この保険の弱点はここだ!JA共済「認知症共済」

提供会社:JA共済

商品名:認知症共済

この保険の弱点はここだ!!

掛け捨ての認知症保険。

1 JA共済所定の認知症

2 要介護1以上

この2つ両方に該当した場合、一時金が受け取れる。

なお、1の「JA共済所定の認知症」とは、器質性認知症のことを指し、一言で言えば「結構重い認知症」ということ。

物忘れレベルではない。

このあたりの語句の解説は以下コラムに詳しい。

参考コラム:認知症の基礎。器質性認知症、見当識障害、MCIとはどんな状況?

また軽度認知症(MCI)の場合、一時金の10%を「先に」受け取ることが出来る。

しかし、単に「先払い」なので、その後認知症がすすめば、残り90%が支払われトータル100%になるので、一時金+10%の「合計110%」を受け取れるわけではない。

本商品では、加入してから1年間は「保障なし(不担保期間)」となっているので、仮にこの期間中に器質性認知症、要介護1に該当したとしても、一時金は支払われないので要注意。(詳しくは弱点1で詳細を述べる)

そのような特殊な制度があるにも関わらず、保険料は「やや高めかな?」という印象。

と言うことで、星1つ。

ちなみに筆者自身は、掛け捨ての認知症保険にはやや否定的。

このあたりは、以下コラムにまとめてあるので、ご参照頂きたい。

参考コラム:認知症保険は「原則」必要ない

それでは弱点(デメリット)の解説。




弱点1 不担保1年

本商品の最大の弱点だろう。

加入してから1年間は認知症になっても、もしくはこの1年間の間に初期認知症の治療が始まり、以後(1年経過後)に認知症になっても一時金が受け取れない。

またその間に支払ってきた保険料(共済金)は約款を読む限り「返還されない」ように感じる。

感じる、と曖昧な書き方をしているのは、約款にも「当初1年間で認知症になった場合の保険料の取り扱い」について明記されていないからなのだが、これは筆者の読み込みが足りないのかもしれない。もしご存知の方がいればご一報頂きたい。

なお、約款には明記されていないものの、実務上は

「それまで支払った1年分の保険料(共済金)は全額返金している」

のかもしれない。

そうでないと「単に1年分保険料を没収されただけだ!!」と、契約者の感情としても納得出来ないだろう。(ちなみに、こういう「裏ルール」は、保険会社ごとに存在する)

ちなみに、JA共済の商品全体に言えることだが、都合の悪いことについてはパンフレットでは「サラッと触れる」だけで、詳細は約款を読まないと分からないという傾向がある。

農家を顧客基盤としており、そうなるとどうしても高齢者が多いだろうから、資料を「簡略化」しているのだろうが、やや不親切でもある。

さて、実際問題として加入してから1年以内に「要介護1」、「器質性認知症」になる可能性はほとんどない。

本商品は加入時に告知(健康状態の報告)があり、そこで現在認知症の疑いがあるか?公的介護の申請をしたことがあるか?過去5年以内にアルツハイマー病や脳卒中などの経験があるか?などの質問をされる。

それをクリアした上で入っているので、そのような方がわずか1年間で急激に症状が出て、器質性認知症と診断されることはかなりのレアケースだろう。

そのため「ほとんど気にしなくても良い」とは思うものの、筆者は別の面を問題視している。

それが

診察控えの可能性

だ。

例えば、本商品に加入してから9ヵ月くらい経過した時に、本人や家族が「あれ?なんかちょっと変だな・・・」と思ったとする。

しかし、この段階で病院に行って「認知症の始まりです。」などと診断されてしまうと、その後、本格的な認知症(器質性認知症)に発展し、要介護1に認定されても、つまり一時金受け取りの要件を満たしても、一時金は支払われない。

1年間の待機期間中に治療が開始されているからだ。

そうなると「ちょっと調子がおかしいが、あと3カ月待ってから(1年経ってから)病院へ行こう」となる。

そもそもが認知症の治療は、初期段階では本人が異常を認めたがらず、病院へ行くことを抵抗する傾向がある。

それだけでなく、家族の方も「多分気のせいだよな・・・」と思いたい面もあり、何となく初診を先延ばししてまう。

その先延ばしの口実として「今病院行くと保険金がおりないから」というのは、十分な説得力がある。(あくまで本人にとっては)




だが、現実的には処置は早いに越したことはない。

認知症は初期、軽度の時にしっかり薬を投与し、専門家が生活指導、トレーニングを行うことで、かなり進行を遅くすることが出来ることが知られているので、何より早め早めに動くことが肝心。

本商品の「待機期間1年」はその足を引っ張ってしまう可能性がある。

加入1年で器質性認知症まで進むことは稀でも、初期症状が出る方はいるだろう。

また、JA共済としても、このような「すぐ認知症になる人」、「保険料をほとんど支払わずに一時金を受け取る人」を除外するために、この1年間の待機期間を設けている。

これ自体「保険の設計思想(収支のバランス)」としては理解出来るのだが、それでも「認知症対策の初動を遅らせてしまう」というマイナス効果をもたらしてしまうことは、認知症の保険としてどうなのかな?というのが率直な感想。

弱点2 当たり前だが認知症にならなければ大損・・・

本商品。認知症になれば一時金が受け取れるが、認知症にならなければ一時金は受け取れない。

「何を当たり前のことを・・・」

と思われるかもしれないが、これが意外とバカにならないので、加入する前にしっかりと「これだけ損する可能性がある」と把握しておいた方が良い。

具体例で計算してみよう。

65歳 男性が一時金500万円で加入した場合の保険料は10,099円/月。

65歳から10年間 75歳までで約121万円
15年間 80歳までで約182万円
20年間 85歳までで約242万円
25年間 90歳までで約303万円

これだけの保険料を支払うことになる。

もちろん「認知症になれば」500万円の一時金を受け取れるのだが、ならない時には上記のお金を「捨てる」ことになる。

では、認知症になる可能性はどんなもんなのだろうか?

一般的には「5人に1人」と言われているが、今後、より一層の高齢化によって「4人に1人」に増える予測がされている。

より正確に言うなら男性より相対的に長生きする女性の方がなる確率が高い。

各種統計を見ると、現時点では男性の6人に1人、女性の4人に1人だが、これも将来的には男性5人に1人、女性3人に1人くらいに増えるのかもしれない。

ちなみに確率が高い分、認知症に関する保険は女性の方が保険料が高い。

一時金500万円の場合、男性65歳の保険料は10,099円であることは先に述べたが、同条件で65歳女性の場合、保険料は13,584円となる。

このことからも女性の方が確率が高いことが分かる。

話を戻す。

65歳で加入して、80歳までに182万円、90歳まで生きれば303万円を支払うことになり、認知症にならなければそれを「捨てる」可能性がある。

対して認知症になる人は男性の6人に1人。勝率16.66%の勝負・・・

これらの「事実」を見るに、筆者なら

自分で貯めておいた方が良くない?

とは思ってしまう・・・・




弱点3 入るのに手間がかかる

JA共済は民間の保険会社と異なり、正会員、準会員、員外利用など、JA共済に関わる何かしらの「身分」を得る必要がある。

このあたり、少々面倒。

詳細については、JA共済 保険会社総論に詳しい。

JA共済 保険会社総論

口コミ・評判(販売から)

なし

口コミ・評判(契約者から)

なし

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比較した方が良い商品

当サイトで高評価の認知症保険は以下。

商品の構成としてはネオファーストの認知症保険toスマイルが近い。

朝日生命 人生100年時代の認知症保険 ★★★☆☆

太陽生命 スマ保険 終身認知症年金保険 ★★★☆☆

ネオファースト生命 認知症保険toスマイル ★★☆☆☆

編集後記:

約款