提供会社:JA共済
商品名:一時払終身共済
注:但し、相続対策商品として。運用商品としては星1つ
この保険の弱点はここだ!!
星3つということで、一見高評価のようにも見えるが、この商品は人を選ぶ。
本商品を「運用商品」として見れば、何の魅力もない。
この商品はあくまで相続対策用として使うのが正解。
そのためには、保険金の非課税枠を理解する必要があるが、詳細は以下コラムにまとめてあるのでご参照頂きたい。
参考コラム:保険金の非課税枠とは?使用する保険商品の流行り廃り
保険の非課税枠は、
500万円×法定相続人
によって計算される。
例えば、あるお父さんが亡くなり、妻と子供3人がいれば、
500万円×4人=2,000万円
が非課税枠となる。
つまり、2,000万円までの保険金には相続税がかからないので、現金で持っているより「保険に形を変える」方が得なのである。
本商品も、これ用のもの。
ネットの契約例を見ると、60歳男性で死亡保険金500万円に対して、495万円を支払うとある。
JA共済としては495万円を預かり、契約者が死亡するまでに運用して500万円にしておくということ。
商品としては何の面白みもないのだが、相続対策として保険金の非課税枠を埋めるためにはちょうど良い。
このような商品を「円建一時払終身保険」と言うのだが、実は現状、かなり商品が減ってしまっている。
以前は大手の保険会社などが販売していて、銀行窓販などで売れていたのだが、長引き低金利によって
預かっても増やせない・・・
という状態になってしまった。
仮に500万円の保険金に対して、495万円を預かっても保険会社はその全額を受け取れるわけではない。
販売してくれた代理店や銀行に販売手数料を支払う必要があるからだ。
相場は保険料の1%程度。495万円であれば5万円というところだろう。
保険会社は490万円を預かり、ここから500万円の保険金を作る必要があるのだが、あまりに金利が低い。
ちょっと前の国債の利回りなど0.1%を切っていたこともあるので、490万円を500万円にするまでに20年近くかかる計算だ。
そうなると、契約者が死亡するまでに間に合わない(一時払終身に入るのは相続対策が必要な高齢者が多いため)
また、保険会社側のコスト(人的コスト、運用コスト)もある。
こうなると、保険金500万円に対して500万円まるまる、もしくは510万円くらい預からないとペイしない。
このような事情から、
「商品として成立しないよね」
ということで、各社が販売停止にしているのである。
代わりにドル建や株などに連動する変額を利用した「一時払」が出てきたが、こちらはリスクもあるし、そもそもわかりにくい。
富裕層と言っても、金融リテラシーが高い方ばかりではないので、このような複雑な商品よりは、シンプルな円建一時払の方が好まれるのである。
その点、本商品は数少ない円建一時払終身であり、今となっては貴重なものとなっている。
弱点1 告知がある
うーん、これが惜しい。
本商品には入る際の告知がある。
と言っても、たった2つ。
Q1 現在、病気や外傷で安静療養中か?(入院 or 自宅療養)
Q2 今後、入院、手術の予定があるか?
要は寝たきりや、直近で入院や手術の予定があるような場合には入れないのだが、そうでなければどんな持病があっても入れる。
基本的には要介護やがんと告知されている方の加入を断るための質問だろう。
まあ、これは仕方がないかな。という気もする。
いくら500万円の保険金に対して、495万円を預かっていると言っても、契約者が入ってすぐに死亡すればJA共済からすれば赤字である。
実は昔の一時払終身保険では告知不要のものも多かったのだが、そのため相続税を恐れる子供の主導で親が「死ぬ直前」に加入させるようなケースも結構あったようだ。
保険会社としては多少の損も出るし、何よりモラル上も宜しくない。
JA共済でも「本当にすぐ死にそうな人」は受けないように、このような告知を設けているのだろう。
ただ、寝たきりでもっすぐに亡くなるわけでもないし、定期的な手術(放射線など)を受けるだけで、普段は普通に暮らしている方などもいる。
本商品の目的は、あくまで「非課税枠を埋める」ことにあるので、契約者もお金が増えることを期待しているわけでもない。
例えば保険金500万円に対して保険金499万9,000円とかでも良いので、無条件で受けてあげても良いのでは?という気もする。
(そうなると、家族が勝手に「死ぬ直前」に入れされるというモラル問題は発生してしまうが・・・)
弱点2 入るのが面倒・・・・
JA共済は保険に入る前に正組合員、準組合員、員外利用など、何かしらのJA共済との関係を持つ必要があり、多少面倒臭い。
そのあたりは、以下の保険会社総論にてまとめてあるので、ご参照頂きたい。
この保険の弱点、こう考えろ!!(解決法)
率直に保険金の非課税枠を埋めるだけなら良い商品だと思う。
告知をクリアできるなら、銀行の窓販で売っているような複雑な相続対策商品(ドル建や株連動など)より、シンプルで分かりやすい。
具体的に想像対策が必要になるのは、だいたい70代に入ってからなので、そのような高齢者には、本商品のような分かりやすいものの方が良いだろう。
口コミ・評判(販売から)
なし
口コミ・評判(契約者から)
なし
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比較した方が良い商品
シンプルな円建一時払終身はほとんど販売停止になっている。
編集後記: