提供会社:JA共済
商品名:ライフロード(予定利率変動型年金共済)
この保険の弱点はここだ!!
本商品、当サイトをお読み頂いている方から
「この商品は良いと思うので、サイトで取り上げて欲しい」
というご要望を頂いて、ここで紹介している。
(情報提供頂いたO・Kさん、ありがとうございます!!)
保険会社各社の商品についてはおおむね把握しているが、共済系はなかなか情報が入ってこないので、このような情報提供はありがたい。
率直に良い商品だと思う。
本商品のメリットは3つある。
1 返戻率が高い
2 保険料7,000円/月の設定(年間8.4万円)が可能
3 利率変動型である
と言うこと。
実は「2」の方がメリットとしては大きいと感じている。詳細は後述する。
各項目ごとに説明していこう。
1 返戻率が高い
現在、国内生保が販売する年金商品の返戻率は101%~102%のところがほとんど。
つまり、貯蓄商品としては「ほとんど増えない」という感じなのだが、これは保険会社が悪いわけでもなく、国債の利回り低下が原因。
保険会社の運用のメインは国債なので、その国債の利回りが0.01%とか、そんな状態では契約者からお金を預かっても「増やせない」のである。
そのため、年金保険として保険料を30年、40年預かっても101%とか102%をウロウロする程度のリターンしか出せない。
対して、本商品ではそれよりはマシな104%程度(年齢、性別によっても異なるが国内生保の同種商品より+1~2%程度良い)
もちろん、JA救済でも運用先は国債がメインであり、その点では国内生保と事情は同じ。
だが、基本的に営利組織である保険会社と違い、JA共済は利益を出すことを目的としていない。
あくまで農業関係者(JA)の互助会的性質を持つ組織なので、内部で利益をためることなく、利益は全て契約者(正式には組合員)に返すという建前となっている。
そのため、1%、2%程度の多少上乗せが実現出来ているのではないか?
なお、余談ながら、JA共済。
農業関係者の高齢化や減少に伴い、最近は「組合員以外」の集客に力を入れている。
有名女優やタレントを起用し、テレビCMをバンバン流しているので、ご覧になった方も多いのではないか?
同じく都民共済や県民共済などもCMを流しているが、個人的にはこれらのことは「余計なこと」だと思っている。
これらの莫大な広告料も本来は組合員に還元するべきものであり、「共済」の性質を考えると、本当に必要なものなのかいささか疑問である。
あんな広告を流さなければ、年金商品の返戻率ももっと高いのでは?などと邪推してしまう。
まあ、民間の保険会社はもっと酷いということだが・・・・
2 保険料7,000円/月の設定(年間8.4万円)が可能
さて、保険会社、共済、いずれにせよ年金商品の返戻率は「かなり低い」のが現状だが、それでもこれらの商品に入る人は多い。
その理由は「年金保険料控除」
この年金保険料控除枠を使うことで、税金が還付される。つまり戻ってくるのだ。
ルールは
・年間8万円以上を支払えば
・4万円を控除する
となっている。
これらの詳細は「一から解説、控除って?何で保険で還付金が戻ってくる?」にてまとめてあるので、そちらをご一読頂きたいが、例えば年収500万円の人が4万円控除された場合、還付金は約8,000円程度となる。(年収が上がれば上がるほど、所得税の税率も上がるので、還付金も大きくなる)
年金保険に年間8万円支払い、還付金が8,000円となると、利息で言えば年10%ということになる。
実際には税金が戻ってきているだけで、利息がついているわけではないものの、お金を払っている当人からすれば同じこと。
今どき10%の貯金なんてない。
そのため、年金保険自体では「ほとんど儲からない」ことを承知の上で、年金控除枠を使いためだけに年金保険に入る人が多いのである。
だが、ここで一つ問題が発生する。保険料の設定だ。
先程、「年間8万円以上支払えば4万円控除」と説明したが、このルールに基づければ、年8万円支払った人も年20万円支払った人も等しく「4万円控除」ということになる。
同じ控除額であれば、還付金も同じだ(所得税率が同じ場合)
あくまで目的は還付金であり、年金保険自体は「ほとんど増えない」のだから、そこにあまり大きな資金を投入するのは効率が悪い。
できるだけ8万円ちょうどの方が良い。
つまり、毎月7,000円(年間8.4万円)くらいが理想的なのだが、これがなかなか上手くいかない。
理由は保険会社側の都合。
多くの年金商品で、年金額の最低金額が決まっている。
「年金金額30万円」というバーを設けている保険会社が多い。
老後「30万円以上の年金が10年間出る」ようにしか設計出来ないのである。
30万円の10年分は300万円。
先程、年金商品の返戻率は101%か102%程度と説明したので、300万円を貯めるためには295万円前後を積み立てないといけない。
30歳から65歳まででこれを支払おうとすると、
295万円 ÷ 35年(30歳から65歳まで) ÷ 12ヶ月 = 7,024円/月
となり、おおよそ毎月7,000円程度の保険料で済む。
年間保険料は8.4万円。控除枠をちょっと超えた程度で、ちょうど良い。
しかし、これが40歳となると、
295万円 ÷ 25年(40歳から65歳まで) ÷ 12ヶ月 = 9,833円/月
年間保険料は12万円程度となってしまう。
年金控除の枠を埋めるためには8万円以上は余計なので、そこに12万円を投資してしまうと、ほとんど増えないものに4万円を預けていることになる。
ちなみに何でこんなルールがあるのだろうか?
身も蓋もない言い方をすれば、保険会社が「これ以下の少額は預かりたくない」ということだろう。
保険会社からしても年金保険など、ほとんど儲からないので、更にそれが少額となると手間ばかりかかって面倒。
だからこそ「最低300万円くらいは積み立ててよ」ということになる。
これ自体は保険会社側の言い分も分かるので仕方がないのだが、とは言え、高齢になればなるほど年金保険に入る時に保険料が上がってしまい、投資効率(還付効率)が悪くなってしまうし、更に言えば、実は若い人は年金保険などあまり興味がない場合が多い。
給料も安いので、税金もさほど取られておらず「良く分からないから別にいいや・・・」という感じなのだろう。
だが、40代、50代になり給料も上がると「税金高っ!!」となって、節税などを考える。で、「年金保険料控除枠を使おう!!」となるのだが、その時には保険料が高くなっている。という具合だ。
このパターンは結構多い。
そんな時、本商品であれば、年齢が上がっても「保険料7,000円/月」が選択できる。
試しに50歳男性で設計してみると、以下のような感じ。
・保険料(共済掛金) 7,000円/月(年8.4万円)
・払込終了年齢 65歳
・年金支払開始年齢 65歳
総支払保険料 126万円
年金 12万6,406円×10年 126万4,060円
流石に50歳から加入しているので、年金保険としては4,060円しか増えないが(注:増えるだけ凄い。民間保険会社であれば恐らく多少マイナスになるだろう)、この年齢で8万円で年金控除枠を取れるので、還付金のメリットを享受できる。
個人的には年齢が高くても7,000円/月設定が出来るのは、とても良いことだと思う。
3 利率変動型である
本商品では加入6年目から積立の予定利率が見直される。
これは将来、運用状況が改善し、金利が上昇した時などはプラスに働く。
予定利率が高くなれば、その分、将来の年金も増えるのでメリットがあるだろう。
多くの年金商品は、加入時の予定利率が固定されてしまうので、特に最近加入した人は「ものすごく低い利率がずっと続く」ということになってしまう。
その点、6年目以降、利率が上がる「望みがある」ということは良いことだ。
他社でも同じような仕組みを取っているところもあるが、本商品がJA共済という「わりと古い組織」が出していることを考えると、「随分ナウいことやってるね!!」という感じ。
なお、利率は「変動」するが、加入時に「最低利率」は確保されているので、加入時以下に下がることはない。
とは言え、将来利率が上がるか?と言われると、正直、望み薄だとは思うが、可能性ゼロ(利率固定)よりは良いだろう。
以上、商品論評。
かなり評価は高いのだが、それでも星3つとさせて頂いた。
それは一点だけ大きな弱点(デメリット)があるから。
弱点1 入るのが面倒・・・・
JA共済は原則、JAの組合員のための共済だ。つまり農業関係者。
そのため、JA共済に入るためには、1万~2万円程度の出資金を支払って準組合員になるか、員外利用と言って組合員でなくても入れる仕組みを使う必要がある。
員外利用も「全利用者の20%以下でなくてはいけない」などのルールがあり、イマイチ良く分からない。
JAは各エリアごとに別れているので、都市部のJAだと、20%を超えてしまっている場合もあり(農業関係者の比率が低いため)、そうなると出資金を支払って準組合員にならないといけない。
注:実際にはほとんどのJAで員外を受け入れているらしいが・・・
また、都市部では「そもそもJAの店舗がない」というなところもあり、テレビ広告をやっているわりには、間口が狭いのである。
なお、私の知り合いは、員外利用でJA共済に入ろうと店舗に行ったが「かなり熱心に」準組合員に勧誘されたらしく、まあ、そんな面倒臭さもある。
この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)
商品としては悪くない。むしろ非常の良い。
組合員のことを考えて、とても親切に設計されている商品だ。
しかし、加入するのに一手間がかかるので「それらの手間をクリア出来る人」、もしくは「すでにJAと何かしら繋がりがある人」にとっては良い選択になるが、都市部に住んでいる人にとっては、なかなかハードルが高いのではないか?
口コミ・評判(契約者から)
20代後半男性 既婚/お子様あり さんからの口コミ
JA窓口にて、年払8万円のクレジットカード払いで契約。
iDeCoや積立NISAと並ぶ節税対策の一環での契約のため、上限ちょうどで低リスクな円建て個人年金保険を探していました。
他社では月1万円以上などの制約があるため、節税目的での個人年金保険ならこれしか選択肢がないと思われます。
より高い返礼率の個人年金保険もあるものの、こちらは最低保証予定利率に基づく返礼率のため、金利動向によっては上振れする可能性があるのも魅力的でした。
クレジットカード払いの場合、ポイント還元があるのでよりお得になる一方、カード更新の際に窓口に行く必要があるため、近くにJA窓口がない方は面倒かもしれません。
また、平日昼間しか窓口が開いてないのも少々ハードルが高かったです。
農協だからか他の保険を押し売りするような営業は一切なく、都内在住のサラリーマンですが出資金を払って准組合員になる必要もありませんでした。
謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。
比較検討した方が良い商品
本商品よりわずかに返戻率良いか?・・・
日本生命 みらいのカタチ 年金保険 ★★☆☆☆
ドル建なのに年金保険料控除の対象
マニュライフ生命 こだわり個人年金[外貨建] ★★★☆☆
編集後記