この保険の弱点はここだ!太陽生命「マイ贈与(米ドル・豪ドル)」

提供会社:太陽生命

商品名:マイ贈与(米ドル・豪ドル)
まごころの贈り物

この保険の弱点はここだ!!

本商品は太陽生命が提供し、主に証券会社が販売している商品。

大和証券の取り扱いが多いようだ。

一時払した日本円を、米ドル、豪ドルに換え、運用をしていく。

「マイ贈与」という商品名からもわかる通り、そのお金を子供や孫などの親族に、毎年「贈与」という形で渡していく商品だ。

メリットとしては

・米ドル、豪ドルで運用することにより、日本円より、運用益を期待できる

・毎年の贈与の手間が省ける

という2点が挙げられる。

また、贈与に特化した商品であるため、毎年、「贈与金額の自動調整機能(円建上限額指定特約)」のようなものがある。

贈与は年間110万円までは非課税であるが、本商品はドルで運用を行っており、毎年の贈与も「ドルベース」で決めなくてはいけない。

例えば、「毎年1万ドル(米ドル)を子供に渡す」という契約をしている場合、為替によって毎年の金額がずれてしまう。

1ドル100円であれば100万円だが、90円なら90万円、110円なら110万円という具合。

110万円以下であれば特に問題はないが、これが1ドル115円などになった時には、贈与額が115万円となってしまい、非課税枠の110万円をオーバーしてしまう。

そうなると、オーバーした分の5万円に課税されることになるのだが、課税そのものよりは、それらの申告が面倒臭い。

そのため、本商品では「110万円をオーバーした場合には、オーバー分は別途プールしておく」ということが出来る。

そして、このオーバー分は、逆に為替が円安(1ドル90円など)の時に、そこに上乗せしてくれる。

例:1ドル90円 贈与額90万円。ここに過去のオーバー分20万円を上乗せして、110万円にする。など

このような細かい機能もあり、親から子世代への資産移転(贈与)をスムーズにすすめてくれるための商品である。

では、弱点(デメリット)の解説に入ろう。

弱点1 ドルにしては低利率+初期契約手数料6%

まず結論から言うが、この商品には入らないほうが良い。

本稿を執筆している2020年9月時点の利率が米ドルで1.10%、豪ドルで1.0%。

外貨なのに低すぎる。

また本商品は初期の契約手数料として6%も取られてしまう。

例えば1,000万円を預けても、まず6%(60万円)の手数料を取られるので、この時点で940万円に減ってしまう。

この940万円がドルに換えられ、1.1%で運用されていくのだが、はじめに6%減っているので、単純計算でも、元本に戻るまでに6年はかかる。

しかも本商品は加入してすぐに「贈与」を始めるので、どんどん元本が減ってしまう。

1年目 940万円 ここから110万円を贈与 残830万円←これが1.1%で運用される。

2年目 838万円 ここから110万円を贈与 残728万円←これが1.1%で運用される。

3年目 735万円 ここから110万円を贈与 残625万円←これが1.1%で運用される。

要は、毎年、贈与分だけ元本が減るので、1.1%で運用されていく原資が少なくなってしまうのである。

効率よく運用されていない。ということ。




6%の初期手数料が高いか安いかは正直良くわからない。

本来、贈与などは自分でやれば良いだけだが、毎年贈与契約書などを作成し、お互いに印鑑をついてなど、面倒と言えば面倒でもある。

それを保険会社に「代行してもらう」のだから、タダというわけにはいかない。

例えば毎年100万円を10回贈与するために、1,000万円を預けるような場合、初期手数料は60万円(6%)なので、一回あたりは6万円ということになる。

「この6万円で諸々の面倒がなくなるのであれば良い」

と考えるか、

「6万円もかかるなら自分でやるよ」

と思うかは人それぞれだろう。

しかし、本商品は同時に外貨で運用をしてくれるので、

「初期手数料を支払ったとしても、最終的には増えてよかった」

というところを目指しているはず(本来は)

で、このコロナ禍だ。

アメリカ、オーストラリアともに経済対策として大規模な財政出動を行ったことにより、一気に金利が下がった。

この商品は米ドルの場合、米国債。豪ドルの場合、オーストラリア国債で運用を行っているので、その利率が下がれば、それに連動して商品の利率も下がってしまう。

その結果が1.1%。

これは外貨にしてはちょっと低すぎる。

前述した通り、初期手数料6%に対して、運用利率1.1%では、初期手数料分を運用益で稼ぐのに7.8年はかかる計算だし、さらには為替リスクもある。

今はタイミングが悪すぎる。

筆者の個人的な感覚では、せめて運用利率はせめて3%後半くらいは欲しい。




ちなみに、筆者ならそれでもやらないし、仮に親が「これに入る」と言ったら、「絶対やめろ」と言う。

理由は贈与なんて自分でやれば良いから。

確かに面倒ではあるものの、贈与契約書などはネット上にフォーマットが落ちているし、一度作れば、それを使いまわせば良いだけ。

そんな簡単な作業をわざわざ金を払ってやってもらう必要性を感じない。

運用も自分でやる。

米ドルで運用したいなら、証券会社で「既発外債」を買えば良い。

注:既発外債とは、過去に発行された米国債などが「中古」で出回っているもの。
新たに発行された米国債(新発外債と言う)は、なかなか個人が買うのは難しいが、既発外債なら比較的簡単に買える。

本商品は証券会社が販売しているのだから、同じ担当者に「既発外債で運用したい」と言えば紹介してくれるはず。

要は自分で運用して、自分で渡したい人に渡せば良い(贈与)というだけ。

1.1%などという低利率で、かつ初期手数料を取られてまで、為替リスクを背負う必要はないだろう。

弱点2 為替手数料が高い

本商品の為替手数料は1ドルあたり50銭。

ちょっと高いかな。という印象。似たような商品を扱っている他社では25銭のところが多い。

比較した方が良い商品

下記2つが同種の「贈与用」の商品。

しかし本商品と同じく「初期手数料を取られる」&「低利率」であるため、どちらもおすすめはしない。

ニッセイウィルス生命 生存給付金付終身保険 ★☆☆☆☆
別名:ニッセイ・ウェルス生存給付金付終身保険、プレシャスギフト、未来のバトン、賢者のギフト

三井プライマリー生命 やさしさ、つなぐ ★☆☆☆☆
別名:幸せの贈りもの、想いの架け橋、贈るよろこび

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