提供会社:住友生命
(格付:S&P A+)
商品名:スミセイの認知症保険
この保険の弱点はここだ!!
当サイトでは、そもそも認知症の保険については
・認知症になるまでには時間もある
・だからこそ自分でも準備出来るはず
・そのため、根本的には保険に頼るべきではない
というスタンスで、その必要性をあまり認めていない。
参考コラム:認知症保険は「原則」必要ない
そのため、保険会社には申し訳ないのだが、認知症関連の商品は総じて評価が低く、本商品も2つ星となる。
だが、その中でも本商品は「骨太だな」とは感じる。
本商品の保障内容はシンプル。
見当識障害がある器質性認知症と診断されたときに一時金を払う
というもの。
見当識障害というのは、時間、場所、人の顔などの認識が「出来ない」状態で、認知症の中でも重度な状況。
つまり「かなり重い認知症にならないと払わない」ということ。
参考コラム:認知症の基礎。器質性認知症、見当識障害、MCIとはどんな状況?
保険料は掛け捨てタイプで、認知症(見当識障害を伴う重度)になれば儲かるが、ならないで死亡すれば、それまでの保険料は全額捨てることになる。
似たようなものでは、ネオファースト生命の「認知症保険toスマイル」などがあるが、前述の通り支払いのハードルが高い分、保険料は割安に設定されている印象。
注:ネオファーストでは「認知症と診断&要介護1」で一時金を支払う。
保険料の比較
60歳 男性:一時金 200万円 終身払の場合
住友生命 2,520円/月
ネオファースト 3,160円/月
この「ハードルは高い」が「保険料は安い」ということを、どのように考えれば良いか?
果たして、これはメリットなのか、デメリットなのか。
この点、なかなか難しく、筆者も明快な解を持ち合わせていない。
だが、第一印象では「これで良いのでは?」とも思う。
まず、冒頭でも述べたように筆者は掛け捨ての保険で、認知症対策をすることには原則的に反対である。
「これで良いのでは?」という理由を述べる前に、そちらは解説したい。
先の60歳 男性の例で見てみても、一時金200万円で保険料が2,520円ということは、年間約3万円を支払うことになる。
本商品は「見当識障害を伴う認知症」でないとダメなので、初期認知症から相当症状が進まないと支払い対象とならない。
では、この状態に辿り着くのは何歳なのか?
もちろん個人差はあるが、各種統計データなどを見ると、中央値は「おおよそ80歳くらいかな」という印象。
60歳で加入して「平均」で80歳まで、約20年間保険料を負担することになる。
年間3万円×20年=60万円
これだけを支払って、重い認知症になれば200万円を受け取れる。
しかし、ならなければ60万円を、もしくはもっと長生きすればそれ以上のお金を「捨てる」ことになる。
対して、高齢の男性が認知症になる確率は16~20%程度とされる。(女性は35%程度)
男性の場合、認知症になる前にがんや心臓、脳などで亡くなってしまうことも多いので、認知症になる確率は長生きする女性より低いのである。
先程の話に戻ると、一時金を受け取れる確率は16~20%ということ。
「重度でないと払わない」という本商品の特性を考えると、もうちょっと低いかもしれない(認知症ではあるが、そこまで重度ではなく、そのまま別の病気で亡くなる方もいるため)
ここでは15%としておこう。
そうなると、本商品に入っている男性のうち、一時金を手にすることが出来るのは6、7人に1人で、その他は「お金を捨てる」ことになる。
どうだろうか?
筆者は率直に「もったいない」と思う。
だったら自分でお金を貯めておいて、認知症になればそのお金を使えば良いし、ならなければ別のことに使えば良いではないか。
これが筆者が思う「認知症リスクは保険で備えるべきではない」という理由。
だが、これには大前提がある。
「ちゃんと貯金が出来て、ある程度資産を持っている」
ということ。
つまり、老後にお金があるなら、何もこんな分の悪いギャンブルをする必要はないということだ。
逆に60歳くらいになっても「お金がない」のであれば、損を覚悟で保険に入るしかない。
実際に認知症になった時に周囲に迷惑をかけてしまうので、万が一の時に備えるには「ギャンブル」しか方法がないのである。
その場合を想定するなら、本商品も「悪くない」とも思う。
まず保険料が割安であること。
また、かなり進行した認知症でなければ一時金を受け取れないが「そんな時こそお金が必要」でもある。
逆にあまりに手前の状態(要介護1など)で一時金を渡してしまうと、初期段階からお金を使うことになり、最終局面で資金ショートに陥りかねないだろう。
もちろん
「認知症診断&要介護1で受け取れる保険と、かなり進行した認知症でないと受け取れない保険、どっちが良いか?」
と聞かれば、ほとんどの人が前者を選ぶだろうが、認知症という先の見えない(長い)病気のことを考えると、それと戦うための軍資金をどこで投入するかは結構重要となる。
初期にお金をかけたところで、悲しいかな「治る病気」ではないので、それなら「後半で一時金を補給する」という形でも良いのでは?とも思う。
また、本商品の加入者を「60代で貯金がなく、認知症への備えをギャンブルに頼らざるおえない人」と定義するなら(実際にはそんな人ばかりではないと思うが)、保険料は安いに越したことはない。
が、このタイプの人は、物事の本質が見えていないので「多少の保険料の違いなら要介護1で出る方が・・・」などと言い、保険料が高い方を選ぶ傾向がある。
そんなんだから、お金が貯まらないのだが・・・
まあ、それば別の話。
本商品、何度も繰り返すが、表面上の条件だけを見ると他社に劣る(支払い条件が厳しい)
そのため営業的に見ても「売りにくいだろうな」とは思う。
だが、筆者のようなプロからすると「骨太で悪くはないけどね」という感想になり、その点玄人受けする商品といえる。
口コミ・評判(販売側から)
なし
口コミ・評判(契約者から)
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比較した方が良い商品
プルデンシャル生命 米国ドル建介護終身保険(認知症加算型) ★★☆☆☆
編集後記