この保険の弱点はここだ!三井住友海上プライマリー生命「通貨選択型定額個人年金保険」

提供会社:三井住友海上プライマリー生命

商品名:通貨選択型定額個人年金保険
別名
みらい、そだてる:沖縄銀行、長崎銀行、東日本銀行、等(他、地銀、信用金庫)

この保険の弱点はここだ!!

外貨建の一時払商品。

三井住友海上プライマリー生命を供給元として、以下の銀行の窓口で販売されている。

MSK保険センター、沖縄銀行、京都信用金庫、桐生信用金庫、佐賀共栄銀行、静岡中央銀行、島根銀行、千葉銀行、
筑波銀行、東和銀行、長崎銀行、西日本シティ銀行、東日本銀行、福岡中央銀行、福邦銀行、琉球銀行

商品の流れとしては、こんな感じ。

1 一時払いでまとまったお金を預ける

2 運用する通貨を「米ドル」、「豪ドル」、「NZドル」、「ユーロ」、「円」から選択する
 注:本稿執筆(2023年2月)時点では円は選択不可(販売停止中)

3 選択した通貨、預け期間によって利率が決定(毎月1日と16日に変更される)

4 運用益の受け取り方は「定期支払コース」と「ターゲットコース」の2つ

銀行の窓口で販売されている一時払系商品としては、わりとシンプルな内容だが、選択できる通貨が多彩なのが特徴。

米ドル、豪ドルは「よくある」がNZドルやユーロまで選択肢があるのは、少々珍しい(他社にないわけではないが、あまり見かけない)

受け取り方の「定期支払コース」と「ターゲットコース」だが、前者は

運用益を毎年のお小遣いのようにチョコチョコ貰う

というもので、例えば10万ドルで運用を開始し、利率が3%である場合、毎年3,000ドル(1ドル130円で39万円)の運用益がある。

それを「お小遣い」のような形で受け取れる。

これらの受け取り方は、専門的には「複利のメリットを活かせない」と言い、正直、運用のプロは好まない。

10万ドルを預けて、3%で運用するのであれば、翌年には10万3,000ドルとなり、前年の運用益である3,000ドルも含めて3%で運用できる。

これが「複利」

しかし、3,000ドルを先取りしてしまうと、元本は常に10万ドルのままなので「毎年3,000ドル」が運用益の上限となってしまう。

例えば10万ドルを3%で10年運用した場合、複利で運用すれば10年後には13万4,391ドルとなる。

対して、毎年3,000ドルを受け取ってしまえば10年後には元本の10万ドル+3,000ドル×10年で13万ドル。

この2つを比べた場合、4,391ドルの差が付く。

これを「大きな差」と感じるが、「その程度か」と感じるかは人それぞれだろうが、高齢者などはわりと「毎年もらえた方が良い」と考える人も多い。

言い方は悪いが、老い先短いので「10年後なんて死んでるよ」という気分(日本の高齢者は元気なので、10年後も生きているだろうが)から、10年も我慢して4,391ドルしか違わないななら、すぐに貰った方が良いという考えもあるのだろう。

こればかりはどちらが正解とも言えない。

対してターゲットコースは複利のメリットが出る。

ターゲットについては、以下のコラムでも詳細を解説しているのでご参照頂きたいが、簡単に言えば

「元本の〇〇〇%になったら自動的に運用を停止する機能」

参考コラム:ターゲット?保険金保障?外貨建一時払商品に「よくある」特約を解説!!

例えば、ある人が1,000万円を預ける。

この時、運用方針として

「まあ、1.2倍になってくれればそれで御の字だよ」

と思えば、120%をターゲットとして設定しておく。

本商品は外貨建てであるため、日々の運用の中で為替レートが動く、また時間の経過で運用益も上乗せされていく。

つまり、毎日、日本円での「価値」が変わる。

ある時、瞬間的に1ドル140円などの円安になった場合、

「おっ、今全てのドルを売って日本円に換金すれば1,200万円(元本の120%)になる!!」

というタイミングがくれば、システムが自動的にすべてを円に換えて(円転:エンテンと言う)1,200万円で利益確定をしてくれるというもの。

本商品の場合、105~200%の間で1%刻みで設定が出来るので、

「多少儲かれば運用を止めたい」と思うなら110%とか120%を設定しておき、「いやいや青天井で儲けたい」と思うなら200%を設定しておけば良い。

「自動利益確定システム」

だと思うと分かりやすいだろう。

これらの流れで運用され、最終的に貯まったお金は「年金原資」として、その後年金方式で受け取ったり、一括で受け取ることが出来る。

以上、商品概要。

では弱点。




弱点1 利率が低め

何故なのか理由は分からないが、本商品、他のプライマリー生命の類似商品に比べて利率が低めに設定されている。

本稿を執筆している2023年2月1日時点で、米ドル10年が3.55%となっている(ターゲットコースの場合、定期支払コースは3.43%)

現状、プライマリー生命の他の商品でも、米ドル10年で4%を超えているものも多く、他社商品でもそのあたりが平均水準となっている。

おそらく販売している各銀行に支払う手数料などとも関係があるのかもしれないが、「お金を預ける」、「決まった利率で運用する」というシンプルな商品だけに、他より利率が低いというのは明確な弱点。

弱点2 市場調整価格、解約控除に要注意!!

これは弱点と言うより、「気を付けてね」という程度の注意喚起情報。

一時払い系の商品には、原則的に市場調整価格と解約控除という「解約時のペナルティ」がある。

本商品にもある。

詳細は以下参照。

市場価格調整とは?

解約控除とは何か?

要は「一旦預けたら最後までやりない。途中解約すると損するよ」ということを肝に銘じてほしい。

そのため「無理は禁物」

預ける期間中、そのお金がなくても絶対困らない程度にしておくこと。




この保険の弱点、こう考えろ!!

利率も低いので「ないな」というのが筆者の率直な感想。

割と地方の銀行で売られていることが多いので、地方銀行の営業力、影響力で販売しているのかもしれない。

例えば普段からお世話になっている銀行員がいて、その人に

「預金の一部をこれに換えてくれませんか?損はさせませんから・・・」

などとお願いされて入るとか、そんな場面が想像できる。

まあ、こればかりは人間関係の話なので、何ともコメントしずらい。

利率が低いので、運用面だけを考えれば他の商品の方が良いし、田舎にだって保険ショップくらいはあるから、そこで比較検討も出来る。

「これより利率が良いものを」

と言えば、すぐに5,6コは出てくるだろう。

だが、地方の銀行の地元への根の張り方は凄いので、無下に断るわけにもいかないとか、そのあたりは色々ありそうだ。

参考コラム:「お付き合い保険」の断り方と「お付き合い保険」に入るメリット

まあ、入るなら本商品の場合、積立期間3年という短期の選択肢もあるので、そこに無理のない範囲で預けてあげるくらいが良いかもしれない。

口コミ(販売側から)

なし

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保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。

口コミ(契約者から)

なし

比較した方が良い他社商品は?

以下の商品が売れ筋。

当サイトでは「シンプル」&「利率高め」を評価基準としているため、以下商品は内容が分かりやすいものが多い。

ジブラルタ生命 一時払米国ドル建終身保険 ★★★☆☆

ソニー生命 米ドル建一時払終身保険 ★★★☆☆

T&Dフィナンシャル生命 みんなにやさしい年金保険 ★★★☆☆

T&Dフィナンシャル生命 ファイブテン・ワールド2 ★★★☆☆

ニッセイ・ウィルス生命 アットウィル 年金額 ★★★☆☆

プルデンシャル生命 米国ドル建積立利率更改型一時払終身保険 ★★★☆☆

PGF生命 米国ドル建介護終身保険Neo ★★★☆☆
別名:ぬくもり介護US、悠々介護終身US、米国ドル建一時払介護終身PG、介護バリューUS

PGF生命 ドル建一時払終身保険 ★★★☆☆

明治安田生命 米ドル建一時払養老保険 ★★★☆☆

メットライフ生命 サニーガーデンEX ★★★☆☆

編集後記

約款

注:どうでも良いが三井住友海上プライマリーの商品は、約款が非常に見つけにくい。
現役で販売されている商品の約款はサイトに記載されているが、過去の商品は契約者が知る「約款コード」がないと見れない。
約款コードなどいつ紛失してもおかしくないので、仮にそれがないとなると、簡単に約款が見れないということ。
このあたりもユーザーライクとは言い難い。