この保険の弱点はここだ!ニッセイ・ウィルス生命「アットウィル終身保障型」

提供会社:ニッセイ・ウィルス生命

商品名:アットウィル終身保障型(大和証券)

この保険の弱点はここだ!!

ごくごくスタンダードな円建の一時払終身保険。

大和証券にて販売されている。

ニッセイウィルスは銀行窓口で販売される商品の企画販売を行う会社で、元々はマスミューチュアル生命という外資だったが、結構「やらかしてしまって」金融庁を激怒させた。

それを救ったのが日本生命。

買収以後は、ニッセイグループとして活動している。

さて、本商品はニッセイウェルスの中でも、最も基本的な商品で、

・契約者は一時払でまとまったお金を預け(日本円)

・保険会社はそれを日本円のまま運用(加入時に決まっている利率で)

・死亡時には保険金を受け取る

というもの。

死亡時には、

・預けたお金(基本保険金額と言う)

・積立金額

・解約返戻金

のうち「一番大きい金額」を受け取れるのだが、運用利率もかなり低いし、初期手数料も取られるので、積立金額や解約返戻金が「預けたお金(元本)」を上回ることはほとんどない。

なので、

保険金=あずけたお金

だと思って良い。

運用に適用される利率は契約年齢、50歳から69歳は「15年毎」に更新(その時の金利状況などを加味して決まる)されるが、70歳以上は加入時の利率が固定される。

なお、本稿を書いている2022年11月時点での利率は以下の通り。

50から69歳 0.65%
70から79歳 0.20%
80から85歳 0.05%
86から90歳 0.05%

まあ、どの年齢においてもかなり低いが、特に70歳以上はひどく、運用商品としてはほとんど意味がない。

本商品はズバリ

「保険金非課税枠用」

の商品である。

保険金非課税枠とは、死亡時に遺族が受け取る保険金のうち

500万円 × 法定相続人

までは非課税になる制度。

例えば、お父さんが亡くなり、お母さん、子供2人が残った場合、法定相続人は3人となるので、保険金のうち

500万円 × 3人 =1,500万円

までは非課税となる。

ただの預金であれば、その全てに相続税がかかるが「預金→保険」に姿を変えるだけで非課税になるため、富裕層の相続対策としては「はじめの一歩」というところ。

そのため「増やす」という発想はなく、いかに「保険化」して相続税を軽減するか?という点のみにフォーカスしている。

証券会社は、当然ながら顧客の資産を知っていて、金持ちか貧乏人かが分かっている。

で、金持ちに対して、こう言うのである。

「相続対策されてますか?今の預金を保険にするだけで、非課税になる方法があるんですよ・・・」

だから、この手の商品は証券会社でよく売れる。

預けたお金は「ほとんど増えない」ので、例えば1,000万円預けたとしても、ほとんどが1,000万円以上には増えないし、仮に増えたとしても1,001万円くらいにしかならないだろうが「保険化」したお金が非課税になればそれで良いのである。

まあ、そんな商品である。

保険金非課税枠用の商品は各社から色々なものが販売されているが、その中でも本商品は極めてスタンダードなもので、基本的には何のリスクもない。

では弱点。




弱点1 初期手数料を取られるので解約厳禁

本商品は加入時に「初期手数料」を取られる。

なお、他社では「取られない」タイプもある。

当然ながら「取られない」方が良いのだが、一般論としては、取られる方が利率が高く、取られない方が利率は低いことが多い。

要は保険会社からすれば「はじめに利益を取る」か「時間をかけて少しづつ取るか」の違いでしかない。

特に本商品は、高齢者が対象で、しかも「結構な年齢」になってから入ることが多い。

一応、商品の仕様上は50歳から入れるのだが、実際問題、50代で入るような人はいない。

相続?まだ先だろ?

という感じで、何も考えていないからだ。

そのため70代、80代くらいになって入る人がほとんど。

特に本商品は、加入時に「健康状態」を告知する必要がないので、極端な話、末期がん患者でも入れる。

筆者の保険業界の友人で、

「末期がんのおばあちゃんの一時払終身の契約で、病院まで署名を取りにいった」

という人がいるが、本人も周囲も「ああ、もうこれはヤバいな」と思ってから入るような場合もある。

そこまでいかなくても、保険金非課税枠を意識するのは、ある程度の年齢になってからということだろう。

そのような高齢者が集まる商品なので、率直に言って「すぐ死ぬ可能性」も相当高い。

そのため、まず初期手数料を貰って、それを保険会社、そして商品を販売した代理店(銀行など)の手数料として利益を確保する。

初期手数料は、79歳までが5%、80~85歳が3%、86~90歳が2.5%となっているが、まあ、これが保険会社と代理店の利益である。

例えば、80歳の方が1,000万円を預けたとする。

まず3%の手数料が引かれるので、1,000万円は970万円になり、ここから運用がスタートする。

契約年齢80歳に適用される利率は0.05%なので、以後970万円が0.05%で運用されていく。

しかし、はじめに3%取られていては、この3%を回復するまでに60年ほどかかる計算で、80歳の60年後は140歳。

実際のところ、元本が回復することはない。

だが、これは「積立金と解約返戻金」の話。

死亡保険金は「支払った一時払保険料」か「解約返戻金」か「積立金」のうち、一番大きい金額が適用されるので、この場合、1,000万円ということ。

本商品の目的は「保険金の非課税枠利用」であることは既に述べたが、結局のところ死亡時に保険金を受け取るために入るものだから、1,000万円支払って1,000万円受け取るだけ。

だが、「非課税」が目的だから、これで良いのである。

そのため、初期手数料がかかったところで、解約さえしなければ別に影響はない。

なお、余談ながら、保険会社側はどのように利益を出すのか?について触れたい。

まず、1,000万円から30万円を初期手数料として取る。

この30万を保険会社と販売をした代理店(大和証券)とで山分けする。

実際にどの程度の割合で分けるのかはブラックボックスだが、ここでは半々15万円、15万円だとしよう。

大和証券は15万円得て、それで終わり。

だが保険会社は1,000万円預かっても、契約者がすぐに亡くなれば1,000万円を保険金として支払う必要がある。

既に15万円を販売手数料として支払ってしまっているので、この段階で1,000万円を支払ってしまえば15万円の赤字である。

しかし、統計的に「すぐ死ぬ」確率はそこまで高くない。

ある関係者から聞くと、80歳で加入しても、平均すると4,5年は契約が続くらしい。

預かった1,000万円は初期手数料を引いて970万円になっているが、この970万円を運用すれば年1%くらいは稼げる。

年9.7万円、これを5年続ければ48万円くらいにはなる。

1,000万円 → 初期手数料を引いて970万円 → 運用益48万円を足して1,018万円

契約者の遺族に1,000万円を支払っても、初期手数料15万円(代理店と折半したもの)+1,000万円を超えた分18万円の合計33万円が保険会社の利益となる。

もちろん早く死ぬAさんもいれば、10年以上長生きして運用益を稼がせてくれるBさんもいるので、それらを「平均すれば」

それなりに利益を確保出来るのだろう。

だが、正直に言えば、保険会社や代理店(証券会社)からすれえば、あまり美味しい商品ではないだろう。

一時払商品には、もっとリスキーな投資対象にお金を入れさせて、その過程で手数料を抜くようなものもあるので、それに比べたら

「安全安心だけど、何の旨味もない」

という感じ。

そのため、まずはこれを見せて、次にもっと増えるドル建の商品などを見せて、更に増える株価連動型を見せて、というような流れでどんどん儲けがある商品に誘導するような商談をしているケースが多いようだ。




この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)

保険金非課税枠を埋めるための商品としては悪くない。

別に何の面白みもないので、星2つ評価としているが、その評価ほどには悪いとは思ってはいない。

円建なので、何のリスクもないので目的を満たすためには過不足ない商品だろう。

また告知が必要ないので、誰でも入れる点も良い。

実は昔はこのような「円建」&「保険金非課税枠」&「無告知」というような商品が色々な保険会社から販売されていたのだが、最近はめっきりへった。

理由は日本の超低金利政策。

保険会社の主な運用先である国債の利回りも、長い事低迷しており、保険会社からすると

「日本円を預かったって、増やせないし、元本は契約者に保険金で返さないといけないし。そうなると利ザヤも抜けないしなぁ・・・」

ということで、どこも敬遠して商品を販売停止にしてしまっている。

そういう意味では、本商品は「貴重」とも言える。

保険金非課税枠が欲しいが、何のリスクも負いたくないという方には良いのではないか?

口コミ・評判(販売側から)

販売担当者様より

保険金非課税枠という概念を理解してもらう上で、まず一番初めに出す商品。これでメリットを理解してもらってから、次に「でも全く増えない」、「お子さん、お孫さんのためにも」と誘導して、より利率の高いドルや変額系の商品に展開している。だが、理解力の乏しいご高齢者などは「何だか良く分からないから一番初めのシンプルなやつで良い。増えなくても良いよ」となることも多い。私自身はそれで良いと思っているし、その点ではアットウィルは良い商品。だが、社内ではこのような「無難」な商品より、証券会社だけに株価に連動した商品を売った方が評価される。

謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。

口コミ・評判(契約者から)

なし

比較した方が良い商品

JA共済 一時払終身共済 ★★★☆☆

大同生命 一時払逓増終身保険 ライフギフトα ★★★☆☆

住友生命 終身保険(一時払い) ★★☆☆☆

編集後記:

約款