提供会社:明治安田生命
商品名:期間が選べる外貨建一時払終身保険
この保険の弱点はここだ!!
悪くない。
明治安田というビックネームが出していること。
他社比較で利率も高めなこと。
それをかんがみて、3つ星評価とした。
内容は、単純な米ドル建の一時払の終身保険。
但し、他社の類似商品が「毎年、解約返戻金が増えていく」のに対し、本商品では「第一保険期間(5,7,10年)中は増えない」というのが特徴。
この点については、弱点1にて解説したい。
流れは以下の通り。(50歳 男性のケース)
1 ドカッとまとめてお金を預ける
例:1,000万円
2 円→ドルに替える
例:1,000万円→75,821ドル(1ドル131.89円換算)
3 契約初期費用として、以下の手数料が取られる
第一保険期間 5年 2.0%(75,821ドル→74,304ドル)
第一保険期間 7年 2.8%(75,821ドル→73,698ドル)
第一保険期間 10年 4.0%(75,821ドル→72,788ドル)
3 加入時に決まった利率が適用され、その後、第一保険期間はその利率で運用されていく
なお、本稿執筆時(2023年2月10日)の利率は以下の通り。
5年 3.63% 7年 3.65% 10年 3.75%
4 第一保険期間の死亡保険金は解約返戻金と同額。
5 第一保険期間終了後は、その時のマーケットの状況によって利率が決定。以後、5年毎に変更。
以上、商品概要。
では、弱点。
弱点1 第一保険期間中に死亡すると損、もしくは意味無し
本商品では、第一保険期間中に死亡した場合、
死亡保険金 = 解約返戻金相当
となっている。
だが、この解約返戻金は、第一死亡保険期間中は一切増えない。
実際の例を見てみよう。(先程の50歳 男性のケース)
1,000万円を預け、それが75,821ドル(1ドル131.89円換算)になる。
そして、それを10年間預ける場合、初期手数料として4%を引かれ、一旦72,788ドルに減ってから、その後、3.75%で運用されていく。
つまりスタート直後は、72,788ドルであり、仮にこの時に死亡すれば損をしてしまうということ。
但し、これは1年ほどで「ほぼ元本」を回復する。(4%引かれても、3.75%で運用するため、約1年程度で元に戻る)
だが、返戻金が伸びるのは、当初預けた75,821ドルまで。
72,788ドルから75,821ドルまでは戻るが、その後は75,821ドルで据え置かれ、3.75%の「運用益」が戻ってくるのは10年後(第一保険期間終了後)となっている。
注:10年後には75,821ドル → 102,925ドル(135.8%)となる。
そのため、この10年間で死亡すると、
・損をする(加入1年ちょっとの間)
・元本が戻ってくるだけ
のどちらかと言うこと。
保険としては全く意味がない。
なお、余談ながら「10年間増えない」というのは、デメリットばかりではない。
通常、この手の一時払商品には、解約時に「市場調整価格」というものがあるのだが、本商品では「10年間返戻金が変動しない」ために、この市場調整価格がない。
市場調整価格については、以下、参照。
参考コラム:市場価格調整とは?
少々、小難しい話になるのだが、ドル建の一時払の終身保険というのは
「米国債を買っているようなもの」
である。
現在、米国債の利回りは高い。
だが、これもいつまで高いか分からないし、今以上に高くなることもあれば、低くなることもある。
そのような時に、自分が持っている米国債(保険を通じて間接的に買っている米国債)の価値が上下する。
その上下リスクを契約者が負うのが、市場調整価格である。
だが、本商品の場合、そのリスクは保険会社が負っている。
そのため「第一保険期間中は解約しても元本しか戻ってこない」のである。
仮にこの期間中に解約をした場合、途中までの運用益は保険会社が得ることになり、それをもって米国債の価値の上下リスクに備えている。
逆に言えばリターン(毎年の運用益)も与えず、契約者に市場調整価格というリスクだけを押し付けることは出来ない、ということ。
他社商品 毎年増える。でも市場調整価格リスクは契約者が負う
本商品 運用益は第一保険期間終了までお預け。その代り市場調整価格リスクは保険会社が負う
どちらが良いかは、その方の好みではあるが、一時払系の商品の主な購入者は高齢者であり、全般的に金融リテラシーが低い。
そのため、市場調整価格でトラブるケースも多数あり、その点では本商品のような形だと「分かりやすい」かもしれない。
この保険の弱点、こう考えろ!!(解決策)
本商品を「保険」と考えるか、それとも「貯蓄」と考えるかで評価が別れる。
まず、保険として考えた場合、当初、1,2年の間に死亡すると「損をする」可能性があるし、その後も第一保険期間中であれば「元本分しか戻ってこない」ので、何のメリットもない。
一方、貯蓄として考えれば、それなりに魅力はある。
本稿執筆時点での利率は、5年 3.63% 7年 3.65% 10年 3.75%となっており、現状、米国の利上げの恩恵を受けている。
但し、これは米ドルの定期預金などでも同じ。
ネットバンクなどであれば、現状、1年定期で5%を超えているようなものもあるので、それに比べると見劣りする。
だが、定期預金は1年間で終わってしまい、その後は「その時の状況による」
つまり読めない。
だが、本商品の場合、5,7,10年で利率を固定してくれるので、その点は評価出来る。
なお、本商品は「間接的に米国債を買っているようなものだ」と述べたが、であるならば「自分で米国債を買う」という手法もある。
参考コラム:ドル建保険 vs 米国債直買い、どちらが良いか?
こちらは原材料を買い付けているようなものなので、保険よりは利回りも良い。
だが自分で探して、自分で売買をしなくてはいけないので、やや面倒(ネット証券などであれば比較的簡単だが)
そういう意味では、本商品の方が手軽だろう。
話をまとめる。
まず、
・第一保険期間中に死亡すれば何の恩恵もない
とうことを理解した上で、
・今の高利回りを複数年で固定出来る
・後から、まとまって戻ってくる方式でも良い
のであれば、良い選択肢ではないかと思う。
なお、本商品では3,5,10年という選択肢があるが、仮に10年を選択するのであれば同社のドル建養老の方がリターンは大きい。
そのため10年なら、養老の方が良いだろう。
やるなら3年か5年かな?とも思う。
本商品のような一時払の商品は、各社毎月1日と16日に利率を変更させ、その利率が次の変更までの間の契約に適用される。
そのため、各社の利率は変動的で、「どこの会社が一番条件が良いか?」というのは、その時のタイミングによっても変わる。
本商品は「割と高い方かな?」という気もするが、比較するなら保険ショップなで
「シンプルな一時払のドル建終身の利率を比較したい」
と言えば、すぐに情報を出してくれる。
明治安田の営業マンに特段の義理があるなどの事情があるなら別だが、そうでないなら比べてみると良いだろう。
口コミ・評判(契約者から)
・なし
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比較した方が良い商品
下記商品が当サイトで比較的高評価のドル建一時払商品。
PGF生命 米国ドル建介護終身保険Neo ★★★☆☆
別名:ぬくもり介護US、悠々介護終身US、米国ドル建一時払介護終身PG、介護バリューUS
編集後記