この保険の弱点はここだ!東京海上日動あんしん生命「あんしん治療サポート保険」

提供会社:東京海上日動あんしん生命

商品名:あんしん治療サポート保険

この保険の弱点はここだ!!

本商品は「3大、7大(8大)疾病保険」と言われる分野のもので、最近、他社でも同種の商品販売が続いている。

本商品では以下の8大疾病を保障対象としている。

1 がん
2 特定心疾患
3 特定脳血管疾患
4 大動脈瘤・解離
5 特定肝疾病
6 特定腎疾病
7 膵炎
8 糖尿病の3大合併症

やたらと「特定」という文字が多いが、この件については後ほど推察する。

商品としては、がん、心臓、脳の3つ(3大)を対象にしたⅠ型(3疾病)と、上記8つ全てを対象にしたⅡ型(8疾病)、更にⅠ型(3大)からがんを除き、心臓、脳だけを対象にしたⅢ型(2疾病)と、Ⅱ型(8大)からガンを除いたⅣ型(7疾病)の4つのタイプがある。

がんを除いたⅢ型、Ⅳ型というのは珍しい。

まずは、本商品のような3大(7大・8大)疾病保険が出てきた背景や、歴史について述べたい。

既にご存知の方は読み飛ばして欲しい。

従来の医療保険は「入院1日あたりにいくら(1日5,000円など)」という形でお金が受け取れるが、これだと長期間入院をしないとまとまった金額にならない。

そのため「がん一時金」や「3大疾病一時金」というような特約(オプション)が出てきた。

これは

「がんです。と言われた」

「脳の病気で入院、手術をした」

「心臓の病気で入院、手術をした」

ということだけで、50万円なり100万円なりの一時金を受け取れるというもの。

なお、がん一時金、3大疾病一時金については以下のコラムに詳しいので、参考にして頂きたい。

参考コラム:がん診断一時金、3大疾病一時金は付けるべきか?

入院の期間に関係なく大きな一時金を受け取れる、分りやすい、ということを理由にこれらの特約はヒットした。

だが、あくまで医療保険の「特約(オプション)」であるため、これに入るにはメイン(主契約)の医療保険に入らないといけない。

そのため、この特約部分を単体の商品として販売、つまり特約のみを独立させて商品化する会社が出てきた。

2018年頃からだろうか。

朝日生命や、その系列のなないろ生命などが先導し、ネオファースト、メディケアなどの新興保険会社が続き、最近では大手もこの分野への商品を投入している。

あんしん生命の本商品もこれにならったもの。

商品の特性として、最も大きなものは「通院、入院だけで受け取れる」というところだろう。

他社の7大疾病保険(8大疾病のところもある)は、がんに関しては「告知のみ」つまり「がんです」と言われただけで支払い対象となる。

また、脳血管疾患、心疾患に関しては「入院 or 手術」が条件だが、その他の肝臓、腎臓、脾臓、糖尿病、高血圧性疾患については入院だけではダメで、手術を受けないと支払対象とならない。

またその手術も軽微なものでは対象外で、例えば糖尿病については

・糖尿病性網膜症の治療のための手術

・糖尿病性壊疽の治療のための切断術

などが対象。(なないろ生命 なないろセブンの場合)

糖尿病がかなり悪化して、目が見えなくなった、とか、手足が壊疽してその部分を切断する、等々、かなり凄まじい状況にならないと支払ってくれないのである。

そのため、3大疾病以外の4~5からの疾病については「オマケのようなもの」という位置づけのものが多かった(支払条件は各社で微妙に異なる)

その点、本商品では明確に

「8つの生活習慣の入院、手術はもちろん、通院から保障します!!」

と明言しているので、支払い範囲はかなり広い。

これだけを見れば「良い話」のような気がするが、実はそうでもない。

そのあたりを解説していきたい。

では、弱点の話に移る。




弱点1 「特定」の表記に要注意!!

先に述べた通り、本商品の「売り」は

「他社より払われやすい!!」

というところなのだが、これはかなり使い古された手でもある。

この「支払条件が他社より良い」というのは、後発商品を出す際の常套手段だからだ。

A社(今回ではあんしん生命)がある分野の商品に後発で参入する場合、先行するB社、C社の商品を分析し、先行商品では「払われないケース(この場合、通院)」を洗い出す。

そして、自社の新商品では「そんなケースでも払います!!」とやる。

それによって先行する商品と差別化をするというマーケティング戦略なのだが、先行するB社、C社とA社の商品の保険料が「同じ」であれば、それは支払い条件の良いA社の商品の方が優れている。

だが、通常そうはならない。

保険会社として支払い条件を緩めればその分、支払う保険金が増えるのは当然のことで、結局のところそれを回収するには契約者から取る保険料を増やすしかないので、後発のA社の商品は先行する商品より高くなる。

支払い条件が良い分高い。というわけ。

だが、この戦略のタチの悪いところは「先行するB社、C社では『払わない』」というネガティブな情報のみを消費者にインプットするところにある。

そして心配性な日本人はこの手の情報に弱い。

結果的に「多少高いけど、通院も対象になるA社の方が安心だよね」となるわけだ。

だが合理的に考えれば「保険料が上がった分のメリットが本当にあるのか?」という点を考察しないといけない。

では本商品はどうか?

そのカギとなるのが、冒頭でも述べた「特定」という文字だ。

本商品の支払い対象が以下の8つである。

1 がん
2 特定心疾患
3 特定脳血管疾患
4 大動脈瘤・解離
5 特定肝疾病
6 特定腎疾病
7 膵炎
8 糖尿病の3大合併症

保険に詳しくない方はサラッと読み飛ばしてしまうかもしれないが、この8つの中には特定(太文字)という単語が4つある。

対して、他社の商品では、例えば2の心疾患は「心疾患」とだけ表記され、「特定」という文字は見当たらない。

約款を読むと、特定心疾患は「心疾患全体の中から、リウマチ性心疾患、高血圧性心疾患、不整脈、心臓弁膜症を除く」とある。

特定脳血管疾患に関しても「 脳動脈閉塞・狭窄」を除く。

特定肝疾患は慢性肝炎、肝硬変だけを指し、それ以外の肝臓の病気は含まない。

特定腎疾患も慢性腎炎と慢性腎不全だけに絞っている。

また特定という名はついていないが、糖尿病に関しても、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害の3つに絞っている。

つまり「軽微な病気」は除いているのである。

特に脳血管疾患での脳動脈閉塞・狭窄、心疾患での高血圧性心疾患、不整脈、心臓弁膜症を「除く」ことに関して、筆者としては

うわー揉めそう・・・

という印象。

脳動脈閉塞・狭窄とは、完全に血管が塞がってしまっている(脳梗塞など)わけではなく、「血管が狭まっている」という状態であり、本人からすれば立派な「脳血管疾患」だし、不整脈や高血圧を理由した心疾患も完全に「心疾患」だろう。

その時になって「支払対象外です。特定〇疾患ではないですから」と説明されても、どれだけの人が納得するだろうか?

また、これらの軽微な病気を外しているということは、つまりは「重い病気」でしか支払い対象にならず、そうなると通院だけで済まないことの方が多い。

どこかのタイミングで入院や手術をすることになる可能性は高く、であるならば「他社でも受け取れる」ということになる。

本商品では「通院でも払う」とぶち上げてはいるが、実際には本当に通院だけで済みそうな軽微な病気は「特定」から外し、かなり重い病気だけに支払い多少を絞っている。

ちょっと過剰かな?という点と、一見支払い条件が良いように見せかけて病気を絞っていること、更に保険料が高い点から2つ星とした。




弱点2 通院で貰える給付金が少ない

まあ、これは弱点と言うより商品の仕様なので仕方ないが、通院が対象と言っても一時金全額が受け取れるわけではなく、その20%か30%が給付されるだけ。

一時金50万円なら10万円か15万円ということで、まあないよりはマシだが、これをもって何がどうこうという金額でもない。

またこれが主契約(必ず契約しなくていけないメイン部分)に組み込まれていて、外すことが出来ない。

筆者ならこんな薄口の保障はいらないのだが、まあ「通院だけでも受け取れる!!」というのは何故か好きな人が多いので、受けが良いのだろう・・・

弱点3 保険料はかなり高い

前述の通り、8大疾病だからと言って何でもかんでも払うわけではないものの、それでも「通院だけ」でも支払うのは本商品の大きなメリットではある。(給付金は少ないが)

だが、保険料はかなり高い。

年齢、性別、保障内容によっても異なるが、競合する他社に比べ1.5倍から2倍程度かな?という印象。

一時金の20%(もしくは30%)とは言え、通院だけでも払うという仕様にしているため、保険会社としては「ちょこちょこ払いそうだなぁ」というリスクを計算し、この部分での保険料が高いのかもしれない。

実際には通院一時金などは、自分が積立ててきた保険料の一部を貰っているだけなのだが、その分保険料が高くなってしまうのはある程度仕方がない。

また、あんしん生命としても「他社にさきがけてやってみた」という感じなので、実際にどの程度の支払いが発生するのか読み切れておらず、多少余裕を持って高めの保険料を設定している可能性も高い(あんしん生命の社員もそのようなことを言っていた)

「まずはやってみよう」

という感じなのだろうが、その点からすると今この商品に乗る必要もないように思う。

8大疾病に関し「通院だけでも払う」ということが本当にニーズがあって爆売れするのであれば、どうせ他社が追随する。

結果、保険料競争となれば、保険料も安くなるだろうから、それまで待っても良いと思う。

だが反面、筆者は先に説明したように「なんか支払いトラブルが多そうだな」という気もしていて、その点から本商品の行く末を心配している。

あんしん生命はわりと「冒険をする会社」と言うか、結構新しいことをやる気質があり、その点は筆者も評価しているのだが、その結果、失敗することも多く、販売してから数年で販売停止したり、収支が合わずに大幅に保険料を上げたりすることもある。

本商品もそのようなことにならなければ良いか・・・・という感じ。

弱点4 最大50万円まで

本商品では一時金を最大50万円までしか設定できない。

他社では100万円を超える保険金額の設定も可能な中で、これはかなり少ない。

また、一時金50万円というのは、ないよりはマシだろうが、これだけで何というほどの金額でもない。

もちろん受け取れればそれはそれで嬉しいし、大抵の場合、50万円もあれば治療費は賄えるだろうが、脳系の病気や性質の悪いがん、もしくは肝臓、すい臓などの慢性疾患で3ヵ月を超えるような入院をした場合、50万円程度では心細い。

さほどお金に困らない場面では過剰、本当にお金に困った場面では過少で、帯に短し、タスキに長し、という感じがする。

この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)

まず、本商品自体「これにだけ入っていればOK」というものではない。

通常の医療保険など「どんな病気でも対象」という範囲の広いものに加入した上で、プラスアルファで入るようなものである。

3大(もしくは8大)の病気になったら大変そうだから、念のために上乗せしておくか・・・

そんな感じ。

要は「上乗せ」的な性質の保険なのだが、今まで述べてきたように「上乗せ」としてはやや大げさであり、保険料も高い。

また3大と8大では「なるリスク」はかなり違う。

がんは1/2、心臓、脳は1/6の人がなると言われているが、それ以外の肝臓や腎臓、膵臓、糖尿病などの病気になる人はぐんと少なくなる。

また、それらの病気になったとしても、日ごろから薬を飲んでいればOKという程度の方が多く、本商品で定義されているような重い症状になる人はごく稀だろう。

そもそも確率が低い上に、そのような場面で「50万円を貰ったところでなぁ・・・」という感じもするので、それに備えるために本商品に入るのも大袈裟な気がする。

他社商品で3大疾病の保障を安く提供するもの、もしくは医療保険に3大疾病一時金などのオプションを付ける程度で十分なのでは?と思う。

なお、3大疾病、7大疾病の各社商品については以下にて解説している。

各社の3大・7大・8大疾病保険の解説

また、文中でも述べた通り、3大、7大、8大疾病保険は各社によって支払い条件がかなり違うので、もし比較するなら保険ショップなどで「どんなケースで払うのか?払わないのか?」などを一覧で見せてもらった方が話は早い(各社の約款を見比べることは素人には難しい)

保障内容

下記の8との疾病で通院、入院、手術をした時に一時金が受取れる。

1 がん
2 特定心疾患
3 特定脳血管疾患
4 大動脈瘤・解離
5 特定肝疾病
6 特定腎疾病
7 膵炎
8 糖尿病の3大合併症

なお、各分野で「特定」という指定があり、軽微な病気は対象外となっている。

詳しくは弱点1を参照のこと。

付けるべき特約!!(先進医療)

なし

付けても良いかも?な特約(がん治療)

なし

付ける必要なし!!な特約!!(払込免除、初回一時金)

保険料払込免除特約

がんと診断された場合、心疾患、脳血管疾患により手術もしくは5日以上入院した場合、以後の保険料が免除される。

免除の条件としてはかなり良い。

反面、この特約の保険料は高い。

年齢、性別、保障内容によっても異なるが、保険料が3割程度高くなる印象。

仮に免除になったとしても、結局のところこの割高な保険料を支払っていることで「本来支払うべき保険料を前払いしているだけ」ということになるケースが多いだろう(もちろ若くして免除されれば得をすることもあるだろうが)

筆者自身、わずか数千円の保険料に更に「保険をかける」ような払込免除には否定的であり、更に本商品の払込免除は高いので、より必要性は低いように感じる。

参考コラム:医療保険の「払込免除」は必要か?

早期治療支援給付金

健康診断の結果が悪く、その治療のために通院、入院をした時に2万円を受け取れるらしいが、2万円貰ったところで仕方ないだろう・・・

保険は「本当に困った時」のために入るものであり、2万円程度の小銭を貰うためのものではない。

必要ない。

健康祝金特則

保険を使わない場合、5年に一回、一時金の10%を受け取れる。

一時金が50万円なら5万円ということ。

お小遣いのようなもので、こういうのが好きな方も多いが、結局のところ「自分で貯めているだけ」のこと。

また、保険を使うと、このオプションで支払っている分は没収されてしまうので、若いころは多少の得をしても、どこかで1度でもミスって(保険を使って)保険料を没収されれば、それまでの利益を吐き出すことになる。

こんな下らないものにお金を預けず、自分でしっかり貯めるなり、運用するなりした方が良い。




口コミ・評判(販売から)

なし

口コミ・評判(契約者から)

なし

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比較した方が良い商品

なないろ生命 なないろセブン ★★★★☆

オリックス生命 特定疾病保障保険With(ウィズ) ★★★☆☆

JA共済 そなエール(特定重度疾病共済) ★★★☆☆

ネオファースト生命 ネオdeからだエール ★★★☆☆

はなさく生命 はなさく一時金 ★★★☆☆

メディケア生命 新メディフィットプラス ★★★☆☆

具体的な商品の比較は保険ショップで一括で取得した方が便利です。

編集後記:

約款