提供会社:太陽生命
商品名:太陽生命のやさしい保険
この保険の弱点はここだ!!
うーん、なかなか評価が難しい商品だ。
ある人によっては商品名どおり「やさしい保険」だが、ある人にとっては極めて残酷な保険でもある。
商品としては「無選択型医療保険」と言って、保険会社側からすると「無選択」であるため、誰でも入れる(入れる/入れないの選択をしない、という意味)
つまり、健康状態を自己申告する「告知」や、病院での医師の「診査」などがないので、どんな持病をかかえている人でも入れる。
究極的に言えば、がんを告知され余命宣告されているような方でも加入出来るということ。
なお、無選択の手前には「緩和型」と呼ばれる商品もある。
こちらは、告知の際の質問が少ない(緩和)ので、持病などがあっても入りやすいのである。
本商品の解説をするためには、この「緩和型」について理解しておく必要があるので、まずは先にこちらを説明したい。
緩和型で聞かれる質問は以下の3つであることが多い(実際には保険会社ごとに多少の違いはあるが、概ね共通している)
1 最近、3ヵ月以内に医師から入院、手術、検査のいずれかを勧められたことがあるか?
2 過去2年以内に、入院、手術をしたか?
3 過去5年以内に、がん、上皮内がん、肝硬変、統合失調症、認知症、アルコール依存症で医師の診察、検査、治療、投薬を受けたか?
これをクリアすれば、緩和型に入れるので、無選択型を選ぶ必要はない。
保険会社からすれば、健康な人と、持病がある人では、当然、後者の方が「病気になる可能性が高い」と判断する。
病気になって入院すれば、保険会社は給付金を支払わねばならないので、そのリスク分、保険料を多く徴収する必要がある。
これが「無選択」となると、どんな病気を持っている方が入ってくるか分からず(感じの悪い言い方だが、あくまで保険会社側の思考を代弁して)、保険会社からすれば「相当リスクが高い」=「保険料を高めにとる」ということになる。
つまり、保険料は
一般の医療保険 < 緩和型 < 無選択型
の順番で高くなっていくのである。
そのため、「持病がある」場合、まずは保険料が安くすむ緩和型にチャレンジし、それがダメな場合、最後の手段として無選択型を選ぶことになる。
さて、では緩和型に入れず、無選択型を選ぶ方とはどんな状態だろうか?
先の緩和型の3つの質問を思い出して欲しい。
まず、3ヵ月以内に病院にかかっている人はダメだ。そして過去2年以内に入院、手術をした人も対象外。また具体的な病名で言えば、がん、上皮内がん、肝硬変、統合失調症、認知症、アルコール依存症の人もNGということになる。
だが、「3ヵ月以内の病院」はわりと簡単にクリアできる。
最後に病院に行ってから3ヵ月間、期間を空ければ良いからだ。
実際にそのような「待機」をして、緩和型に入る人もいる。
クリアしがたいのは、2年以内の入院、手術、そして先に挙げた病気の人だ。
このようなところから「無選択型を選ばざるおえない人」の実像が見えてくる。
まず、「2年以内に入院、手術をしたが、2年経過を待たずに医療保険に入りたい人」、そして「がん、肝硬変、統合失調症、認知症、アルコール依存症の患者さん」ということになる。
また、前者の「2年待てない人」も、普通に考えれば軽い病気ではない、と推測した方が良い。
程度の差こそあれ、無選択型を選ぶのは
わりと大変な病気に罹患している人たち
と考えるのが妥当だろう。
なお、実際の現場の話で言えば、無選択型に入る方は圧倒的に「がん」の方が多い。
次に、本商品の「仕様」を見てみよう。
本商品は、無選択型であるため「誰でも入れる」が、保険会社側のリスク管理の都合で以下の2つのルールが設けられている。
1 加入後90日間は病気で入院、手術をしても支払い対象外(90日ルール)
2 加入前から加入90日以内に判明した持病に「関係する入院、手術」は加入2年が経過しないと払わない(2年ルール)
1の「90日ルール」は分かりやすい。
とにかく、入ってから90日間は払わないということ。
但し、怪我に関しては払う。
これは「既に入院が決定していて、保険の給付金欲しさに直前で加入する」ことを防ぐための措置。
給付金の元手は皆が積立てた保険料であり、保険会社はそれを管理しているだけだ。
ズルい給付は、皆の財産をかすめ取る行為であり、やはりこれは防がないといけない。
その点では「90日間は払わない」というのは妥当なルールだと思う。
分かりにくいのは、2の「2年ルール」
これを単純に言えば「2年間は様子を見させて下さい」ということ。
前述した通り、無選択型はどんな方が入ってくるか分からず、保険会社からすれば「怖い」
例えば末期がんの方が加入し、90日経過後(90日ルール終了後)から、入退院を繰り返す。こんな事例では給付金の支払いが膨らみ、商品としての収支が合わなくなる。
このようなケースを防ぐための「2年ルール」なのである。
ここで話は多少前後するが、先に説明した緩和型では「2年以内の入院、手術」について問うていたが、仮に無選択型の本商品に入ったとしても、実質的には2年間は「待たされる」わけなので、であれば「2年以内の入院、手術」がネックで緩和型に入れない人は、何も入らずに2年間待ってから緩和型に入れば良い、ということにもなる。(もちろん、その期間中に何も病気をしないことが条件だが)
また、2年待たされる範囲を「加入前から加入後90日以内に判明した持病」としているのは、「なんか〇〇の病気っぽいな」と自覚症状があるのに、敢えて病院で診断を受けず、あたかも保険加入後に「判明しました」というようなことを防ぐためだだろう。
そのため、加入前、加入後90日に判明した持病は「2年間はダメ」ということにしているのではないか?
以上のことから、「かなり慎重にリスク管理をしている無選択型」という印象を受ける。
では、弱点について。
弱点1 90日ルール&2年間ルール
既に前項にて解説した通り、本商品には待ち期間が多い。
そのため、すぐにでも入院や手術をしなくてはいけないかもしれないような病気に苦しんでいる方には、何の即効性もない。
無選択型に入るということは、何かしらの持病があるということだが、それらに対しては2年間経由してからでないと対象にならず、そうなるとあまり意味はないような気もする。
ただ、こればかりは仕方がない面もある。
保険会社も慈善事業をやっているわけではないので、いくら「病気と闘っている」からと言って、無尽蔵に給付をするわけにはいかないのである。
弱点2 満期金の甘い罠
本商品は10年更新であるが、10年毎に「満期金」が設定されているタイプと、満期金が「ない」タイプがある。
満期金は日額の100倍。1日入院したら5,000円であれば、50万円ということになる。
実際の例を見てよう。
60歳 男性 満期金あり 11,145円/月(日額5,000円の場合)
満期金なし 6,530円/月(同上)
満期金ありの方は、10年後に「生存していれば」50万円を受け取れるし、途中で死亡した場合でも、それまでの期間に応じて満期金の一部を死亡保険金として受け取れる。
例えば5年丁度の死亡した場合は、25万円ということ。
そのため、払い損になることはない。
そうなると、こう思う方がいる。
「見た目の保険料は高いけど、お金が貯まるなら実質的な負担は安いのでは?」
と。
しかし、本商品に限ってはそうではない。
例えば「満期金あり」の場合、10年間での負担の合計は約134万円となる。そこから50万円が戻ってくると考えれば、実際の負担は84万円。
しかし、「満期金なし」の保険料は毎月6,530円で、これを10年間負担しても78万円にしかならない。
つまり、満期金なしの方が安いということ。
通常、この手の商品は「満期金あり」の方が、実質的な負担が安くなるように設定されているはずだが、一体これは何なのかな?と疑問。
一応、「満期金あり」の方には災害死亡(交通事故など)の際の保険(満期金と同額)が付いてはいるが、実際に交通事故で死亡する人は100人に1人もいないので、 これはほんの「オマケ」のようなもの。
先の差額がそのための「コスト」として考えるのは、いささか無理がある。
弱点3 元は取れない・・・
本商品は、経済的な合理性で入るというよりは、心理的な「安心感」を得るためのものかな?という気がする。
先に挙げた例(60歳 男性)で「満期金あり」で実10年間で質84万円、「満期金なし」で78万円を負担することを述べたが、これは1日5,000円の入院日数で言えば「168日分」と「156日分」にあたる。
10年間の中で5カ月以上入院しないと元が取れない計算で、実際そんな入院する人など稀だろう。
また、一回の入院も60日上限となっているので、長期の入院には対応できない(60日で給付終了)
お金のことだけを考えれば「自分で貯めておいた方が良いのでは?」ということになる。
だが、「保険がある」という精神的な安心感はまた別の話。
特に大きな持病を持っている方の心理状態は、健康な人には分からないので、安心感を得ることで、日々を健全に過ごせるのであれば、またそれも保険の効果かな?という気もする。
弱点4 何のオプションもない
まあ、これは仕方がないのだが、先進医療特約やがん特約など、普通の医療保険にあるものが、何も用意されていない。
そのため、仮に入院したとしても、日額の給付だけなので給付金が伸びないのである。
医療保険としては「シンプル過ぎる」ということ。
口コミ・評判(契約者から)
・なし
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比較した方が良い商品
以下が当サイトで評価が高い緩和型、無選択型。
ネオファースト生命 ネオ de いりょう 健康プロモート ★★★★☆
アフラック 病気になった人も入りやすい医療保険EVER ★★★☆☆
オリックス生命 医療保険 CURE Support Plus[キュア・サポート・プラス] ★★★☆☆
東京海上日動あんしん生命 メディカルKit エールR ★★★☆☆
編集後記