この保険の弱点はここだ!大樹生命「ドリームツリー」

提供会社:大樹生命(日本生命でも取扱いあり)
格付:A+ S&P

商品名:ドリームツリー

この商品のポイント!!

星2つ評価。

利率が毎月変動する

最低保証の利率が他社比較で低い

為替手数料が高い

という3点がマイナス

これについては後述する。

外貨建ての貯蓄商品で、大樹生命のセールスレディだけでなく、同じグループの日本生命のセールスレディも販売している。

同社に勤務する旧知の友人に聞くと「結構売れている」そうだ。

外貨建保険は、プルデンシャルグループや、メットライフ、マニュライフなどの外資系生保が強く、そこに国内勢としてはソニーやオリックスなどが対抗している。

保険の貯蓄性商品と言うのは、基本的にその国の金利にもろに影響を受ける。

日本では長らく低金利政策を取っていたため、国が発行する国債の利回りも同じく「低金利(低利回り)」だった。

つまり、

金利=国債の利回り

となる方程式があるのだが、保険会社の運用は原則的には国債をメインとして使用することになっている。

「安全性第一」の保険では「メインの運用は国債で」という厳しいルールがあるためだ。

そのため、保険会社はまず国債を仕入れて、それを原材料として各種商品を作成する。

仮に仕入れの国債の利回りが0.3%だったとする。

そこに保険機能(死亡した場合に保険金が受け取れる)を付け、保険会社側の利益を確保した上で、一般の契約者に商品を出すとなれば、当然、その商品の利回りは0.3%以下となる。

これは豚肉200gを300円で仕入れたとんかつ屋が、それをとんかつ定食にして店舗で出す場合、その値段が800円、900円になるのと同じだ。

どう考えたって300円を切ることはない。

これと同じで、利回り0.3%で仕入れて作った商品が、0.3%を上回ることは理論上あり得ないということが理解してもらえるだろう。

と言うことで、金利がほぼゼロのこの国では貯蓄商品を作ろうにも、なかなか魅力的なものが出せないという現状がある。
注:昨今、多少は金利が上がってきた(年1%程度)ことから、状況はやや改善している。

そこで注目を浴びたのが「外貨建」だ。

アメリカ国債の利回りは常に3%前後と「高水準」であるため、これを材料として使った「外貨建保険」は、日本国債を原材料とした「円建保険」に比べ利回りが良い。

そのため、日本の金利が下がってきた20年ほど前から、一部の外資系で外貨建保険が販売され「金利に飢えた」日本人に人気を博してきたわけだ。

そして、このアメリカ国債の利回りが「空前の上昇」をしたのが、2023年、2024年だ。

コロナ禍ではアメリカも「金利ゼロ政策」を取り、何とか景気を保つためにじゃんじゃんお金を供給した。

当然、お金がじゃぶじゃぶになると物の値段が上がりインフレが起こる。

そこで今度は「金融引き締め」のために金利を上げた。

米国債の利回りも2023年10月には5%近くまで上昇。

「原材料」としては、これ以上ない好条件のものが手に入るチャンスで、保険会社はこぞってこの米国債を使った商品を作っている。

本商品もその流れの中の一つだろう。

基本的な流れは以下の通り。

1 毎月決まった金額(1万円、2万円など、日本円の定額)を支払う

2 支払ったタイミングでの為替レートで円→ドルに変換する

3 利率は毎月変動し、その利率で運用が継続する

4 満期時(10年後、60歳など)に貯まっていたドルを受け取る(ドル、円、どちらでも受取可能)

通貨は米ドルか豪ドルが選択可能で、本稿を書いている時点の利率は

米ドル 4.28%
豪ドル 4.32%

となっている。

各項目の詳細を解説していきたい。

1 毎月決まった金額を支払う
2 支払ったタイミングでの為替レートで円→ドルに変換する、について

本商品では日本円での一定金額を支払い、それを「その時の為替レート」で変換する仕組みになっている。

例えば毎月1万円を支払ったとして、ある月のレートが1ドル150円であれば

1万円 → 66ドル66セント

となり、ある月のレートが1ドル100円であれば

1万円 → 100ドル

となる。




円安ドル高(1ドル150円など)なら「少ないドルしか買えない」が、円高ドル安(1ドル100円など)であれば「多くのドルが買える」ということ。

なお、類似の他社のドル建商品では、保険料はあくまでドル表示で、支払う保険料は為替によって変わる、という仕組みを導入している会社が多い。

毎月の保険料が100ドルだとして、1ドル150円なら、保険料は15,000円、1ドル100円なら10,000円ということ。

この場合、昨今のようなドル高になってしまうと、毎月の負担が重くなるというデメリットがある。

対して、毎月の支払いが円ベースで決まっていると、保険料の変動がないため家計への負担は軽減できるが、ドル高の時には少ないドルしか買えない。

逆にドル安の時には、多くのドルが買えるので、本商品のように「月々固定タイプ」と他社の「毎月変動タイプ」のどちらが良い悪いというわけでもないのだが、大樹生命においては「月々固定」を選択しているということ。

おそらく、総じて契約者の年齢が高めであるため、毎月、保険料が変動するようなリスクよりは「保険料はずっと同じ!!」という分かりやすさを優先したものと思われる。

3 利率は毎月変動し、その利率で運用が継続する

これがなかなか複雑で、パンフレットにはその計算式なども載っているが、簡単に言えば、

加入してから今までの平均を取る

ということ。

例えば2024年10月に本商品に加入すると、利率は4.28%(米ドルの場合)となる。

11月の利率が4.00%だとすると、10月に加入した契約者の利率は

(4.28%+4.00%)÷2=4.14%

が適用される。

12月の利率が4.02%に上がったら、

(4.28%+4.00%+4.02%)÷3=4.10%

となる。

このように、加入してから今現在までの毎月の利率の「平均」を常に計算し、それがその月の利率として運用に反映されるということ。

結構わかりにくい。

利点としては、今後アメリカ経済が急速に悪化し、「米国債の利回り1%」というようなコロナ禍のような時代が来たとしても、「過去の高利回り」の数値との平均をとってくれるため、急激に利率が落ち込むことを防いでくれるということ。

利率急落の「緩和機能」があるわけだ。

但し、この「緩和機能」も当初の数か月程度の話で、1%がずっと続ければ、平均も下がっていき、やがてはかなり低い水準になってしまう。

対して、他社商品では「加入時の利率がずっと続く」というものが多い。

但し、これも前項の保険料の話と同様で、どちらが良い悪いというわけではない。

もし利率が上がったら?

そう考えると、利率が固定されている商品より、「毎月見直してくれる」本商品の方が利率が上昇する可能性があるため良いだろう。

現状を見るに、今後の米国債の利回りは「上がる可能性」も「下がる可能性」もどちらも十分あり得る。

トランプ政権になり、トランプ自身は「ドル高を是正する!!」と言っているが、そうなると金利を下げる(米国債の利回り低下)しかない。

しかし、それをやると、一度は収まりかかっていた米国内のインフレが再加速するリスクがあり、仮にインフレとなれば「貧困層の味方」であるトランプはその対策、つまり利上げをするしかない。

そうなれば再び米国債の利回りは4%台を超えることになるかもしれない。

このように、現状では「何とも判断できない」としか言いようがない。

4 満期時(10年後、60歳など)に貯まっていたドルを受け取る(ドル、円、どちらでも受取可能)

これがゴールで、満期になると今まで貯めてきたドルが一気に返ってくる。

しかし、前項でも述べた通り、利率(金利)は毎月変動するので、結果がどうなるかはその時になってみないと分からない。

以上が商品概要。

では、弱点の解説に移る。




この保険の弱点(デメリット)はここだ!!

その1 利率が変動

前述の通り、本商品は利率が毎月変動する。

対して、他社の類似商品では基本的には利率が固定されているものが多い。

本稿を書いている2024年11月の本商品の利率(米ドル)は4.28%。

これに対して、他社でも4%前後のところが多い。

つまり、

・スタート4.28%だけどこれから変動する

・スタート4%がずっと続く

の「どちらが良いか?」ということだが、あくまで現時点では「4%がずっと」の方が良いと思う。

現時点で、というのは現在の米国債が「かなり高い利回り」だから。

本商品を初め、各社のドル建商品は米国債で運用されていることは既に述べた。

つまり米国債は「原材料」だ。

この原材料の条件が良い「今(本稿を執筆している2024年11月時点)」であれば、良い条件のままで固定してしまった方が良い。

というのが筆者の考え。

もちろん、今以上に米国債の利回りが上がれば「変動する(上がる)」本商品の方が良いのだが、「これ以上上がるかねぇ?」というのが筆者の見立て。

トランプが大統領になり「ドル高を是正する」と宣言している以上、今後、米国の金利は低下傾向になると思う。

そうなれば必然的に米国債の利回りも低下する。

であれば、理屈上、本商品の利率も下がるだろう。

あくまで「今」と言うことであれば、利率固定型に軍配が上がると思う。




その2 最低保証予定利率が低い

本商品の予定利率には最低保証がある。

下がったとしても、これ以上は下がらない。

という「最低保証」だが、2024年11月時点で0.75%に設定されている。

利率変動型の商品は他社(メットライフなど)にもあり、だいたいどこでも最低保証をしているが、だいたい今なら2%程度を維持しているので、0.75%は低い。

その3 為替手数料が高い

これは分かりやすいデメリット。

本商品では1ドルにつき0.25円の為替手数料が発生する。

毎月ドルを買った時も1ドル0.25円。

解約時にドルを売る時にも1ドル0.25円。

行って来い(ドルの売買)で0.5円を契約者が負担しなくてはいけないので、仮に円安ドル高(1ドル110円→150円など)になったとしても、0.5円分は手数料で消えてしまう。

これは競合他社と比べ「高い方」

例えばソニー生命やオリックス生命は1ドルあたり0.01円なので、その差は歴然だろう。

10万ドルの満期金を1ドル150円でドルから円に換えようとした場合、手数料が0.25円であれば

10万ドル × 149.75円 = 1497万5,000円

だが、手数料が0.01円であれば

10万ドル × 149.99円 = 1499万9,000円

となり、手取り金額で2万円以上の差が生まれる。

もちろん、他社より予定利率が高く

「為替手数料なんか気にならないほどに増える」

のであれば良いが、前述の通り本商品は予定利率が変動するタイプでもあり、その点でもリスクがある。

更に為替手数料が高いとなると、ちょっと「うーん」という感じ。




この保険の弱点、こう考えろ!!(解決策)

本商品、星2つの評価だが、我ながら辛口だと思う。

元来、そこまで悪い商品ではないが、いかんせん現在の米国債の利回りが高いため、「他社の利率が高い」というのがネック。

その中で、わざわざ下落リスクのある本商品を選ばなくても良いのでは?というのが筆者の考え。

逆に、1,2年後に米国債の利回りが低下し、他社の予定利率も3%程度で固定されているような時代であれば、本商品は

「今後の上昇に期待できる」

という点で評価できるようになる。

現時点での低評価はあくまでタイミング的なものであることを強調したい。

また大樹生命というかなりレガシー(古臭い)保険会社が出す商品としては、なかなか斬新でもある。

同社や同社が所属する日本生命グループでは販売する側のセールスレディも、契約者も高齢化している。

そのような層は、

「資産運用は安全性が第一」

という保守的な思考を持っているが、ご存じの通り、現状、安全性の高い円建ての商品で利回りの良いものなどない。

つまり、高齢者層は「利回りに飢えている」わけだ。

だからこそ、銀行の窓口などで何だか良く分からない投資信託や保険商品(複雑すぎて理解できない)を騙されて買ってしまうのだが、それらに比べれば本商品は良心的。

毎月保険料が変わらずに、コツコツと外貨建てで資産形成が出来る

という点では、お年寄り向きかもしれない。

今まで述べてきたようなデメリットがあるにはあるが、それは「他社に比べれば」というだけで、そこまで致命的なものでもない。

大樹生命や日本生命のセールスレディと人間関係があり、外貨に興味があるのであれば契約しても良いかもしれない。

付けるべき特約!!

なし

比較検討した方が良い商品

当サイトで高評価の外貨建ての貯蓄商品は以下の通り。

JA共済「ライフロード 」★★★☆☆

ジブラルタ生命 ドル建リタイアメント・インカム ★★★☆☆

ジブラルタ生命 養老保険/ドル建養老保険(法人用) ★★★☆☆

ソニー生命 変額個人年金保険 (無配当) ★★★☆☆

日本生命 スマホ年金 ★★★☆☆

プルデンシャル生命 ドル建リタイアメントインカム ★★★☆☆

PGF生命 ドル建リタイアメント・インカム ★★★☆☆

マニュライフ生命 こだわり個人年金[外貨建] ★★★☆☆

口コミ(販売側から)

なし

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口コミ(契約者から)

40代 女性からの口コミ

まず母が契約し、私も紹介されて毎月2万円積み立てています。担当は昔から知っている方で頻繁に情報提供してくれるので、とても信頼しています。
他にも似たような商品は沢山あったのですが、利率が将来上向く可能性もあるので、利率が変動するのも悪くないかなと思いました。

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編集後記

初稿:2024年11月21日

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