提供会社:ソニー生命
商品名:有期払込終身保険
この保険の弱点はここだ!!
まず始めに終身保険の総論は以下コラムでもまとめてあるので、ご参照頂きたい。
参考コラム:終身保険総論 終身保険の「まとめ」
さて、本商品。まずはじめに言いたいのは、
決して悪い商品ではない。
ということ。
しかし、今、これを選ぶ人もいないだろう。
と言うことで星2つ。
本商品は
・円建
・通常型
・終身保険
という分野においては、かなり強い。
「強い」というのは、他社比較で保険料も安く、将来の返戻率も高いということ。
が、もはや時代遅れの商品とも言える。
現状、円建の終身保険はかなり販売が落ち込んでいる。
理由は低金利。
円建の終身保険の運用はほぼ99%、日本国債や地方債で行われている。
そのため、国債の利回りが、商品の利回りにリンクする。
現状、国債の利回りは歴史上最低レベルで低いので、当然、保険会社は契約者からお金を預かっても、それを増やすことが出来ない。
一昔前であれば、国債の利回りは1%程度はあったので、仮に1,000万円の終身保険に入るとすると、30歳くらいであれば「月18,000円を65歳くらいまで払う」くらいで済んだ。
18,000円 × 12ヶ月 × 35年= 756万円
トータル756万円を支払えば、保険会社が「いつ死んでも1,000万円」を用意してくれるということ。
つまり、契約者が支払った756万円と1,000万円の差額である244万円は
契約者が死ぬまでに、保険会社が運用して244万円を増やしておく
という約束をしているのである。
が、先程の低金利。
この金利では1,000万円を「作る」ために756万円では足りない。
そのため、現在、30歳の男性が1,000万円のソニーの終身保険に入ると、毎月の保険料は21,010円となっている。(65歳払込)
トータルは882万円
以前より、支払う金額が120万円ほど増えている。
このように
・国債の利回りが下がれば
・終身保険の保険料が上がる
という相関関係が成り立つ。
また、将来の返戻率も低下する。
金利が低いが故、増える速度が以前より遅いのである。
本商品でも保険料を払い込んだ65歳(30歳男性の場合)の時点の返戻率は94.5%となっている。
884万円支払って、65歳の時点で解約をすると834万円(94.5%)ということで、損をしてしまう。
これも一昔前なら、65歳時点では100%を超えていた。
以上のことから、日本円建の終身保険は現状「ウルトラ逆風」が吹いていることになる。
30歳で入って、35年(65歳まで)もの長期間、保険料を支払っているのに、それでもマイナス。
これに魅力を感じる人は少ないだろう。
そのため、他社の終身保険では「低解約型」というものが主流。
低解約型については、以下に詳細をまとめてあるのでご参照頂きたいが、要は保険料を支払っている間は返戻金がかなり低く抑えられているので
「実質的に解約出来ない」
ということ。
参考コラム:低解約返戻金型とは何か?契約者、保険会社双方のメリットとは?
保険会社からすると、解約されるリスクが低いので、腰を据えて長期の運用に資金を突っ込める。
その分、運用利回りが上がり、結果、保険料は下がり、将来の返戻率も上がる。
先の例で言えば、30歳男性で低解約型の終身保険を選べば、保険料で-15%程度、将来の返礼率でも+10%以上違う。
だとするなら、低解約型の方がまだ「マシ」ということになる。
ここまでの話を整理したい。
現状、円建ての終身保険は「歴史上最低の条件」であり、そのためそもそもそれを選ぶ人が少ない。
そのため、ドル建や変額など、「円建以外の終身保険」の方が選ばれている。
しかそ、それでも円建の終身保険が良い(為替リスクが怖い等)という場合、低解約型の方が条件が良い。
こんな状況なので、今どき円建の「低解約型でない(普通の)」終身保険など売れないのである。
が、それでも、冒頭で述べた通り、この分野ではソニー生命の終身保険が一番条件は良い。
しかし、商品としては完全に時代遅れであり、一昔前にトレンディドラマの主役を張っていた大物役者。
そう・・・吉田栄作とか、反町隆史とか、そんな印象。
各社の外貨建終身保険の☆評価一覧は、コチラ
弱点1 低解約型がない
前項で述べた通り、ソニーの終身保険には低解約返戻金型がない。
まあ、これは会社としてのポリシーだろう。
同社には他にもドル建や、保険業界でも有名な変額もあるので(「変額のソニー」という通り名もあるくらい)、
「他に売れるものは沢山ある。円建の終身保険なんてどうでも良い」
ということなのだろう。
だが、一般的な終身保険は保険会社として持っていないと「恥ずかしい」し、営業の現場でも当て馬として重宝する。
まずはじめに円建の終身保険を出して、「高い!!増えない!!」という印象を持ってもらう。
そして次に変額がドルを出して、
「なんていうことでしょう!!同じ終身保険なのにこんな違うなんて!!」
とやるわけだ。
深夜の通販番組のような流れだが、このトークをするためにも「条件の悪い終身保険」があった方が良いのである。
弱点2 ライフプランナーのレベル
まあ、商品自体の弱点(デメリット)ではないのだが、ソニー生命と付き合うなら「ライフプランナー」について理解しておいた方が良い。
ライフプランナーはソニーとプルデンシャルだけが使う自社の営業職員の呼び名で、何となく格好良く聞こえるが、要は営業マンだ。
ちなみによくファイナンシャルプランナーと間違えている人がいるが、ライフプランナーという「資格」があるわけでもなく、単に彼らが自分たちでそう呼んでいるだけ。
大卒のビジネスエリートを、ソニー生命がヘッドハンティングして教育した保険のプロフェッショナル
という「触れ込み」
確かに昔はレベルが高かった。
ソニーもプルも他の保険会社の「保険のおばさん」とは一味違うと言うか、きっちりしたスーツを身にまとい、トークも洗礼されていた。
しかし、最近はそうでもない。
はっきり言って他の保険会社と大した違いはなく、玉石混交という感じ。
ライフプランナーの中には、しっかりと勉強し、国の資格であるファイナンシャルプランナー、それも上級の1級やCFPなどを所得している者もいる。
また、元銀行員なども多いので、税務知識や財務会計に詳しい人間もいる。
だが、ごく一部かな。という感じ。
ほとんどは「前の会社でダメだった」というような奴が多く、昨今のレベル低下は酷い。
筆者もソニーには知人が多いが、話を聞くに新人を採用するのに相当苦労しているようで、はっきり言えば「誰でも良い」という感じのようだ。
もちろん人によるので、1年目だからダメということでもないのだが、それでも大量採用、大量脱落の世界なので、1,2年で会社を去る人間は多い。
そのためソニー生命のライフプランナーと付き合うなら、せめて5,6年はやっている人の方が良いと思うし、出来れば10年以上いるような人の方が間違いはない。(長いだけでダメな人もいるが)
この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)
筆者自身は、円建の終身保険に入るくらいなら、ドルや変額の方が良いと思うが、それでも
「どうしても円が良い!!」
という日本円大好きな人は一定数いる。
また、低解約型に関しても
「途中で解約したら損!!それも怖い!!」
という拒否反応を示す人もいる。
もう何でもかんでも怖い!!というタイプで、ちょっとした影でも幽霊に見えてしまうような人。
そういう人が「終身保険」に入りたいなら、本商品を選ぶしかないだろう。
文章中でも述べたが、普通の終身保険としては「悪いものではない」ので、まあ、これで良いのではないだろうか?
比較した方がいい他社商品