、何の後遺障害も残らないことも多い。
そのような場合でも、本商品は年金が支払われる。
年金が貰えばそれはそれで嬉しいだろうが「必要性」という点では乏しい。
また保険料も掛け捨ての割には「結構高い」ので、前項でも述べた通り、この商品に入る人はかなりリッチな人に限られるのではないか?
弱点2 就業不能保険の代わりにはならない
実際のところ、就業不能になる理由の1位、2位はがんと脳卒中なので、本商品でそこの部分はカバーできているのだが、交通事故やスポーツ中の怪我で半身麻痺になったり、病名すら聞いたことがない難病などで働けなくなったり、就業不能状態にはホントに色々なケースがある。
そのような時に、本商品は何の役にも立たず、「様々なケースに対応する」という点では就業不能に特化した専用商品の方が良い。
また、前項でも述べた通り、本商品は一度対象になると、契約者が元気になったとしてもずっと年金が続くが、就業不能保険は一般的に年金が受け取れるのは「働けない間だけ」で、元気に社会復帰したら給付も停止される。
この両者を比較した場合、契約者からすれば「ずっともらえる」方が良いに決まっているのだが、その分、保険料も高くなってしまう。(弱点1で述べた通り)
対して、就業不能保険は「働けない間だけの給付」なので、保険料が安い。
ここまでは「就業不能になったら」という前提で話をしてきたが、当然ながら、ならない可能性の方が高いので、そうなると支払ってきた保険料は完全に捨てることになる。
そう考えると、「本当に困った時のために安い保険料(就業不能保険)に入っておけば良くない?」という気もする。
弱点3 Ⅰ型では死亡したら年金は終わり
Ⅰ型の場合、年金は死亡した段階で終了する。
対してⅡ型は5年間は生死に関係なく年金が支払われる。
弱点というよりは、商品の仕様の話だが、仮にⅠ型に入っていて、2年で死亡してしまえば、受け取れる年金はⅡ型より低くなってしまう。
保険料はⅠ型の方が高いのに、これは「なんだかなぁ」という気がする。
せめて「最低5年は払う」というルールでないと、何となく納得感がない。
この保険の弱点、こう考えろ!!(解決策)
保障内容としてはかなり豪華で、実際に3大疾病を経験した時には、「この保険に入っておいて良かった・・・」と心から思うだろう。
だが、反面、保険料は掛け捨てにしては高い。
コスト重視なら、医療保険の三大疾病一時金や、就業不能保険などを選んだ方が良いだろう。
もしくは、もう少し予算を増やして死亡も対象になる特定疾病保障型終身保険の方が良い。
これなら「貯蓄型」なので、お金を無駄に捨てることはなくなる。
しかし、こちらにも弱点がある。
支払った保険料に対して、保険金が少ないのである。
たとえば、本商品の場合、35歳男性で年金120万円60歳の場合、保険料は5,076円。
これで理論上は最大3,000万円の保険金を受け取れることが出来る。
(35歳で加入してすぐに支払い対象になった場合、年金を25年受け取れるため)
しかし、特定疾病保障型終身保険で3,000万円の保障を用意しようとすると、毎月7,8万円は支払うことになり、現実的ではない。
貯蓄型であるが故、保険料が高いのである。
その点、本商品は
・大きな保障を
・終身保険よりは安い保険料で用意出来る(それでも掛け捨てにしては高いが)
というのが利点。
この点を理解して「掛け捨てにしては多少高いが、3大疾病の時には役に立つから」と思える人が入る保険だろう。
だが、やっぱり経営者などが入る「お金持ち向け商品かな?」とは思う。
比較した方が良い商品
死亡時+3大疾病で保険金が支払われる特定疾病保障定期保険がライバルとなる。
但し、本商品の方が死亡保障が少ない分(年金1年分)、保険料は割安。
オリックス生命 特定疾病保障保険With(ウィズ) ★★★☆☆
ソニー生命 リビング・ベネフィット20( 特定疾病保障型定期)★☆☆☆☆
もしくは保険料が高くても良いのであれば、特定疾病保障型の終身保険でも良い。
本商品が掛け捨てなのに対して、貯蓄型なので、「いつかは」支払った以上の保険料が戻ってくる。
ドル建であれば、利率も高い。
ジブラルタ生命 米国ドル建特定疾病保障終身保険(低解約返戻金型) ★★★★☆
ソニー生命 リビング・ベネフィット20(米ドル建生活保障・終身型) ★★★★☆
オリックス生命 特定疾病保障保険With(ウィズ) ★★★☆☆
ソニー生命 リビング・ベネフィット20(特定疾病保障型終身) ★★☆☆☆
編集後記