提供会社:マニュライフ生命
商品名:Prosperity災保重点期間付定期保険
この保険の弱点はここだ!!
まだあるのか?何のためにあるのか?
という感じ。
一時期、一世を風靡した「名義変更プラン」のための商品。
だが、本商品を「売りすぎた」ことで、マニュライフは当局から絞られることに。
このあたりは弱点1で後述したい。
現状、名義変更仕様はなくなり、何の面白みもない「4割損金、返戻率85%」の商品となっている。
商品としては、加入直後の15年間を「第1保険期間」とし、その後を「第2保険期間」としている。
第1保険期間中は病気での死亡保険金は「責任準備金」のみ。
責任準備金というのは、その保障を提供するための「原資」のようなものなのだが、あまり難しい説明をするよりは
それまでに支払ってきた保険料より10~15%程度低い金額
だと思っておけば良い(本商品の場合)
つまり、15年以内に死亡した場合、損をする。
この時点で「こんな保険あるか?」という感じ。
なお、一応、「保険風」を装うため、交通事故などが原因の「災害死亡」の場合には、かなりの高額の保険金が支払われる仕組みとなっている。
要は「交通事故用の保険」ということ。
だが、実態としては節税を目的とした商品である。
返戻率が85%を超えないギリギリまで伸びるのが特徴で、保険料の4割を損金として処理出来る。
目先の節税をしながら、貯蓄をしたいという法人オーナーの意向を汲んでいる。
だが、実際のところ4割損金で返戻率85%であれば節税にはならない。
例えば年間100万円を支払う。
そのうち4割、40万円が損金となるので、これは利益を圧縮してくれる。
利益が40万円減れば、納税はおおよそ12万円ほど減るので、
100万円支払って12万円節税出来た!!
ということになる。
これを10年間続けた場合、支払い総額は1,000万円、損金総額は400万円、節税金額は120万円となる。
で、解約する返戻率はおおよそ85%なので、戻ってくるお金は850万円。
1,000万円支払って、そのうち400万円を損金として処理しているので、残り600万円は保険料積立金として「資産計上」していることになる。
850万円戻ってきて、資産計上している600万円を引くと、250万円。
この250万円は法人の会計上「ポッと出てきたお金」なので、雑収入として税金がかかる。
法人税30%として75万円。
つまり、1,000万円支払って、850万円しか戻ってこない段階でマイナス150万円で、更に税金が75万円かかる。
トータルのマイナスは225万円となる。
対して、この10年間での「得」は節税出来ていた120万円。
差し引きすると105万円のマイナスということ。
対して、この保険をやらずに10年間経過した場合はどうだろうか?
毎年40万円の損金がなくなるので、課税は12万円増える。
10年間でマイナス120万円。
保険を「やった場合」のマイナス105万円と、保険を「やらなかった場合」のマイナス120万円。
その差は10年間でわずか15万円、年間1.5万円に過ぎない。
そのために、毎年100万円の現金を塩漬けする。
しかも、本商品は「交通事故以外には役に立たない『保険』」なので、保障というプラスアルファもない。
いかがだろうか?
節税としても、ほとんどメリットがないどころデメリットしかないということがご理解頂けたのではないだろうか。
参考コラム:法人保険の「節税」今、昔。原則的に保険で節税は出来ないよ、という話
弱点1 マニュライフという会社
本商品が「名義変更用の商品」であることは冒頭に述べたが、ある時期、本商品はマニュライフの看板商品だった。
法人で積み立てたお金を経営者個人に「有利に資産移転」が出来るため、中小企業のオーナーなどが喜んで契約していた。
だが、「やりすぎた」
法人保険の税制変更後(2019年7月以降)も、この名義変更の商品を売りまくり、マニュライフの社員も堂々と
「最後に残された節税商品」
などとのたまわっていた。
だが、あまりに保険の本道から逸脱した姿勢に金融庁が激怒。
以下のような行政処分を食らう羽目に。
以後、平身低頭な姿勢で、反省しているような態度を取ってはいるが、契約者に「名義変更を前提にした契約ですか?」などというアンケートを送ってみたり、代理店に「節税トークで販売しましたか?」などとヒアリングをしてみたり。
「今更、何言ってたんだよ!!お前が名義変更用に作った商品だろ!!」
と、業界からは総スカンを食らっている。
と言うことで、今は「付き合わない方が良い保険会社だな」というのが筆者の感想。
ただ、同時になんとか復活して欲しい、とも思っている。
法の抜け穴をつつくような商品は健全ではないのだが、そのようなアイディアは重要。
保険業界ではマニュライフのような外資がそのような斬新な商品を販売しては、当局(金融庁、国税)がその抜け穴を塞ぐような「いたちごっこ」を長年してきたが、ここ数年で一気に規制が厳しくなり、どこの保険会社も金融庁の顔色ばかりを見て「挑戦的な商品」が本当に少なくなった。
もちろん昔のように「グレーな商品」を期待しているわけではなく、外資ならではの柔軟な発送で「そんな切り口があったのか!!」と思わせるような商品開発をして欲しい。
この保険の弱点、こう考えろ!!(解決策)
冒頭でも述べた通り、現在の法人保険のルールでは、原則的には「節税」は出来ないと思った方が良い。
ただそれでも「多少、目先の節税になって、お金が貯めたい」と思うなら、本商品のような保険機能がないものではなく、しっかりとした保障があるものを選んだ方が良い。
要は保障を「オマケ」として考えて、「多少の節税、多少の貯蓄」を目的に保険に入るという考え方。
・4割損金
・返戻率85%
・死亡保障やがん保障がある
こんな商品は履いて捨てるほどあるので、最寄りの保険ショップなどに行って、この条件で見積を貰えば良い。
法人保険などはボリュームも大きいので、どこの保険ショップでも喜んで見積を出してくれる。
その中から、好きなものを選べば良いのではないか?
口コミ・評判(販売側から)
なし
謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。
口コミ・評判(契約者から)
なし
検討した方がいい他社商品
厳格化した現在の法人保険の税制ルールでは、どこの商品も差がつきずらい。
4割損金、返戻率85%という条件の中でも「死亡保障が売り」というところがあれば「ガン保障が売り」というところもあるので、一概に比較は出来ない。
「自社にはどの方向性の保障が必要か?」
という点にフォーカスして、各社の商品を検討して欲しい。
編集後記