この保険の弱点はここだ!ジブラルタ生命「積立利率更改型一時払終身保険」

提供会社:ジブラルタ生命

商品名:積立利率更改型一時払終身保険

参考コラム:
外貨建一時払終身保険特集!!
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この保険の弱点はここだ!!

商品自体は極めてシンプル。

・まず円でお金を支払う

・そのお金を「円」、「ドル」、「豪ドル」、「ユーロ」のどれかを指定し運用していく

・運用期間は「10年間」もしくは「15年間」

・加入時に決められた利率が最後まで続く

・死亡保険金は貯まっているお金(初期に支払ったお金+運用益)

・運用益をずっと貯めておく「基本タイプ」と、毎年の運用益を「お小遣い」のように受け取れる「積立定期引出タイプ」の2種類がある。

基本的には各通貨での定期預金のようなもので、実態としては保険でも何でもないのだが、

一応は保険

という体裁を整えるために、災害死亡時(交通事故)には保険金が+20%上乗せされるようになっている。

つまり、交通事故で亡くなれば、その時に貯まっているお金が20%増しになって戻ってくる仕組み。




なお、2020年6月現在の取り扱い状況は以下の通り。

円に関しては、低金利の影響で随分前から取り扱いを停止していたが、2019年あたりからユーロや豪ドルに関しては停止。

また、運用期間の短い10年物も全て停止。

実質的には、現在ではドルの15年ものしか選択できない。

更にそのドルですら、昨今の新型コロナが影響し、米国債の利回り低下に伴い、本商品の利率もかなり下がっている。

前述の通り、本商品の本質は、

決まった利率で運用する定期預金

でしかないのだが、預金ではなく「保険」という形にしておけば、保険金を受け取った際の非課税枠(500万円×法定相続人)が使えるため、それらのニーズを満たすことは出来る。

主に相続税対策の商品。

さて、では弱点に移る。

弱点1 利率が低い

もうこれだけでこの商品を選ぶ理由はない。

米ドル15年で0.34%

為替リスクをかかえてまでやるべき利率ではないだろう。

筆者ならやらないし、親類や友人が、この商品に「入る」と言っても、

やめとけ

とたしなめる。

ドルの為替リスクを取るなら、せめて2,3%程度の利率は欲しいところ。

このコロナの影響で、アメリカのFRB(中央銀行)は政策金利をほぼ0%に下げた。




国債の利回りは金利と連動するので、必然的に今後発行される米国債の利回りも下がる。

保険会社のドル建商品の運用は、ほぼ米国債で行っているので、「原材料」となる米国債の利回りは商品の利率にダイレクトに響く。

とは言え、普通は3~6ヵ月程度のタイムラグがあるのだが、ジブラルタは今回、すぐに下げてきた。

今後、米国経済がどうなるか見通しが立たない以上、余計なリスクを負いたくない、という判断なのだろう。

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弱点2 利率固定

本商品は加入時の利率が固定される。

筆者もこの業界が長いがドル建の一時払商品で0.34%は歴史的な低水準である。

こんな利率が「固定」されてしまうことはデメリットでしかない。

弱点3 解約控除に要注意!!

本商品だけに限った話ではないが、このような「一時払」系の商品には、解約控除というものがある。

加入してすぐにやめると「手数料」を取られてしまう。

これを「市場価格調整」と言う

要は早期解約したら損だよ。ということだけ理解してくれれば良いのだが、興味がある人向けに、一応その仕組みも説明しておく。

解約控除は、

1 加入時の利率

2 解約時の利率

の2つが関係する。

加入時の利率は、前述の通り、入った段階で決まっていて、それがずっと続く。

ここでは仮に1%としよう。

そうなると、解約時の利率も1%でしょ?と思われるかもしれないが、ここで言う解約時の利率とは、

この商品を解約した時に「新たに契約した」場合の利率

を指す。

本商品の利率は1ヶ月に2回変わる(月初と16日)

1%の時もあれば、2%の時もあるし、今のような米国経済が最悪の時には0.38%まで落ちてしまう。

要は波があるわけだ。




加入時に1%でも、解約時に何%なのかは分からない。

「下がっている」こともあれば「上がっている」こともある。

1%の人が「今」解約したとする。今の新契約の利率は0.38%

1%よりずっと低い。

そうなると、保険会社からすると、

・昔からの1%のお客さんが去って(解約)

・新しいお客さん(新契約)は0.38%で良い

ということになる。

もともと資金を1%で回す約束をしていたお客さんが、その権利を手離してくれたおかげで、その債券(米国債)はそのまま持ち続けられる。

しかも、新しいお客さんは0.38%のリターンで良いわけだから、保険会社からすれば「利ざや」が抜けるので嬉しい。

そのため、

解約しても手数料は要りませんよ(むしろ、ありがとう)

ということになる。(逆に客の返戻金が増えることもある)

逆に加入時が1%で、解約時の新契約の利率が2%だとどうだろうか?

保険会社からすれば、最近の運用環境は「2%」なのに、昔からのお客さんには1%のバックで良いわけだから、出来るだけ契約を続けて欲しい。

それでも解約するとなると、こう思うわけだ。

「うげっ!!早期解約する上に1%かー、こんなん価値ねーよ」

と。

それもそうだろう。

市場では2%が当たり前なのだから、1%の権利なんて誰も見向きもしない。

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そのため、

「申し訳ないですが、あなたの1%の権利、今価値が低いので、解約するならその分の損失は被って下さいね」

ということになり、手数料を高く取られる。

これが解約控除である。

で、今の0.38%。

短期的に見れば、今後更に下がる可能性もあるが、数年単位で考えれば上昇するだろう。

0.38%とのギャップが大ききれば大きいほど解約控除もでかくなる。

その点からも、0.38%で契約することは危険である。




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