この保険の弱点はここだ!大樹生命「大樹セレクトシリーズ」

提供会社:大樹生命

商品名:大樹セレクトシリーズ

この保険の弱点はここだ!!

大樹生命とは、旧三井生命のことで、2015年に日本生命に買収された影響で2019年に改名を行った。

改名により「大樹生命」という新興の保険会社だと勘違いしている人も多いが、大樹生命=三井生命であり、100年以上の歴史を有する中堅保険会社である。

さて、本商品「大樹セレクト」は大樹生命の看板商品であり、業界では「総合保障」とか「パッケージ型」などと言われる。

死亡、医療、介護、就業不能など、各分野の商品は「パーツ化」されており、その中から自分の好きなものを選ぶ。

ファミレスを想像すると分かりやすい。和食(収入保障)、中華(医療保険)、洋食(貯蓄系)、メニューには色々なものがラインナップされているが、味も価格も「そこそこ」という感じ。

対して、外資や新興系の保険会社は専門店のようなイメージ。

和食(収入保障)なら、それだけを提供しており、保険料もかなり低価格に抑えている。

やはり、個々のパーツで比較してしまうと、かなり負けている部分が多い印象。

このあたりの事情は、以下コラムでも解説している。

参考コラム:古い日本の保険会社が提供する「パッケージ型商品」総論

各分野のパーツをざっと挙げてみると、以下のようになる。

■ 死亡分野
・収入保障保険
・定期保険
・終身保険
・災害割増
・傷害特約

■ 医療分野
・日額給付(1日5,000円など)
・入院一時金
・先進医療特約
・がん治療サポート(がん診断一時金)
・がん医療特約(がんで入院した時に日額を上乗せ+1日10,000円など)
・生活習慣病特約(生活習慣病で入院した時に日額を上乗せ+5,000円など)
・女性疾病医療特約(女性特有の病気で入院した時に日額を上乗せ+5,000円など)
・怪我の保障
・がん以外で内蔵に対して手術を行った時の保障
・災害入院

■ 生存給付系
・就労不能保険
・3大疾病一時金(ワイド版と通常版がある)

■ 介護保障系
・介護年金
・介護一時金

■ 積立(貯蓄)
・積立保険

■ その他
・払込免除

また、大樹生命独自の「健康自慢」という名の割引制度がある。

内容は「これでもか」とばかりにごちゃごちゃしている上、「何をメインにするか?」、「保険の対象が一般男性か?女性か?子供か?」によって、以下のように商品名を使い分けている。

女性向け → 大樹セレクト お守りジェンヌ
子供向け → 大樹セレクト お守りキッズ
就業不能メインの構成の場合 → 大樹セレクト 働く人の応援ほけん
医療保障メインの構成の場合 → メディカルV
医療保障メインで、かつ女性の場合 → メディカルジェンヌ
医療保険メインで、かつ子供の場合 → メディカルキッズ
がん保障メインの場合 → 大樹セレクト がんのほけん
介護系メインの場合 → 大樹セレクト 介護のほけん
ボーナス付き保険 → 大樹セレクト お守りプラス
ボーナス付き保険、かつ女性の場合 → 大樹セレクト お守りジェンヌプラス
ボーナス付き保険、かつ子供の場合 → 大樹セレクト お守りキッズプラス

わざとやってんだろ?

そう突っ込みたくなるくらいややこしい。

旧知の大樹生命の人間に「これ?内部の人間はちゃんと理解してるんですか?」と聞いたことがあるが、

「本社の企画部門の人間が色々と『コンセプト』を作ってネーミングしてるけど、大樹セレクトは大樹セレクトよ。」

と素っ気ない反応だった。

と言うことで、彼女の言葉を借りれば、これら全ては「大樹セレクト」ということで良いようだ。

実際の現場では、死亡、医療、がん、介護、就業不能などの「各保障分野」を縦軸、「一般男性」、「女性」、「子供」を横軸にして、それぞれのマーケットにあったパンフレットが用意されているようで、それらを区別するために「一応ネーミングがある」ということだった。

「まあ、名前なんてどうでも良いのよ。大事なのは中身だから」

とも言っていたが、まさにその通り。

実際、本商品、パッケージ型としては、そこまで悪くはない。

目立った弱点はそれほどなく、ファミレスだとしても他のパッケージ型を提供している「古くて大きい」保険会社(日本生命、第一、明治安田など)に比べると、結構頑張っている印象を受ける。

保障内容も、各パーツを磨いており、専門店に比べてもさほど見劣りしないように仕立てられているようだ。

という事で、ぱっと見の出来は悪くないというのが筆者の感想。

とは言っても弱点はある。




弱点1 大樹生命を選ぶ理由がない

これ、本当に申し訳ないのだが、実際のところ本音でもある。

「悪くはない」とは言え、特に特徴があるわけでもない本商品。しかも中堅生保である大樹生命をすすんで選ぶ理由はない。

昔の話で恐縮だが、日本生命の買収される前の三井生命は格付けが国内生保で最も低く(確かBBB)、業界内でも

「もしかして危ないかも・・・」 

と囁かれていた。

現状、日本生命という国内最大の保険会社がバックについたことで、それらの信用問題は消し飛んだが、それでも、大樹生命というマニアックな選択をする根拠はかなり弱い。

唯一あるとすれば「人」だ。

筆者も大樹には知り合いが多いが、三井生命時代の辛酸は相当なもので、どこにいっても格付けの話をされて「会社大丈夫なの?」などと露骨に聞かれる経験をしている方が多い。

また、一応は中堅生保に位置するが、中堅でもかなり「下の方」という扱いなので、普通であればトップブランドである「三井」の名前を冠していながら、なかなか厳しい扱いを受けてしまうのである。

そのため、かなり気合の入ったTHE営業の昔ながらのセールスレディーが多い。

保険の内容どうこうより「人間力で勝負する」タイプで、懐に飛び込んで「この人以外から保険には入らない」というような熱烈な信者を作る。

あくまで筆者の感想だが「営業力」だけなら、他の大手より一枚上のような印象を持っている。(同じようなことは、他の中堅「朝日」、「フコク」などにも共通している)

会社に信用がない分、人の信用でカバーしているのだ。

そのため、そのような人間力に惚れて入るのであれば、良いかもしれない。

パッケージ型は、かなり複雑なので、設計する人の力量がそのまま出る。

そのため、新人などがパッケージ型を扱うと、「ピントがずれている上、ごちゃごちゃと色々なものが盛り込まれ過ぎている」プランが出てくることが多い。

カツカレー大盛、チーズトッピング、温玉、ハンバーグ&エビフライ載せ

そんな感じの設計書を何度も見ている。

見ただけでゲップが出そうな「てんこ盛り」で、おそらくは設計している本人も内容を分かっていない。

そんなことが実際にあるのだ。

だが、経験豊富で、かつちゃんと商品を勉強しているベテランであれば、ポイントをついて説得力のある設計をしてくる。

大樹にはそのような人が結構多い。(ただし、人間力だけで勝負し、商品知識ゼロの人も結構いる 笑)

要は担当者次第ということ。

逆に言えば、大樹生命にはそれ以外の魅力が乏しいということ。




弱点2 保険料は高め

これはパッケージ型では仕方がない部分もあるが、やはり保険料は総じて高め。

例えば本商品の収入保障保険だが、割引制度を使えたとしても、やはり「保険料の安さ」で勝負するFWDとか、はなさく、ひまわりなどと比較してしまうと勝負にならない。

内容そのものは他社とそこまで差はないが、保険料で比較すると総じて高めにはなる。

ただし、ちょっとだけフォローすると、他社、日本生命とか明治安田とかのパッケージ型に比べると「ちょっと安い」

このあたりはネームバリューの差を考慮してのことだろう。

大手よりは安いけど、新興系よりは高い

何とも微妙な立ち位置で、これも前項の話と同じで「担当者が良い人で、この人ならと思えるなら」という感じ。

割高な保険料だと理解した上で、人間感で保険を決めるのであれば良いが、保険料重視なのであればこの商品はやめた方が良い。

参考コラム:「お付き合い保険」の断り方と「お付き合い保険」に入るメリット

弱点3 上皮内がんの保障が弱い

本商品では、がんになった時に一時金を受け取れる特約(ワイドガード、ナイスガード)がいくつか用意されているが、上皮内がんの場合の一時金は、がんの1/10(10%)に設定されていることが多い。

がんで一時金500万円なら、上皮内がんは50万円ということ。

他社では、上皮内がんでも、通常のがんと同額という保障内容が多いので、この点は劣っている。
注:医療保険分野の「がん治療サポート特約」では、上皮内がんでも、通常のがんと同額が受け取れる。

弱点4 収入保障保険の保険金受取方法に柔軟性なし

収入保障保険では「死亡時に毎月10万円を65歳まで」という形で保険金を受け取れるが、他社では

死亡直後に

「とりあえず300万円(お葬式代など)欲しい」

というような要望をして、本来であれば年金で受け取る分の一部を前払いしてもらうことが可能。

そして、残りは

9万円(本来は10万円だが、前払いで300万円を受け取ったため減額)を65歳まで

というような形になる。

また、9万円をもらっている段階でも都度「一時金」を請求することも可能(その分、年金は安くなる)

しかし、本商品では

・死亡時に全てを一時金で受け取る

・年金で受け取る(毎月 or 1年分まとめて)

のどちらかしか選択出来ない。

また、一度、どちらかを選択すると、以後変更も出来ないので、他社に比べて柔軟性がない。

この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)

繰り返しになるが、本商品に入るか否かは「人による」と言える。

大樹生命にはブランド力はないし、保険料が安いわけでもなく、商品自体に「これでないと!!」というほどのインパクトも特徴もない。

本商品を買うということは、すなわち担当者を買うということになるだろう。

しっかりフォローしてくれて、いざという時に逃げない。

そんな担当であるなら、入っても良いと思う。

保険料は多少高いが、保障内容としてはそこまで劣る点はない。

なお、ここまで悪口ばかり書いてきたが、筆者自身は「弱小大樹生命」は大好きで、個人的にもある保険に1本入っている。

もう20年以上継続していて、その担当者は今でも現役。

たまにお茶をするくらいだが、業界の先輩として色々貴重なアドバイスを頂戴している。




口コミ・評判(販売側から)

・まあ、弱いことは事実。でも大手に負けないように商品自体は結構磨かれていると思っている。同じものを提供していたのでは負けてしまうので、ちょっとだけ「ひねった」ところが多い。それをどれだけ上手く伝えられるかが勝負。特に就業不能の保障(くらしガード)は保障内容も良いので、最近はここから話を組み立てている。「働けない」という、ある意味では死ぬより辛い状況をしっかり話して、そこで信頼してもらえれば医療などはオマケで自然に付いてくる。

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口コミ・評判(契約者から)

・なし

比較検討した方が良い商品

パッケージ型商品について、当サイトではネガティブ。そのため総じて低評価である。

原則的には、それぞれの分野(死亡、医療、就業不能、貯蓄)ごとにベストなものを選んだ方が良いだろう。

だが、大手のブランド力に安心感を持つなら、以下の商品と比較してみると良い。

明治安田生命 ベストスタイル健康キャッシュバック ★★☆☆☆

明治安田生命 メディカルスタイル ★★☆☆☆

明治安田生命 メディカルスタイルJr. ★★☆☆☆

編集後記

約款

 

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