この保険の弱点はここだ!楽天生命「ウェルスマイル」

提供会社:楽天生命

商品名:ウェルスマイル

この保険の弱点はここだ!!

楽天生命のウェルスマイルは、最近流行りの健康増進型の医療保険。

「保険に入って、健康になろう!!」

というコンセプトは、今から7,8年ほど前に住友生命の「vitality(バイタリティ)」で初めて打ち出されたもので、本商品はそれの「後追い」と言える。

本商品をしっかりと理解する上でも「元祖」のvitalityと比較してみよう。

住友生命のvitalityは、

・スマホやスマートウォッチなどのアプリ経由で日々の歩数などを申告

・毎年の健康診断の結果を提出

することで、毎年の保険料が少しずつ安くなるという仕組み。

本商品でもデータの提供は同じような形ではあるものの、保険料自体が安くなることはない。

代わりに「楽天ポイントの扶余」となっており、実質的には保険料のディスカウントと言っても良いだろう。

楽天ヘルスケアというアプリを使って日々の活動を報告し、年に一回、健康診断の結果を出すことで、楽天ポイントの還付を受けられる。

商品を見た筆者の率直な感想としては、

「軽くて良いんじゃない?」

「でも保険商品としても『軽い』よね」

という感じ。

万が一の事態に備える「保険」というよりは、保険チックな健康推進ツール、そして楽天の個人データ収集の一環と言ったところか。

ただし、商品としては「良く出来ている」ので、星3つとした。

まずは商品内容(あくまで保険として)を解説したい。

本商品は「一時金タイプ」の医療保険で、もし入院などをすると、それが日帰りであっても長期入院であっても一律10万円が給付される。

従来の医療保険であれば、「入院したら1日5,000円」という条件で給付されるので、

日帰り  5,000円(1日分)

1泊2日 10,000円(2日分)

10日入院 50,000円(10日分)

という金額が給付されるのだが、本商品は「一時金だけ」ということ。

但し、最近は入院期間も短くなってきているし、昔なら3,4日は入院しないといけないような手術でも日帰りで完了してしまうようなものも多いので、従来型の医療保険だとこのようなケースで、

「ほとんどお金がもらえない・・・」

ということが発生する。





そこで出てきたのが、入院一時金というコンセプトで

「入院した(日帰りでもあって)」

というだけで、まとまったお金を受け取れるというもの。

当初は医療保険のオプション(特約)として「入院一時金特約」などと呼ばれていた。

医療保険(1日5,000円)+入院一時金特約

という構成にすることによって、保険会社は「短い入院でも、長い入院でも安心」と説明出来るので、それなりの説得力があるのか、わりと人気があった。

そこで、この入院一時金特約を独立させて「一時金だけ」という商品が出てくる。

筆者の記憶では、太陽生命のスマ保険が早かったと思う。

太陽生命ダイレクト スマ保険(入院一時金保険) ★★☆☆☆

前述の通り「一時金だけ」と割り切った商品で、入院日数に関係なく一時金(例:10万円)を受け取れる。

しかし、この商品(太陽生命スマ保険)では、一時金が「1回こっきり」であり、入院が1ヵ月を超えるような長期になっても10万円しか受け取れない。

つまり「短期だけ」にフォーカスし過ぎていて、保険本来の「大きな病気(長期入院)」への備えが出来ていない。

そのため、2つ星と低評価とした。

参考コラム:入院一時金って必要?それとも不要?

その点、本商品(楽天生命ウェルスマイル)では「30日ごと」に一時金が出る(通算100回)という仕様。

入院が長期化しても1ヵ月ごと(30日)にまとまったお金が貰えるため、長期入院にも備えられると言えなくもない。(これについては後述する)

保険料に関しては「1回だけ」の太陽生命スマ保険より高いが、それは「30日ごと」に出るのだから仕方がないし、また、健康管理で結果が出れば楽天ポイントが受け取れて「実質値引き」になるため、保険料の負担も軽くなる。

なお、本商品においてデータ提供に用いられるアプリ「楽天ヘルスケア」は、筆者も実際に使ってみたが結構使いやすい。(同じ健康増進型の住友生命のvitalityはアプリの評判が悪い)

「一時金が1回だけでない」

「保険料が割り引かれる」

「アプリが使いやすい」

これらの点を加味して星3つとした。




弱点1 実際に割引を受けるにはドMじゃないと厳しい・・・・

本商品の「売り」は、日々の健康管理(歩く)と毎年の健康診断の結果を提出することで受けられる「楽天ポイントの還付」であることは言うまでもない。

アプリとのデータ連携で毎月250ポイント、健康診断の提出でその内容によって、年間保険料の20%程度のポイントが還付されるのだが、そのハードルは決して低くはない。

アプリは「毎日起動」をする必要があり、バックグラウンドでの起動はカウントされない。

また、月に1回「血圧・BMI(身長と体重のバランス)」の数値を報告する必要がある。

それで250ポイントをゲットできる。

250ポイントとは、実質的に250円ほどの価値があるのだろうが、

「ここまでやって250?安くね?」

というのが筆者の率直な感想。

楽天コーチに日々管理された挙句、

「はい、お小遣い250円」

と言われているようで、何となく気分が悪い。(まあ、これは筆者の個人的な感想)

また、年一回の健康診断においても、40歳以下であれば、BMI、血圧、尿糖、尿蛋白のデータだけを提出すれば良いが、40歳を超えるとこれらに加え、中性脂肪、肝機能、糖代謝、なども見られる。

これらの結果を元に1~5まである「ウェルスマランク」というものに認定してもらい、以下の還付を受けることが出来る。

ランク5 40歳未満 10% 40歳以上 20%
ランク4 40歳未満   8% 40歳以上 18%
ランク3 40歳未満   3% 40歳以上   8%
ランク2 40歳未満   0% 40歳以上   0%
ランク1 40歳未満   0% 40歳以上   0%

健康診断の結果などは、かなりレベルの高い個人情報だが、ここまで見るのに、保険料の3~20%程度のポイントバック

「流石、楽天、渋いな・・・」

という感じ。

なお、筆者自身、40歳をかなりオーバーしている中年だが、40歳を超えると色々と体の不具合が出てくるので、かなり健康に気を付けているような人でないと、ランク4,5あたりは取れないかもしれない。

このあたりはご自身の健康診断の結果と照らし合わせて、どのレベルのランクをゲットできるか確認してみた方が良い。

ちなみに、40歳男性、一時金10万円の場合、保険料は2,490円/月だが、仮にランク5をゲットした場合、年間で5,976ポイントが還付され、また、アプリ連動で毎月250ポイントを得られていれば、年間の合計では3,000ポイントとなる。

年間保険料 2,490円×12ヶ月=29,880円
健康診断還付           5,976ポイント
アプリ還付                              3,000ポイント

1ポイントを1円と換算するなら、8,976円分のディスカウントであり、そうなると実質的な毎月の保険料は1,742円となる。

(29,880円-8,976円)÷ 12ヶ月=1,742円

この内容で、1,742円であれば、競合商品と比べても「安い」と思う。

また、保険会社からしても、ここまで健康な人なら「入院、手術のリスク」はかなり低くなるので、給付金を支払う確率も下がる。

結果、何も払わずに保険料だけを貰えることになるので「良いお客様」と言えるし、キックバックしたポイントも結局は楽天経済圏で使われるので、グループ会社によって回収される。

保険料を下げることなく「お得感」を打ちだせるわけで、なかなか良く出来た商品だ。




弱点2 保障としては心もとない

次に保険本来の「保障」としてだが、これはかなり薄味。

一時金は10万円と5万円から選択できるが、まあ、「ないよりはマシかな」という感じ。

入院すればとりあえず10万円(もしくは5万円)、以後、入院が継続していれば30日ごとに10万円を受け取れるが、これくらいの金額であれば

自分で貯めておいても良いんじゃない?

という気もする。

例えば30歳男性の保険料は1,960円で、ウェルスポイントが最5ランクで、毎月250ポイントのキックバックを受けた場合、実質的な負担は1,514円となる。

10年間で支払う保険料の合計は181,680円。

入院を2回するか、30日を超えるような入院を1回すれば「ほぼトントン」

となり、つまり、3回以上入院するか、60日以上の長期入院をしないと「儲からない」ということ。

保険料も安いので仕方がないが、保障内容もかなり薄い。

保険とは、本来「自分の力だけではどうしようもない状況」に陥った時のために入るものであり、医療保険においては

・重大な病気で長期入院、自宅療養を強いられる

・そのために働くことが出来ない

こんな状態をサポートするために入るべきもの。

逆に言えば、軽い病気・ケガで軽い入院・手術であれば、それらに関する費用は自分の財布から出せば良い。

また、日本の社会保険制度はかなり充実しているので、1か月以内で治療は完了するような病気・ケガであれば、そこまでお金もかからない。

本商品でカバーできるのは、それらの「軽いもの」だけなので、保険としては少々頼りなく感じる。

別途、医療保険には加入している。だけど短期入院ではお金がほとんど受け取れない。短期でも10万円受け取れるならうれしい。

ついでに健康への取り組みをサポートしてくれるなら、尚良い。

そんな方なら本商品を「追加」するのも良いと思うが、これをメインとして考えるべきではないだろう。

参考コラム:入院一時金って必要?それとも不要?




弱点3 10年更新

本商品は10年ごとに保険料が上がっていく「10年更新型」となっている。

年齢、性別によっても異なるが、ざっと見た感じ「10年ごとに1.5倍ずつ上がっていく」というイメージ。

若い頃は良いが、年齢が上がっていくと、ポイントバックを受けてもそれなりの負担になる。

そうなると「いつやめるか?」という話になるのだが、この手の商品はその判断が難しい。

住友生命のvitalityでも似たようなことが言えるのだが、

「頑張れば見返り(ポイントバック)がある」

という商品の特性上、契約者が商品に対して妙なロイヤリティ(忠誠心)を持ってしまうと言うか・・・

日々、アプリで歩いた距離を確認したり、毎月、血圧を報告しているうちに、この商品が日常に入り込み、気が付ないうちに「コアなファン」になってしまう可能性がある。

健康管理自体は別に悪いことではない、と言うかむしろ良いことなのだが、それと保険が結びつくので、保険を解約することは、それまで長く習慣化されてきたことを変えることを意味し、結果、

「何となくズルズル続ける」

ということになりがち。

もちろん、この商品と切り離しでアプリだけ使い続けることも出来るのだが、いざ解約しようとすると

「今まで頑張ってきたのに、何もない(入院による給付)も何か嫌だ」

という意味不明な心理が沸き起こることもある。

本来「何もない」ことは喜ばしいことなのだが、このあたりの人間の心理は何とも不可解だ。

本商品のような健康増進型の保険は、そのような心理をうまく突いているとも言える。

この保険の弱点、こう考えろ!!

前述の通り、商品としてはなかなか面白いし、よく考えられている。

保険自体の内容以外に、楽天経済圏との親和性、健康増進などなど、色々な切り口があるので、この商品が「刺さる」人も多いかもしれない。

だが、保険としては極めて「薄い」ものであり、あくまでオマケとして入るような代物。

また、筆者自身は健康増進と保険は切り分けて考えるべきで、変にリンクさせない方が良いというスタンス。

あくまでメインの目的は「保険」であることは言うまでもない。

意味がない、もしくは払っている保険料に対してメリットが少ない、と判断したら、今までの「情」は捨てて他の商品に切り替える。

それくらいドライに付き合った方が良いだろう。

口コミ・評判(販売から)

なし

口コミ・評判(契約者から)

なし

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比較した方が良い商品

住友生命 1UP・1UP SP Vitality ★★☆☆☆

太陽生命 スマ保険 入院一時金保険 ★★☆☆☆

編集後記:

2024年9月4日 初稿

約款

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