がん診断一時金、3大疾病一時金とは?
医療保険やがん保険などのオプション(特約)で「診断一時金」というものがある。
がん診断一時金は「がん」と診断されただけで、50万円なり、100万円なりが受け取れる。
3大疾病であれば、がん、脳、心臓の病気で一時金の対象。
なお、3大疾病の場合、がんは「診断」だけで受け取れるが、脳、心臓の場合は、だいたい手術を受けるか、◯日以上の入院(10日以上、20日以上など、保険会社によって条件が異なる)
また、脳、心臓に関して、どのような病気を対象にするか?という点でも、保険会社によって以下の2つがある。
1 脳卒中(くも膜下出血、脳梗塞、脳出血)、急性心筋梗塞に限定しているタイプ
2 脳血管疾患、心疾患という形で範囲を広くしているタイプ
このあたり、素人には何のことだか全然分からないだろうか、関係性で言えば、脳卒中は「脳血管疾患の中の一つ」であり、急性心筋梗塞も「心疾患の中の一つ」である。
つまり、脳血管疾患、心疾患の方が病気の種類が多く、支払い範囲が広いということになる。
「脳血管疾患のうち、脳卒中はどの程度の割合か?」
というようなことをスパッと言い切れるデータがあると分かりやすいのだが、厚労省の疾病数などを見ても、いまいち正確なものがなく何となくのイメージでしか言えない。
あくまで筆者の経験で言えば、脳卒中は脳血管疾患全体の5,6割を占め、急性心筋梗塞は心疾患の1,2割かな。という印象。
心疾患では、大半が狭心症。
なお、余談ついでに解説すると、狭心症は血管が狭くなり、心臓への血流が少なくなることで「キュー」と締め付けるような痛みを感じ、大半は1、2分で収まる。
対して、急性心筋梗塞は血管が完全に「詰まってしまう」状態で、より深刻。
その点、1の場合、急性心筋梗塞しか対象ではないが、2の場合、狭心症でも「心疾患」なので対象となる。
だが、対象にはなるが、「一時金を受け取れるか?」という点は別問題。
範囲が心疾患であっても、一時金は
・手術をする
・◯日以上入院する
どちらかに該当しないと受け取れないので、狭心症程度で、そこまでの治療をするかは微妙なところ。
「薬で散らす(詰まりかかった血管の血栓(汚れ)を薬で溶かす治療)」ことも多いので、そうなると2,3日の入院で点滴だけして退院することになり、一時金の対象とはならない。
とは言え、範囲は広いにこしたことはないだろう。
以上が、がん診断、3大疾病一時金の概要。
診断一時金って必要なの?
では、これは必要なのか?
まず「お金」的な結論で言えば、
一時金を2回以上受け取れるなら入っておいた方が得
ということになる。
ここではサンプルとしてある医療保険の特約保険料を使用する。(30歳 男性 終身払のケース)
・がん診断一時金 100万円 1,800円/月
・3大疾病一時金 100万円 2,300円/月
がんだけに限定すると、医療保険に毎月1,800円の追加となるが、それを3大疾病にすると2,300円の追加となる。
まずは、がんの場合から見てみよう。
毎月1,800円は年間 約2.2万円、このケースでは30歳男性なので、男性の平均寿命82歳まで、52年間支払うと、その総額は
2.2万円 × 52年間 =111万円
となる。
要は「がんになれば100万円を受け取れる」という権利を、生涯を通して111万円で買っている、ということ。
1回がんになれば100万円受け取れるが、それに対して111万円を支払うので、多少の差はあるものの、ほぼトントン。
つまり「自分で貯めたお金を貰った」ようなものだ。
しかし、これが2回以上となると、100万円を2回や、人によっては3回受け取れるので、一時金の総額が支払った金額を大きく上回り
「入っておいて良かった」
ということになる。
これが、1回でトントン、2回以上でお得、というロジック。
これは3大疾病でも同じ。
30歳 男性の場合で2,300円/月(一時金100万円)だから、年間、2.8万円、平均寿命82歳まで52年間支払うとして、約135万円となるので、これも
「2回(100万円)受け取れればプラス」
という感じだ。
但し、がんは2人に1人だが、3大疾病の場合、3人に2人(10人中、7人程度)は経験すると言われているので、こちらの方が「2回やる」可能性は高いかもしれない。
なお、これらはあくまで「その病気になれば」という話で、当然ながら一生涯を通じてがんにも脳血管疾患にも心疾患にもならない人もいる。
確率論で言えば、がんは2人に1人は「ならない」し、そこに脳と心臓を加えても、3人中1人は「ならない」
そのような人にとっては、ただの払い損となる。
今までの話をまとめると、こうなる。
・1度もがんや3大疾病にならない人は損
・1回だけ一時金を貰った人は、ほぼトントン
(3大疾病の場合はややマイナス)
・2回以上、一時金を受け取った人は得
しかし、自分が、がんや3大疾病に「なるか?」、「ならないか?」なんていうことは分からない。
つまりこれは「賭け」だ。(そもそも保険自体がそういうものだが)
ここで、考え方が別れる。
そもそも
「100万円くらいなら貯金で賄うから必要ない」
というような人もいるし、
「1回でトントン?なるかならないか分からないんだから、だったら1回目の100万円は自分で貯める、と考えておけば良い。2回以上なったら、それは『運がない』と諦め、貯金で賄う」
というような方もいる。
わりと合理的に物事を考えるタイプだろう。
逆に、
「自分は絶対にがんになるから、入っておきたい。再発とか転移とかしたら2回くらい受け取ることもあるだろう」
と、かなり悲観的に考える方もいる。
大抵は、
「よく分からないけど、なる確率も高い病気だし、毎月2000円くらいなら払えるので入っておこう」
というような意見が多いかもしれない。
これらの意見・スタンスに対して、筆者自身は「どれも正しい」と考えている。
「なるか、ならないか」分からない以上、その点を議論しても無駄だし、50万円とか100万円という「一時金」に対しても、その金額への印象は人によってかなり違う。
「たかだ100万円」という人もいれば「100万円はありがたい」という人もいて、これも千差万別。
但し、あくまで個人的な経験で言えば「予算があるなら付けておけば?」というのが筆者の考え。
と言うのも、実際、がんや脳卒中、心筋梗塞などにになった時は、相当ブルーだ。
特に脳系は障害が残ると、その後の生活もままなくなるので、ブルーというより漆黒のブラックである。
そんな時、何もないよりは「100万円貰える」方が、精神的にはまだマシという感じ。
もちろん100万円で今後の生活が送れるわけではないが、それでも当座の治療費などは心配しなくて済む。
また、どれだけお金持ちであっても、100万円の一時金を受け取って喜ばない人はいなかった。
まさに「不幸中の幸い」というやつで、その時になれば、やっぱり100万円は大きい。
そのことを良く知っているので、「まあ、入っておいても良いですよね。」という程度の勧め方をしている。
代行商品は?
以上のような診断一時金だが、これらは医療保険や、がん保険の「オプション」であるため、掛け捨てとなる。
つまり貯蓄性はない。
だからこそ、がんや3大疾病にならないと、それまでの掛け金を捨てることになるので、大損である。
この点を嫌がる人も多い。
そのような方には、特定疾病終身保険が良いかもしれない。
特定疾病終身保険は、死亡だけでなく
・がんと診断された時
・脳卒中で◯◯日以上働けない時(20日や30日など、保険会社によって違う)
・急性心筋梗塞で◯◯日以上働けない時(20日や30日など、保険会社によって違う)
という時にも、保険金が支払われる。
死亡時に500万円という保険金を設定していれば、がんと診断された時でも500万円を受け取れる。
なお、一度でも500万円を受け取れば、その後、契約は消滅するので、その後、死亡したからと言って、再度500万円を受け取れるようなことはない。
つまり、本来、死亡時に支払うべき保険金を、がん、脳卒中、急性心筋梗塞の時には「先払い」してくれるわけだ。
この商品であれば、ベースが終身保険なので、貯蓄性がある。
また、運良く、3大疾病を経験せずに一生涯を終えた時には、その時に死亡保険金を受け取れるので、払い損ということはない。
医療保険の3大疾病一時金特約と死亡保障をセットにしたような商品なので、「とにかく掛け捨ては嫌」という方は検討してみても良いかもしれない。
ただ、掛け捨ての3大疾病一時金よりは保険料は高くなる。
主な商品を下記の列挙する。
円建の特定疾病終身保険
オリックス生命 特定疾病保障保険with 当サイト原稿未作成
ドル建の特定疾病終身保険
ジブラルタ生命 米国ドル建特定疾病保障終身保険(低解約返戻金型) ★★★★☆
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