提供会社:T&Dフィナンシャル生命
商品名:生涯プレミアムワールド5
参考コラム:
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「超」わかりやすい!!予定利率と利回りの違い!!』
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この保険の弱点はここだ!!
T&Dフィナンシャル生命はT&Dグループの一社。T&Dは太陽生命と大同生命が中心になった保険グループで、日本では中堅グループという感じだろうか。
そのグループ内で、銀行の窓口や保険ショップで販売する商品を専門的に開発しているのが、T&Dフィナンシャル生命だ。
さて、本商品。
構成自体はシンプルで、
一時払いしたお金をドル(米ドル or 豪ドル)に変えて、決まった利率で運用する
というもの。
かなり多くの銀行で販売されているので、紹介されたことがある人も多い。
単純に運用したい、という人や、保険金の非課税枠(500万円×法定相続人までは保険金で受取れば課税されない)が欲しい、という人に人気がある。
毎年、増えた分を原資にプラスしていく「積立コース」と、増えた分を「お小遣い」のように受け取れる「定期支払コース」の2つがある。
また、オプションとして、
・保険金最低保障特約
死亡時に日本円で入れたお金だけは戻ってくる。
その代わり、利率が下がる。
・介護認知症年金支払移行特約
要介護1以上に認定された時に、払戻金の範囲で年金を受け取れる。
などが用意されている。
ライバル商品と比較しても「よく出来ている」という感じで、そつがない。
特に要介護1以上(要介護は数字が大きくなるほど症状が重いので、要介護1は軽い)で年金が受け取れるというのは、他社の同様のオプションより条件が緩いと言える。
また、当商品のサイト上にはかなり情報が集約されており、全体的に見やすく出来ていて好感が持てる。
弱点1 予定利率が低い
この記事を書いている2020年5月現在。
コロナの影響により、保険商品の利率はダダ下がりである。
特にこの商品のような「運用もの」が大きなダメージを受ける。
本商品の運用対象は米ドルであれば米国債、豪ドルであればオーストラリア国債である。
どこの国もコロナによる経済の落ち込みに対応するべく、緊急的に金利を下げているが、
金利低下 = 国債の利回り低下
となるので、国債で運用をしている保険会社はキツイ
特にこの商品は契約者から預かったお金でそのまま米国債(もしくはオーストラリア国債)を買っているようなものなので、国債の利回りがダイレクトに響く。
今(2020年5月19日現在)の実質利回りは
米ドル 1.13%
豪ドル 1.01%
となっており、これは他社と比較すると高い方ではある。
他社商品では、コロナが始まった途端、すぐに利率を下げて0.3%台まで落としたところもあるので、T&Dは
踏ん張っている
という感じだろう。
自社で抑えてある米国債・オーストラリア国債の「在庫」が結構多めにあるのかもしれない。
だが、やっぱり低いよね。という感は否めない。
わずか1,2年前までは3%台であったことを考えると1%は「かなり低い」し、為替リスクがあることを考えると、リスクとリターンが合っていないような気がする。
少なくとも筆者なら今は預けない。
本商品は「加入時の利率が続く」ので、このタイミングで入ると1%の利率が「固定」されてしまう。
米国経済も当分はダメだろうが、3,4年経てば復活していくるだろうし、そうなれば国債の利回りも上がる。
やるなら、それまで待っても良いのではないだろうか?
現時点では旨味なし、と言うしかない。
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弱点2 市場調整価格が結構きびしめ
本商品は「満期意外のタイミング」で解約すると「手数料」を取られる。
手数料には以下の2つがある。
1 解約控除率
2 市場価格調整率
解約控除率は、契約してから10年以内にかかる費用で以下のようになっている。(パンフレットより抜粋)
1年未満だと、解約しただけで6%ものペナルティとなるが、契約期間が増えるに従って率は下がっていく。
これに加え、市場調整価格率というのもあり、こちらの方が難しい。
ここでは、
・Aさんが予定利率2%の時に預けた
こんな例を参考にしよう。
数年後、解約をした。
その時の利率が1.0%だとする。
「その時の利率」とは、Aさんが解約を申し出た時に「新たに契約したら適用される利率」のこと。
Aさんが加入した時は2%だったのに、今から入る人は1%なのだから、条件が悪くなっているということ。
この状況でAさんが解約を申し出ることは、保険会社にとってプラスかマイナスか。
さて、どちらだろうか?
実はプラスである。
Aさん用に用意してあった米国債は2%のリターンを稼ぐものなので、Aさんが解約するということは、保険会社にその権利が戻ってくるということである。
対して、今のお客さんは1%のリターンで良い。
Aさんから返してもらった債権は2%。
それを今の客に横流しするだけで、保険会社は1%の「利ざや」を稼げる。
「いやー、すいませんね。2%の好条件の債権放棄してもらって(内心ありがたい)」
ということ。
但し1%の利ザヤは保険会社が独占するわけでもなく、Aさんの分け前がある。
そのため、この場合、Aさんに払戻金は「増えて」戻ってくる。
逆の場合はどうだろうか?
Aさん加入時には2%、解約時には3%の場合。
Aさんが入った時より、今の方が「良い」ということになる。
保険会社としては、今更2%の権利を返却されても困る。
普通に3%の債権が売っているのに、2%なんてだれも買わないからだ。
つまり「評価は下がっている」ということで、この場合、その評価損はAさんが負う。
そのため、払戻金が減る。
これが市場価格調整の仕組み。
だが、本商品の場合、更にエッジが効いていて、今の金利に+0.3%を足したものを使う。
1%は、1.3%となる。
そうなると、2%:1%より2%:1.3%となるのため、金利差が少なくなってしまった分、払戻金への「上乗せ」は減る。
逆に2% → 3%では、2% → 3.3%となり、一層金利差が大きくなったので、払戻金から引かれるペナルティは多くなる。
他社の商品でも、市場価格調整は存在するが、
「プラスはしない」
ことが多い。
T&Dの解約ルールは厳しい方だろう。
弱点3 銀行窓口から入る理由があるか?
そもそも論で申し訳ないが、筆者は銀行の窓口から保険に入ることには否定的。
銀行の窓口にいる担当者は、確かに色々なことを良く知ってはいる人が多い。
だが悲しいから、2,3年で必ず移動するので、顧客への責任感が薄い。
そりゃそうだろう。
実際に亡くなったり、相続が発生した時には自分はそこはいないのだから。
本商品の運用期間は10年もしくは20年。
やはり最後までしっかり面倒を見てくれる方が良いのではないだろうか?
餅は餅屋。
銀行で入るよりは、保険会社から直接入った方が良いのでは?
経験豊富で「辞めない」ような人に担当してもらうのがベターな気もする。
弱点4 ターゲットが100%、105%、110%からしか選べない
本商品にはターゲット機能というものがある。
例えば1,000万円を預けて、米ドルに換えて運用をした場合、ドル自体が運用で増えるし、為替も変動するので、ある時一気に円安(1ドル120円など)になって、
「あっ、今、全部ドルを円に換えれば1,100万円になるんじゃない?」
ということがある。
1,000万円預けて、1,100万円。つまり110%である。
人によっては「10%も増えるなら御の字だよ!!」という人もいるだろう。
そういう方は、110%をターゲットとして設定しておけば、どこかのタイミングで1,100万円になった瞬間に、円に戻してくれて、それで運用を終了してくれる。
このターゲット機能は他社でも良く見られるものなのだが、本商品は100%と105%、110%しか選べないのに対して、他社では130%、150%、200%なども選択可能。
もちろん選択したからと言ってその%まで増えるわけではないのだが、110%が上限というのはちょっと寂しい。
せめて130%くらいまで設定出来れば良いとは思う。
選択肢が少ない、という点ではデメリットと言える。
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