提供会社:マニュライフ生命
商品名:こだわり個人年金[外貨建]
この保険の弱点はここだ!!
参考コラム:
ドル建商品の検討ってどうすればいいか?悩んだら
『ドル建商品の比較検討はこうすれば良い!!』
をご覧ください。
マニュライフ生命が販売する外貨建て(米ドル、豪ドル)の個人年金保険。
基本的にはドル建の貯金だと思って良い。
なお、本商品のもっとも大きな特徴は
ドルなのに個人年金保険料控除の枠に入れられる
ということ。
個人年金保険料控除枠とは、保険料控除の一つで、「生命保険」、「介護医療保険」、「個人年金保険」と3つあるうちの一つ。
保険商品はこの3つのどれに該当するかが、国税庁のルールで厳密に決まっている。
特に個人年金保険料控除枠に該当するものは、
広く国民の老後の資金形成にプラスになるもの
でないと認められないので、支払う期間であったり、年金開始の時期であったり、細かいルールがたくさんある。
それらのルールに適合し、国税から
「この商品は年金控除枠で処理して良いですよ」
というお墨付きを貰わないといけないのである。本商品はその適合を受けている。
従来、この年金控除枠で処理できる商品は、ほとんど「円建て」だった。
毎月1万円を65歳まで支払う。 → 65歳以降、年金30万円を10年間受け取れる
そんなイメージ。
だが、最近では、年金保険の運用対象である国債の利率がマイナスになってしまい、円建ての年金商品に入ってもほとんどリターンがない。
例えば30歳くらいの人が円建ての年金商品に入り、65歳まで、約35年間もお金を積み立てても、返戻率は105%とかそんなもの。
まったくと言ってよいほど増えない
しかし、それでも加入する人がいる。
その、目的は
還付金目的
である。
保険料控除は、「生命保険」、「介護医療」、「年金」の3つ、どれもルールが同じで、
年間8万円以上支払えば、4万円控除(上限)
となっている。
その人の年収(所得税の税率)にもよるが、4万円控除されれば、還付金は6,000円~2万円程度だろう。
最も少ない6,000円の還付でも、年間8万円支払って6,000円なのだから「利回り7.5%」。2万円も戻ってくるなら25%の運用が出来ている計算となる。
つまり、商品自体は「しょぼい」のだが、毎年還付金があるので、還付金を「運用」と考えれば、悪くないやり方なのである。
銀行に入れておくだけよりはよっぽど良い。
だが、それでもいかんせん円建ての年金商品はリターンが少なすぎる。
そこで、本商品。
これは「年金控除枠に該当するのに」、「ドルで運用が出来る」という特徴がある。
当然、ドルなので、日本円の商品より利回りが良い。
はっきり言えば、それだけのメリットで売れているような商品。
「年金控除枠、使いたいんだけど、日本円の商品じゃほとんどリターンないしなぁ(お客さん)」
「ドル建でも運用できますよ!!(保険の営業マン)」
「ええ!!それ良い!!(お客さん)」
こんな感じで、セールスに現場ではハマる人には5秒でハマる。
本商品を提供しているマニュライフ生命はカナダの保険会社で、日本ではマイナーな存在だ。
元々は法人向けの節税商品などに力を入れていたのだが、最近では何故か個人向けに注力してきている。
サッカーの中田選手やマラソンの大迫選手を起用したテレビCMを流しているのを見た方も多いかもしれない。
なお、ちょっと前にはマジンガーZを使ったCMも流していたが、業界内では「何を主張したいのか分からない」と不評だったが、本商品のように
ちょっとひねった変わった商品
を販売することで、最近は目にする機会も増えてきた。
本商品の特徴は以下の3つ。
1.個人年金保険料控除枠の対象
2.払込は「円」で定額
3.積立利率が変動する
1については、冒頭で触れてしまったが、年金控除の適用商品であることが、本商品の強みの一つ。
と言うか、これが最大のメリット。
2については、本商品はドル建なのに保険料は「円」で支払う。
通常、ドル建の商品はドルで保険料決まっていて、例えば保険料 100ドル/月となっていると、毎月、その時のレートと掛け算をして保険料を算出する。
1ドル=110円の時、100ドル×110円=11,000円
1ドル=100円の時、100ドル×100円=10,000円
1ドル= 90円の時、100ドル× 90円= 9,000円
こんな感じで、保険料が毎月変動するのが普通なのである。
対して、本商品では保険料は「月1万円」となどと円で固定される。
考え方としては、
毎月1万円でその時のレートで買えるだけのドルを買う
というイメージ。
そのため、保険料自体は1万円で変わらないのだが、
1ドル=110円の時、1万円÷110円=90.91ドル購入
1ドル=100円の時、1万円÷100円=100ドル購入
1ドル= 90円の時、1万円÷ 90円=111.11ドル購入
と、買えるドルの量が変動する。
保険料が円で固定されているので、何となく為替リスクがないように感じてしまうが、そんなことはない。
円安(1ドル120円など)になれば、1万円を投資しているのに「少ないドル」しか買えていないということになるし、円高(1ドル=80円)になれば、同じ1万円で「多くのドル」を買っているということに。
結局は為替の影響は受けている。
最後の3については、積立利率が変動する
本商品は積立の利率が毎月変動する。
現時点(2020年4月時点)のドル建てで利率は2.29%、豪ドル建てで、利率は、2.15%、共に最低保証が1.5%で、これは他社商品に比べては良い方ではあるが、これがずっと続く保証はない。
それが「変動する」ということ。
運用には主に米国債(アメリカ国債)が使われるので、その時々の米国債の利回りの影響を受ける。
多少の時間差はあるものの、米国債の利回りが低下すれば、本商品の利回りも低下し、上がれば、上がる。
対して、他社では利回りが固定している商品もある。(固定型)
固定型は加入時に決まった予定利率がずっと続く。
そのため将来の返戻率なども、加入した段階で分かっているので、将来の設計はしやすい。
ただ、一度利率が固定されてしまうと、米国債の利回りが上がったとしても、その時の利率のままなので、そのような時には変動の方が高いリターンを得ることになる。
どちらが良いかは一概には言えないが、今のような(コロナの影響)の時には、各社、固定型でも変動型でも利率が下がっているので、その低い利率で固定されるよりは、将来上がることを期待して変動の方が良いかもしれない。
以上が商品概要。
参考コラム:
ドル建商品の検討ってどうすればいいか?悩んだら
『ドル建商品の比較検討はこうすれば良い!!』
をご覧ください。
各社の外貨建終身保険の☆評価一覧は、コチラ
他社の積立・年金保険の☆評価一覧は、コチラ
弱点1 ミニマム保険料が月1万円
これ結構嫌がる人が多い。
冒頭でも説明したが、本商品の大きな特徴は
「個人年金保険料控除枠に使える」
ということ。
同じ話を繰り返してしまうが、個人年金保険料控除は
「年8万円以上支払うと4万円控除される」
というルールで、いくら払っても、最大4万円までしか控除されない。
つまり、年間8万円支払っても、年間100万円支払っても、結局4万円までしか控除されないので、得られる還付金も同じなのである。
本商品に加入する目的は、
還付金が欲しい!!
ということなので、還付金の金額が同じであれば、原資は極力少ない方が良いだろう。
年間保険料 8万円 → 還付金 8,000円 リターン 10%
年間保険料 20万円 → 還付金 8,000円 リターン 4%
上の2つを見てもらえば分かる通り、リターンが同じなら、支払った金額が少ない方が効率的である。
そのため、年金控除枠の商品は「極力8万円程度」を希望する人が多い。
が、本商品は保険料が「ミニマム1万円/月」となっている。
そのため、年間12万円以下にすることが出来ない。
原資が大きい分、還付金に対する利回りは低下する。
対して、日本円の年金商品などであれば、年齢が若ければ「年間8万円」くらいで加入が出来る。
支払った保険料と還付金の「率」だけを見れば、こちらの方が上。
もちろん円建ての年金商品には「商品自体のリターンが少ない」という致命的な弱点があるので、どちらが良いかは、運用を重視するか、還付金を重視するか、その人のスタンス次第だろう。
整理すると以下のような相関関係となる。
ドル建(マニュライフ)で年間12万円払う
・商品自体のリターンは円建てより期待できる
・但し、還付金のことを考えると効率が悪い
円建(他社の一般的な年金商品)で年間8万円払う
・商品自体のリターンは全く期待出来ない
・但し、還付金のことを考えると効率は良い
また、若い方などでは、そもそも「月1万円がキツイ」という人もいるだろう。
そのような方は本商品を契約することが出来ない。
還付金の効率が悪い、保険料のハードルが他社商品より高い、という2点から弱点として挙げた。
弱点2 為替手数料が高い
ドル建商品は、ドルを購入する時に手数料がかかる。
為替手数料と言うが、たとえばニュースで、ある日のレートが1ドル110円となっていても、個人はこのレートでは買えない。
金融機関から購入する際には「110円+手数料」込みの値段で買うのである。
本商品の場合、0.5円。
110円であれば、110.5円で購入することになる。
他社では0.25円や安いところでは0.01円というとこもあるので、0.5円は高い方ではある。
弱点3 為替リスクがある
これは、別に本商品だけに限った話ではないが、外貨建て商品である以上為替リスクは必ずつきまとう。
保険料が日本円で一定だからと言っても為替リスクがないわけではなく、例えば保険料を支払っている時にずっと円安(1ドル120円)でドルを購入していて、実際に年金を受け取る際に円高(1ドル80円)になれば、通貨自体が
120円 → 80円
と33%も価値を失っていることになる。
ドル建の商品は総じて利回りが高いが、将来の返戻率が130%だとしても通貨自体が33%も下がってしまえば、ほぼトントンか、ちょっと損をするくらいになってしまう。
無論、これは極端な例で、多くの場合、ちゃんとしたリターンを得ることが出来るだろうが、可能性としてはゼロではない。
本商品は、円で、一定額の払込で保険料の変動がないことをうたっているが、為替リスクがないというわけではない。
そのため、高い利率に目を奪われて「保険料を高くし過ぎる」ことは慎んだ方が良い。
ただ、本商品は「還付金目的」で入る人が多いので、だいたいの人は月1万円か、せいぜい2万円くらいだろうとは思うが、念のため、注意喚起情報として挙げておく。
比較した方が良い商品
円建で返戻率高め
日本生命 みらいのカタチ 年金保険 ★★☆☆☆
中高年でも月7000円(年間8.4万円)で加入できるのがメリット
JA共済「ライフロード 」★★★☆☆
参考コラム:
ドル建商品の検討ってどうすればいいか?悩んだら
『ドル建商品の比較検討はこうすれば良い!!』
をご覧ください。
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