この保険の弱点はここだ!三井住友海上プライマリー生命「目標設定特則付変額個人年金保険」

提供会社:三井住友海上プライマリー生命

商品名:目標設定特則付変額個人年金保険
別名:しあわせの便り 日本郵便
届く しあわせ ゆうちょ銀行

この保険の弱点はここだ!!

内容はシンプルだが、ファンドのレベルが低い。

星1つ評価。

本商品は三井住友海上プライマリー生命を供給元として、日本郵便及びゆうちょ銀行が販売している。

要は「郵便局向け」の商品。

おそらくは、郵便局が強い地方で、高齢者を念頭に置いて開発されたものだろう。

そのため、あまり余計な機能は付けず、「分かりやすさ」優先の仕様となっている。

商品の流れは以下の通り。

1 まとまったお金を預ける(例:1,000万円) 

2 全額が本商品で設定されているファンドに投下される

3 運用実績に応じて日々増減する

4 但し、年金開始前までに死亡した場合には、1で預けた金額(1,000万円)は保障される

5 年金開始時には「1で預けたお金」か「運用成績の結果の資産」のうち「大きい方」が適用される。

例:運用により1,000万円が800万円になってしまった・・・・
→ 当初預けた1,000万円が原資

運用により1,000万円が1,200万円になった!!
→ 1,200万円が原資

要は運用に失敗しても、預けた分は年金の原資として確保されているということ。

このあたりの「元本保証主義」もいかにも郵便局らしい。

なお、本商品にはターゲット機能が付いており、あずけた元本が110%、115%、120%になった場合には自動的に運用を終え、その後はその金額を固定してくれる(その後の年金原資となる)というオプションがある。

110%、115%、120%のうちどれを選ぶか?もしくは付けないか?は自由に選択できる。

ターゲット機能の詳細については以下コラムをご参照頂きたい。

参考コラム:ターゲット?保険金保障?外貨建一時払商品に「よくある」特約を解説!!

預けたお金がファンドで運用される。

その結果、増えればそれが年金原資となり、以後、年金として受け取れる。

ターゲットを決めておけば、途中で利益確定をすることも可能。

だが、仮に失敗しても、死亡時と年金開始時には元本保証。

まあ、そんな感じの商品だ。

では弱点。




弱点1 ファンドが弱い

本商品の弱点と言うか、デメリットはこれに尽きる。

ファンド(変額保険では「特別勘定」と言う)が弱い。

本商品で使われているファンドは「バランスR20」という名前で、三井住友DSアセットマネジメント(以下、三井住友DS)という会社が運用を行っている。

三井住友DSは、いわゆる「三井住友系」の運用会社で、三井住友銀行、三井生命、そしてプライマリー生命の親会社である三井住友海上などが出資している。

プライマリー生命からすれば「親戚筋」のような会社。

で、この三井住友DSが運用している「バランスR20」だが、うーん、率直に言って

やっちまったなぁ

という感じ。

株式と債券のミックスで運用をしているが、マーケットが「これから上昇する!!」と読めば株式を多め、「これから下降する・・・」と読めば債権を多めに持つような仕組み。

なお、これらの判断は月に1回するらしいが、ファンドマネージャー的な「人間」がやるのか、それとも昨今流行りのAIがやるのか、そのあたりは良く分からない。

但し、この判断。過去を振り返るとほとんどの局面で間違えている。

このファンドは2017/4/3から運用を開始しているようだが、ユニットプライス(投資信託の一口のようなもの)100から開始して、本稿執筆時点での価値は「86.797(2023年2月5日時点)」となっている。

つまりマイナス14%弱ということ。

2017年からコロナショックまでの2020年と言えば、株高で沸いていた時期。

まずそこで「あまり稼げていない」

株高の時期ですら、105程度までしか伸びず、その後のコロナショックでドカンと下げた。

また、コロナショックで「これからは下がる」と読み、資産配分を債権重視にしてしまったのだろう。

これが裏目となり、その後の株高に乗れれていない。

そのまま債権を持ち続けたおかげで、2022年のアメリカ利上げにより、債券価値が低下。

更にドカンと下げて現在は86,7あたりをウロウロしている。

過去を振り返ってコメントするのであれば、何でも言えるが、正直、ちょっと酷いと言うか、読みが悪すぎると言うか・・・・

厳しく言えば「プロの仕事じゃないな」というところ。

ユニットプライスの推移を見ると、

何か中途半端なAIに判断させてるっぽいな・・・・

という印象を受けるが、とにかく運用が後手後手で一方的に顧客の資産をすり減らしている。




2022年12月時点時点での特別勘定の運用レポートを見ても、現在以下のようなポジション(投資配分)を取っている。

株式 日経225        9.6%
S&P          0%
ナスダック       0%
ユーロ・ストックス50 9.9%
ドイツDAX      9.9%

債券 国内債券       23.6%
米国債券       22.9%
ドイツ国債      22.5%

かなり「変な構成」という感じ。

2023年、成長率がほぼゼロになると言われているヨーロッパ市場に株式20%、債券22.5%と4割超を投資しており、これがこのファンドの現在の「最適解」だとすると、

うーん、これで100に戻せるのかね?

という気もする。

このあたりの話は筆者の推測も入るが、事実としては100で始まったものが86まで下がっている、ということ。

途中、コロナ、インフレによる米国の利上げ、という判断が難しい局面があったにせよ、2017年から始めて、5年超。

預かった資産を減らした、という点ではマイナスでしかない。

また、今のポジションを見ていると、これから伸びるような気もしない。

弱点2 保険関係費2.58%

更に本商品では、毎年、預けている資産から2.58%の保険関係費が取られる。

保険関係費とは、先に述べた

・死亡時や年金開始時に元本(1,000万円)を「保障」する

ためのコスト。

前項で述べたように、ファンドで減らされ、保険関係費で減らされ。。。。

正直、本商品で「勝つ(元本以上に増やす)」のはかなり難しのではないか?と思う。

年金開始時には元本が保障されるとは言え、結局、10年ちかくあずけていて、何のリターンもなかったということにもなる。

別の方法であれば、利回りが稼げていたはずであり、そう考えると実質的にはマイナスだ。

無駄に資産を塩漬けしただけ、ということになる。

また、本商品には解約控除もある。

これは早期解約時のペナルティのようなもので、一時払系の商品には多く見られる。

参考コラム:解約控除とは何か?

要は「一旦預けたら最後までやりない。途中解約すると損するよ」ということ。

このあたりは、重々気を付けて金額を設定して欲しい。

絶対に無理はしないこと。




この保険の弱点、こう考えろ!!

やめておいた方が良い。

元本が保障されているので、早期解約をしない限り損をすることはないが、何のメリットもないものに預ける理由もないだろう。

旧知の郵便局の方に声をかけられたて、

「この商品は、このサイトで低評価だった」

と言って、当サイトを見せれば良い。

おそらく現場の販売員で、この商品のファンドをしっかり理解している人はそう多くはないだろうし、当サイトで指摘したこと(何故にこの時期、ヨーロッパ偏重?)に、理論立てて反論出来るよな人もいないと思う。

郵便局の窓口では、これ以外にも色々な商品を扱っているので、他の商品にするか、もしくは保険ショップなどで似たような商品を紹介してもらうと良いだろう。

口コミ(販売側から)

なし

謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。

口コミ(契約者から)

なし

比較した方が良い他社商品は?

ソニー生命 バリアブルライフ 変額終身・変額定期 ★★★☆☆

ソニー生命 変額個人年金保険 (無配当) ★★★☆☆

アクサ生命 アクサの「資産形成」の変額保険 ユニット・リンク ★★☆☆☆

アクサ生命 ライフプロデュース ★★☆☆☆

プルデンシャル生命 変額保険(終身タイプ/一時払タイプ) ★★☆☆☆

メットライフ生命 ライフインベスト/ライフインベスト プラス ★★☆☆☆

編集後記

約款

注:どうでも良いが三井住友海上プライマリーの商品は、約款が非常に見つけにくい。
現役で販売されている商品の約款はサイトに記載されているが、過去の商品は契約者が知る「約款コード」がないと見れない。
約款コードなどいつ紛失してもおかしくないので、仮にそれがないとなると、簡単に約款が見れないということ。
このあたりもユーザーライクとは言い難い。