この保険の弱点はここだ!明治安田生命「認知症ケアMCIプラス」

提供会社:明治安田生命

商品名:認知症ケアMCIプラス

この保険の弱点はここだ!!

本商品の解説の前に、認知症保険について基礎を学びたい方は、まず

参考:認知症保険は「原則」必要ない

をご覧いただきたい。

介護/認知症保険の総論について以下でも音声にて解説してます!!

その名の通り、認知症に特化した商品で、

・契約してから2年経過後に

・器質性認知症と診断される

・かつ(and)要介護1以上に認定

された場合に一時金を受け取れる「掛け捨て」の保険である。

また、オプションとして「軽度認知傷害終身保障特約」というものもあり、こちらはより軽度の

・軽度認知障害(MCI)と診断される

に該当した時に給付される。

この認知症のごくごく初期段階の保障に対して給付することをもって証明に「MCI」と銘打っている。

とは言え、この段階での給付金は小さく、実際のところそれほど役に立つ保障ではなさそうだ。

筆者の記憶では明治安田が一番始めに

認知症&要介護1でまとまった一時金を支払う。軽度でもちょっと払う。

というコンセプトで、本商品を開発。

販売当初こそ斬新だったが、その後、日本生命の「認知症サポートプラス」、第一生命の「ジャスト認知症保険」、朝日生命の「人生100年時代の認知症保険」など、後追い商品が続々と販売され、あっという間に保険料競争になってしまった。

第一生命 ジャスト認知症保険 ★☆☆☆☆

朝日生命 人生100年時代の認知症保険 ★★★☆☆

そのため、現在では優位性を失っている。

以前は星2つ評価だが、見直しにより星1つへランクダウン。

少々、話が逸れるが認知症保険のビジネスモデルについて触れたい。

まず、その顧客層だが、当然ながら高齢者が対象となる。

30代、40代で「認知症」と言われても、なかなかピンと来ないので、認知症の保険について本格的に考え始めるのは、早くて50代、多くは60代に入ってからだろう。

その意味で、日本の古い保険会社からすると「是非販売したい商品」ということになる。

自社の契約者が全体的に高齢化しているからだ。

そのため、明治安田や第一、朝日などの「古い会社」がこの分野に参入しているのだと思われる。

その構造はわりとシンプルで、

「認知症になった人の総取りギャンブル」

という表現が一番わかりやすい。

認知症には、高齢者の5人に1人がなると言われているが、これが裏を返せば「5人に4人はならない」ということ。

つまり、このタイプの保険に入っている契約者も、5人中1人だけが一時金を受け取り、残り4人は保険料を支払っただけで、何も得ず、払い損となる。

5人に1人が総取り

それが認知症保険の真実でもある。

なお、より正確に言うと、男性6人に1人、女性4人に1人となる。

女性の方が総じて長生きするので、結果的に認知症になる確率が上がるが、男性はその手前でがんや心臓、脳などで亡くなってしまう方が多い。

そのため男性の方が確率が低いのである。(以上理由から認知症保険は男性より女性の方が保険料が高い)

保険会社はこのような「場」を提供することで、場代を稼ぐ。

仮にこの保険に6人の60歳が加入していた場合を考えてみよう。

A社は一時金300万円で保険料が5,000円だったとする。

各契約者は5,000円×12ヶ月=年間6万円を負担することになる。

男性の平均寿命が83歳なので、この6人の中でも「早く死ぬ人」もいれば「平均寿命を越えて長生きする人」もいるだろうが、それでも「平均すれば」83歳まで生きることになる。

つまり、60歳から83歳まで、23年間保険料を支払う。

一人あたり

6万円×23年 = 138万円

それが6人分で

138万円×6人=828万円

保険会社はざっとこれくらいの保険料収入を見込めるわけだ。

で、払うのは1人。確率論的に6人中1人しか認知症にならないから、その1人に300万円を払えば良い。

828万円から300万円。残り528万円が「場代」として保険会社のものとなる。

次にB社が同じ商品を出す。

B社はA社の後を追わないといけないので、A社より保険料を安くしないといけない。

「じゃあ、うちは4000円でやりまっせ!!」

先程の計算式で言えば、収入が662万円、支出(一時金)が300万円。

保険会社として利益は減るが、その分、契約が増えれば良い。

そしてC社は「そしたら、3,000円で!!」となる。

認知症になったら払う、というシンプルな内容が故、なかなか付加価値が付けられない。

かつ、モデルもシンプルなので、保険料競争になりがちなのだ。

で、本商品はその「競争」に巻き込まれ、今の時点では優位性はなくしている。

参考コラム:
介護保険の基礎を学びたい方は、まず

『民間の介護保険は必要か?「介護保険の考え方」』
『介護付き終身保険のメリット・デメリット』
をご覧いただきたい。

他社の介護保険の☆評価一覧は、コチラ




弱点1 自分で貯めた方が良い

元も子もないことを言うが、本商品に入るなら自分で貯めた方が良い。

サイトの情報によると、60歳 男性 一時金 250万円で保険料は4,812円/月

年間5.8万円、70歳までに58万円、80歳までに116万円、90歳まで生きれば173万円を支払うことになる。

認知症になれば250万円受け取れるが、ならなければお金を捨てることに

もったいなくない? 

もし、筆者の親が「この保険に入る」と言ったら、きっとそう言ってしまう。

しかも、このお金を捨てる確率は男性5/6、女性3/4

そんな分の悪い勝負する必要はないだろう。

自分で貯めておいて、介護や認知症が必要になったら使えば良いし、ならなければ自分の好きなことに使えば良い。

そういう意味では、当サイトでは認知症の保険自体「無用」だと考えている。

そのあたりの考え方は以下コラムにまとめてあるので、ご一読頂きたい。

参考:認知症保険は「原則」必要ない

比較した方が良い商品

第一生命 ジャスト認知症保険 ★☆☆☆☆

太陽生命 ひまわり認知症予防保険 ★☆☆☆☆

太陽生命 スマ保険 終身認知症年金保険 ★★★☆☆

朝日生命 人生100年時代の認知症保険 ★★★☆☆

参考コラム:
介護保険の基礎を学びたい方は、まず

『民間の介護保険は必要か?「介護保険の考え方」』
『介護付き終身保険のメリット・デメリット』
をご覧いただきたい。

他社の介護保険の☆評価一覧は、コチラ