保険会社総論
格付 R&I AA-
JA(農業協同組合)から派生した共済。
原則、加入出来るのは農業に従事した方だけだが(正組合員)、出資金が安い準組合員や、出資金なしでも加入出来る員外利用という枠もある。
但し、員外利用は「その各エリアごとのJAで利用されている保険の2割まで」という微妙なルールがあり、エリアによっては断れることもある。
なお、「断われる可能性がある」というだけで、本当に「断られた」という話は聞いたことがないのだが、通常の保険は「保険手続きだけ」で済むの対して、JA共済の場合「正組合員、準組合員、員外利用」など、まず何かしらの会員になってから保険に入ることになり、ある意味では面倒ではある。
商品は「共済らしい骨太な良いものもあるが、凡庸なものも多い」という印象。
がん、脳、心臓などの特定疾病の保険「そなエール」や、年金保険「ライフロード」など、わりと良いものもあるのだが、保険のメインパーツである終身共済(終身保険)、養老共済(養老保険)、医療共済(医療保険)などは、正直、民間の保険会社に大きく遅れを取っている。
共済というシステム自体、あくまで会員、JA共済の場合、全国の農家の「互助会」的なものであり、それ単体で利益を出すためのものではない。
そのため、原則的に「儲けるためのもの」ではなく、その点は営利組織である民間の保険会社とは大きく違う。
ただ、最近のJA共済は、仲間由紀恵さん、現在でも浜辺美波さん、有村架純さんなどの有名女優をCMに起用しており、やっていることは民間の保険会社と変わらない。
これらの方針に対して、
「本来は農家同士の互助システムのはず。何故、莫大なお金を使って民間の保険会社のマネごとをするのか?」
という批判は根強い。
本来であれば、ほそぼそと共済事業を行い、余ったお金は契約者(共済では出資者と言う)に返すのが筋なのだが、そのお金を広告などに使っているため、昔からの会員からすれば「俺たちの金で何やってんだ!!」ということなのだろう。
ただし、これは難しいところだ。
農業がこれだけ衰退し、農業人口も激減している日本では、正直なところ「農家だけを相手にしていてもやっていけない」というのも本音だろう。
また、金融機関である以上、ある程度の「規模」も必要。
規模が小さくなれば、運用規模も小さくなり、結果、運用のリターンも減る。
利益が出せなくなれば、当然、商品力が落ちる。
今どき、農家だからと言って「絶対、JA共済!!」と言うような人も多くないので、商品力が落ちれば最大の支持基盤である農家の離反を招く。
そうなればより一層、規模が小さくなるという悪循環。
「攻めるしかない」
というところで、前述のような有名女優を起用した大量広告戦略に打って出ているのだろう。
これらの動きの「結果」がどうなるか?それは現時点では分からない。(筆者は民間の保険会社の真似事をするのは無謀かな?とは思っているが)
JA共済の窓口がないと、何かと不便なので、基本的に都心に住んでいる方には使いにくい。
そういう意味では地方在住方向けの共済である。