この保険の弱点はここだ!かんぽ生命「新ながいきくん」

提供会社:かんぽ生命
格付:なし

商品名:新ながいきくん

この保険の弱点はここだ!!

凡庸な商品。星1つ。

商品としては、終身保険に分類されるが、色々とタイプがあり、そのタイプごとにオプションとして定期保険が付く。

ここでは比較しやすように、基準保険金額を500万円、保険料払込期間を65歳という設定で解説する。

1 定額型

純粋な終身保険。(他社の終身保険と同じ)
500万円の死亡保障が一生涯続く

2 ばらんす型2倍

終身保険は基準保険金額の1/2の250万円。
但し、保険料を支払っている65歳までは、そこに250万円の定期保険(掛け捨て)が上乗せされる。
65歳までに死亡すれば500万円(終身部分250万円+定期部分250万円)
65歳以降に死亡すれば250万円(終身部分250万円)となる。

3 ばらんす型5倍

終身保険は基準保険金額の1/5の100万円。
但し、保険料を支払っている65歳までは、そこに400万円の定期保険(掛け捨て)が上乗せされる。
65歳までに死亡すれば500万円(終身部分100万円+定期部分400万円)
65歳以降に死亡すれば100万円(終身部分100万円)となる。

4 おたのしみ型

終身保険で貯めたお金を「年金形式」で受け取れるタイプ。
保険料の払込期間中(このケースでは65歳まで)は500万円の死亡保障があるが、65歳以降は5年毎に死亡保険金の1/5ずつを、生存保険金という「お小遣い」のような形で返金される。
例えば500万円で、65歳で保険料の支払いが完了すれば、65歳、70歳、75歳、80歳で各100万円が受け取れる。
但し、これは保険金を「前払い」で受け取っているようなもの。
そのため、80歳以降の死亡保障は100万円(すでに100万円×4回を受け取っているため)となる。

5 かんぽにおまかせ(引受緩和型終身保険)

告知項目(健康状態の自己申告)が少ないため、持病などがあっても加入しやすい。
保障は一生涯同じ金額となる。

ベースとして共通しているのは終身保険で、その上に掛け捨ての定期保険を「どの程度上乗せさせるか?」でタイプが変わる。

終身保険だけで、一切定期保険を付けないのが「定額型」、終身保険と同額で死亡保障が2倍になるのが「ばらんす型2倍」、終身保険の4倍の死亡保障を付けて、トータル5倍の保険金を用意出来るのが「ばらんす型5倍」

また、終身保険を老後の少しずつ「削って」いき、保険金を前払いすることで、年金のような使い方が出来るのが「おたのしみ型」となる。

以上が商品概要。

では、弱点(デメリット)の解説に入る。




弱点1 保険料が高い

まあ、比べるまでもなく保険料が高い。

ここでは当サイトでも高評価の終身保険、オリックス生命「ライズ」と比較する。

30歳 男性 払込期間65歳 保険金 500万円の場合

・かんぽ生命   12,450円/月
(低解約型の場合11,850円/月)
注:低解約型とは、保険料支払期間中(このケースでは65歳)までは返戻金が低く抑えられているタイプ。
そのため、途中で解約をすると大きく損をする。つまり「解約出来ない」タイプの保険。
但し、その分、保険料が割安に設定されている。

・オリックス生命  9,420円/月
 注:オリックスのライズも低解約型

もう、保険料が全然違う。

総支払保険料も、かんぽ523万円(低解約型498万円)、オリックス396万円となっている。

同じ低解約型の終身保険として比較しても、498万円と396万円で、100万円近い「差」がある。

かんぽの場合、500万円の死亡保障なのに、最終的に498万円と「ほぼ同額」を支払うことになるので、保険というより、ほぼ自分で貯めているようなものである。

なお、この保険料の違い、一応はかんぽ生命にも「言い分」がある。

かんぽ生命の方は、契約後1年6ヶ月経過すると「倍額保障」というものが標準的に含まれる仕様になっており、例えば交通事故などで亡くなった場合(保険金500万円)

かんぽ生命   1,000万円(2倍)
オリックス生命  500万円

と保険金が2倍受け取れるのである。(注:)

保険業界では、この保障のことを通常「災害死亡特約」と言うのだが、ただ、これを付けたとしても数百円程度。

オリックスのライズでも+200円で80歳まで付けられる。

到底、この保険料の「差」を埋めるような内容でもない。

要は、単に高いということ。

なお、ベース部分の終身保険も高いが、そこに上乗せされている定期保険も高い。

これも他社商品を使って同じようなものを作ってみよう。

ばらんす型2倍と同様の保障を他社で作ったら・・・

オリックス生命 ライズ 250万円+災害死亡250万円 5,063円
メディケア生命 定期  500万円           1,198円
  合計                      6,261円

かんぽ生命                     6,800円

メディケア生命では、最小の契約が「500万円」であるため、かんぽ生命と同じ250万円は設定出来ない。
しかし、500万円を上乗せしても、その合計保険料は6,261円であり、かんぽ生命より1割安い。

ばらんす型5倍でも同じ話。

終身保険も定期保険もとにかく高い。

また、一緒にセットに出来る医療保険なども保障内容のわりに割高。

はっきり言って、良いところなど一つもない。

弱点2 かんぽ生命の体質

筆者はこちらの方が問題だなと思っている。

商品の善し悪しより、組織が健全でない。

過去に何度か、不正契約が表面化しており、直近には営業停止にまで追い込まれている。

お客様のためにならず、完全に自己保身。組織を維持するだけのために活動している印象。

かんぽ生命の拠点は郵便局に隣接されているため全国津々浦々に展開しており、他の保険会社が支店がないような僻地までカバーしている。

そのような場所で、保険に入るには「かんぽ生命一択」という事情もあるので、百歩譲って「商品が良くない」のは仕方がないとしよう。

しかし、また金融リテラリーが低い老人を騙すような売り方は許せない。

そんな保険会社に存在意義があるのか?

それが筆者の感想。

今どきネットでも保険に入れる(先程、仮想で組んでみたオリックス ライズとメディケア 定期、両方ともネットで加入出来る)ので、いくら窓口がないからと言っても、かんぽ生命に頼る必要もないだろう。




弱点3 おたのしみ型はやめた方が良い

老後に年金のようにお金を受け取れる「おたのしみ型」

30歳 男性 65歳払込の場合、12,250円となっている。

これを65歳まで支払った場合、約515万円。

それで、65歳、70歳、75歳、80歳と、それぞれで100万円を受け取れる。

以後は100万円の終身保険が残る。

受け取れる総合計は、100万円×4回+死亡時100万円で、合計500万円。

そのために515万円を支払うことになるので、

何の意味があるの?

という感じ。

自分で貯めておいた方が良い。

これも「死亡保障もあって、老後は年金にもなる」という胡散臭いトークで販売しているらしいが、ちょっと計算すれば分かること。

通常の終身保険でも、お金は貯まっているので、老後必要があれば、「自分のタイミング」で「必要な分だけ」一部解約すれば良い。

つまり、おたのしみ型には「何のおたのしみ」もないということ。

全体的に商品は良くないが、これが一番良くない。

弱点4 かんぽにおまかせ(緩和型)の1年削減

緩和型のかんぽにおまかせも良くない。

そもそも保険料が高い。また加入してから1年以内には「保険金額半額」という削減期間がある。

要は「1年間は様子を見させて下さい」ということなのだが、他社の緩和型終身保険では、この削減期間がないものが増えている。

保険料、保障内容ともに見るべきところはない。




この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)

かんぽ生命については悪印象しかないが、それでも「仕方がない」という意見も多い。

やはり田舎の僻地では情報も入ってこないので、ネットで入れる、と言われてもピンと来ない人が多い。

「家まで来てくれて、目の前で説明してくる」、「愚痴や悩み事を聞いてくれる」

そんな点から、未だにかんぽ生命を支持する声は少なくない。

また、前述の通りの悪いことをしているのも、全体から見ればごく一部で、大半の営業職員は真面目に仕事をしている。

本稿では「商品も会社もロクなものじゃない」と指摘しているが、現場には素晴らしい方々も多いだろう。

だからこそ余計に腹が立つ。

本商品も、良いか、悪いか、で言えば「悪い」のだが、それでも現場で頑張っている営業職員に対して恩義や義理を感じ、

「多少悪くても良いのよ。◯◯さんを信頼しているから」

というのであれば、その加入を止めばしない。

そこは自己判断だと思うし、田舎には田舎のルールがあるのだろうから、他所の人間がどうこういうことではないだろう。

参考コラム:「お付き合い保険」の断り方と「お付き合い保険」に入るメリット




 

付けるべき特約!!

なし

付けても良いかも?な特約!!

なし

付ける必要なし、な特約!!(総合医療保障)

医療保険として見ても保険料が高く、また保障内容も基本的なものばかりで、特約(オプション)などもない。

これに入るなら、医療保険単体で別のものに入った方が良い。

また、終身保険とセットにしてしまうと、何かしらの事情で終身保険を解約した時に一緒に医療保険も解約しなくてはいけなくなる。

原則的に死亡保障と、医療保障は分けるべき。

その方が、それぞれを個別に見直しすることが出来る。

 

口コミ・評判(販売側から)

・かんぽ生命の者です。おっしゃるご指摘はごもっともであり、一連の不祥事に関しては、我々も顧客に対して申し訳ない思いで一杯です。すでにマスコミ等で報道されているように、内部ではノルマが厳しく、また元々は郵便局に勤務していた人間ばかりで、販売スキルも未熟であったと思います。起こるべくして起こったことだと思います。ただ、現場には1人1人のお客様のために、ちゃんと地道に販売活動をしている人も多いです。商品が弱いことは、内部の人間が一番分かっていますが、それでも田舎では「ちゃんとお会いして、会話して、ご家族のこともちゃんと理解した人が良い」というニーズがあり、保険料や保障内容より、そのあたりの人間関係を重視する方々も多いのです。郵便局というインフラで、銀行、保険までを受けもつことは、今の世の中では少々無理があるようにも思うのですが、それでも「なければ困る」というのも事実です。

謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。

口コミ・評判(契約者から)

・なし

比較検討した方が良い商品

終身保険であれば、以下が高評価。

オリックス生命 終身保険RISE[ライズ] ★★★★☆

ソニー生命 バリアブルライフ 変額終身保険 ★★★☆☆

マニュライフ生命 こだわり終身v2 ★★★☆☆

楽天生命 スーパー終身保険 ★★★☆☆

緩和型終身保険であれば、以下が高評価。

FWD生命 FWD医療引受緩和 死亡保障重点プラン ★★★☆☆

オリックス生命 緩和型終身保険 ライズ・サポート・プラス ★★★☆☆

メットライフ生命 緩和型終身保険 ずっとスマイル ★★★☆☆

楽天生命 スーパーたよれる定期保険 ★★★☆☆

編集後記

約款