提供会社:プルデンシャル生命
商品名:米国ドル建リタイアメント・インカム
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この保険の弱点はここだ!!
プルデンシャル生命でもかなりの売れ筋商品。
業界内でも「ドルRI」、「ドルリタ」などと言われ、他社からも一目置かれる商品。
基本的にはドル建ての貯蓄商品で、ある年齢(60歳、65歳など)になると年金が始まる。
年金は
・終身年金(生きている限りずっと)
・3年、5年、10年などの期間が決まった年金
などから受取り方を選べる。
本質的には年金商品なのだが、本商品には死亡保障もついている。
通常、他社の年金商品では死亡した場合の保険金が「それまでに支払った分+α」程度であることが多い。
要は、「払った分にちょっとだけ色をつけて返します」と言うこと。
しかし、本商品では将来受け取れる年金額の100倍が死亡保障。
例えば年金額が500ドル/月であれば、その100倍の5万ドル、約530万円程度の保険金が用意される。
そのため、保険のカテゴリーとしては養老保険に分類される。
なお、個人的なことだが筆者もこの商品に加入している。
この世界に入る前、20代の前半にプルデンシャル生命の保険に入っていたが、その時に担当者が素晴らしい方で、この世界に入ってからもお付き合いが続いていた。(当時加入した保険は解約してしまったが)
2004年にこの商品が販売された際に、
「この世界にいるなら、この商品の良さが分かるでしょ?」
と言われ設計書を見せられ、確かにこれは凄いな、と思って契約をした。
今も続けている。
但し、当時の利率は今とは比べものにならないくらい良かったし、その時はライバル商品もほとんどなかったので、状況としては今とは違う。
なお、利率は以下のように推移している。
プルデンシャル生命のサイトより抜粋。
2004年11月10日 ~ 2005年5月31日 年5.50%
2005年6月1日 ~ 2012年6月3日 年4.50%
2012年6月4日 ~ 2015年1月12日 年4.10%
2015年1月13日 ~ 2020年8月2日 年3.75%
2020年8月3日 ~ 現在 年3.25%
なお、予定利率と利回りの違いを理解していない方はコチラをご参照頂きたい。
コラム:同じ3%でも何故違う?「超わかりやすい」予定利率と利回りの違い!!
筆者が加入したのは年5.50%の時で、今の3.25%に比べると2.25%も違う。
本商品の運用先は主に米国債なので、その利回りが下がれば、この利率も下がる。
ご存知の通り、このコロナ禍でアメリカ国債の利回りも相当低下したので、それを受けて8月3日より3.25%となったのだろう。
もちろん利率が低下したことは残念ではあるが、むしろ「よく3.25%でこらえたな」という印象。
今の状況であれば、もっと下がってもおかしくないが、同社の看板商品だけに何とかここで踏ん張ったという感じなのだろう。
自分でも入っているので、良い商品だと思う。
しかし、前述した通り、今はライバルも多い。
そのあたりを含めて弱点を見ていこう。
弱点1 利率固定の良し悪し
本商品は加入時の利率がずっと固定されてしまう。
現在の利率は3.25%。
今入れば、これが年金開始まで継続する。
これが吉と出るか凶と出るか分からない。
対して、利率変動型というものもある。
有名なところではマニュライフ生命のこだわり個人年金(外貨建)や、メットライフのドルスマートSなど(こちらは一応終身保険ではあるが、ドル建ての貯金としても使える)
こちらは、その時、その時の運用状況に応じて、利率が上がったり、下がったりする。
利率固定型と変動型。どちらが良いか?
これは難しい問題だ。
結局のところ、どの商品もアメリカ国債で運用を行っているので、それが将来どうなるか?という点に尽きる。
結局のところ、国債の利回りは景気に左右される。
景気が良ければ上がる。景気が悪ければ下がる。
そのためコロナや米中貿易摩擦を乗り越えて、アメリカ経済が強く復活すれば、アメリカ国債の利回りも上がるし、今の状況が続けば利回りは低いままということ。
「利回りは低いままだろう。」
そう読むならこれ以上下がる可能性がない3.25%で「固定」してくれている方が良い。
ただ
「今はダメでも、長い目で見ればアメリカは復調するはず」
そう考えるなら、上振れする可能性のある変動型の方が良い。
3.25%を大きく超えて、4%台で推移してくれれば将来のリターンは大きく違う。
なお、筆者なら3.25%で固定する方を選ぶ。
と言うのも、将来上がるか下がるか、本当に分からないからだ。
但し、将来利率が大きく上がった時には、そちらにも投資をするために、余力を残しておく。
今手元にあるお金(もしくは定期的に貯蓄しているお金)を遊ばせておくのも勿体ないので、
「まあ、3.25%でも良いか・・・」
という感じで、資金の一部を入れておくというふうにするだろう。
弱点2 兄弟会社が最大のライバル
本商品は、プルデンシャルの兄弟会社であるジブラルタ生命や、主に銀行窓販向けの商品を開発・提供しているPGF生命(プルデンシャル・ジブラルタ・ファイナンシャル生命)でも、ほぼ同じようなものを提供している。
それら各社の利率が微妙に異なり、年齢や性別によっても結果は違ってくるのだが、全般的にプルデンシャルより、ジブラルタの方が、ジブラルタよりPGFの方が良いことが多い。
兄弟間の利率くらい揃えておけよ・・・・
外から見るとそう呆れるしかないが、身内同士で熾烈なバトルをしている。
とは言っても、そこまで大きく変わるものでもなく、将来のリターンが数%、もしくは0コンマ数%違うくらいだが、同じグループが出す、同じ商品なのに結果が違うということには納得がいかない人も多いだろう。
先ほども述べたが、性別、年齢によっても違うので、一概にプルデンシャルが弱いとも言いきれないが、気になるなら3社すべての相見積を取ってみると良い。
弱点3 全プランを見よ!!
これもプルデンシャルの商売の邪魔をしているようで申し訳ないのだが、ドルRIは「何歳払いにするか?」で、結果が全然違う。
55歳払込(55歳から年金が始まる)、60歳払込、65歳払込、70歳払込などが選べるが、原則は
「出来るだけ支払い期間が短い方がリターンは大きい」
ということ。
但し、支払い期間が短くなればなるほど、販売員の手数料が低くなる。
保険会社としては運用期間が短いわりに、年金を払い始めないといけないので、旨味(利益)が少なくなるのである、そのため販売員への手数料を減る。
そのため、中には意図的に「65歳や70歳しか出さない(販売手数料が高いから)」という人もいる。
なお、このように販売手数料が高い商品しか出さない。というのは、何もこの会社だけに限った話ではなく、どこの会社にも一定割合、そういうことをする人間はいる。
しかし、こんなことはどこの業界でもあること。
車のディーラーに行っても、利益率の高い車から勧められるし、スーパーでも棚の一番良いところに陣取っている商品は利益率が高い商品だろう。
別に悪いことではない。
こちらが賢くなるしかない。
「他の満期(55歳や60歳など)も念のため見たい。お手数ですが全パターンのシミレーションを頂けますか?」
と言えば良い。
それらを並べ、自分で一番良いと思うものを選んだ方が良い。
この「〇〇歳払い」をどれにするか?という点については、正直、あまり販売員の意見は聞かなくて良いと思う。
別に目の前の営業マンのために年金を積立てるわけではない。自分のためにやるのだ。
例え支払い期間が短くなり、手数料が減ったと言え、全く無給になるわけではないのだから、全く気にする必要はない。
弱点4 個人年金控除枠が使えない
まあ、これも弱点と言えるだろう。
実質的には年金商品なのに、本商品は生命保険料控除の対象となっている。
年末調整で、生命保険料控除、介護医療保険料控除、年金保険料の3つの枠があるが、まず初めに埋まるのが生命保険料控除。
年金保険料控除枠は、それ専用(国が年金保険料控除の対象にしてOKと認めた商品)のものに入らないと適用されない。
本商品は年金保険料控除枠には認定されていないので、残念ながら、その枠には使えない。
だいたいの人は、既に保険に入っていて(生命保険料控除枠は埋まっていて)、この商品は追加で入ることになるだろうから、そのような場合、節税面では何のメリットもない。
弱点5 他にも選択肢はある
弱点やデメリットの話ではなく、注意喚起の話。
保険の見直し相談で、この商品は良くでてくる。
そのほとんどが、
「お得だと思って入ったのだが、保険料の負担が重すぎる」
というもの。
人によっては、年間300万円近く払っている人もいた。(とは言え、その方は医師で年収も1,000万円くらいあったが)
プルデンシャルのライフプランナーのドル建商品のトークは極めて洗礼されている。
私も定期的に聞いているので良く知っている。
世界情勢の説き、アメリカ経済の強さを説き、ドル投資こそが最善だ!!
そんなノリで来る。ある程度の説得力はある。
(まあ、あまり知らずに「受け売り」でしゃべってる人も多いが・・・)
また、将来の返戻率も高いので、ついつい「もうちょっと頑張ってみようか」という気分になってしまう。
しかし、保険料を払い過ぎて生活が苦しい、なんてバカ過ぎるだろう。
ちょっと冷静になること。
また、本商品には為替リスクもあるので、月々の負担も為替によってかわる。
毎月200ドルでも、
1ドル 80円で16,000円
1ドル 100円で20,000円
1ドル 120円で24,000円
と6,000円も「ズレる」可能性がある。
個人的には「1ドル130円になっても問題なく払えるくらい」にしておいた方が良い。
そして、これが重要。
ドルに投資する商品はこれだけではない。
ということ。
ドルに投資をしたいなら、アメリカ国債で運用してくれる投資信託やETF(上場投資信託)などもある。
今は利回りが低下しているので、好機とは言えないが、将来、利回りが上昇すれば、本商品よりはリターンは大きくなる。
冒頭でも書いたが、本商品に加入すること自体は止めないが、余力を残しておくことが肝心。
将来、より良い投資先に出会った時に、これの保険料が重すぎて投資出来ないということがないようにしたい。
あくまで将来の資産形成の一部分として考えること。
なお、この会社のライフプランナーの中には「決断出来ないことは弱い」こと、など精神論でこちらを挑発してくる人もいる。
「こんなお得な商品なのに、それだけしかやらないんですか?はぁ、決断力がないですねぇ~」
という感じが、口にこそ出さないものの、顔に出ている。
そんな時は、
「ええ、臆病ですいません。」
くらいに流しておけば良い。
比較した方が良い商品
ジブラルタ生命 米国ドル建リタイアメント・インカム
PGF生命 米国ドル建リタイアメント・インカムNeo
(別名:米国ドル建リタイアメント・インカムPG、PGF養老保険)
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