提供会社:明治安田生命
商品名:外貨建そなえてふやす介護終身保険
参考コラム:
外貨建一時払終身保険特集!!
「こんな商品には騙されるな!!」はコチラ
利率と利回りの関係を知りたい方は・・・
「超」わかりやすい!!予定利率と利回りの違い!!』
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商品解説
一時払のドル建終身保険だが、悪くない。
国内大手生保の商品というのは
「内容のわり高い」
というものが多いのだが、本商品は保障内容、返礼率ともに良く出来ている印象。
この手の商品が得意な外資系(プルデンシャル、ジブラルタ、メットライフ等)や、銀行の窓口販売専用に商品を作っているような保険会社(第一フロンティア、ニッセイウェルス等)などと比較しても、伍している。
そのため「星3つ!!」としたいところだが、ある重要な「欠点」があるため星2つとした。
詳しくは後述する。
本商品はドル建の一時払終身保険、そこに介護保障を付けたものとなっている。
商品の流れは以下のような感じ。
注:例として挙げた各数字は本稿執筆時(2024年9月11日)のデータを利用したもの。
50歳 男性、1ドル142.37円、予定利率4.41%
(為替は日々、利率は毎月1日と16日に変わるので、申込日によって変動する)
・ドカンとお金を払う(一時払:例1000万円を一括)
・それを振り込んだ日のレートでドルに変換する(例:70,240ドル)
・死亡保険金は元本の70,240ドルか、その時の解約返戻金か「どちらか大きい方」
・介護保険金はその時の予定利率によって決まる(例:103,266ドル:予定利率4.41%の場合)
・以後、10年間はその保険金が保証され「死亡」、「要介護2以上」、「保険会社が定義する所定の介護状態」のいずれかに該当した時に保険金が支払われる
なお、明治安田は約款が分かりやすいので、筆者としては好感を持っている。
どことは言わないが、国内生保の中には「どうせ読まないだろ?」とばかりにいまだに超難解な約款を作っているところもある。
反面、明治安田は約款の中に4コマ漫画風のイラストなどを多用し「出来るだけ理解してもらおう」というスタンスが垣間見える。
特に本商品のような外貨建商品は為替リスクや、市場調整価格リスクなどもあり、素人には分かりにくい。
参考コラム:市場価格調整とは?
つまり「売り手(保険セールス)」と「買い手(契約者)」の情報格差が大きく、その差を完全に埋めることはほぼ不可能だ。
それを補助する意味でも、パンフレットや約款は重要であり、そこにその保険会社の「スタンス」が出る。
筆者はそう思っている。
「お客様本位」などと口では言っていても、パンフレットや約款がしっかりしていない会社も意外と多く、つまりは
「現場で上手くやれよ(適当に煙に巻いておけ)」
ということなのだろうと思ってしまう。
その点で言えば、明治安田の作る資料(パンフレット、約款)はわりとちゃんとしている。
ただサイト上の情報はイマイチ足りないような気もして(かなり情報を割愛して載せている)、何だかアンバランスだなぁ、などとは思うのだが・・・・
さて、話を戻そう。
本商品はドル建の一時払終身保険、そこに介護保障を付けたものとなっている。
商品の流れは以下のようになっている。
注:例として挙げた各数字は本稿執筆時(2024年9月11日)のデータを利用したもの。
50歳 男性、1ドル142.37円、予定利率4.41%
(為替は日々、利率は毎月1日と16日に変わるので、申込日によって変動する)
・ドカンとお金を払う(一時払:例1000万円を一括)
・それを振り込んだ日のレートでドルに変換する(例:70,240ドル)
・死亡保険金は元本の70,240ドルか、その時の解約返戻金か「どちらか大きい方」
・介護保険金はその時の予定利率によって決まる(例:103,266ドル:予定利率4.41%の場合)
・以後、10年間はその保険金が保証され「死亡」、「要介護2以上」、「保険会社が定義する所定の介護状態」のいずれかに該当した時に保険金が支払われる
・10年後の返戻金は確定している(例:予定利率4.41%で70,240ドル→102,225ドル:145.5%)
他社の類似商品では、「死亡保障だけ」というところが多いのだが、本商品にはそこに「介護保障」というオマケを付けている。
まず死亡保障について述べると、基本的には保険ではない。
死亡保険金=一時金をドルに変換した金額
例:1,000万円→70,240ドルor 解約返戻金の「大きい方」
であるので、銀行の外貨定期預金に預けておくのと同じ。
保険とは「支払った以上のお金が戻って来る」ことであり、その点、本商品は死亡時の保険金は増えることはない。
もちろん利率による運用益はあるので多少は増えるが、それは死んでも死ななくても契約者のもの。
そのため「保険」とは言えない。
つまり、保険としての意味は何もないということなのだが、介護保険金については支払った70,240ドル(日本円1,000万円)に対して、103,266ドルと約1.5倍の保険効果が得られる。
本商品の最大の「売り」がこれだろう。
死亡保障としては意味がないですが、介護になれば増えますよ。
貯蓄としても10年間預ければ、ドルベースで元本が145%になるので魅力的ですよね?
現場のセールストークとしてはこんなところだろう。
なお、他社比較で考えると、他社のドル建一時払の終身保険では「死亡だけで介護保障はナシ」でも各パフォーマンスは本商品とほとんど同じような感じ。
死亡保険金=元本 or 返戻金という商品も多いし、返礼率も10年で1.5倍くらい。
対して本商品では「要介護2以上になれば1.5倍の保険金が受け取れる」というオマケが付いているので、競争力は高いと思う。
その点からすれば星3つでも良かったのだが・・・・
では弱点。
弱点1 ドルで受け取れない
これ致命的。
本商品では加入時に「円支払特約」というものに強制加入させられる。
その名の通り、保険金を円で支払いますよ、というオプションなのだが、これが良くない。
何故か?
例えば契約者が死亡し、ご遺族が10万ドルを受け取ったとする。
本稿を書いている時点でのドルレートは1ドル142円前後なので、日本円に換算すると1,420万円ということになる。
しかし、これが1ドル100円(円高)だったら?
受け取れる金額は1,000万円となってしまう。
つまり、保険金を受け取るタイミングによって、為替リスクをもろにかぶってしまうのだ。
ちなみに本商品と似たような商品を出している他社では、
ドルでも円でも、どちらでも受取可能
となっているところが多い。
このルールであれば、もし円高であっても、「ひとまずドルで受け取っておく」ということが可能。
その後、為替の調子を見て、自身のタイミングで円に換えれば良い。
このようなリスク回避が本商品では「出来ない」
これはかなり痛い。
冒頭でも書いた通り、パフォーマンスは良いのに星2つとした理由はここにある。
何でこんな仕様にしたのか?
旧知の明治安田のセールスレディ―に聞いてみたが、
「何でだろうね?うちはそういう(現場からすると不合理な仕様)が多いから」
と呟いていた・・・・
弱点2 高度障害が支払対象外
通常の生命保険というのは、死亡と高度障害、どちらに該当しても保険金を支払うのだが、本商品では高度障害は対象外。
まあ、実際のところ高度障害というのは両目の失明や、下半身不随(車いす)など、かなり重度の障害なので、これに該当するのは稀ではあるものの、
他社は払う、本商品は払わない
ということで弱点として挙げた。
なお、一時払商品では高度障害で「払わない」ところもある。
なので、明治安田だけが著しく劣っているというほどでもない。
弱点3 初期手数料が4%
本商品では契約時に「初期手数料」として4%がとられてしまう。
例えばスタート100,000ドル(日本円で1420万円)の場合、4%の4,000ドルが手数料として取られるのだが、これ自体は弱点と言うよりも「そういう仕様」なので仕方がない。
なお、一時払系の商品では、保険会社によって、商品によって
・初期費用あり
・初期費用なし
の2つのタイプがある。
同じ保険会社であっても、2つのタイプを併用しているところもあるので、「初期費用を取る」というのは、一時払系の商品においては割とスタンダードな手法と言える。
では、この2つにはどんな違いがあるのか?
総じて、初期費用なしより、初期費用ありの方が利率(利回り)が良い。
初期費用を取るということは、保険会社としてスタート時に利益が確定している。
そのため、その後の運用で利益を得る必要がない(実際には利益を得ていないわけではないが、少なくても良い、という意味)
対して、初期費用がない場合には、その後の運用の中で利益を得なくてはいけない。
そのため、利率を「やや下げて」その中で自社の収益を確保するのである。
要は「初めに取られるか?(初期費用あり)」、「長い年月の中で取られるか?(初期費用なし)」という違いなので、特段、どちらがお得、どちらが損という話でもない。
但し、初期費用を取られるいうことは、スタート時の元本が少なくなるということなので、初期費用なしの商品に比べ、運用直後にはハンディがあるようなもの。
もちろん利率が高いので、徐々に追い上げてはいくのだが、当初5年くらいはどうしても追いつかない。
利率にもよるが、筆者の感覚だと「7,8年目に追いついて(初期費用なしタイプに)、10年くらい経つとやや勝つかなぁ・・・」という感じ。
そのため、本商品のように初期費用があるタイプを選択するのであれば、最低でも10年間は預けっぱなしにするという覚悟を持った方が良い。
逆に
為替の調子が良い(1ドル160円など)時には早期で解約して利益を確定させたい!!
というような方は、初期費用なしの商品を選んだ方が良いだろう。
弱点4 介護保険金は簡単にはもらえない
本商品が単体の一時払のドル建終身保険として「それなりに競争力がある」のに、さらにオマケとして介護の保障が付いていることは先に述べた。
が、その介護保険金の支払い要件は「要介護2以上」となっており、なかなかハードルは高い。
筆者は父親、母親二人の介護を経験しているが、要介護2まで行くと「結構介護が大変だよね・・・」という状態であり、そんな軽い状態ではない。
つまり、介護の「入り口(軽い状態)」で保険金が貰えるわけではない。ということ。
しかし、これは「オマケ」なのだから仕方がない。
明治安田としても、より軽い「要介護1」や「要支援」などで払っていては、保険金支払いの件数が増加し、収益が合わないのだろう。
弱点と言うよりは「そんな簡単ではないよ」という注意喚起として記載しておく。
この商品の弱点、こう考えろ!!(解決策)
惜しいよね。
それが本音。
ドル受取さえ出来れば、介護保障もあるので間違いなく星3つ。
かつ、明治安田というビックネームもあるので、競合他社より強いと思うのだが、うーん、円でしか受け取れないのは筆者個人としては許容できない。
やはり為替は下がる時は下がるし(円安 1ドル160円など)、上がる時は上がる(円高 1ドル100円など)
筆者もこの業界が長く、リーマンショック後の1ドル80円というのも経験しているので、
そのようなことは今後はないか?
と聞かれると「絶対ない」とは言い切れない。
もちろん当時(リーマンショック後)より現在の日本の方がボロボロなので、対ドルで円がそこまで強くなる場面は想像しにくいが、こればかりは何とも言えない。
また、いくら急激に円高、円安に振れても、時間が経てばそれなりには戻る。
そのことも経験上知っているので、為替に勝つ唯一の方法は「待つこと、待てること」だと思う。
その点、本商品は否応なしに円で支払われてしまうので、「ドルで貰っておいて待つ」ということが出来ない。
「保険金は円限定です」と説明されれば、契約時にはサラッと流してしまいがちの細かい情報なのだが、この点は重々考えた方が良いと思う。
もし、「ドル受取もあった方が良い」ということなら、他の商品の方が良いだろう。
なお、本商品のような一時払系の商品は、どこの保険会社でもだいたい月初(毎月1日)と月中(毎月16日)に利率を変える。
注:あくまで申込のタイミングでの利率。一度、この利率で入ればその後は変わらない。
裏側での運用は、ほぼ米国債を使って行うので、その原材料となる米国債の利回りを見て、保険会社が利率を決めるのである。
そのため、ここで「〇〇生命の方が利率が良い」とは言えない。
常に変動するので、比較するなら保険ショップなどで各社の資料を集めた方が良いだろう。
口コミ(販売側から)
利率も高く、介護の保障もあり、かつほとんど告知をせずに入れるので、資産家の高齢者には売れている。
口コミ(契約者から)
参考コラム:
外貨建一時払終身保険特集!!
「こんな商品には騙されるな!!」はコチラ
利率と利回りの関係を知りたい方は・・・
「超」わかりやすい!!予定利率と利回りの違い!!』
編集後記
2024/9/12 初稿