提供会社:アフラック
商品名:未来の自分が決める保険WAYS
この保険の弱点はここだ!!
コンセプトは面白いのだが、以下2つの理由で星1つ。
1 他社比較で保険料が高い
2 他社の終身保険でも「似たようなこと」は出来る
「アフラックも随分凝った(複雑な)商品作ったな・・・」という印象。
まずは、本商品の概要から説明したい。
本商品は基本的に終身保険と言われるもので、保障内容としては
「一生涯の保障で、いつ死んでも◯◯◯万円の保険金が降りる」
というもの。
例えば30歳 男性 保険金500万円 60歳払込の場合、保険料は12,180円となる。
これを60歳まで支払う。60歳以後は保険料を負担する必要はなくなるのだが、保障自体は一生続く。
60歳までの総支払保険料は438万4,800円
これで死亡時には500万円が「いつかは必ず」支払われるのだから、損をすることはない。
そして、この保険の面白いところは、途中で保障を「変身」させることが出来るという点。
選択肢は4つある。
1 そのまま終身保険として継続する
2 年金保険に変更し、以後年金を受け取る(年金コース)
3 介護年金に変更し、その後「公的介護の認定を受けたら」年金を受け取る(介護年金コース)
4 医療保険に変更し、一生涯の医療保障を受ける(医療コース)
なお、芸が細かいことに、これらはミックスすることも可能。
例えば、
・100万円だけはお葬式代として終身保険に
・200万円は介護保険に
・残りの分で老後の医療保険を用意する
こんなことも出来るようになっている。
ちなみに、年金コース、介護コース、医療コースなどを選んだ場合、具体的にどれくらいの金額になるのか?という点については、約款にもパンフレットにも掲載されておらず、
その時の利率で計算する
ということしか書かれていない。
なので、ここでは「あくまで想像」で「多分、こんな感じ(だがほぼ正解だと思う)」ということを述べていく。
先の4つの選択肢のうち、1の「終身保険のまま」ということに関しては、そのまま、ということなので、死亡したら500万円ということ。
2の年金コースだが、これは「年金を受け取りたい!!」と希望した段階での解約返戻金を分割払いにして「年金のように」支払ってくれるもの。
例えば、先の例(30歳 男性 保険金 500万円 60歳払込)の場合、保険料は12,180円。60歳までに約438万円を払うことになるが、60歳時点での解約返戻金は450万円だとしよう(あくまで当サイトの予測。実際の数値とは異なる)
この解約返戻金はだんだん増えていく。
65歳に「年金として受け取りたい」そう希望した時に460万円になっていた。
これは解約したら一括で受け取れる「解約返戻金」であり、これを「年金払い」にして受け取るのだが、一括で受け取るよりは年金の方が若干増える。
これは保険会社が大きな現金を手元に持ったまま、運用を続けるからで、460万円を年金にすると
47万円 × 10年 = 合計470万円
こんな感じになる。
なお、前述の通り、実際にどの程度増えるのか?という点については、年金コースに移行した際の利率が適用されるので、加入時には分からない。
年金コースに移行した時に、市場の金利が高ければ、保険会社としては手元の資金を増やすことが出来る。
そのため、48万円×10年=480万円になるかもしれない。
逆に現状と同じような「超低金利」であれば、保険会社も手元の資金を増やすことが出来ないので47.1万円×10年=471万円となり「年金にしても10年で1万円しか増えない」というようなことになるかもしれない。
こればかりは、将来のことなので分からない。
これが年金コース。要は自分で貯めたお金を分割で受け取るだけ。
3の介護年金コースも、2の年金コースと似ているが、「年金開始」のタイミングが違う。
2の年金コースは「今から年金くれ!!」と契約者が言えば、その瞬間から始まる。
しかし介護コースになると、「要支援・要介護」の認定が年金開始の条件となる。
一般論として、2の年金コースより、3の介護年金コースの方が「年金を受け取るタイミング」は遅くなるだろう。
要支援1に認定される平均年齢は、各種データを見ると75歳前後。
2の年金コースは、仕事を引退した65歳くらいから受け取りを希望する人が多いが、介護年金コースではそれより10年近く「後ろにずれる」ことになる。
保険会社としては、その間、運用が出来る。
そのため、2の年金コースよりは、3の介護年金コースの方が利率が同じであれば増える可能性が高い。
これを原資として、3~10年の年金期間を決め、年金を受け取る。
なお、この年金を受け取っている間に死亡した時は、遺族が残りの年金額の原資を受け取る仕組み。
運用される前の「原資」なので、総年金額よりは多少減るだろうが、まあ、そこまで気にするほどの差でもないだろう。
また、介護の該当せずに死亡した場合には、払戻金を受け取れる。
2の年金コースと比較すると、メリット・デメリットは以下のようになる。
メリット
・介護になった場合、通常の年金より多少多い年金を受け取れる
デメリット
・介護にならないと年金が開始されない
・死亡時に受け取る払戻金は、年金コースで受け取った場合の総額より減る
注:本件に関しては仕組みが複雑なので、説明を割愛するが、支払った分よりマイナスになる(損をする)ということではない。あくまで「年金受け取りに比べる」と、多少減るということなのだが、そこまで気にするほどでもないとは思う。
最後の4の医療コースだが、これは専門的には「医療保険の一時払」と言う。
通常の医療保険は「入院したら1日5,000円」といような内容で、毎月3,000円を支払っていく形が多い。
しかし、これを「全て一括で払う」ということが出来る。
それが「一時払」
通常なら、毎月3,000円、それを30年、40年など、長期間支払っていくのを、まとめて支払ってしまうのである。
例えば3,000円を30年間支払うと、その総額は108万円になる。
しかし、これを一度に払う場合、108万よりはディスカウントされる。
保険会社としては、毎月、ちまちまと請求する手間が省けるし、更にはドカンと大きな現金を預けてくれるので、その瞬間から「まとまった塊」として運用が出来る。
その分、割り引いてくれるのだ。
どれくらい安くなるか?というのは、保険会社によっても違うが、まあ、だいたい2.3割引きというところが多い。
108万円が、75~88万円くらいになるイメージ。
本商品の医療コースでは、60歳とか65歳になった段階の解約返戻金の一部を、これに充当し、今まで貯めてきたお金(本来は終身保険を得るためのお金)を使って、医療保険を「まとめ買い」する。
これは他社ではあまり見かけないので、本商品の大きな特徴と言って良いだろう。
以上が商品の概要。
なお、ここでは述べていないが、本商品は内容が複雑であるため色々と細かいルールが多く、プロである筆者が約款を読んでもよく理解出来ない部分がある。
冒頭で「随分凝ったものを作ったな・・・」と述べたのは、このあたりの事情から。
では、弱点(デメリット)
弱点1 保険料が高い
もうシンプルにこれ。
本商品はあくまで終身保険である。
老後の選択肢が多い、という特徴はあるが、それでも老後が来るまでは、ごくごく普通の終身保険だ。
当サイトで評価の高いオリックス生命の終身保険(ライズ)と比較してみよう。
30歳 男性 保険金500万円 60歳払込
・アフラック 12,180円/月
60歳までの総支払保険料 438万4,800円
・オリックス 10,870円/月
60歳までの総支払保険料 391万3,200円
毎月の保険料で1,300円ほど、約1割高い。
長い目で見れば、総支払保険料は47万円ほど違う。
47万円は、若い人であれば2カ月分、40代、50代でも1か月分の「月給」であり、言い方を変えれば、この保険のために、1,2ヵ月「タダ働き」をしないといけない、ということ。
どちらも同じ「死んだら500万円」なのだから、わざわざ高い方を選ぶ必要はないのではないか?
だが、本商品には「老後の選択肢が多い」というメリットがある。
その点について、次項で掘り下げてみたい。
弱点2 他社の終身保険でも似たようなことは出来る
本商品には、
1 引き続き終身保険
2 年金コース
3 介護年金コース
4 医療コース
の4つの選択肢があるが、他社でも当然1は選べる(選ぶ、と言うか、そのままにしておくだけ)
また、2の年金も終身保険のオプションとして「解約返戻金の年金支払」が選択できるので、同様なことが出来る。
3の介護年金も
「介護になったら年金受け取りにすれば良い」
だけであり、わざわざ介護年金にしておく必要はない。
要は「手元にお金があれば良い」のだから、保険の返戻金も貯金の一部だと思い、介護になれば自由に使えばよいだけ。
また、介護は男性の1/3、女性の1/2がなるが、逆に言えば男性2/3、女性の1/2は「ならない」ということ。
なるか?ならないか?どちらも可能性は高いので、わざわざ自分の資産に「介護にならないと年金が始まらない」という「鍵」をかける必要もないのでは?とも思う。
参考コラム:
民間の介護保険は必要か?「介護保険の考え方」
「介護付」終身保険のメリット・デメリット
本商品のメリットは「介護年金の場合、多少年金の上乗せがある」ということだが、実際にどの程度増えるのか?ということは現時点では分からない。
介護年金コースに移行した時の利率が高ければ、結構増えるかもしれないが、逆の言い方をすれば、その時は市場の金利も高いということなので、であればこの保険を解約して、その返戻金を何か別のもの(一時支払いの貯蓄商品など)に預けておけば、同じ率で増える。
別に今から考えなくても良いことでは?と思う。
最後の医療コースだが、これだけはわずかに利がある。
本商品では、「健康状態にかかわらず」医療コースに移行できるので、例えば60歳、65歳になって、大きな病気などを経験し「他の医療保険には入れない」というような状況であれば、返戻金の一部で医療保障を買えるのは嬉しいかもしれない。
だが、これも「他に入っている医療保険あるでしょ?」という感じ。
60歳過ぎて、何も医療保険に入っていない、なんてことがあり得るだろうか?
だったら別にそれで良いではないか。
そのため、選択肢としては用意されているものの、医療コースを選ぶ筆はさほどに多くないと思われる。
以上、述べてきた理由から、「これらの選択肢がある」ということが、割高な保険料を負担する理由にはならない。
付加価値と保険料のバランスが合っておらず、
「普通の終身保険で良くない?」
というのが筆者の感想。
口コミ・評判(販売側から)
・はっきり言って売りにくい。将来、色々と形を変えらるのは一見受けが良いが、他社の終身保険に比べ保険料が高いので「何故高いのか?」という点で説明が難しい。
また、利率なども「その時の経済状態で決まる」ので、現時点のシミレーションも非常に曖昧なものとなっている。全てが仮定の話なので、販売する方としてもむず痒い。
単純に貯めていたお金で、他の保険を買っているだけなので、このあたりも国内大手の昔のパッケージ商品のようで、なんかアフラックらしくないな、と思っている。
アフラックのソリシター(代理店をサポートする担当者)も「ほとんど売れていない」とは言っていた。
謝礼Amazonギフトカード300円!! アナタの口コミ教えて下さい!!
保険会社勤務、代理店勤務の方でも、販売現場の情報や、当サイトで指摘していない弱点(デメリット)などには謝礼(amazonカード300円)をお支払い致します。
口コミ・評判(契約者から)
なし
比較した方が良い商品
将来、終身保険を他の保険に切り替えられる、という点では類似商品はない。
しかし、通常の終身保険やドル建終身保険、株価などに連動する変額終身保険の方が良いだろう。
終身保険
ドル建終身保険
ジブラルタ生命 米国ドル建終身保険&米国ドル建終身保険(低解約返戻金型) ★★★★☆
ソニー生命 リビング・ベネフィット20(米ドル建生活保障・終身型) ★★★★☆
メットライフ生命 USドル建終身保険 ドルスマートS ★★★★☆
変額保険
プルデンシャル生命 変額保険(終身タイプ/一時払タイプ) ★★☆☆☆
編集後記