提供会社:明治安田生命
商品名:米ドル建一時払養老保険
この保険の弱点はここだ!!
参考コラム:ドル?株?介護を付けた方が良い? 一時払保険の賢い選び方総論
上記コラムは、一時払系保険の総まとめ的なものなので、一から勉強したい方はご一読頂きたい。
さて、では明治安田のドル一時払保険の話をしたい。
結論から言えば、極めてシンプルで、率直に良い商品だと思う。
また、専門的な見地から見ると
「ほお、メイヤス(明治安田の業界での呼び名)、面白いところに目をつけたなぁ」
という感じ。
外貨の一時払系の商品は、各社が色々と出しているが、他社と差別化しようとして、「ゴチャゴチャし過ぎ」なものが多い。
素人には得なのか、損なのかよく分からないオプションを付けて、煙に巻いているようなものも結構あるのだが、その点、本商品は単純。
一時金を預かる
それをドルにする
10年間決まった利率で運用する
10年後に返す
以上。
分かりやすい。
加入した時に利率が固定され、その利率は毎月1日と16日に変動する。
本稿を書いている2022年2月18日時点での利率は2.50%となっており、10年後の返戻率は年齢によって変動する。(以下、参照)
30歳 男性 119.6%
40歳 男性 119.7%
50歳 男性 120.1%
60歳 男性 120.7%
70歳 男性 123.0%
80歳 男性 132.0%
年齢が上がるほど、返戻率が上がるのだが、この件は後ほど詳細を解説したい。
なお、利率と利回りは異なるので、本商品の利回りを計算すると、40歳男性で2%弱、80歳男性で3%と言ったところ(利率が2.5%の場合)
その関係を理解したい方は、以下のコラムをご参照頂きたい。
参考コラム:同じ3%でも何故違う?「超」わかりやすい!!予定利率と利回りの違い!!
で、この利率。保険会社が出せる数字としては限界だろう。
と、言うのもこの手のドル建の商品は、アメリカ国債で運用をしているのだが、そのアメリカ国債の利回りが昨今のコロナ禍で、歴史的な低水準であった。
ここに来て、ようやく利上げに踏切り、最近は随分と上がってきてはいるが、それでも10年債で2%前後。(2022年2月18日時点)
要はこれが「原材料」にあたり、保険会社はそれを市場で「仕入れ」、バラバラに分解して、ちょっとだけ保険風味に味付けをしたものを個別の客に売る。
言わば保険会社は「寿司屋」のようなものだと思えば分かりやすい。
本商品の場合、原材料が2%で、商品も2%。
市場から仕入れたものを、そのまま出しているようなもので、先の寿司屋の話で言えば、仕入れたマグロを、そのまま原価で提供しているようなものだ。
注:もちろん保険会社は大量にアメリカ国債を買うので、2%よりは多少良い条件で仕入れてはいるだろうが、それでも0.1%高いとか、そんなレベル。
寿司屋だって、保険会社だって、何かをすればそこには人件費などの「コスト」がかかる。
つまり、「原価で出す」というのは実質的には赤字なのだが、本商品は「ある条件」で保険会社に利益が発生するようになっている。
それが、面白い。
そして、それこそ本商品の最大の弱点(デメリット)となる。
弱点1 死んだら損する逆保険
本商品。保険ではあるものの、保険的な機能はほとんどない。
唯一あるのは、「災害死亡」と言って、交通事故や災害、犯罪に巻き込まれて死亡した時の「上乗せ」だけ。
この場合だけ、満期保険金が死亡保険金となる。
実際の例を見てみよう。
50歳 男性 500万円を預けた場合
500万円は1ドル=115.45円で交換され、43,309ドルとなる。
これを利率2.5%で10年運用していき、無事満期を迎えた時には52,014.11ドルとなる。(返戻率120.1%)
これが保障内容の基本なのだが、運悪く運用中に契約者が死亡してしまうこともある。
この場合、2つのケースがあり得る。
1 病死
2 災害死亡(平たく言えば「病死」以外)
1の場合、保険金は43,309ドル。つまり運用する前の元本を返して終わり。
対して、2の場合は、10年間の運用を待たずに「満期金」の52,014.11ドルが受け取れる。
これが本商品のミソ。
つまり、普通の病死では、保険金は元本のみで、その途中の運用益は保険会社のものになるわけだ。
仮に9年と11ヶ月目に亡くなった場合、43,309ドルの元本は、ほとんど52,014.11ドルに増えている。
でも、返すのは43,309ドル。差額は保険会社が没収する。
これが本商品における保険会社の利益。
普通、保険は「死んだら支払った保険料以上の保険金が戻ってくる」ものであり、言い方は悪いが、死ねば契約者の勝利、そして保険会社の敗北となる。
だが、本商品はその逆で、死んだら契約者の負け(運用益を受け取れないから)、保険会社の勝ち。
言ってみれば逆保険のようなもので、なかなか斬新なアイディアだと思う。
なお、先程説明した「災害死亡」だが、まあ、ほとんど起こらない。
この国では年間140万人近くが亡くなっているが、その中で交通事故は3,000人弱。
確率で見れば0.2%程度で、1000人に2人というレベル。
明治安田からすれば、契約者1000人のうち2人程度は、運用途中でも満期金を支払う必要があるものの、それでも保険会社の持ち出しはわずか(保険金の大部分は契約者が預けた原資だから)
冒頭、本商品は「原価で提供しているようなものだ」と説明したが、それを実現出来るのは、この仕組みがあるからだ。
契約者から借りた金で運用をする。
生きれていれば返しますが、途中で死んだら儲かった分は貰いまっせ。ということで、なかなか上手いシステムだと思う。
だからこそ、本商品は年齢が上がるほど返戻率が高くなるのだ。
高齢になればなるほど、途中で死ぬ確率も上がるので、保険会社からすれば「儲かるチャンスがある」ということ。
その代り、無事10年後の満期を迎えた時のメリットが高くなるように設定されている。
そして、これ契約者側にもメリットがある。
まず、10年預けたら◯◯%増やす、と約束されるので分かりやすし、その率も他の類似商品よりは高め。
また、年齢が若ければ「10年で死ぬ」ということなど考えれないので「死んだら元本だけ返却」も承諾しやすい。
それに、元本が戻ってくるのであれば、別に損はしていないんで「まあ良いではないか」とも考える人も多いだろう(運用益を失っているという面では実質的には損をしているのだが・・・)
これは高齢者にも当てはまる。
本商品では、高齢になるほど返戻率が高くなり、70歳男性の場合123%と、他社ではなかなかない数字である。(2022年2月18日現在)
統計的には、70歳が10年以内に死亡する確率は「結構高い」のだが、それでも
「10年かぁ、どうだろうなぁ。でも意外とイケるか?123%は良いよなぁ。まあ死んでも元本は返ってくるしな」
などと思う人も多いのではないだろうか?
人間というのは不思議なもので、「自分が死ぬ」ということに関しては、その直前になるまで真剣に考えないように出来ている(そうでなくては、日々暗くなるばかりだろう)
意外と楽観的な生き物でもあるので、本商品はその「楽観性」をうまく突いている。
弱点2 途中解約で返戻金が増えない
本商品では、途中で解約した場合の返戻金も「元本」だけである。
更には加入、3,4年程度の短期で回y買うした場合には、ペナルティがあるので、元本以下となる。
対して、他社の類似商品では、途中で解約しても、その時点で運用益があれば、それらを含めて返してくれる。
つまり、本商品は、「10年間は絶対解約出来ない」ということ。
その覚悟で入った方が良い。
そのため「やりすぎ注意」でもある。
手元資金を十分に残した上で、それでも「10年は絶対使わない」と思えるお金を投資すること。
口コミ・評判(契約者から)
・なし
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比較した方が良い商品
下記商品が当サイトで比較的高評価のドル建一時払商品。
PGF生命 米国ドル建介護終身保険Neo ★★★☆☆
別名:ぬくもり介護US、悠々介護終身US、米国ドル建一時払介護終身PG、介護バリューUS
編集後記