提供会社:日本生命
商品名:出産サポート給付金付3大疾病保障保険 ChouChou!
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この保険の弱点はここだ!!
本商品。
聞くところによると、政府の厚労省、金融庁あたりが「少子化対策のためには不妊治療インフラを整えないといけない」というようなことを言い出して、それが保険業界に波及。
「民間の保険でも不妊治療のバックアップを!!」
的な無茶ぶりをしてきて、業界の雄である日本生命が「仕方なく本商品をリリースした。」というような噂を聞いたが、本当はどうだが分からない。
まあ、苦心の作品であることは間違いないのだが、保険商品として見ると「うーん」という感じで、当サイトでも一つ星となってしまう。
本商品、通称(業界ではペットネームと言う)は「Chou Chou:シュシュ」となっているが、正式名称は
出産サポート給付金付3大疾病保障保険
とある。
商品のベースとなるのは「3大疾病保障保険」であり、これは「がん、急性心筋梗塞、脳卒中」の3大疾病と死亡時の保障を合わせたもの。
・がん 診断のみ
・急性心筋梗塞 手術 or 60日以上の労働制限
・脳卒中 手術 or 60日以上の後遺障害
・死亡
これらに該当した時に、300万円が支払われる。注:上皮内がんの場合、30万円。
しかし、これらは重複して受け取ることは出来ず「どれか1回だけ」
つまり、がんと診断されて300万円を受け取れば、その瞬間に契約は消滅し、以後、死亡したとしても保険金はない。
本商品はこれをベースとして、更に以下3つの「機能」が上乗せされている。
1 出産給付金 1回目10万円、2回目30万円、3回目50万円、4回目70万円、5回目以降100万円
但し、加入してから1年間は支払対象外(不担保期間1年)
2 不妊治療 1回目から6回目まで1回につき5万円、7回目から12回目 1回につき10万円
但し、加入してから2年間は支払対象外(不担保期間2年)
3 満期金 契約期間10年 100万円、15年 150万円、20年 200万円
ただし、満期金は
満期金+5,000 円×給付金支払回数-給付金支払合計額
という、よく分からない計算式に基いて支給される。
例えば保険期間10年(満期金100万円)の場合で、
・不妊治療 3回 5万円×3=15万円
・出産給付金を2回、10万円+30万円=40万円
このような形で給付金を受け取っている場合、満期時の支給額は以下のようになる。
満期金100万円+5,000円×5回ー55万円=47,5万円
つまり「5,000円×給付金支払回数」という上乗せはあるものの、実質的には「手前で受け取った分(給付金)」は満期金から差っ引かれる。ということ。
以上、商品概要。
ベースとしては、死亡+3大疾病の保険。
そして「一見貯蓄型」ではあるが、受け取った給付金は満期金から引かれる。
こんなところを理解しておけば良いだろう。
では、弱点の話に入りたい。
弱点1 実態としては割高な3大疾病保障保険(死亡+3大疾病)
本商品。
不妊治療、少子化というかなり重いテーマに「生命保険」という分野で取り組んだという点では評価出来る。
どんな業界でもそうだが「今までなかったもの」を作るのはかなりの苦労があり、そういう意味では過去、
「不妊治療や出産で給付金を支払う」
という商品は存在しなかったため、新たな分野を開拓したという意味では本商品には確実に意味がある。
だが、一方、民間の保険は慈善事業ではない。
不妊治療、少子化という社会問題に取り組むことは重要ではあるものの、その部分で損をするわけにもいかないし、かつ不妊治療に関してはデータも不十分なので
いざ保険商品を出した場合、どの程度の発生確率で給付金を支払うことになるのか?
という点が不透明で、率直に言って「やってみるしかない」という感じなのだろう。
では実際のところ、本商品に入っておいて「良かったな」と思う場面はどんなケースがあるのだろうか?
30歳 女性 保険期間10年の契約例で見てみよう。
・保険金300万円
・不妊治療 5万円、7回目以降10万円
・出産 10~100万円
・保険料10,128円/月
・満期金 100万円
10年間での総支払保険料は、約122万円となる。
ケース1 死亡 or 3大疾病
この場合、300万円を受け取れるので、間違いなく「得」となる。
死亡してしまった場合、ご本人は亡くなってしまっているので、得もクソもないが、収支だけで言えばプラスだろう。
がん、脳卒中、急性心筋梗塞でも「一時金300万円」を受け取れるので、大病をしたご本人としてはかなり嬉しいと思う。
ケース2 単に満期を迎えただけ
10年間の契約期間中、3大疾病にもかからず、不妊治療、出産もしなかった。
この場合、単に100万円が戻ってくる。122万円支払って100万円だから、マイナス22万円ということになる。
ケース 3 不妊治療+出産
例えば、不妊治療を5回、お子さんを3人産んだとしよう。
受け取れる金額は、
・不妊治療 5万円×5回=25万円
・出産 10万円+30万円+50万円
合計で115万円となる。
だが、この場合、満期金は戻ってこない。
前述の満期金の計算式、
満期金(100万円) + 給付回数(8回)×5,000円 ー 給付金合計(115万円)
この結果が「マイナス」となるため、満期金は発生しない。
そのため、10年間で122万円を支払って、115万円を受け取っているので、収支はマイナス7万円という結果。
つまり、不妊治療+出産で「得(支払った保険料以上の給付金を得る)」するためには、これ以上の不妊治療、出産が必要ということになる。
まず、出産だけで言えば「4人」産めば、給付金のトータルは160万円となり、122万円を超える。
だが、出産「3人」だと、90万円だけなので、122万円を超えるには不妊治療を7回以上受ける必要がある。
どちらも「ない」とは断定出来ないが、なかなかハードルは高いだろう。
つまり、本商品は「不妊治療」、「出産」に関しては「自分で積み立てたお金」を受け取っているだけ。
122万円支払って、100万円は満期金か、不妊、出産の給付金で「確実」に戻ってくるので、その差額の22万円で死亡+三大疾病の保障を買っているようなものだろう。
では、この保障は安いのか?高いのか?
10年間で22万円だから、毎月1,834円を負担していることになる。
「死亡+3大疾病」という同じ内容の商品で、オリックス生命の特定疾病保障保険 Withというものがあるが、30歳女性で10年間 保険金300万円の場合、その保険料は1,206円となっている。
オリックス生命 特定疾病保障保険With(ウィズ) ★★★☆☆
つまり、この部分だけにフォーカスしても、1.5倍ほど保険料が高いことになる。
挑戦的ではあるものの、正直、入るメリットはないと思う。
この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)
筆者自身、二人の子供を不妊治療で授かった。
だからこそ、不妊治療の実態は良く知っている。
お金がかかることも重々知っている。
だが、それを「保険で」というのは正直、無理がある。と言うか相性が悪い。
保険は、
不幸があった誰かのために、皆がお金を払う。
それが他人かもしれないし、自分かもしれない
という相互扶助の精神で成り立っている。
例えば、本商品の「死亡+3大疾病」などに限っていえば、30歳女性の発生確率は「かなり低い」
そのため、実質的な保険料が毎月1,834円であっても、万が一の時に300万円を支払えるのである。
大勢の人で一人を支えている。ということ。
だが、不妊治療、出産というのは、かなり発生確率が高い。
特に本商品のように「不妊治療、出産」を全面に出した商品には、それらの対象となる女性が集まるため、保険会社としては「支払う可能性が高い」と判断せざるをえない。
そうなると、どうしても「自分で貯めて下さい」ということになってしまうのである。
以上のことから、本商品は「自分で貯めた100万円」を満期金として受け取るか、不妊治療や出産の給付金として受け取るか、という形になっている。
率直に言えば、不妊治療も出産も
保険に入らず自分でお金を貯めておいた方が良い
ということになる。
何故ならば、本商品に入ることで「割高」な3大疾病の保険に入らなくてはいけないからだ。
死亡と3大疾病が不安であれば、それは不妊治療、出産と切り離して考えて、先に挙げたような割安の商品に入れば良いだろう。
もしくは、不妊治療だけであれば、最近、医療保険で「不妊治療」も支払対象としている商品もあるので、そちらも検討してみた方が良い(本文、最終部分の「比較した方が良い商品」にて紹介しているのでご参照頂きたい)
だが、中には「自分では貯められない」という方もいる。
そのような方にとっては、本商品も「まあ良いんじゃないの」という気はする。
例え自分が積み立てただけのお金であっても、不妊治療や出産の度に、給付金を受け取れることは事実であり、日々の生活で無駄に消費してしまうくらいなら、まだその方がマシだろうから。
そういう意味では「だらしない人向け」の商品とも言える。
口コミ・評判(販売側から)
なし
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保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。
口コミ・評判(契約者から)
なし
比較した方が良い商品
以下の商品は、一部、不妊治療も給付対象としている。
チューリッヒ生命 終身医療保険プレミアムZ/プレミアムZ Lady ★★★★☆
編集後記: