提供会社:T&Dフィナンシャル
商品名:みんなにやさしい年金保険
この保険の弱点はここだ!!
一時払のドル建(米ドル・豪ドル)の商品としては、良心的かな?という印象。
T&Dフィナンシャルは主に銀行窓口で販売される商品を企画・販売している保険会社なので、本商品も銀行の窓口で売られている。
銀行の窓口では「高齢者&預金を沢山持っている人」に対して、
「このまま銀行に置いておいても金利はほとんど付きません。この保険なら増やすことも出来ますよ」
とセールスして、本商品のような一時払系の商品を販売して販売手数料を得ているのだが、そのような商品の中には、「詐欺のような」ものも多い。
契約者が払う手数料がやたら高く、保険会社と販売代理店としての銀行のみ「美味しい」というものもあり、いわば保険会社と銀行をグルになって、金融リテラシーの低い老人たちをだましているような商売がまがり通っている。
そのような中にあっては、本商品は「マシ」
正統派と言って良いだろう。
契約者は一時金として日本円でお金を払う。それをドル(米ドルか豪ドルか選択)に変換し、加入時に決まっている率で運用をする。
本稿を書いている2022年10月時点では以下のようになっている。
・ターゲットプラン 米ドル3.95% 豪ドル3.61%
・ターゲットプラン 米ドル3.67% 豪ドル3.08%
(保険金最低保証特約付きの場合)
・介護認知保障プラン 米ドル3.82% 豪ドル2.97%
これは他社比較で「結構強気だな」という感じ。
2022年10月時点では、アメリカの「境域的」な利上げが続いているが、現状の「売り物」としての米国10年債の利回りは3.8%台となっている。
本商品は、一応「保険」ではあるものの、実質的には顧客の金で米国債やオーストラリア国債を買っているようなもの。
米国債の場合「原材料」の利回りが3.8%台なのに、それを加工した商品(保険)で3.95%(ターゲットプラン 米ドルの場合)を提示しているということは、
「今後まだまだ利上げが続く。市場にもっと利回りの高い米国債(原材料)が出てくるはず」
と読み、その売り買いで、保険会社側の利益が出せると見込んでいるのだろう。
言ってみれば、本商品は顧客の金を米国債(もしくはオーストラリア国債)市場に突っ込み、そこでの運用で契約者には約束した「利回り」を返し、それが上振れすれば保険会社側の利益、下回れば保険会社の損という商品。
現状、市場に出ている売り物は3.8%なのに、商品としては3.95%を提示しているということは、それなりに自信があるのだろう。
また、本商品では初期手数料などはなく、
「支払った金額は全額ドルに変換し運用を開始」
する。
他社の商品では、よく分からない「初期手数料(3%とか5%)」を取るものもあり、運用が開始した段階で、3%とか5%のマイナスから始まるものもあるので、その点では安心(初期手数料など「ない」のが当たり前だが・・・)
プランとしては、
・ターゲットプラン
・ターゲットプラン 保険金最低保障特約付
・介護認知保障プラン
の3つがある。
ターゲットプランとは、契約者が「投下した資金の110%になったら運用停止」というようなもので、例えば1,000万円を一時払した場合、運用開始後、利回りによる運用益、為替の変化などにより「日本円での価値」は日々変化する。
本商品では、毎日、毎日
「今、日本円換算にするといくらか?」
という計算をし、1,000万円が「今日いくらになっているか?」を算出してくれる。
それが110%、つまり1,000万円が1,1100万円になっているのであれば、その段階で運用を停止し、自動的に資産を「日本円」に巻き戻してくれる。
本商品に入るような人は、原則的には金融リテラシーの低い人だろうから、自分で資産を管理するのは難しい。
その点、ターゲットプランは、頻繁に運用結果をチェックしなくても利益を確定してくれるので、売り時を逃さずに済むというのが利点。
110%、120%、130%などから選べるので、契約者の「欲の強さ」でどれにするか選べるようになっているのも「試されている」ようで面白い。
保険金最低保障特約付は、死亡保険金を最低保証(円で支払った一時払保険金)してくれるもの。
この特約を「付けない場合」仮に1,000万円支払い、その時に為替レートが1ドル140円だとして、死亡した時に1ドル120円になっていたら、保険金は目減りする。
1,000万円 = 71,428.57ドル
となる。
これが数年後に運用で80,000ドルになっていたとしよう。
そして死亡した。
だが、この時の為替レートが1ドル120円だったら、死亡保険金は
80,000ドル × 120円 = 960万円
となる。
契約者からすれば
「1,000万円払って960万円。損してるやないか!!」
となる。(本人は死んでるけど)
それを防ぐのが、保険金最低保証特約。
これを付けておけば、どんな為替状況では1,000万円は支払われる。
但し、前述の通り、運用の利率は下がる。
・ターゲットプラン 米ドル3.95% 豪ドル3.61%
・ターゲットプラン 米ドル3.67% 豪ドル3.08%
(保険金最低保証特約付きの場合)
この特約を付けると、米ドルで約0.3%、豪ドルで約0.5%の「手数料」を取られということ。
保険会社はこの手数料で
「為替が変動しても支払った保険料分をちゃんと返す(為替で損をさせない)」
という責任を引き受ける(裏側では為替予約などをしているんのだろうが、契約者からは関係のない話)
なお、このあたりの特約については、以下コラムでも詳細を説明しているのでご参照頂きたい。
参考コラム:ターゲット?保険金保障?外貨建一時払商品に「よくある」特約を解説!!
最後に介護認知症プランだが、これはターゲットプランの保険金を支払うのが「死亡だけ」なのに対して、
・要介護1以上
・認知症と診断
された場合にも保険金を支払ってくれるもの。
保険会社からすれば「死亡」だけで払うより、「死亡+介護・認知症」で払う方が、払う確率は上がる。
つまり、より早い段階で運用を「終了」する可能性があるため、全般的に運用期間が短くなることが想定できる。
そのため、こちらもターゲットプランより運用利率が下がる。
保険会社の本音としては、
「運用期間が長ければ、その分、長期に渡って『利ざや』が抜ける。しかし、それが短くなるのであれば、運用利率を下げて、手前で『利ざや』を抜かせてもらいますわぁ」
というところだろう。
以上が商品概要。
弱点1 今はやめた方が良い
利率も高いし、初期手数料もないので、悪い商品ではない。
しかし、タイミングをが難しい。
現状、日米の金融政策の違いは「カオス」としか言いようがなく、金利をバンバン上げている米国に対し、日本は未だにマイナス金利にこだわっている。
その結果、1ドル145円を超えるような局面もあり、市場は大荒れに荒れている。
そのため、今、この商品をお金を入れれば、1ドル145円でドルに変換されてしまうが、これは長期で見れば下がる(円高)になる可能性が高いだろう。
ドルベースで増えたとしても、1ドル120円などになってしまえば、通貨そのものが2割程度の下落であり、結果損をする。
また、利率に関しても、今後米国の利上げは続くだろうから、現状の3.95%で「手を打つ」ことが良いのか悪いのか判断が難しい。
「もうちょっと待っても良いのかな」
それが本音。
為替が落ち着き、ドル債の利回りも「このあたりが続きそう」という状況になってからでも遅くないと思う。
やはり、1ドル140円台で買うのはリスクだと思う。
弱点2 市場調整価格
本商品には早期解約時に「市場調整価格」というペナルティがある。
詳細は以下コラム参照。
参考コラム:市場価格調整とは?
この保険の弱点、こう考えろ!!(解決策)
前述の通り、悪い商品ではないが、タイミングが難しい。
少なくとも、1ドル140円台の「高値」で掴むのは怖い。
無論、このまま日本が没落して1ドル150円、160円となる可能性もゼロではなが、アメリカ自身も怪しい部分(特に株式市場の先行き)もあるし、為替というのは様々なエッセンスが影響して決まるので、1ドル120円台に戻ることも考えられる。
わざわざ1ドル140円で買わなくても良くない?
とは思う。
但し、契約者がそれなりに高齢で、本商品に入る目的が「保険金非課税枠の利用」という場合は少々話が異なる。
参考コラム:保険金の非課税枠とは?使用する保険商品の流行り廃り
「別に運用で増やすことには興味はない。相続税対策として保険金の非課税枠が欲しいだけ」
こんな事情であれば、本商品のターゲットプランで保険金最低保証特約を付けておくのも良い。
非課税枠の保険金は確保されるし、更にドルべ―スでの運用で「増える可能性もある」ので、本商品にお金を入れておくメリットがあるかもしれない。
他社の医療保険の☆評価一覧は、コチラ
検討した方がいい他社商品
下記の商品が、本商品に「似ている」
各社の利率を比較して、一番増える可能性が高いものに入っても良いだろう。
PGF生命 米国ドル建介護終身保険Neo ★★★☆☆
別名:ぬくもり介護US、悠々介護終身US、米国ドル建一時払介護終身PG、介護バリューUS
編集後記