保険金の非課税枠とは?使用する保険商品の流行り廃り

遺族が保険金を受け取った場合、その保険金は以下のルールにもとづいて「非課税」となる。

法定相続人 × 500万円

例えば、ある家のお父さんが死亡し、そのお父さんには、妻と子供2人がいたとする。

この場合、法定相続人は3人。

つまり、

3人 × 500万円 = 1500万円

までの保険金は非課税となる。

なお、法定相続人とは

1 妻
2 子供
3 親
4 兄弟姉妹

のうち、常に「2つのグループ」が対象になる。

優先順位も妻、子、親、兄弟姉妹の順番。

先の例のように妻と子供がいれば「1妻」と「2子供」の2つのグループがいるので、法定相続人はこの2つで終わり。

だが、既に妻が死亡している場合などは「2子供」「3親」となり、独身で妻も子もいない場合「3親」「4兄弟姉妹」となる。

話を本題に戻す。

先に述べたように、相続対策に有利であることから、この制度は富裕層に利用されることが多い。

現金や有価証券で持っている場合、それには相続税がかかってしまうが「保険」に形を変えておくだけで非課税となるので、メリットが大きいのである。

このようなニーズに使われる保険では、圧倒的に「一時払終身保険」が多かった。

一時払終身保険は、

995万円支払って、亡くなった時に1,000万円払う

というようなもので、ほとんど貯金のようなもの。

保険会社からすれば995万円預かって、その人が死ぬまでに1,000万円にしておけば良い、ということ。

ほぼ元本を預かっているので、ほとんどリスクがないし、それなのに大きな現金をいっぺんに「保険料」としておさめてもらえるため、保険料収入という意味でもありがたかった。

また、この保険は「告知なし(健康状態の報告がいらない)」ため、高齢者で色々持病があっても入れる。

これも先の通り、保険金の99%以上を預かっているので、保険会社からすれば健康状態など問わなくても大丈夫なのである。

究極的には末期がんでも入れるので、

「ああ、こりゃもう長くないな・・・」

と本人や周囲が思った時でも入れる。

話は逸れるが、ある保険代理店の方から

「ある資産家のおばあちゃんが『もう危ない』ということで、息子に頼まれて、そのおばあちゃんの一時払終身保険の契約を病院まで取りにいったことがある。病院のVIP室に入り、全身管だらけのおばあちゃんから書類にサインをして貰ったが『これで税金は大丈夫なんでしょ?』と言われ、お金への執念に背筋が寒くなった・・・無事、1ヶ月後に亡くなったよ。」

というような話を聞いたことがあるが、こんな状態で入った保険でも「非課税」となる。

以上のように、保険金の非課税枠には一時払終身が使われるのだが、最近では事情が変わっている。

一時払終身保険を取り扱う保険会社が激減しているため、商品そのものがないのである。

理由は長引く「超」低金利。

あまりに金利が低く、保険会社が995万円預かっても、1,000万円にするまでに結構時間がかかる。

先に述べたように「本当に死ぬ直前に入る」ような人もいるため、保険会社としては995万円預かったとしても1,000万円支払えば赤字なのだ。

では999万円にすれば良いではないか?そう思われるかもしれないが、実はそれでもペイしない。

実際には999万円を預かっても、それを販売した代理店に数%の販売手数料を支払わねばならず、保険会社としてはこれでも赤字なのだ。

もちろん1,010万円支払ってもらえれば収支は確保出来るが、1,010万円払って、1,000万円の保険金を受け取るという、訳の分からない状態が発生することになり、もはや保険とは言い難い。

そのため、各社「販売停止」にしている。

その代わりに出てきたのが、米国ドル建てや、株などの連動した変額保険など。

こちらの方が保険会社も利ざやを抜けるのである。

一時金として1,000万円を支払い、ドルや株で運用するというもので、これでも非課税枠を使うことが出来る。

ただし、ドルや株にはリスクがあるので、商品としては非常にわかりにくいものが多い。

「1,000万円預けて、それをすぐにドルに変換し、運用開始。死亡時にはドル換算の保険金を支払うので、為替によって800万円から1,200万円くらいなる」

「株に連動するので増減があるが、いくら減っても死亡時の1,000万円だけは最低保障する」

資産家というのは、この手の商品に詳しいと思われがちだが、実はそうでもない。

特に日本では「昔から土地を持っていただけ」いう金持ちが多く、そういう方々の金融リテラシーは非常に低い。

そういう方には、先に紹介した円建の一時払終身保険の方が良いのだ。

「995万円預けて1,000万円。」

非常に分かりやすい。

だが、商品がないので仕方なく、この手の複雑な一時払商品が「非課税枠用」として販売されているのが現状である。

なお、販売するのは銀行窓口が多い。

預金者の資産を全て把握しているので、

「おばあちゃん、これ預金だと相続税で半分持って行かれちゃうよ。保険に形を変えるだけで、税金払わずに済むのよ」

こんなトークだ。

中には、別に相続対策する必要もないのに、預金を「保険化」されているようなケースもあり、金融庁も結構神経を尖らしている。

以上、保険金非課税枠の概要と、それに適応する保険商品の流れを解説した。

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