提供会社:明治安田生命
商品名:終身保険パイオニアE
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この商品の弱点はここだ!!
明治安田生命の高齢者向けの終身保険。50歳以上の人しか入れない。
若い人向けには、同社の「パッケージタイプ」であるベストスタイルの中に終身保険特約が用意されているので、終身保険が必要なら
「それに入れ」
ということなのかもしれない。
いずれにせよ、若い層に対して、単独の終身保険を用意しない、という思い切りは凄い。
明治安田は、大手生保の中では「尖った商品」を出すイメージがあるが、そもそも今、日本円の終身保険など、契約者にとってあまりメリットがない。
保険料の運用の主な投資先である日本国債の利回りがゼロ金利政策でメタメタなので、保険会社としても保険料を預かったところで、大した運用が出来ないのである。
そのため、1,000万円の終身保険で、契約者自身が900万円くらいを積立てないといけない状態となっている。
しかも、これすら「若い人(30歳前後)」の場合。
若い人からすれば、30年、35年という長い期間、保険料を支払って、その結果が
900万円払って、保険金1,000万円
では、さほどの魅力は感じないだろう。
そこに来て、最近はドル建終身保険が隆盛で、猫も杓子もドルドルドル。
保険ショップに行っても、
「日本円の終身なんてダメですよぉ、見て下さい!!ドルの保険。こんな増えますよ!!」
と、日本円、ドル両方の設計書を並べられて比較されるものだから、よほど慎重な人でないと日本円の終身保険など入らない。
実際、筆者もここ数年、日本円の終身保険は販売していない。
そもそもがこんな状態なので、明治安田としてもあまり力を入れていないのではないか?
また日本円の終身保険ではオリックス生命など、今でも「それなりに強い(他社商品に比べればまだ良い)」プレイヤーもいるので、そこらへんと真っ向勝負しても勝てない。
顧客にも魅力的に映らない、かつ他社にも勝てない。
であれば、そこのマーケットをばっさり捨て、パッケージ型のベストバイタルや、ドル建終身保険(明治安田は大手にしては珍しくドル建もやっている)で勝負していこう。ということなのかもしれない。
とは言え、高齢者向けには日本円の終身保険は必要。
高齢者に「ドルが、為替が」などと言っても敬遠されるし、お年寄りは「やっぱり円」という感じだろう。
かつ、同社の顧客層には高齢者が多いので、やはりこの層向けの「普通の」終身保険は必要で、それが本商品という位置づけとなる。
なお、余談ながら「明治安田の終身保険は入りやすい」という評判を聞くこともある。
実際、軽い持病があるような人から「他社では断られた、明治安田は入れた」というような話を耳にしたこともある。
しかし、これは正直良く分からない。
引受基準は各社バラバラで、しかもその基準はトップシークレットであるため、外部に公開はしていない。
確かに筆者も「明治安田はわりと優しい」という印象は持っているが、実際のところは病気にもよるだろうし、やってみなことには何とも言えないだろう。
以上、余談。
では、本商品の注意点(弱点)を解説していこう。
弱点1 逆ザヤ保険
まあ、仕方がないが、本商品は保険金より、支払う保険料の方が多い「逆ザヤ」保険である。
実際の契約例を見てみよう。
55歳 男性
払込期間:70歳
保険金額:1,000万円
月払保険料:59,210円
累計:10,657,800円
55歳で加入し、保険料は59,120円。死亡保険金は1,000万円。
保険料は70歳まで支払うので、55歳―70歳の15年間となる。
その総額は約1,066万円。
死亡した時に受け取れる保険金1,000万円を、支払う保険料の総額が「超える」のは69歳の時なので、縁起でもない言い方だが、69歳までに死亡すれば
保険金 - 支払保険料総額
の差額が儲かる。と言うことになる。
例:65歳の時に死亡
1,000万円 - 約709万円 = 291万円
しかし、70歳以降に死亡した場合は、自分が支払った保険料(1,066万円)より少ない保険金(1,000万円)を受け取ることになる。
結果的には、この差額の66万円が「55歳ー69歳」までの保障料ということになる。
本商品は、持病がある人が「簡単な告知」で加入出来る緩和型の商品ではないので、入る時にはがっつり告知、もしくは病院での診査や健康診断の結果の提出が必要。
それをクリアしていると言うことは、高齢者でも健康的な人ということだろう。
そうなると、55歳から69歳までに死亡する可能性はかなり低く、実際には多くの人が70歳を超えて亡くなると思われる。
そのため、結果的には「損をした(逆ザヤ)」という人も多いだろうが、かと言って、本商品が無駄かと言うとそれも違う。
実際には、55歳から69歳の間で亡くなる人もいるだろうし、
運悪く早く亡くなった人が、運良く得(?)をする
というのが保険の原則である以上、契約者間で損する人、得する人が出てくるのは仕方がない。
また、別の言い方をすれば、支払総額1,066万円と、保険金1,000万円の差額の66万円で、55歳ー69歳の保障を「買っている」とも言える。
別のアプローチとして、仮にこの14年間、1,000万円の定期保険に入ったとすると、保険料はおおよそ8,000円程度(年間10万円前後)なので、14年間で140万円を捨てることになる。
それと比較すれば、保障としては「割安」とも言えるので、その点から見れば、本商品はまるっきり悪いというわけでもない。
弱点2 低解約返戻金型がない
本商品には低解約返戻金型が用意されていない。
それがデメリット。
終身保険には「低解約返戻金型」というタイプがある。
保険料を支払っている間(先のケースでは55歳から70歳)は、解約返戻金が低く抑えられていて、仮に解約をすると大損をしてしまう。
しかし、その代わり、保険料支払終了後に一気に返戻金が増える。
対して、このような設定がない通常の終身保険は、解約返戻金が自然に上がっていく。
ここでは便宜的に、通常型と低解約返戻金型と区別するが、今の主流は後者の低解約返戻金型である。
低解約返戻金型は、契約者からすれば解約しづらい。
逆に保険会社からすれば、解約されるリスクが少ないので、預かった保険料を腰を据えて運用することが出来る。
そのため、将来の返戻金に「多少色を付ける」ことが可能なのである。
また、保険料も通常型に比べ割安。
話をまとめると、このような関係となる。
・将来の解約返戻金
通常型 < 低解約返戻金型
・保険料
通常型 > 低解約返戻金型
「解約しない」と決められるのであれば、どう見ても低解約返戻金型の方が良い。
本商品にも低解約返戻金型が用意されていれば良かったのだが、それがないことは残念。
特約(オプション)について
傷害特約(有料)
不慮の事故(交通事故、飛行機事故、等)による死亡と高度障害の際に保険金が受け取れる。
リビングニーズ特約(無料)
余命6ヶ月以内と診断された時、死亡保険金の全部または一部を生前に受け取れる特約。
但し、受け取れる保険金額は、3,000万円までとなっている。
重度がん保険金前払特約
がんと診断され、一般的な治療を受けたものの、残念なが治癒の見込みがない場合、保険金の一部を受け取れる。
リビングニーズの「がんバージョン」という印象。