提供会社:楽天生命
商品名:スーパー2000
この保険の弱点はここだ!!
なかなか面白い商品だ。
おそらく県民共済(都民共済)を意識して開発された商品で、加入範囲も20歳から59歳に限定されていることから、主に若い人向けの商品だろう。
共済は、民間の保険業とは違う。
同じ「保障」を提供しているものの、民間の保険業はあくまで「利益」を追求する組織であるのに対し、共済の目的は「互助(お互い助け合うこと)」
そのため、原則的には利益を出すことが禁じられ、余ったお金は契約者(共済組合員)に返還される。
利益を求める民間保険会社と、利益を出してはいけない共済。
この両者が真正面からぶつかるとどうなるのか?
それを表したのが本商品と言える。
が、結論から言えば
ぼろ負け
そりゃそうだろう・・・・利益構造が違うんだから・・・・
昨今の楽天グループは携帯事業に参入し火だるまになっているが、本商品にもそんな「無謀さ」が出ている。
どこへ行こうとしているのか?楽天三木谷・・・・
そんな感じ。
というわけで星一つとした。
さて、本商品。スーパー2000という商品名の「2000」はそのまま保険料を表している。
コンセプトとしては
・保険料はずっと2,000円
・1年間入院しなければ「健康祝い金(お小遣い)」
・医療、がん、死亡をワンパッケージで提供
こんなところだ。
20歳から65歳(新規加入出来るのは59歳まで。その後65歳まで更新が可能)まで「同じ2,000円」であるが、これはどう考えても若い人が不利。
入院する確率や、がん、死亡のリスクは歳をとればとるほど上がるからだ。
20歳と65歳の入院する確率など20倍くらい違う。
そのため、本商品では年齢帯によって保障内容に差がつけられている。
同じ保険料だが、保障内容の過多でバランスを取っているのである。
内容は以下の通り。
・入院(1日あたりの給付金)
20歳-49歳 6,000円/日
50歳-54歳 5,500円/日
55歳-59歳 2,500円
60歳-64歳 2,000円
注:1入院あたり60日まで
・通院(1回あたり)
20歳-54歳 2,000円/日
55歳-64歳 なし
・がん(1回あたり。1年に1回を上限に何度でも)
20歳-39歳 20万円
40歳-49歳 15万円
50歳-54歳 12万円
55歳-59歳 8万円
60歳-64歳 7.5万円
・死亡/高度障害
20歳-39歳 100万円
40歳-49歳 75万円
50歳-54歳 50万円
55歳-59歳 30万円
60歳-64歳 15万円
なお、余談ながら保険業界にいる人間からすると、
へー、がん免責がないのかぁ
という点は斬新。
通常、がんに関する保障は「加入してから3ヵ月以内は払わない(待ち期間と言う)」というのが業界の慣習となっていて、がんに関する保障はほとんどそのような仕様になっている。
これは、「あれ?もしかしてがんかも?」と感じた人が、病院などに行く前に保険に駆け込みで加入し、その後、すぐに病院で診断。高額の給付金を手にすることを防ぐ策である。(他の契約者と比べ、極めて不公平でもある)
例えば乳がんなど「自分で違和感(しこり)が確認できる」ようながんもあるため、このようなことも可能ではある。
しかし、「3ヵ月間の待ち期間」を設ければ、仮に「がんかも?」と思ったとしても、保険加入後、3ヵ月間病院へ行くことを我慢しなくてはならない。
3ヵ月以内は払わないからだ。
本当にがんだった場合、この3ヵ月でがんがどこまで進行するか分からず、その不安を抱えてまで「お金が欲しい」というような人は少ないだろう。
以上のことから、がん関係の保険には3ヵ月の待ち期間が設定されているのだが、本商品にはそれがない。
入った直後でも払ってくれる。
おそらくは、がんでも「最大20万円(20歳から39歳まで)」と給付金がそこまで大きくないため、実現可能なのだろうが、それでも率直に「ほほー、思い切ったねぇ」と感心してしまう。
以上、商品概要。
では弱点。
弱点1 共済の方が良い
挑戦的な商品ではあるが、
「保険料、2,000円で何が出来るか?」
という比較で言えば、共済に軍配が上がる。
共済の内容は各都道府県で異なるため、一概には言えないものの、どこの共済と比較しても本商品より内容は良い。
ここでは一例として埼玉県民共済と比べる。
サンプルとして、若い「30歳」と、中高年の「60歳」で比較してみよう。
30歳の比較
・入院
スーパー2000 6,000円/日 60日限度
埼玉県民共済 8,000円/日 120日限度
・通院
スーパー2000 2,000円/回
埼玉県民共済 なし
・がん
スーパー2000 20万円/回
埼玉県民共済 なし
・手術
スーパー2000 なし
埼玉県民共済 入院して手術 5万円/回(外来は1万円)
・死亡
スーパー2000 100万円
埼玉県民共済 400万円(交通事故の場合、1,000万円)
・還付金
スーパー2000 6,000円(入院しなかった場合)
埼玉県民共済 6,000円前後(例年年間保険料の25%前後:入院しても受け取れる)
60歳の比較
・入院
スーパー2000 2,000円/日 60日限度
埼玉県民共済 5,000円/日 120日限度
・通院
スーパー2000 なし
埼玉県民共済 なし
・がん
スーパー2000 7.5万円/回
埼玉県民共済 なし
・手術
スーパー2000 なし
埼玉県民共済 入院して手術 2.5万円/回(外来は5,000円)
・死亡
スーパー2000 15万円
埼玉県民共済 200万円(交通事故の場合、500万円)
・還付金(割戻金)
スーパー2000 なし
埼玉県民共済 6,000円前後(例年年間保険料の25%前後:入院しても受け取れる)
30歳、60歳ともに、ほぼ全項目で共済の方が良い。
唯一、スーパー2000の肩を持つのであれば通院(20歳から54歳まで)と、がんの保障があることくらい。
但し、通院は2,000円、がんは最大でも20万円なので、かなり「薄味」ではある。
対して共済では手術給付金があるため、仮にがんでも手術をすれば給付金が受け取れる。
また、多くの人が欲しいのは、通院やがんなどの「枝葉」の保障より、入院+死亡だろう。
その点でも、共済の方が「日額」も多いし、「限度日数」も長い。
死亡保障も勝負にならないくらい共済の方が多い。
最後に還付金(割戻金)だが、これは両者とも6,000円程度。
但し、楽天の方は「入院したら貰えない」のに対し、共済は「入院しても受け取れる」
また県民共済の割戻金は、各都道府県でかなり異なり、ここで例にあげた埼玉県民共済は「あまり良くない方(例年25%前後)」なので、県によっては支払った保険料の4割以上程度が戻ってくるケースもあり、そうなると本商品より条件が良いことになる。
以上のことから、ちょっと勝負にならんな、というのが本音。
この保険の弱点、こう考えろ!!(解決策)
2000円でどこまで出来るか?というコンセプトは面白いのだが、同じ「毎月2,000円」をセールスポイントとする共済と比べてしまうと、かなり見劣りしてしまう。
これに入るなら、
「共済にすれば?」
というのが素直な感想。
余程、楽天グループに思い入れがあるなら別だが、そうでないなら選ぶ理由もないかな?という気がする。
なお、かと言って共済が万能というわけでもない。
年齢が上がれば保障が先細るのは、本商品も共済も同じだし、共済によっては先進医療特約などがない場合もある。
その点、民間の保険の方が、もちろん内容は良い(その分保険料は高いが)
独身であれば共済だけでもOKだが、結婚、お子さん誕生の後には、共済部分は「あくまでベース」として考えて、その上で必要な保障を上乗せしておくこと。
口コミ・評判(契約者から)
・なし
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比較した方が良い商品
本商品と似た商品はない。
低価格で医療、死亡をワンパッケージという点では各都道府県の共済が近い。
編集後記