この保険の弱点はここだ!ニッセイ・ウィルス生命「つみたてねんきん2」

提供会社:ニッセイ・ウィルス生命

商品名:つみたてねんきん2
ニッセイウェルス定額年金 外貨建・円積立型(野村證券にて取扱)
みらいの笑顔(みずほ銀行、みずほ信託銀行にて取扱)
夢のつみたてねんきん(三菱UFJ銀行にて取扱)

この保険の弱点はここだ!!

ニッセイ・ウェルスは銀行窓口販売向けの商品の企画・販売を行う日本生命グループの保険会社。

本商品の特徴としては、

・ドル建の年金商品

・利率固定型(詳細は後述)

・年金保険料控除の対象商品

ということで、そもそもドル建で年金保険料控除の対象になるものは数が少なく、実質的にはニッセイ・ウィルスととマニュライフくらいしか出していない。

そのため、本商品のライバルもマニュライフの「こだわり個人年金」となるだろう。

なお、実際に販売している金融機関ごとに、以下のように名前を分けてはいるが、中身は全く一緒。

野村證券 ニッセイウェルス定額年金 外貨建・円積立型

みずほ銀行・みずほ信託 みらいの笑顔

三菱UFJ銀行 夢のつみたてねんきん

マニュライフ生命 こだわり個人年金[外貨建] ★★★☆☆

本商品はドル建(米、豪)の年金商品で、毎月一定の金額を積立て、老後にそれを年金として受け取る商品。

なお、他社のドル建商品では、毎月の保険料は「ドル」で固定されていて、それを円換算して引き落とされる場合が多い。

例えば毎月200ドルであれば、1ドル100円なら20,000円だが、1ドル140円なら28,000円など。

だが、本商品は毎月の保険料は20,000円など、円建てで固定されていて、その金額で

買えるだけのドルを買う

というシステム。なお、マニュライフも同じ仕組みを取っている。

ある月に、1ドル100円なら、200ドルを買えるが、1ドル140円なら142ドルしか買えない。

「買えるドルの量が変わる」という点では、為替の影響を受けているのだが、毎月の保険料が変動するようなことはない。

積立期間は最短10年から最長40年まで。1年刻みで設定可能。

また、支払完了後、すぐに年金を開始することも出来るし、最長10年間「据置」することも可能。

据え置いている間は、返戻金が増えていく。

例えば60歳まで払い込んで、実際に受け取るのは65歳(5年据置)というようなことも可能。

予定利率には「利率固定プラン」と「利率連動プラン」の2つがあるが、後者の利率変動プランの方が高めに設定されている。

予定利率は毎月1日に決定され、そのタイミングで契約した利率がずっと適用される仕組み。

ちなみに本稿を書いている2022年11月時点での利率は米ドル4.47%、豪ドル4.63%で設定されており、これは「まあ、頑張ってるな」という感じ。

サイト上では、利率固定プランの利率は公表されていないが、先の利率連動プランより、「低い」ということはパンフレット上にも明記されているので、1割程度(0.4%)程度低いのかもしれない。

但し、利率固定プランの方は、「利率の低さ」と引き換えに、以下2つの「特典」がある。

1 解約時に市場価格調整が適用されない

2 経過10年後からは保険料の「払込停止」や「再開」が出来る

1については少々複雑で、これを理解するためには、まず「市場調整価格」を知る必要がある。

参考コラム:市場価格調整とは?

上記コラムにて解説しているので、詳しくはそちらを参照頂きたいが、簡単にいえば

「加入時の金利と、解約時に金利の『差』にかかるペナルティ or ボーナス」

ということ。

例えば、加入時の市場金利(本商品は米ドル、豪ドルなので、その両国の金利)が3%で、解約時の金利が5%だとしよう。

ここで重要なことは、

金利=国債の利回り

ということ。

多少の「ズレ」はあっても、その時の金利は原則的にその国の国債の利回りとイコールである。

そして、この手の年金商品は、基本的には「保険会社経由で国債を買っているようなもの」なのである。

保険会社は米国債を大量に購入し、それを各契約者に「バラ売り」しているようなもので、特に貯蓄型の年金商品などは、この傾向が強い。

そのため、米ドルで本商品と契約した人は、

「ああ、私は米国債を買っているんだな」

と理解した方が良いだろう。

で、話を戻す。

加入時に3%だった市場金利が、解約時に5%になっている。

そうなると、市場には利回り5%の米国債がごろごろ流通していることになる。

その時、利回り3%の米国債はどう評価されるだろうか?

普通に考えれば買う人はいない。

そのため「値下げ」をする必要がある。

例えば10万ドル 3% 償還期間 10年の米国債は、10万ドル預ければ、毎年3,000ドル(3%)を受け取れて、10年後には10万ドルがそのまま戻ってくる。

これを「売りたい」と思った時に、残りの期間が3年あったとしよう。

つまり、3,000ドル × 3年=9,000ドルが受け取れる。

だが、同時期に販売されている米国債は5%。同じ10万ドルを投資すれば、3年で5,000ドル × 3年 = 15,000ドル戻ってくる計算だ。

両者の差額は6,000ドル。

であるならば、3%国債は9万4,000ドルなら「売れる」




あと3年経てば、9万40,00ドルで買った10万ドル国債は償還され10万ドルが戻ってくるので、ここで6,000ドル得する。

それまでに受け取っている9,000ドル(3年分)と加えて、15,000ドルを受け取れることになるので、これで

「価値が同等」

とみなされるわけだ。

言い換えれば、10万ドルの国債が9万4,000ドルに「価値が下がった」ということ。

保険会社からすれば、

「その分(損した分)はアナタが被ってね。途中で解約したのはアナタの事情なんだから」 

ということ。

逆に解約した時に市場金利が1%だったら?

この時には、3%の債券は「皆が欲しがる」

そのため価値が上がり、その分は契約者にボーナスとして反映される。

これが市場金利調整の仕組みなのだが、この市場金利調整が

利率固定プランには適用されない

利率連動プランには適用される

という違いがある。

だが、これがメリットなのかデメリットなのかは正直分からない。

市場が上がっていれば、ペナルティのある市場金利調整は「適用されない方が良い」のだが、逆に金利が下がっていればボーナスが発生するので「適用された方が良い」からだ。

これが1の「解約時に市場価格調整が適用されない」ということだが、2の

経過10年後からは保険料の「払込停止」や「再開」が出来る

は明らかにメリットがある。

これは1ドル150円とか200円とか「超ドル高」になった時に有効。

本商品では、保険料は円建で固定されていて、その保険料で「毎月、買えるだけのドルを買う」ということは先に述べた。

そのため、ドル高になると、買えるドルの量が減る。

つまり、割高なドルを買っているということになるので、あまり良いことではない。

このような時、利率固定型であれば

その期間、保険料を支払うことをスキップ出来る

このような期間、投資を避け、また1ドル120円などに戻ったら保険料支払いを再開するのである。

実際には、本商品は保険料が円建で固定されているので「毎月の負担は変わらない」

そのため、円安ドル高を実感しにくく、この「停止、再開」機能をマメに使う人は少ないだろうが、出来ないよりは出来た方が良いだろう。

以上、商品概要を解説した。

では、弱点。




弱点1 最低保険料が2万円から

これ、地味に大きな弱点。

本商品は「ドル建」で「年金保険料控除の対象」になるので、それ目的(控除による還付金)で入る人も多いはず。

生命保険料控除や介護医療保険料控除を利用している人は多いが、年金保険料控除は利用率は30~40%程度であり、この枠だけ空いしまっている人が少なくないのである。

参考コラム:年金保険料控除対象の「年金保険」どうやって比較検討するべきか?考察

で「年金保険に入りたい」となるのだが、円建の年金商品は「ほとんど増えない」ので、ドル建の方が人気がある。

だが、年金保険料控除のルールは

・年間8万円以上支払えば

・4万円控除

となっており、8万円以上支払っても「最大4万円」である。

そのため、出来るだけ8万円前後に抑えたい。

しかし、本商品は「最低保険料が2万円」であるため、年間24万円がミニマムとなってしまう。

もちろん利率も高いので、毎月2万円くらいなら投資しても良いとは思うのだが「控除で還付金を得る」という目的だけにフォーカスすると、、ややハードルが高い。

また「2万円から」と言われると、給与が低い若い人などは手が出ない。

この点、ライバルのマニュライフの商品は「毎月1万円から」なので、そちらの方が気楽だろう。

弱点2 為替手数料がやや高い

本商品では、毎月ドルを買い、解約時や、年金を円で受け取る時にはドルを売る。

その際、手数料を取られるのだが、これがちょっと高い。

買う時に1ドルあたり50銭、売る時にも1ドル50銭。

この為替手数料は保険会社ごとに異なるが、10銭、25銭などのところも多く、50銭は「結構取るね」という感じ。

弱点3 市場調整価格、解約控除あり

解約時には冒頭で述べた市場調整価格や、解約控除などがある。

参考コラム:市場価格調整とは?

市場調整価格については、既に解説した通り。

解約控除は、保険会社側の本音で言えば

「◯歳までという約束でこちらも運用してるんだから、途中で解約するのは勘弁してよ・・・約束が違うんだから、ペナルティ払ってね」

というもので、解約する時期によってもペナルティの率が変わる。

たとえば、開始して2,3年でやめるなら「解約返戻金の6%をペナルティとして貰いますよ」と言われるが、10年以上経過していれば「ほとんどない」というような具合。

契約期間などによっても変わるので、しっかり確認しておいた方が良いだろう。

解約控除と市場調整価格がダブルでかかり「結構損した」というような話も意外と多い。




この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)

ハードルは「最低2万円から」という点で、これさえクリアできるなら良い商品だと思う。

年金控除の対象にもなるし、他社比較で利率も高いので、下手にネット銀行などでドル預金するより良いのではないか?

為替手数料50銭は確かに高いが、こればかりは保険会社側のルールなので仕方がない。

また、解約控除、市場調整価格など「解約時にお仕置きがいっぱい」の仕様となっているが、これは「解約しなければ良い」だけの話。

そもそも貯蓄系の保険は一度始めたら原則やめてはいけない。

途中でやめて得をするようなことは、ほとどないので、よほどのことがない限り最後までやる。そう思った方が良いし、そのつもりで支払う保険料の設定をして欲しい。

「この金額なら絶対に払える」

その範囲にしておくべきで、その点からすると「最低2万円」はなかなかハードルが高いかもしれない。

そういう意味では、客を選ぶ商品とも言える。

ドル建の年金商品自体は沢山あるのだが、その中でも「年金保険料控除の対象」であるのは、本商品とマニュライフくらい。

ざっとこの2つの違いを書き出すと

・最低保険料
 ニッセイウィルス 最低保険料2万円から 
 マニュライフ 1万円から

・利率
 ニッセイウィルス 利率固定 
 マニュライフ 利率変動

・会社の信用度
 ニッセイウィルス「日本生命グループ」 
 マニュライフ「カナダの保険会社でやたらと金融庁に怒られている」

という感じ。

保険料に関しては、最低1万円から始められるマニュライフの方が気楽で良い。

利率は、本稿を執筆している2022年11月段階では、ニッセイウィルスが4.47%、マニュライフが4.74%なのでややマニュライフの方が良いものの、マニュライフは毎月変動し、過去には2%を切ったこともある。

ニッセイウィルスの方は4.47%で固定保障してくれるのであれば「今なら」こちらの方が良いと思う。

会社の信用度は、もう比較するまでもなくニッセイウィルスの方が安心。

マニュライフは最近、法人向けの節税商品で無茶をし過ぎていて、金融庁から目の敵にされているので、業界での信用度はかなり低下している。

なお、ニッセイ・ウィルスは銀行の窓口販売が主戦場ではあるが、大手の保険ショップでも一応商品は扱っているので、そこにいけば本商品も入れるだろう。

設計資料等がほしければ、保険ショップに行って欲しい。




口コミ・評判(販売側から)

なし

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口コミ・評判(契約者から)

なし

比較した方が良い商品

かなり特殊な商品なので、類似したものはないが、もっとシンプルな利率固定型の方が良いと考える。

編集後記:

約款