提供会社:アクサ生命
商品名:アクサの「資産形成」の変額保険 ユニット・リンク介護プラス
この保険の弱点はここだ!!
参考コラム:変額保険の「ファンド」を超解説!!インデックスとは?アクティブとは?
本商品は、同社のユニット・リンクという変額保険をベースにしている。
そのため、まずは大本のユニット・リンクについて理解した方が良いだろう。
商品解説は以下にあるので、参考にして頂きたい。
この保険の弱点はここだ!アクサ生命「アクサの資産形成の変額保険ユニット・リンク」
本家ユニット・リンクとの違いは、以下の2点。
1 ユニット・リンクは「死亡」と「高度障害」でしか保険金を支払わないが、本商品では更に「介護」でも保険金を支払う
2 ユニット・リンクは運用期間終了後は満期金を「返して」終わりだが、本商品ではその後、終身保険が残る
まず、1について。
保険金の支払範囲が以下のようになっている。
ユニット・リンク → 死亡 or 高度障害
ユニット・リンク介護プラス → 死亡 or 高度障害 or 介護
「介護」の支払い条件は、要介護2以上、もしくは「会社所定の介護状態に該当した時」とあるが、この「会社所定」とは、下記の1か2の状態を指す。
① 常時寝たきりで、「ベッド周辺の歩行が出来ない」&以下の4つのうちから2つ以上が「出来ない」状態
b 着替え、c、入浴、d 食事、e 排泄
・器質性認知症
② については、そもそも「寝たきり」と言っているので、普通に考えれば要介護2より重い。
なお、要介護は1から始まり、5が一番症状が重い。
そのため、会社所定の条件に該当するより前に、ほとんどの人が要介護2に該当することになるだろう。
2の器質性認知症とは、平たく言えば「結構重い認知症」ということ。
ちょっと物忘れが酷い、とか、そんなレベルではない。
時間や空間の概念が理解出来ていないような状態なので、基本的には目が離せず、これも要介護2以上には相当するだろう。
そのため、「会社所定の条件」があるものの、基本的には要介護2に該当すれば「払われる」と思っておいて良い。
ユニット・リンク介護プラスは死亡と高度障害だけでなく、上記の介護状態になった時にも保険金が受け取れるので、「間口が広い」と言える。
以上が保障の話。
次に商品の仕組みの話に移る。
2 ユニット・リンクでは運用期間終了後は満期金を「返して」終わりだが、本商品ではその後、終身保険が残る
この件を解説したい。
これは結構複雑。
ここでは40歳男性が30年間保険料を積み立てたケースで説明したい。
基本保険金は1000万円とする。
まずはユニット・リンク。
これはシンプルで、40歳から30年間、つまり70歳まで毎月保険料を積み立てる。
この期間中に死亡した場合、運用成績がどんなに悪くても「最低でも1000万円」は受け取れる。
なお、運用成績が良い場合、1000万円を上回る可能性もある。
しかし、30年後、全ての積み立てを終えた後の満期金は、自己責任なので、運用が上手くいけば1,000万円を大きく超えることもあるし、逆に運用が下手なら1,000万円を下回ってしまうこともある。
一般的な変額保険である。
対して、介護プラス。
こちらも運用期間中(30年間)の扱いはユニット・プラスと同じ。
最低1,000万円、運用が上手くいけばそれ以上。
なお、前述の通り、死亡だけでなく介護でも受け取れる。
しかし、運用終了後の満期時の取り扱いが少々特殊。
ここでは2つのシナリオが考えれれる。
まず運用が好調な場合。ここでは満期金が1,200万円だったとしよう。
この1,200万円を
1 一時払終身保険の保険料
2 余剰金
に分ける。
1については、元々の保険金額である1,000万円の終身保険を「一括払」で買うイメージ。
その時の保険会社の運用状況にもよるが、今なら950万円くらいは払わないといけないことになる。
この950万円を支払っておけば、以後、死亡、高度障害、介護になった時に1,000万円が受け取れる。
1,200万円のうち950万円はこれに充てられ、残った250万円は余剰金として契約者に返される。
逆に運用成績がふるわなかった場合はどうだろうか?
例として800万円しか貯まらなかったとしよう。
その場合、この800万円全額で「買えるだけの終身保険」を買うことになる。
現時点で言えば840万円くらいだろうか。
全額を終身保険に移行してしまっているので、余剰金は発生しない。
以上、説明してきたようにユニット・リンクでは満期が来れば「そこで終わり」だが、介護プラスの方は、その後も終身保険を持つことが出来るのが特徴。
老後・・・
介護になっても保険金が受け取れます!!
介護にならならい時には死亡時に保険金が受け取れます!!
しかもそれまで変額として運用をしているので、老後資金としても使用することが出来ます!!
老後のリスクを全てカバーします!!
セールストーク的には、こんなところだろう。
では、弱点の解説に入りたい。
なお、本商品はユニット・リンクの派生商品であるため、基本的な弱点はユニット・リンクと同じ。
それらについては、以下を参照頂きたい。
この保険の弱点はここだ!アクサ生命「アクサの資産形成の変額保険ユニット・リンク」
本稿では、更に「本商品独自」の弱点を述べていきたい。
弱点1 普通のユニット・リンクよりパフォーマンスが下がる
何度も繰り返してしつこくて申し訳ないが、本商品は「介護でも払う」ということが売りとなっている。
この点、死亡と高度障害だけのユニット・リンクより条件が良い。
そして、保険の世界では、「無償で条件が良くなる」ことは絶対にない。
考えてみて欲しい。
Aさんには「死亡時だけ」、Bさんには「死亡時と介護時」に保険金を支払う約束をしたとする。
どう考えてもBさんの方が保険金を支払うリスクは高い。
そうなれば、当然、Bさんの方が保険料を高く設定することになるだろう。
では、本商品の場合はどうか?
具体的には以下のような処理をしている。
なお、ここで挙げている数字は全て筆者の経験則に基づくもので、アクサ生命が公式に「この数字・割合です」と公表しているわけではない。
あくまで「概念」を説明しているだけなので悪しからず。
例:40歳 男性が月1万円の保険料を支払う
ユニット・リンク
→ 1万円の保険料のうち、8,000円程度を実際のユニット(株や不動産など)に投資
ユニット・リンク介護プラス
→ 1万円の保険料のうち、7,200円程度を実際のユニット(株や不動産など)に投資
本家のユニット・リンクでは保険料1万円の中から8,000円程度が実際の投資に充てられている。
では、「抜かれている2,000円」は何か?
これは純粋な意味での保険料である。
早期に死亡した場合などに、保険金を支払うための保険料だと思えば良い。
変額保険では、これらのコストを「保険関係費」と言う。
変額保険は、運用色が強い商品だが、それでも「保険」ではあるので、このような保険料が取られるのである。
それが、介護プラスの場合、2,800円取られる。(繰り返すが、あくまで筆者の予想)
死亡だけのユニット・リンクより、「介護でも払う」分、保険関係費が高く設定されているのである。
そのため、実際の投資に充てられるお金は、7,200円と、ユニット・リンクより800円ほど低くなる。
先に述べた通り、無償で条件が良くなることは「ない」ので、つまりはこの800円が「介護付き」の費用ということになる。
要は、保険料から「多めに」保険関係費を引かれている、ということ。
運用の原資が減る分、将来のリターンも減る。
全年齢での設計書を比較したわけではないが、運用成績が「全く同じ」場合、支払った保険料に対しての積立金は7、8%程度減る印象。
例:40歳男性が1万円を、平均6%で30年間積立
総支払保険料 360万円
30年後の解約返戻金(積立金:平均6%運用の場合)
ユニット・リンク 800万円
ユニット・リンク介護プラス 740万円
そもそも投資されている原資が少ない分、将来の返戻金も少なくなる。
結局のところ、「介護の保障」を得るために60万円(7~8%の運用益)を失っていることになる。
参考コラム:変額保険の「ファンド」を超解説!!インデックスとは?アクティブとは?
この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)
前項で述べた通り、介護という保障が付いてるがゆえ、保険関係費が高い、その分、投資にまわるお金が減るので、それが将来のリターンに響く。
これを良しとするか?
本商品の判断はそれに尽きる。
まず結論を言えば、筆者は「通常のユニット・リンクで十分」だと思う。
もっと言えば、ユニット・リンクを始めとした変額保険を比較し、それらの中で最もパフォーマンスが良い商品を選ぶべき、そう考える。
現時点で、変額保険でアクサ生命のライバルとなる商品は以下の3社あたりだろうか。
ソニー生命 バリアブルライフ 変額終身・変額定期 ★★★☆☆
プルデンシャル生命 変額保険(終身タイプ/一時払タイプ) ★★☆☆☆
変額保険は、結局のところ「どんなファンド(ユニットと言う)を選ぶか?」ということに尽きるので、変額保険の良し悪しは、その商品がもっているファンドの質で決まる。
アクサのユニット・リンクでは「外国型プラス型」などがユニット単価が400を超え(元々は100なので、価値が4倍になっているということ)ているし、ソニーの変額では金看板の「世界株式型」などが1000を超えている。
マニュライフのグローバルバランス75というユニットも200超えしている。
この結果だけを見れば、ソニー、アクサ、マニュライフの順に「成績が良い」ということになるが、とは言え、これはあくまで過去の話。
また、各ファンド(ユニット)も運用期間が全然違う。
ソニー1000超えなどは、1999年から22年間もの長期に渡る運用の結果であり、逆にアクサやマニュライフなどは、ここ7,8年で運用を開始したものが多く、22年で1000と、7,8年で200~400、後者が今のペースで22年間も運用すれば、恐らくは1000を超えるだろうから、そういう意味では、この3社は「良い勝負」をしているとも思う。
但し、これらはあくまで過去の結果であって、今後も同じペースで利回りを増やせるかは誰も分からない。
そういう意味でも変額の比較は難しい。
難しいと言うより、比較しようがないので、率直に言って「勘」で決めるしかないような気もしている。
過去の成績重視ならソニーだろうし、ここ数年の成績を重視するならアクサも悪くない。
話が少々横道に逸れたので、戻したい。
では、「もし、介護になったら・・・」それを考察したい。
が、それでも必要なし。それが結論
仮に若いうち、もしくは歳をとってから介護になることを想定しても、筆者は「普通にユニット・リンクの方が良い」と考える。
そもそも介護と保険は相性が悪い。
その理由は以下のコラムにまとめてあるので、ご一読いただきたいが、更に本商品には独自の「必要ない」理由がある。
実際の例(パンフレット掲載例)を挙げて説明しよう。
40歳 男性 払込期間30年間
毎月の保険料 2万円
基本保険金額 841万円
第一保険期間は40歳から30年後の70歳まで、その後が第二保険期間となる。
第一保険期間の間に、介護状態に該当した場合には、841万円を受け取れる。
しかし、実際に70歳までに介護状態になる可能性は「かなり低い」
介護で、かつ本商品の支払い条件である要介護2を70歳以下で満たすようなケースは稀であろう。
もちろん可能性は0%ではないが、ユニット・リンクに入っていても、何も受け取れないわけでもない。
解約返戻金があるので、いざとなればそれを解約すれば良い。
運用が上手く行っていれば、それなりにまとまった返戻金にはなるだろう。
それでも「本当に若い時」
例えば「40歳で加入し、41歳で要介護」などになった場合を想定すれば、介護プラスの方に分がある。
41歳ということは、加入して1年弱なので、通常のユニット・リンクではほとんど返戻金がないが、介護プラスであれば841万円の保険金があるからだ。
が、この場合、保険金が問題となる。
841万円。
小さいお金ではないが、人一人が一生食っていけるほどでもない。
本当に「働けない」、「要介護」の状態の保障としては不十分だろう。
であるなら、若いうちのこれらのリスク(働けない)に対応するには、専門の就業不能保険などの方が良い。
これらの保険なら、65歳まで毎月10万円というような形で給付してくれるので安心だ。
・そもそも発生確率がきわめて低い
・介護の保障としては保険金が少ない(ちゃんと対策するなら、就業不能保険がベスト)
・介護をつけることで、投資効率が落ちる
以上の理由から、介護プラスを選ぶ理由はないだろう。
では、本格的に介護のリスクが増える「高齢者」になってからはどうだろうか?
本商品では第二保険期間が、それにあたる。
このケースで言えば、70歳以降だ。
が、この場合でも通常のユニット・リンクの方が良いと断言出来る。
改めて70歳時点でのユニット・リンクと介護プラスの違いを見てみよう。
ユニット・リンク 70歳時点で満期金を渡す、それで終わり
介護プラス 70歳時点の満期金から、一生涯続く「終身保険(841万円)」の分を除き、余剰金を渡す
注:終身保険841万円にかかる費用は、恐らく800万円前後
介護プラスでは、70歳以降も一生涯の保障が続くのだが、それも元は自分のお金。
つまり満期金の一部である。
これって意味あるだろうか?
老後、介護が心配であれば、「現金で持っていれば良い」話だ。
ユニット・リンクでしっかりお金を貯めて、その満期金を受け取る。
介護になれば、その一部を使う。
ユニット・リンクの方が投資効率が良い(保険関係費が介護プラスより低いため)ので、同じ運用をしていれば、70歳時点では確実に介護プラスより、満期金は多い。
本商品を「介護の保障」として考えた場合、第二保険期間はほとんど意味がないと言える。
要は「金があれば良い」のだから、であるなら、ユニット・リンクで貯めた方が効率的だ。
以上の理由で、冒頭でも述べたように、本商品に入るくらいなら、通常のユニット・リンク。もしくは他社の変額保険の方が良いと考える。
比較した方が良い商品
ソニー生命 バリアブルライフ 変額終身・変額定期 ★★★☆☆
プルデンシャル生命 変額保険(終身タイプ/一時払タイプ) ★★☆☆☆